消えた戦法の謎 あの流行形はどこに!?

作成日:2003.05.14
消えた戦法の謎 (MYCOM将棋文庫 10)
著者 :勝又 清和
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-05-01
価格 :¥600(2024/02/06 05:38時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

流行の戦形は常に移り変わる。今は中座飛車と藤井システムが将棋界を席巻しているが、かつては森下システムや塚田スペシャルが棋界の中心だった。
しかし、現在では誰も指していない。
あの戦形はどこに行った?

……というコンセプトで生まれた本書。はっきり言って「買い」である。
例えば、塚田スペシャルが消えた理由。詳しくは本書を読んでほしいが、谷川の△8二飛の自陣飛車の変化まで知っている人は少ないだろう。知らなければ、指されたときに負けてしまうのに、である。
消えた戦法は、やっぱりどこか欠陥があったのである。極端に言えば、プロの世界でつぶされた瞬間、その戦法は奇襲扱いになってしまうのだ。
奇襲戦法につぶされるのはバカらしい。ぜひとも本書を読み、戦法の移り変わりを知ってほしい。

どうでもいいことかもしれないが、本書に「風車」が登場する。その消えた理由は「新風車に移行したから(正確には「千日手がイヤになったから」なのだが(<おいおい……))、この部分、賭けてもいいが著者の勝又4段は伊藤7段に取材していない。また、別に最初から事情を知っていたわけでもない。
『風車の美学』を抜き書きしたのである。
読んでみると、なんの工夫もないさまがかえって笑える。確認してみてほしい。