振り飛車全般

堅陣で勝つ!飯島流引き角戦法 Final

堅陣で勝つ!飯島流引き角戦法 Final (マイナビ将棋BOOKS)
著者 :飯島栄治
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2018-07-11
価格 :¥1,694(2024/02/06 05:29時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

これまでにも発刊されていた『飯島流引き角戦法』の最終巻(?)。角道を開けずに駒組をする対振り飛車戦法で、これだけ聞くと鳥刺しと同じだが、平美濃に固く囲って攻めるという発想を加えたところが新しい。元々は対藤井システムから生まれたものだが、今は藤井システムはねぇ……orz。

内容は後手向かい飛車と後手三間飛車、あと駒落ち。いや、それはさすがにさぁ……。
前半はまぁ面白く読めた。これは別の平美濃を解説した棋書でもあったが▲7六角と打つ筋とか、角道を開けない形を活かした面白い手だと思う。▲3三歩と垂れ歩で攻めるという攻め筋も従来の急戦形ではあまり見ない手筋で(どういう局面か頭に出てこないでしょ?)、これは通常の急戦形に逆輸入できないもんかなと思ったりもした。

角交換振り飛車やゴキゲン中飛車などの「攻める振り飛車」が台頭している今、「角道が開いてなきゃ急戦で攻めらんないでしょ」という発想は面白いと思う。なのでよりいっそう、なんで駒落ちを一緒に載せた……という思いが強い。前著が売れなくなるのはわからないではないが、改めて総集編をやるとか、前著から定跡が進んだ部分を載せるとか、やりようはいろいろあったと思うのだ。
なんか本の作り方的にどうかなぁ……と感じてしまった。

作成日:2018.07.26 
振り飛車全般 駒落ち

振り飛車の核心 ”さばき”の基本手筋

振り飛車の核心 “さばき"の基本手筋 (マイナビ将棋BOOKS)
著者 :藤倉 勇樹
出版社:マイナビ出版
出版日:2018-04-23
価格 :¥1,694(2024/02/06 08:41時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

振り飛車側から見た対抗形の定跡について、次の一手で勉強する本。三択・ヒントつきというどちらかというと級位者向けに作られている。

問題は四間飛車がほとんどで、一応三間飛車・中飛車・向かい飛車もある。なぜか4→3戦法も入っているのがいいのか悪いのか。あと、中盤の次の一手というのも少し入ってたかな。
特に四間飛車編では居飛車側の戦法がほとんど急戦で、▲8五歩△同銀▲8八飛とか、▲6四歩△7七角成▲6五銀△7五飛▲7七桂とか、居飛車穴熊黎明期を知っている白砂くらいの世代には懐かしい手順が紹介されたりしている。懐かしいのは結構だがしかしどれくらい需要があるのかが少し疑問で、同時にそんな風に将棋が変わってしまったことにちょっと残念に思ったりもしてしまった。

定跡の基本的な部分の、振り飛車がカッコイイ部分を抜き出して紹介してくれているので、定跡の勉強というよりは振り飛車の「布教用」かなぁ……などとも考えてしまった。とにかくこういう手順・形を紹介して、捌きのカッコよさを吸収してもらおうというのであれば、一定の効果はあると思う。鈴木大介定跡というか(笑)。ただ、やっぱり振り飛車の醍醐味ってこれなんだよなぁ。
初段くらいまでにはこの本の変化はすべて知っているくらいでないといけないと思うので(もしくは「こんな将棋にはならないから必要ない」か……orz)、それ以上の人は勉強用としては本書は必要ないと思う。ただ、「こんな将棋にはふだんはならないけど」というエクスキューズをつけないといけないのは少し悲しいけど、こういうのが振り飛車なんだよ、面白いでしょ! と級位者の人たちに知ってほしくはなる。

作成日:2018.06.02 
振り飛車全般 次の一手

菅井ノート 後手編

菅井ノート 後手編 (マイナビ将棋BOOKS)
著者 :菅井 竜也
出版社:マイナビ
出版日:2012-09-27
価格 :¥1,193(2024/02/07 03:27時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

NHKの冒頭インタビューを観て以来、というかその際に聞き手の矢内が「だいじょうぶ、すぐ終わるから」と励ましたという逸話を聞いて以来、夫婦でファンをやっている菅井(<どういう説明だ(笑))の著書。振り飛車党でもあり、超速対策として自らの名を冠された「菅井流」を生み出した開発者でもある。

内容はほぼvs超速。

菅井流
▲3七銀に△4四歩と突く形。続けて▲4六銀なら△4五歩と引っ張り込んで攻めよう、という大胆な構想だ。▲7八銀型の対策にも触れている
△3二金型
いきなり後手が5筋を交換する形に対して、先手が▲5五歩とフタをする手と、2枚の銀で中央を制する形。また、少しスピードは落ちるが、▲5八金右まで囲う形や、端歩を突き合う形にも触れている。
△3二銀型
△3二金型と同様に5筋の歩を交換し、先手が2枚の銀で中央を制する形。後手の形の違いが問題となる。
銀対抗型
▲4六銀に△4四銀と受け止める指し方。穴熊の戦いになる。
一直線穴熊
前章をもっと先鋭的にして、超速を捨ててでもとにかく穴熊に囲う、という指し方。▲8八銀と上がらないことで、角頭を攻められた際に▲8八角と引くことができる、というう工夫により注目された。
その他
343戦法の改良形、少し古い5筋からの攻め筋など。

現在(2015年)ではあまり見られなくなったゴキゲン中飛車だが、この当時(2012年頃)は、ゴキゲン中飛車に対して超速という特効薬ができたと、振り飛車党も居飛車党もこぞってこの戦形を指していた気がする。

『島ノート』ほどではないが、上記で説明した通り、それぞれの形について詳細に解説されている。図面の挟み方や文字フォント、行間に至るまで、とても丁寧に仕上げられた本である。
繰り返しになるが現在ではやや下火になっている感がある戦法なので、今これを読んでゴキゲン中飛車党になる! という人はあまりいないだろうが、飛角が乱舞する振り飛車らしい振り飛車なので、指してみると楽しめると思う。振り飛車の勘所をこの戦法でつかんで、他の戦法、例えば角交換四間飛車などに移行すると、その感覚の同じところと違うところが判ってより一層指し手に深みが出るだろう。
そういう意味では、内容は有段者向けの本なのだが、むしろ初段前後くらいの居飛車党にお勧めしたい。居飛車らしい緻密さだけではなく、振り飛車流の「いい意味でのおおざっぱさ」がきっと掴めると思う。

作成日:2015.02.12 
振り飛車全般

振り飛車党必読! 現代振り飛車はこう指せ!

現代振り飛車はこう指せ! (マイナビ将棋BOOKS)
著者 :佐々木 慎
出版社:マイナビ
出版日:2015-01-15
価格 :¥2,858(2024/02/07 21:09時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

第72期順位戦C級1組(平成25年度)最終戦、著者は残念ながら負けてしまい8勝2敗で終了した。ところが、昇級を争っていた中村(太)もやはり負けて同星の8-2となり、順位の差で昇級という劇的な結果となった。本書は、その順位戦の自戦解説(14567810局目)が中心となっている。
その他、ページ後半半分くらいで、角交換四間飛車と左穴熊、先手中飛車の3つについて軽い解説がある。

著者が振り飛車党であるので、タイトルがこうなっていたとしてもまぁ詐欺だとまでは言わないが、手に取って中を読むまではこれが自戦記集だとは気づきにくい。というか気づかなかったorz。後ろに講座があるとはいえ、こういう形式の本はどうなんだろうという気がする。
もっとも、解説している3つの戦形はそれぞれ力戦形でもあり、実戦譜で解説を補う風になってはいたので、まぁ意味があったのかなとは思う。
ただ、それならばそれでもう少しリンクを強くしてほしかった。講座と実戦譜の掲載順を逆にして、解説の中で「ここでこう指された場合にはこれで先手が有利になります。詳細は○ページの自戦記を……」くらい書いておくだけでイメージがだいぶ違うはずだ(なんかそれはそれでやっつけ仕事っぽい言い方だが(笑))。

定跡解説の方は、3つの戦形共にそんなに深い解説ではなく、ちょっと都合がいい手順も多い気がした。例えば、角交換四間飛車で頻出する△3五歩▲同歩△同銀に▲6六角△4四角▲同角△同銀という手順が載っていない。その代わり、判りやすい手順が続くので、戦法の「勝ち方」は判るからそれはそれでいいと思う。初段くらいまでの人は一度読んでみるといいだろう。
ただ、今はこの3つの戦法については良書も出ているので、本書をあえて選んで読むべきかというとちょっと……と思ってしまう。自戦記集に、ちょっぴりお得なおまけつき、程度の認識でいるのが一番平和なんだろうか。

正直に告白すると、買う前にパラパラ……とめくって自戦記集であることに気づいて買うのをやめてしまったのであまり強いことは言えないのだが、繰り返しになるがちょっとこういう形式の本というのはどうなんだろう、と思った。まぁ、白砂が棋譜集をあまり評価していないからよりそう思ってしまうのだが、やっぱり棋譜集というのは数は売れないんだろうなぁ。

作成日:2015.01.19 
振り飛車全般 実戦譜集

仕掛け大全 振り飛車編

仕掛け大全 振り飛車編 (MYCOM将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2006-12-01
価格 :¥200(2024/02/06 04:18時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『仕掛け大全 四間飛車編』に続く、仕掛け周辺の解説本。定跡を集めて、手の解説というよりは仕掛ける「形」の紹介に徹している。

今回は振り飛車編ということで、前著の四間飛車以外の、三間飛車、中飛車、向かい飛車、相振り飛車を解説している。また、冒頭に「最新の仕掛け」として、発売当時の最新形を紹介している。個人的には、ここでなぜゴキゲン中飛車を取り上げたのかが判らない。本項を「最新の四間飛車の仕掛け」として、ゴキゲン中飛車は普通に中飛車の項に組み込んだ方がよかったと思うのだが。その方が、シリーズが続いている感も出せたし(笑)。いや、最新定跡を取り上げてるんでそれはこっちにまとめました的な事なんだろうことは判るのだが、定跡の新旧よりも戦法ごとに取りまとめた方が、「ガイトブック的な定跡紹介本」という本書のコンセプトには合っていると思うのだ。

個々の内容についても、三間飛車、中飛車、向かい飛車、相振り飛車と4つに増えていることから、いっそう薄くなってしまっている。三間飛車(石田流)ブームはもう少し後だった(と思う)から仕方がないとしても、ゴキゲン中飛車や相振り飛車は結構はやっていたはずで、変化や戦形も多彩だったと思われる。であれば、読者としてはもう少し分冊するなりしてボリュームを増やしてほしかった。いろいろ難しいであろうことはよく判るので無理を言っているというのは重々承知なのだが、販売数やコスト、売上といった売り手側の「大人の事情」は脇に置いといて、読者としてはそう思ってしまう。
実際に良書は売れているわけで、ましてや総合定跡書的な内容で出版するのであれば、どっしりと腰を落ち着けた内容にしてもよかったのでは……と思う。
まぁ、コンセプト的に白砂は手元に置かないと思うので、強く言えないんだけど……。

作成日:2014.12.30 
振り飛車全般 仕掛け
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