居飛車

矢倉棒銀戦法

勝てる矢倉戦法 (将棋最強ブックス)
著者 :高橋 道雄
出版社:創元社
出版日:2012-05-11
価格 :¥1,430(2022/05/02 17:37時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

創元社で同じ著者が出している『最新矢倉戦法』の続編的内容の本。というより、『勝てる』シリーズの矢倉編、と言った方がいいのかもしれない。

内容は、

  • 矢倉棒銀
  • 3筋交換型
  • 4六銀戦法
  • スズメ刺し

の4つ。
とはいえ、全体的にメインストリームでない形を扱っている。
例えば、第3章の4六銀型では、後手の陣形は「△5三銀△4二角型」である。現代ではとにかく先に△6四角と牽制して、そのあと銀の動きを決めるのが一般的だろう。
悪い言い方をしてしまえば「後手に都合のいい悪手を指させている解説」なのだが、しかし良い言い方をすれば「最新定跡通りに指してこない級位者向けに、最新定跡から外れた形を解説する」本ということになる。創元社刊ということを考慮するなら、ここは好意的に考えてあげるのが優しさというものだろう。

そういうわけで、最新定跡が飛び交う有段者の役には立たないかもしれないが、緩手に対してつぶし方を知っておくのも悪くはないと思う。一度は読んでみるのもいいかもしれない。

作成日:2012.07.30 
矢倉

横歩取り必勝ガイド

マイナビ将棋BOOKS 横歩取り必勝ガイド
著者 :稲葉 陽
出版社:マイナビ
出版日:2012-02-22
価格 :¥1,540(2022/05/03 17:20時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「ガイド」と聞くと、もう中年オヤヂの白砂は「黄色本」を連想してしまうのだが(笑)、まさにそんな感じの横歩取り8五飛戦法の解説書。
内容は

先手中住まい
8五飛戦法に対して▲5八玉とする、かなりクラシックな形。それこそ8五飛戦法の黎明期からある形である。ただし、古き皮にもいろいろな新酒が注がれているので、古くて新しい形が楽しめる。
新山崎流
居玉のまま▲4八銀▲3七桂とする新山崎流。大げさではなく8五飛戦法が絶滅の危機に瀕するほどの実に論理的に構築された形なのだが、今では8五飛側が様々な対策を打ち出している。そのあたりを中心に。
△5二玉型
2012.2現在で最もホットな8五飛戦法の形。まぁ言ってしまえば「目先を変えた手」ではあるのだが、それゆえに微妙な形で△4一玉型では成立しない指し手が成立したりと、おそらくプロ棋士自身が楽しんで鉱脈を探している形である。そういう最新系なので、書き換わる可能性は十二分にある。
△8四飛型
8五飛戦法が指されたことで、旧式(?)の8四飛空中戦(内藤棋聖の十八番であった。ああ懐かしい。というか白砂もさすがにリアルタイムでは知らない(笑))がもう一度クローズアップされた。「8五飛戦法で培った手筋がこっちにも使えんじゃね?」というわけである。なので、それはそれでそこそこ指されている形である。

といったところ。

また、最後に「横歩取り詰将棋」として、8五飛戦法の囲いである中原囲いを詰ます実戦詰将棋が8題載っている。
この戦形を指しているんであれば、詰将棋アレルギーの人もぜひ「見て」ほしい。解答を見てしまっても構わない。知っているのと知らないのでは大違いである。
広い層に薦められる、とても「カタく」まとまっている良書だと思う。

作成日:2012.02.29 
横歩取り

勝てる棒銀戦法

勝てる棒銀戦法 (将棋最強ブックス)
著者 :照市, 青野
出版社:創元社
出版日:2011-11-21
価格 :¥1,430(2022/05/02 16:20時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

以前、『最新 棒銀戦法』という本を書いていた著者がまたまた書いた棒銀本。「急戦の青野」と言うだけあって、なかなか面白く読めた。

内容は、すべて棒銀(当たり前か(笑))。

相掛かり棒銀
▲3六銀戦法、と言った方が通りがいいんだろうか。創元社の本らしく、相手が初級者の場合はこう攻める、というところから解説して、△8四飛~△3三角と正確に受けられた場合までを解説している。端桂を捌く筋というのはプロの実戦でもあったと思うのだが、そう言われてみれば解説した棋書はあまり見なかった気がする。
矢倉棒銀
早囲いにして、さらに▲3八銀▲2七銀から一直線に棒銀にしていく形。
後手であれば、『超過激!トラトラ新戦法』に出てたムリヤリ矢倉がそうなのかな。先手が早囲いにしているのにのんきに△4四歩△4三金右などと指して速攻をかけてこない「都合のいい変化」ではあるのだが、逆に今頃に早囲い、なんていうのはレトロとは言えなくもないので(まぁ藤井流があるか)解説書もそんなになく、中級者くらいまでであれば本書の通りにハマってくれるかもしれない。▲3六歩▲3七銀なんてしないで直球、というのは覚えやすくていいと思う。
vs四間飛車
角道を止めるクラシックな四間飛車に対しての棒銀。▲5七銀▲6八金直の2手を省略していきなり攻める形である。『四間飛車の急所 3 急戦大全 下』には載っている形ではあるのだが、▲4六歩まで省略して素早く攻めるというのが主張である。定跡外しとしては面白いと思うのだが、残念なことにその後の手順がかなり「創作的」でいただけない。藤井本に合流できる(結局棒銀側は▲4六歩と突くので、理屈的にはそのときに△1二香とすれば藤井本と同じ形になる)のにしなかったりとか、△6四角と出て▲5七銀と上がらせて△5三角と引くとか、ある程度対象棋力を下げるためには仕方がなかったのだと思うが、もう少しなんとかならなかったのだろうか。前述の『最新 棒銀戦法』は結構公平に書かれていたと思うのだが。
vs振り飛車穴熊
やはり▲6八銀型のまま攻める棒銀。最近の本には載っていないが、『定跡外伝』で同じ形が紹介されていた。あと、△3五銀の両取りの変化(といってどれくらいの人がわかるのか(笑))のとき、▲1六飛△4四銀▲1五飛に△3五銀という手があるのだが触れられていなかった。『定跡外伝』では▲4三角があるから無効、となっていたのだが、△3五銀▲4三角△7一金▲3二角成△同金と飛角交換しても、飛車の飛車がかなり不自由なので穴熊も指せる気がする。まぁこの変化を載せろとは言わないが、この変化に触れずに△1四歩▲1六飛△3五銀と「わざと手順前後をして」▲5五歩として逃げられるから棒銀良し、というのはちょっとウソくさい。

……と、随分と文句ばかり垂れたが、基本的に「本筋と少し違う指し方をして相手を惑わしハメる」という本なので、相手が惑わされた場合(=正解手ではない指し手を指した場合)の手順を載せるというのは全く問題がない。上記のツッコミは「ハメ手に対する受け方も書いといてくれると親切なのに……」というだけで、減点と言うほど酷いことだというわけではない。
むしろ、「本筋の有段者向け定跡書」が増えた中、まだこんなヒッカケ手順があったのか──いい意味でね──というのに驚いた。
まさに「勝てる」戦法で、なかなか面白く読めた。有段者でも一度読んでおくといいと思う。ヘンな話だが、定跡を微妙にずらすというのは将棋ソフトでも対応が難しい部分なので、24のソフト指し相手にも効くかもしれないね(笑)。

作成日:2012.02.19 
四間飛車 その他の居飛車

対矢倉 左美濃作戦

マイナビ将棋BOOKS 対矢倉 左美濃作戦
著者 :中田 宏樹
出版社:マイナビ
出版日:2012-01-25
価格 :¥453(2022/05/02 16:44時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

相矢倉の後手番の作戦として、先手が飛車先不突き矢倉で来るのだから△3三銀と受ける必要はなく、だったら△3三銀と上がらずに△3二銀のまんまにしておけばいんじゃない? という考えから、左美濃の形にする、というのがある。何年か前、佐藤康光が「ボクは優秀だと思うんですが誰もマネしてくれなくて」とグチっていた作戦である(笑)。
リクツから言えば間違っていないし、実際、矢倉であれば△4二銀△3三銀△5二金△4三金△3二金と5手必要なところを△3二銀△5二金△4三金の3手で済ませて(玉移動は同じ2二までということでカウントせず)、場合によっては後手にもかかわらず先攻しよう、という意欲的な作戦だとは思う。

大まかに言うと、早めに△6四角と出た手に対して▲3七銀と受けるか▲3七桂と受けるかで、それによって先手側の陣形が▲4六銀▲3七桂になったりスズメ刺し(っぽい形)になったり森下システム風になったりする。これらに対してそれぞれの対策が解説されている。また、左美濃を咎める意味で逆に先手から早めに▲2五歩と突いてくる形も解説してある。
しかし、それぞれの内容は相当にボリュームがある。本当に戦法として成立させるためにはこれくらいの対策は立てておかなければいけないのだろうが、それにしても変化が多い。

また、そもそも章立てがあまり多くないので、それも読みづらい元になっていると思う。なにしろ「左美濃編」と「▲2五歩早突き編」だけなのだ。もっと細かく章立てをして、それぞれの基本図から始めた方が、より体系的に理解できるはずだ。編集も止めろよ……。

内容はとても高度だし、定跡形の矢倉に疲れた後手番の秘策として勉強しておくのは悪くない。なので、有段者は一度見ておくといいだろう。上記の通り盤駒がほぼ必須なので、2段くらいではとても読みこなせないと思う。
せっかくの内容なのにもったいないなぁ……と思った一冊。

作成日:2012.02.04 
矢倉

超急戦横歩取り

超急戦横歩取り (将棋最強ブックス)
著者 :高橋 道雄
出版社:創元社
出版日:2011-08-19
価格 :¥947(2022/05/03 02:08時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

横歩取りというか横歩取らせというか……後手番から見た横歩取りの本。すべて先後が逆になっている。なので、▲6五角戦法は△4五角戦法だし▲7七桂戦法は△3三桂戦法のことである。目次を見て「なんでここで7七桂戦法が?」と思ってしまったのはナイショだ(笑)。

内容は、横歩取りの基本を押さえる、というより、メインストリームではないハメ手定跡っぽいものを抜き出して解説している感じである。内容も『定跡外伝2』とかぶっている部分も多い。
ただ、創元社らしい「図面大きくいっぱい」なので、横歩取り初心者でも面白く読めると思う。相横歩△2七角戦法などもあるので、3段くらいまででも十分に楽しめるだろう。

一方、△3三桂戦法などについては、奇襲一発でハイおしまい、みたいになっている。△3三桂戦法は相振りっぽくなる地味ーな戦法でもあるので、本書だけで指しこなすのは難しいかもしれない。

個人的には、相横歩の▲4六角の変化を懐かしく読んだ。
白砂が大学生の頃だったと思うが、この手は青野が指した新手で、この頃『近代将棋』誌の観戦記は盛り上がっていたものだ。普通▲8二歩△同銀▲5五角と打つところを、▲4六角△8二角▲同角成△同銀▲5五角とすれば1歩省略できる。メカニズムを一言で説明するとそういうことなのだが、この論理的な構造はすごいと思った。で、じゃあ後手は△8二角以外に応手がないのか、誌上ではいろんな変化が飛び交っていた。確か「横歩取りは生きている」の連載もあったように記憶してるんだけどどうだったかなぁ……。白砂が定跡ヲタになったのはこの体験もあったのかもしれない。

横歩取りの「面白さ」をうまく抜き出した、創元社の仕事らしい良書と思う。

作成日:2011.09.03 
横歩取り
広告