居飛車

よくわかる角換わり

マイコミ将棋BOOKS よくわかる角換わり
著者 :西尾 明
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2011-08-19
価格 :¥10(2024/02/06 08:42時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

角換わり、となってはいるが、基本的には現代の花形戦法である角換わり腰掛け銀を中心に解説した本。
めずらしく「木村定跡」から解説をしていて、▲8八玉△2二玉型では先手有利。じゃあ後手が一手早く仕掛けよう、ということで△2二玉の一手を省いて▲8八玉△3一玉型で仕掛けると後手有利。じゃあ▲8八玉もやめよう、ということで▲7九玉△3一玉型、という一連の流れが解説されていたのは驚いた。
その後、現代の角換わりということで一手損角換わりの話になり、相腰掛け銀、早繰り銀、棒銀、右玉といった対策の解説へと進んでいく。

その昔、『消えた戦法の謎』という本で「角換わりは三すくみの関係だったが腰掛け銀だけになった」みたいなことが書いてあったが、一手損角換わりが登場したことによってまたその「いろいろ入り混じったとっ散らかった状態」に戻ったとも言える。本書は、そのいろいろカオスになった状態の角換わりを丁寧にほどいて解説した本、というわけではない。そうではなく、おいしいところ、基本の部分だけをうまいことすくい出して整理してくれた本である。
なので、高段者であれば改めて読むまでもない(とまで言うと大げさだが)が、初段前後の人であれば役に立つだろう。

角換わりのはじめの一歩にはピッタリの本だと思う。

作成日:2011.08.25 
相掛かり・角換わり

最新の矢倉3七銀戦法

最新の矢倉3七銀戦法 (プロ最前線シリーズ)
著者 :屋敷 伸之
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2010-12-23
価格 :¥17(2024/02/05 23:41時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

タイトルの通り、矢倉3七銀戦法を解説した本。
加藤流と4六銀戦法△8五歩型、4六銀戦法△9五歩型を解説している。
△9五歩型は宮田定跡のその先を、△8五歩型は穴熊に組んでからの攻防が主流。

かなり詳しく、そしてしっかりと解説しているなと感じた。レイアウトなどが東大将棋シリーズに似ていたからかもしれない(笑)。解説部分に関してはよく書けていると思う。

ただ、少し気になったのが、変化が分岐したときの書き方。
例えば、▲2五歩に△3三銀と△1三銀という2つの手があったとする。そのとき、△1三銀は後述する、とする。これはいい。しかし、△3三銀の解説が一段落ついたところで、急に第○図というのが出てきて、それが△1三銀と指した局面なのだ。普通、「第○図は第○図の△3三銀で△1三銀と指した局面」とか書いておくよねぇ……。
これがあったので、ちょっと油断すると「あれ、今どこだっけ?」となってしまう。白砂は盤駒を出して棋書を読む人間ではないのでこういうことをやられるとより辛い。

内容がよかっただけに、この点はもうちょっと気を配ってくれてもよかったと思う。もちろん内容はいいので、評価は高いです。

作成日:2011.08.25 
矢倉

最新矢倉戦法

最新矢倉戦法:▲3七銀戦法徹底研究 (スーパー将棋講座)
著者 :高橋 道雄
出版社:創元社
出版日:2007-08-01
価格 :¥1(2024/02/05 23:41時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

先手の立場から見た矢倉3七銀戦法の解説本。創元社フォーマットとでも言うべき大きな図面を豊富に用いた解説ながら、3七銀戦法の急所はキッチリと押さえられた良書に仕上がっている。

内容は、まずは3七銀戦法の基本形以前の変化(早い△8五歩や早い△4三金右など)を解説し、その後、基本形から△8五歩と△9五歩の2つの大きな分かれをそれぞれ解説していく。△9五歩型では▲6五歩に言及するなど最新の形にも触れていて、決して初級者向けだけの解説にとどまっていないのが好印象だった。
最後に、大きな流れとはやや外れた形、△5三銀型と△7三銀型、それと森下システムについての解説がある。分量はさほど多くないが、確かに押さえておきたい変化だ。

解説を最低限のポイントだけにしぼり、しかし不足なくまとめるというのはなかなかに難しいことだと思うが、それをやってのけた本だと感じた。本書一冊あれば、とりあえず先手番の矢倉は指しこなせるのではないだろうか。

作成日:2008.04.18 
矢倉

将棋定跡最先端 居飛車編

将棋定跡最先端 居飛車編
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2005-12-01
価格 :¥1,518(2024/02/07 10:48時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

定跡伝道師の居飛車定跡解説本。
ということで当然のように『東大将棋シリーズ 居飛車編』の続編かと期待してしまうが、矢倉、横歩取り、角換わり、相掛かりを一冊でまとめてある。
もう少し詳しく説明すると、

  • 矢倉……4六銀戦法
  • 横歩取り……8五飛戦法、相横歩取り
  • 角換わり……早繰り銀、腰掛け銀、先手棒銀
  • 相掛かり……3六銀戦法

というラインナップである。
『東大将棋シリーズ』の中で結論が変わった部分を中心に構成されている。また、角換わりや相掛かりはこないだまでやっていた『週刊将棋』の連載をまとめたものだろう。
大げさに悪く言うと過去の東大将棋の補足本なのだが、それはそれとして親切なことだと思う。紙媒体は一度できあがってしまうとなかなか修正ができないが、こうやってきちんとフォローしてくれるだけでも十分にありがたい。

ただ、その分、角換わりや相掛かりについてのページか中途半端になってしまった感じだ。矢倉・横歩取りの修正分だけで本は出せないだろうということでこれらの項もまとめて出版したのだろうが、それがかえって悪い方に出ている。特に3六銀戦法は類書もまだ多くないだけに、「定跡伝道師」への期待は大きかったはずだ(白砂はあんま期待してないんだけどね(笑))。
それでも、最新の内容を追っていることには違いなく、居飛車党ならば目を通しておいて損はないだろう。
概説、と言えるほど網羅的ではないし簡単ではないので、級位者は手を出さない方が無難だと思う。もっといい本はある。

作成日:2006.01.08 
居飛車全般

相居飛車の定跡

相居飛車の定跡 (スーパー将棋講座)
著者 :青野 照市
出版社:創元社
出版日:2004-11-01
価格 :¥147(2024/02/07 10:53時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

相居飛車の定跡、というので相掛かりから横歩取りから矢倉からなにからなにまで入っている本だと思ったら、違った。
相掛かり3七銀戦法と、対ウソ矢倉、それと相矢倉のみが解説されている。
要するに居飛車党なら上の3戦法を覚えれば十分だろうというのが本書の主張なのだ。▲2六歩と指し、後手が△8四歩としたら相掛かり3七銀戦法へ、△3四歩としたら▲7六歩から矢倉へ、というわけだ。後手だったらどうするの? という話はなかったことにするが(笑)、なるほど相居飛車を指したければそれだけで指すことはできる。

内容は創元社らしく簡潔にまとまっている。
3七銀戦法も矢倉も結局は先手が攻めていく形なので、「攻めが続くので棋力が低ければ先手(攻めてる方)有利」というコンセプトで選んだのだろう。気持ちよく攻めて、気持ちよく勝っている。もちろん実戦でそううまくいくかは判らないのだが、攻めの形、戦術(戦略ではなく)を学ぶには十分だ。
最終章の相矢倉は現在流行の矢倉形を紹介し、少しだけ骨っぽさの出しているので、初段くらいの人でも十分参考になるだろう。

もう少し詳しい攻防は東大将棋矢倉道場に任せて、「相居飛車を指す」ことに重点を置く。創元社らしい作りで、これはこれで役に立つ本だと思う。

作成日:2004.12.11 
居飛車全般
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