2014

横歩取りの教科書

横歩取りの教科書 (将棋の教科書シリーズ)
著者 :畠山 鎮
出版社:マイナビ
出版日:2014-05-23
価格 :¥1,694(2022/05/03 13:22時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

横歩取りの定跡及び終盤の戦い方について書かれた本(一応、中盤編というものもあるのだが、中盤についての解説という感じはしなかった)。

内容は、△2三歩型の横歩取りから始まって、相横歩取り、8五飛戦法(新山﨑流や△2四飛ぶつけを含む)と、とても広範囲にわたっている。その分個々の内容は簡略化されているが、それでも本筋はしっかりと解説されているので、一通り読めば横歩取りとはどんな戦法かということは理解できるだろう。

著者がこういう「殴り合い系」の将棋が大好きということもあってか、こういう将棋は面白いからもっとアマチュアの人も指してよ、という主張が強く感じられる。それはとても好感が持てた。ただ、初の著書ということもあってか、少し……ごめんなさい個人的にはかなり、文章がこなれていないと感じた。まぁ、大盤解説などを聞いていると元々こういう言語センスの人なのかなぁという気もするが、ここの語尾はこうだろう、とか、この文章は1文でいいよね、とか、なんだかどうでもいいようなことにすごく目が行ってしまった。

あと、好きだということはとてもよく伝わったのだが、そのせいか(違うかもしれませんが)本当にギッシリと変化が詰まっている。上記では「簡略化されている」とはいったが、それでも初級者・中級者向けの内容と考えるとかなりのボリュームだと思う。熱血指導だなぁと好意的に捉えてはいるのだが(笑)、図面の使い方に少し難があると感じた。
例えば、指し手が続いて、ここで後手からうまい手がある、という文章があったとする。この場合、ページの左下などに指了図があって、読者はその図面を見ながら次の一手を考え、そして答え合わせでページをめくる、というのが普通だろう。わざわざそこで「うまい手がある、考えてみましょう」と煽っているわけだし。しかし、本書の場合、そのページに図面が載っていなくて、次ページの右上の大図面しかないのだ。しかも、そこにそこから先の指し手も書いてある。これでは「うまい手がある」という惹き文句が台無しである。

また、主要な変化であり、①②③などと変化も分かれている局面なのに、図面が1枚もなかったりする。白砂だったらこっちの図面じゃなくてここを使うのになぁ……と、読みながら何度か思ってしまった。これは著者の責任というより、編集が指摘したり考慮したりする部分じゃないのかなぁ。なんかもったいないと感じた。

編集という点で言えば、項立ての構成も少しおかしい気がした。

最初でも「中盤編」について触れたが、こういう章分けをする理由がいまいち伝わらない。
また、各項のタイトルももう少し工夫がほしい。見出しを読んでも自分がいま何の戦形の解説を受けているのかが判りづらい。初級者・中級者向けに取っつきやすくと考えてのことだと思うのだが、タイトルとサブタイトルを使い分けるなどすれば、その辺りはクリアできたのではないかと思う。

不満点ばかりをあげつらってしまって申し訳ないが、誤解の内容に繰り返しになるが書いておくと、取り上げている戦形や書かれている変化、著者の横歩取りに対する愛情は十二分に感じられる。それだけに、処女作なんだからもう少し編集頑張ってやれよと、そこが残念なのである。白砂が頭の中で再編集した原稿が読みやすく理解しやすいかは保証できないが、それこそ1からリライトしたいくらいに内容は素晴らしい本だった。
初段くらいまでの居飛車党なら、本書からB級な変化の部分を選んで指してみても面白いだろう。それこそ、著者が言う「面白い将棋」が堪能できると思う。有段者でも、正直購入を薦めるほどに詳しい本ではないが、横歩取り使いではないのであれば、一度は読んでおけば最新形までの過去からの流れが整理されて判りやすく理解できるはずだ。できれば文章などには目をつぶって、符号を中心に追いかけるとより理解が深まるだろう。

作成日:2014.12.30 
横歩取り

羽生vs佐藤全局集

永久保存版 羽生vs佐藤全局集
著者 :日本将棋連盟書籍
出版社:日本将棋連盟
出版日:2006-09T
価格 :¥397(2022/05/02 16:44時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

出版時点までの、羽生vs佐藤の将棋を全局収録した棋書集。公式戦107局と非公式戦2局の計109が収められている。

とはいえ、本書のキモは全棋譜ではなく、前半100ページの自戦記とインタビュー(と解説記事)にある。これが実に面白い。羽生が見た佐藤、佐藤が見た羽生、他棋士が見た二人と、いろんな立場から羽生将棋・佐藤将棋にスポットを当てている。
何度も言っている通り白砂は棋譜集というものをあまり評価していないのだが、本書はプラスアルファの部分がとてもよく、その意味では将棋を「観る」派の人まで含めて、棋力に関係なく一度読んでほしい内容になっている。

もちろん、二人の将棋であるから、将棋の内容そのものも一級品である。棋譜についている解説は少なく、「勝負のポイント」として1手についてのみスポットを当てているが、図面を2枚使って丁寧に解説しているので、棋譜並べの際は役に立つだろう。この点、よくあるABC……として短評を載せる形式とどちらがいいか迷うところではあるが、鑑賞用としては本書の形式の方が優れていると思う。

作成日:2014.12.30 
実戦譜集 読みもの

仕掛け大全 居飛車編

仕掛け大全 居飛車編 (マイコミ将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2007-03-01
価格 :¥403(2022/05/02 16:47時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『仕掛け大全 四間飛車編』『仕掛け大全 振り飛車編』に続く、仕掛け周辺の解説本。これで完結とのこと。

相居飛車ということで、矢倉・横歩取り・角換わり・相掛かりと、一通りの戦形は解説されている。
急戦矢倉や雁木、塚田スペシャルのような、誰が指してるんだという形も解説されていて、ガイドブックだから必要なんだろうなという思いと、限られた紙数なんだからもっと他に入れるべき形はあるんじゃないかという思いとが複雑に交錯してしまった(笑)。

シリーズ全般に言えることなのだが、やっぱりそもそものコンセプトがどうだったんだろうという気がする。
例えば、いろんな形・定跡をガイドブック的に紹介するというにしては、検索機能がとてもしょぼい。目次が検索の役に立たないのだ。なので、結局、大づかみでページを開いて、あとは1ページずつ見ていくしかない。で、見ていくと気づくのだが、やはり個々の変化が圧倒的に少ないため、ヒット数が少ない。正確に言えば、初期図面と指し手を照会し、ついでに解説されている変化まで対象にすればヒット率は上がるのだろうが、それを紙媒体で行うというのはとても苦痛である。
……ということで、本気で検索したいなら、結局『激指定跡道場』を買いなさい、という話になる(笑)←『激指定跡道場』には全ページ載っている。
てことはさぁ、このシリーズ3書って、ソフトに入れる局面を厳選するための抽出過程でできた指し手を集めて、それを書籍化しただけ? とか、いらぬ邪推をしてしまう。邪推だと思っていても、そう考えるとなんとなくいろんなことが腑に落ちるのだ。個々の指し手の解説が少ないとか(ソフトで1手ごとに表示される解説文はそんなに多くできないだろう)、ガイドブックといいながら検索しづらい目次とか(目がソフトの方を向いていて、紙媒体にまで目が回らなかった?)。

あくまで個人の感想なのでそこは押さえておいてほしいのだが、妄想はさておいても本書の作りがこういう意味で甘いのはきちんと指摘しておきたい。例えば目次をもう少し充実させるだけでも検索力は上がるだろう。そういう努力をもっとしてほしかった。

作成日:2014.12.30 
居飛車全般 仕掛け

仕掛け大全 振り飛車編

仕掛け大全 振り飛車編 (MYCOM将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2006-12T
価格 :¥1,114(2022/05/02 15:50時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『仕掛け大全 四間飛車編』に続く、仕掛け周辺の解説本。定跡を集めて、手の解説というよりは仕掛ける「形」の紹介に徹している。

今回は振り飛車編ということで、前著の四間飛車以外の、三間飛車、中飛車、向かい飛車、相振り飛車を解説している。また、冒頭に「最新の仕掛け」として、発売当時の最新形を紹介している。個人的には、ここでなぜゴキゲン中飛車を取り上げたのかが判らない。本項を「最新の四間飛車の仕掛け」として、ゴキゲン中飛車は普通に中飛車の項に組み込んだ方がよかったと思うのだが。その方が、シリーズが続いている感も出せたし(笑)。いや、最新定跡を取り上げてるんでそれはこっちにまとめました的な事なんだろうことは判るのだが、定跡の新旧よりも戦法ごとに取りまとめた方が、「ガイトブック的な定跡紹介本」という本書のコンセプトには合っていると思うのだ。

個々の内容についても、三間飛車、中飛車、向かい飛車、相振り飛車と4つに増えていることから、いっそう薄くなってしまっている。三間飛車(石田流)ブームはもう少し後だった(と思う)から仕方がないとしても、ゴキゲン中飛車や相振り飛車は結構はやっていたはずで、変化や戦形も多彩だったと思われる。であれば、読者としてはもう少し分冊するなりしてボリュームを増やしてほしかった。いろいろ難しいであろうことはよく判るので無理を言っているというのは重々承知なのだが、販売数やコスト、売上といった売り手側の「大人の事情」は脇に置いといて、読者としてはそう思ってしまう。
実際に良書は売れているわけで、ましてや総合定跡書的な内容で出版するのであれば、どっしりと腰を落ち着けた内容にしてもよかったのでは……と思う。
まぁ、コンセプト的に白砂は手元に置かないと思うので、強く言えないんだけど……。

作成日:2014.12.30 
振り飛車全般 仕掛け

仕掛け大全 四間飛車編

仕掛け大全 四間飛車編 (MYCOM将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2006-09T
価格 :¥48(2022/05/02 16:43時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

四間飛車vs居飛車の各戦形について、タイトル通り「仕掛け周辺」の指し手について解説した本。
……というと判りにくいだろうからハッキリ言うと、定跡の駒がぶつかった瞬間からの指し手を集めた本である。
定跡の紹介であるので、「実戦的な」仕掛けであるとか、少しB級チックなちょっかいの出し方とか、そういうものを解説しているわけではない。タイトルを見て少しだけ期待したのだが、著者を見て諦めた(笑)。

内容は、5七銀左戦法の急戦から始まって、4六銀戦法や右四間飛車、烏刺し戦法といった急戦、居飛車穴熊、左美濃、玉頭位取り、ミレニアムといった持久戦、立石流や振り飛車穴熊まで、本当にいろいろな戦法が登場する。これらの戦法について、仕掛けの周辺を、見開き2ページにまとめてガイドブック的に紹介している。

元々のコンセプトが仕掛けの手順を「見開きで紹介」するということなのだろうからしょうがないのだろうが、いきなり仕掛けの場面から始まるので、局面に必然性が感じられない。通常の定跡書だと、こんな感じでお互いに最善手を指してはいこの基本図、というところからのスタートだが、それがないのだ。なので、とても役に立つ本だと思うのだが、通しで読むのが意外とキツい。あくまでも「観光案内」なので。
例えば、『るるぶ箱根』を最初のページから全ページ読む、ということを想像してもらいたい。行く予定もない場所の紹介を丹念に読むのは意外と面倒くさいものだ。……いや、これはこれで読んでて面白いから例としては不適切だったか?(笑)

紹介している定跡そのものは(当時の……ごめんなさい、すぐに紹介を書けばよかった)最新のものなので、手の意味の説明がとても少ない解説書と考えれば、かなりコストパフォーマンスが高い本だと言える。『東大将棋』シリーズの解説をもっと淡泊にしてギュッと押し込んだ感じだ。そう考えればかなり重宝する1冊にもなりうる。
定跡を勉強するため、頻繁に「あれ、この局面って……」と定跡書をひっくり返すのであれば、手元に本書があればたいていは事足りるだろう。
そういう人であれば買い。そうでない人は、ちょっと本書で勉強というのは辛いと思う。

作成日:2014.12.30 
四間飛車 仕掛け
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