2002

島ノート 振り飛車編

島ノート 振り飛車編
著者 :島 朗
出版社:講談社
出版日:2002-12T
価格 :¥1,200(2021/10/13 04:53時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

振り飛車vs居飛車についての研究書
定跡書、というと特定の形を指す感じがするので、ここではあえて研究書という表現を使いたい。それくらい、王道としての定跡だけでなく、ちょっと変わった戦法など膨大な考察が書かれている。

まず素直に驚いた。
これだけの研究を、アマチュアのために惜しげもなく公開してくれたヅラ……じゃなかった著者には敬意を表したい。ホントにすごい。
いくつか既出の手もないわけではないが(たとえば石田流封じに対抗する343戦法。学生のころ、すでに白砂が会報に発表しているくらいメジャーだった)、それを上回るだけの新戦法、新研究がたくさんある。

「基本」と「発展」のふたつにページを分けているのも好感が持てる。
だいたいこういう奇襲の本では、本書の「基本」に書かれている「うまくいった部分」だけを取り上げておしまい、という感じになる。本書はさらに「発展」の項を設けて、細かい枝分かれの変化、その先の実戦解説など、有段者でも満足できるようにきちんとフォローをしている。ここまで懇切丁寧に解説してもらえれば、その手順にも説得力が出ようというものだ。

手紙で質問をできる、などという新機能(昔、別の本であったらしいが)も話題だが、そんなことよりなによりこの研究量である。本書の魅力はそれに尽きる。
初心者から有段者県代表クラスまで、というヒキ文句は「下限」に関してはちょっと怪しいが、上が県代表クラスというのは間違いない。自分が有段者だと思ったら即買いだし、後々の棋力向上のことを考えても、5級くらいまでの人なら持っていて損はないだろう。それより下の人は、申し訳ないがもっと他にやることがあるはずだ。
「渾身の、一冊です」と著者が語るとおり、まさに毛根を削って……あ、いやいや、とにかく渾身の一冊だろう。

1,800円という値段は決して安くないが、内容を考えれば決して高くはない。できることなら皆さんも買ってほしい。売上がよければ、今後のシリーズ化も夢ではないと思うから。

作成日:2002.11.29 
振り飛車全般

藤井システム

藤井システム―升田幸三賞受賞戦法 (MYCOM将棋文庫)
著者 :藤井 猛
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2002-11-01
価格 :¥359(2021/10/12 22:41時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

最近、毎コミが絶版本の復刻に乗り出した。そのうちの一つである。
かつて振り飛車退治の決定版として猛威を振るった左美濃。その左美濃を完膚なきまでに打ち崩したのが、この藤井システムだった。
藤井システムといえば今では居飛車穴熊対策として知られているが、かつては左美濃対策として出てきたものである。あまりの破壊力に左美濃が絶滅してしまったため、現在では「左美濃対策」という言葉が冠されることはない。逆に言うと、それくらい凄いシステムなのである。藤井システムというものは。

本書は、その藤井システムvs左美濃について、詳細に解説したものである。
現在では左美濃側の対策も進んだために完璧に叩きのめすというわけにはいかないようだが、それでも、ベースとなっているこの藤井システムを知らなければ話にならない。ブームが過ぎてしまった今だからこそ、左美濃はアマチュアにとって盲点の戦法であり、また、振り飛車党はしっかりと押さえていなければならないポイントである。
東大将棋シリーズなどと違い、豊富な変化を解説していながらも混迷感はない。また、「システム」という名の通り指し手が体系化されているため、「あ、ここはさっきも出た変化だ」という感じで連携して理解することができる。定跡を作った著者本人も凄いが、それをまとめた編集者もうまいと思った。本自体がしっかりと作り込まれている感じがする。

文庫になって少し読みづらくはなったが、初段もあればラクに本書を読むことができるだろう。3段もあれば盤駒はなくてもいいと思う。
有段者は常識の変化と思うべきだ。旧式の変化で潰されたのでは情けない。

作成日:2002.11.12 
四間飛車

東大将棋ブックス 四間飛車道場 第7巻 相穴熊

四間飛車道場〈第7巻〉相穴熊 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2002-10T
価格 :¥1,320(2021/10/13 09:18時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

東大将棋シリーズの中でも、もっとも待ち望まれていたと思われる穴熊の本。しかも相穴熊である。あぁなんて下品な将棋(笑)。

というギャグはおいといて。
先手居飛車穴熊、後手四間穴熊という「限られた形」の解説である点は従来の東大将棋シリーズとまったく変わらない。振り飛車側が早めに△5四銀と上がり、△6二飛と攻める形が紹介されている。『これが最前線だ! 最新定跡完全ガイド』にも若干似たような形があったと記憶するが、なにしろ相穴熊の本なんでどれだけ出ていなかったことか。しかも内容は超高度(当たり前、という変化も多いんだけど)。

とりあえず穴熊党は絶対に買い。こんな下品な将棋は指さないという人は買う必要なし(笑)。

作成日:2002.10.12 
穴熊

攻めか受けか 次の一手問題集 寄せの判断力を養う

攻めか受けか―次の一手問題集 (終盤力養成講座)
著者 :勝浦 修
出版社:創元社
出版日:2002-10T
価格 :¥849(2021/10/12 22:39時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

いわゆる「次の一手」本である。終盤の局面を抜き出し、次の一手を問う。
ただし、スーパートリックのようなパズル的なものではない。実戦さながらの局面を元に(というか元ネタがプロの実戦なので当然なのだが)、この局面は攻めるべきか受けるべきかを考える。純粋に読みの力、大局観が問われる。

白砂はパラパラと読んだだけなのだが、意外と手ごわい。驚いた。
こういう問題だと「~にて必死で勝ち」ばかりなのだが、本書の場合は「ここで受けておいて手勝ち」とか、本当に実戦の勝負と同じ形勢判断、ヨミをしないと正解は出せない。華麗な手順ももちろん多いが、地味に上から押しつぶして勝ちとか、そういう解答も多いのだ。既存の次の一手集よりは骨があると思う。こういう本を創元社も出すようになったのか……と、ちょっとビックリした。
まえがきには「有段者はヒントを見ないで解けば云々」とあるが、ヒント自体があまり役に立たないので(笑)、かなり難しい問題が多い。ちょっと級位者では読み切れない(本書がではなくて、問題の正解手順が)と思う。
初段前後の人が、終盤力を鍛えるのにはもってこいの本だ。

買うか、と言われると「こういう本って繰り返し読めないからなぁ……」と躊躇してしまうのだが、立ち読みをして難しいと感じたら売り上げに貢献してあげて欲しい。こういう本って、意外と貴重だと思うから。

作成日:2002.10.01 
終盤・寄せ

新・対局日誌 第7集 七冠狂騒曲(上)

新・対局日誌〈第7集〉七冠狂騒曲(上)
著者 :河口 俊彦
出版社:河出書房新社
出版日:2002-09T
価格 :¥597(2021/10/12 22:40時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

もともと、この『対局日誌』という本はどう読んでいいのか判りにくい、という面がある。いや、判りにくいというと失礼な話で、要するにいろいろな読み方ができるということなのだが。
単純に考えれば、日々のプロ棋士の横顔、表に出ない素顔を見られるという本でもあるのだが、同時にプロ将棋のエッセンスをうまく散りばめているので、手筋集としても面白く読める。白砂がよくコラムで取り上げるのはそういう事情もあるからだが、というわけで、単純な分類分けができない珍しい棋書である。

今回の話は羽生が七冠を取れるかどうか……という辺りの話で、もう結末は判っているのだが(笑)谷川が最後にふんばって七冠は達成されなかった。しかし、その辺のことをいかにも著者らしい視点と語り口で綴っている。
これが嫌い、という人ももちろんいるだろうが、白砂はそんなに気にならない。年寄りの戯言部分は「はいはい」って感じで読み流している(笑)。

作成日:2002.09.30 
読みもの
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