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将棋の序盤でやってはいけない手

将棋の序盤でやってはいけない手
著者 :高橋 道雄
出版社:創元社
出版日:2018-03-13
価格 :¥1,430(2021/11/01 22:04時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

定跡の中から「悪手」「疑問手」を抜き出して、逆に「こう指しちゃダメですよ」と解説することで定跡の正しい手順を理解しよう、という本。
戦形もいろいろあり、総合定跡解説っぽくはある。

……という説明だけを聞けば面白そうだ、と思うかもしれませんけども。
ちょっとなぁ……。

まず、少し問題の難易度設定にバラつきがありすぎること。
相矢倉の解説をするのに▲7六歩△3四歩▲6八銀はダメですよ、というところから始めるのに、相矢倉でこう指すと陣形合戦で不利になりそのまま負けるよ、というのを同時に解説するのはちょっと無理があると思う。有段者から見ればどちらも悪手・疑問手だとは思うが、悪さのレベルが違う。

いっそのこと、戦形で分けるのではなく、難易度で分けるくらいの方がいいような気がする。例えばこんな感じで。
第一章は▲7六歩△3四歩▲6八銀レベルでいいと思う。とにかく駒組の途中で駒損や角の両成りなどをされるという「目に見える悪手」。
第二章は矢倉で▲7八金と備えずに▲4八銀としてしまうとか、角換わりで△4一玉と寄ると▲4五銀△同銀▲6三角とされるとか(形は察してくれ(笑))、5手から9手くらいまで読むと形勢を決定的に損ねることがわかる「読むとわかる悪手」。
第三章は、第二章からもう少し進んで、右四間に対して矢倉を組むと攻めつぶされるとか、かなり深く読むと形勢を決定的に損ねることがわかる「読むとわかる悪手」。
そして最後に、駒組が不自由になるなどの「不利になる疑問手」。例えばアマ有段者と級位者が戦ったらひっくり返されるくらいの、だけど悪い手とされているからその展開には飛び込まないようにしようね、という形など。

これくらい分けて話をしてくれれば理解もしやすいし、逆に「知っといた方がいいけどまだ早いから完全に覚えなくてもいいよ」という感じで、棋力によって使い分けることもできる。
正直、タイトルを見たときはこういうものを想像していたので、ハードルが高かった分なんか評価が低くなってしまった。悪い試みじゃないとは思うんだけど……。

作成日:2018.06.02 
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最新戦法の話

最新戦法の話 (最強将棋21)
著者 :勝又 清和
出版社:浅川書房
出版日:2007-04-01
価格 :¥1,650(2021/10/12 19:53時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

現在、プロの間でよく指されている戦法(情けないことにこの文章は2015年に書いているので、8年も前のことになるが)について、どうしてそういう形、手順になっていったのかを判りやすく解説している本。元々、『将棋世界』に連載されていた講座を再編集し、プラス3つの新章を加えている。

内容は、「矢倉」「一手損角換わり」「8五飛戦法」「藤井システム」「ゴキゲン中飛車」「石田流」「コーヤン流(三間飛車)」「相振り飛車」とバラエティに富んでいる。ほとんどは同時よく指されていたものだが、藤井システムのように「指されなくなった戦法」もある。振り飛車が多いのは、天敵居飛車穴熊対策としていろいろな振り飛車が試されていたからだろう。

とても高度な内容のはずなのだが、不思議と読みやすい。定跡書ではなく、解説書に近いからだろうか。「プロ間では指されなくなりました」という感じで変化はかなり飛ばして、本筋の変化、新手合戦の部分のみを紹介している。なので、本書を読んでそれらの戦法が指しこなせるというわけではなく、本書を読むと現在のプロの最先端がよくわかる、という本だ。
それでも、本筋の変化はキッチリと押さえているので、本書でざっくりと流れを押さえておいて、あとでそれぞれの戦法の定跡書を読めば、より深く理解が得られるだろう。本当に丁寧にまとめられている。

また、戦法そのものの解説だけではなく、プロが将棋をどう捉えているのかについてもよく触れられている。「指し手の優先順位を考え、後回しにできる手は後回しにする」「禁忌はなく、どんな手・形でもきちんと精査する」といった考え方は、実際に将棋を指す上でもとても役に立つだろう。また本書では、プロ棋士達がそういった考えの元で、現実に数々の戦法を進化させていった様が、ドキュメンタリーのように語られる。
そういえば、本書で特徴的なのは、実際にプロ棋士にインタビューをしているという点だろう。まさにその道のプロに話を聞き、戦法の勘所や新手を思いついた背景など、貴重な話がポンポンと出てくる。プロ棋士間で少し考え方が違っている点なども合わせて楽しめた。

あとがきには、こんなことが書かれている。

最近のニュースでは説明責任Accountabilityという言葉がよく使われます。私たち棋士はファンに対する「説明責任」をきちんと果たしているだろうかと自問したとき、僕は自信がもてません。特にタイトル戦などトッププロの将棋はひとめですべて理解できるようなものではなく、何度も繰り返し鑑賞することで味わいも深くなります。本書を読み終えたみなさんに「なるほど、そういうことだったのか」「将棋を見る目がかわったよ」と思っていただけるとしたら、ほんの少しだけ説明責任を果たせたということで、これに優る喜びはありません。

いや、自信を持っていいと思いますよ。少なくとも、本書のような良書が世に出ているということは評価したい。
7年も後に評価しているから書けることではあるのだが(笑)、元々の連載は現在でも形を変えてまだ『将棋世界』誌で続いている。また、本書をもっともっと判りやすくした、『将棋・序盤完全ガイド 振り飛車編』のような「観るファン」向けの棋書も出ている。そういう流れがあるのは、本書の成功があってのことだと思いたい。
棋力を問わず、初級者から有段者まで、全てのファンに勧められる良書だと思う。

作成日:2015.01.18 
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最新戦法 マル秘定跡ファイル

マイナビ将棋BOOKS 最新戦法 マル秘定跡ファイル
著者 :村田 顕弘
出版社:マイナビ
出版日:2012-02-23
価格 :¥1,386(2021/10/12 19:53時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

なんというか、普通の(?)定跡解説書とも違うし、かといって変態戦法紹介とも違う、ちょっと珍しい本。

内容は

  • 丸山ワクチン
  • 四間飛車穴熊vs銀冠
  • 石田流vs居飛車穴熊
  • 一手損角換わりvs早繰り銀
  • 横歩取り△5二玉型に対する先手の対策
  • ▲7六歩△3四歩▲6六歩の相振り
  • ▲7六歩△3二飛の相振り

基本的には居飛車党から見た本で、対抗系の場合には居飛車が勝ちになる。ただ、普通の定跡書と違うのは、どちらかというと、というか完全に「これ一本」の解説書なのである。
例えばよくある変態戦法本だと、例えば▲7六歩△3四歩に▲2二角成△同銀▲7七桂として後はどうやっても先手必勝とか(<をい)、そういう「どんな将棋でも自分の土俵に引きずり込んで勝つ」、という作りになる。本書はどちらかというと迎撃型の戦法なので、そこがちょっと違う。

それぞれの戦法は面白いし、自分のものにできれば不毛な(と敢えて言います。プロの方には頑張ってそれを極めてほしいですが)最新定跡の嵐から開放されるので、初段くらいの人は楽しんで将棋が指せるようになると思う。ただ、そうなるには実戦で鍛えに鍛える必要があるのかな、とも思う。
3段くらいまでの人は、一度読んでみるのはいいのではないだろうか。

作成日:2012.02.29 
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最前線物語2

最前線物語〈2〉 (最強将棋21)
著者 :深浦 康市
出版社:浅川書房
出版日:2006-08-01
価格 :¥140(2021/10/12 19:53時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『これが最前線だ!』『最前線物語』に続く、定跡の最前線を追うシリーズ。

前著『最前線物語』はほとんどが藤井システム&8五飛戦法だったが、今回はいろんな戦法が登場している。
振り飛車系ではゴキゲン中飛車、三間飛車(含早石田)、相振り飛車。居飛車系では一手損角換わり。この辺りはタイトル戦でも登場している戦形だけに、今回しっかりと解説してくれたのは嬉しく感じる。

ただ、残念なことに2点ほど問題があって……。

一つは、タイトル戦にも登場した「メジャーな戦法」を解説しているため、どれもこれも見たような気がする変化ばかりであるということ。もちろん、本書は「最前線のまとめ」なのだからそれで問題ないのだが、前2著に比べると新味感がやや薄く感じた。まぁ、特に前著は狭く深くだったから、それで余計にそう感じてしまうのだと思う。

二つ目は、実は『将棋世界』の勝又講座と結構内容がかぶってしまっている点。一手損角換わり、ゴキゲン中飛車、藤井システム、相振りと、どれも講座で扱った内容なのだ。しかも相振りなんかは講座の方が詳しかったりするし。これも本書が悪いわけではないんだけどね。

以上のようなことがあったので、白砂が読んだ感触としては「そんなに目新しくはない」という感じ。
上記の欠点(?)も、本としてまとめてあるという功績は大きいし、調べる方もラクだからあっても問題はない。白砂の場合『将棋世界』は図書館に寄付してしまっているので特にあると嬉しい。

8/21に八重洲ブックセンターに買いに行ったら、フラゲ日にも関わらず既に在庫なし。平積みの本棚にポッカリそこだけ空間ができていた。店員に訊いたところ、18冊あった在庫がすべて売れたらしい(あそこはPC管理なので、入荷と販売分がすぐわかる)。「こないだ仕入れたばっかりなんですけど、いや、こんなに売れてたんですね」という店員の言葉は、本書の価値を十二分に物語っていると思う。

手元に置いて損はない一冊だろう。

作成日:2006.09.02 
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なんでも棒銀

なんでも棒銀 (将棋必勝シリーズ)
著者 :森下 卓
出版社:創元社
出版日:2004-04-01
価格 :¥1,430(2021/10/12 22:32時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『なんでも中飛車』に続く入門本。本当に初歩的なところから、少しだけ高度な「なんちゃって棒銀(▲3六銀型)」まで、いろいろと種類が揃っている。

いきなり▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△8七歩の解説が始まった時はどうなることかと思ったが、それくらい丁寧に、初級者向けに解説されている。
具体的な内容としては、上記の初心者向け解説と、その発展となるなんちゃって棒銀、筋違い角棒銀、対三間飛車、振り飛車穴熊、高田流端棒銀と、かなりいろいろ入っている。角換わりは省かれているが、あれは難しいのでなくて正解だと思う。

ところどころに「将棋に必勝法はないので、互角の分かれは仕方がない」と書かれていたのが、森下らしい誠実な感じが出ていて少し笑った。
初級者、中級者向けの良書と思う。

作成日:2004.04.20 
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