仕掛け

仕掛け大全 居飛車編

仕掛け大全 居飛車編 (マイコミ将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2007-03-01
価格 :¥1,154(2024/08/31 16:52時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『仕掛け大全 四間飛車編』『仕掛け大全 振り飛車編』に続く、仕掛け周辺の解説本。これで完結とのこと。

相居飛車ということで、矢倉・横歩取り・角換わり・相掛かりと、一通りの戦形は解説されている。
急戦矢倉や雁木、塚田スペシャルのような、誰が指してるんだという形も解説されていて、ガイドブックだから必要なんだろうなという思いと、限られた紙数なんだからもっと他に入れるべき形はあるんじゃないかという思いとが複雑に交錯してしまった(笑)。

シリーズ全般に言えることなのだが、やっぱりそもそものコンセプトがどうだったんだろうという気がする。
例えば、いろんな形・定跡をガイドブック的に紹介するというにしては、検索機能がとてもしょぼい。目次が検索の役に立たないのだ。なので、結局、大づかみでページを開いて、あとは1ページずつ見ていくしかない。で、見ていくと気づくのだが、やはり個々の変化が圧倒的に少ないため、ヒット数が少ない。正確に言えば、初期図面と指し手を照会し、ついでに解説されている変化まで対象にすればヒット率は上がるのだろうが、それを紙媒体で行うというのはとても苦痛である。
……ということで、本気で検索したいなら、結局『激指定跡道場』を買いなさい、という話になる(笑)←『激指定跡道場』には全ページ載っている。
てことはさぁ、このシリーズ3書って、ソフトに入れる局面を厳選するための抽出過程でできた指し手を集めて、それを書籍化しただけ? とか、いらぬ邪推をしてしまう。邪推だと思っていても、そう考えるとなんとなくいろんなことが腑に落ちるのだ。個々の指し手の解説が少ないとか(ソフトで1手ごとに表示される解説文はそんなに多くできないだろう)、ガイドブックといいながら検索しづらい目次とか(目がソフトの方を向いていて、紙媒体にまで目が回らなかった?)。

あくまで個人の感想なのでそこは押さえておいてほしいのだが、妄想はさておいても本書の作りがこういう意味で甘いのはきちんと指摘しておきたい。例えば目次をもう少し充実させるだけでも検索力は上がるだろう。そういう努力をもっとしてほしかった。

作成日:2014.12.30 
居飛車全般 仕掛け

仕掛け大全 振り飛車編

仕掛け大全 振り飛車編 (MYCOM将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2006-12-01
価格 :¥1,980(2024/08/31 16:52時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『仕掛け大全 四間飛車編』に続く、仕掛け周辺の解説本。定跡を集めて、手の解説というよりは仕掛ける「形」の紹介に徹している。

今回は振り飛車編ということで、前著の四間飛車以外の、三間飛車、中飛車、向かい飛車、相振り飛車を解説している。また、冒頭に「最新の仕掛け」として、発売当時の最新形を紹介している。個人的には、ここでなぜゴキゲン中飛車を取り上げたのかが判らない。本項を「最新の四間飛車の仕掛け」として、ゴキゲン中飛車は普通に中飛車の項に組み込んだ方がよかったと思うのだが。その方が、シリーズが続いている感も出せたし(笑)。いや、最新定跡を取り上げてるんでそれはこっちにまとめました的な事なんだろうことは判るのだが、定跡の新旧よりも戦法ごとに取りまとめた方が、「ガイトブック的な定跡紹介本」という本書のコンセプトには合っていると思うのだ。

個々の内容についても、三間飛車、中飛車、向かい飛車、相振り飛車と4つに増えていることから、いっそう薄くなってしまっている。三間飛車(石田流)ブームはもう少し後だった(と思う)から仕方がないとしても、ゴキゲン中飛車や相振り飛車は結構はやっていたはずで、変化や戦形も多彩だったと思われる。であれば、読者としてはもう少し分冊するなりしてボリュームを増やしてほしかった。いろいろ難しいであろうことはよく判るので無理を言っているというのは重々承知なのだが、販売数やコスト、売上といった売り手側の「大人の事情」は脇に置いといて、読者としてはそう思ってしまう。
実際に良書は売れているわけで、ましてや総合定跡書的な内容で出版するのであれば、どっしりと腰を落ち着けた内容にしてもよかったのでは……と思う。
まぁ、コンセプト的に白砂は手元に置かないと思うので、強く言えないんだけど……。

作成日:2014.12.30 
振り飛車全般 仕掛け

仕掛け大全 四間飛車編

仕掛け大全 四間飛車編 (MYCOM将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2006-09-01
価格 :¥917(2024/08/31 16:52時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

四間飛車vs居飛車の各戦形について、タイトル通り「仕掛け周辺」の指し手について解説した本。
……というと判りにくいだろうからハッキリ言うと、定跡の駒がぶつかった瞬間からの指し手を集めた本である。
定跡の紹介であるので、「実戦的な」仕掛けであるとか、少しB級チックなちょっかいの出し方とか、そういうものを解説しているわけではない。タイトルを見て少しだけ期待したのだが、著者を見て諦めた(笑)。

内容は、5七銀左戦法の急戦から始まって、4六銀戦法や右四間飛車、烏刺し戦法といった急戦、居飛車穴熊、左美濃、玉頭位取り、ミレニアムといった持久戦、立石流や振り飛車穴熊まで、本当にいろいろな戦法が登場する。これらの戦法について、仕掛けの周辺を、見開き2ページにまとめてガイドブック的に紹介している。

元々のコンセプトが仕掛けの手順を「見開きで紹介」するということなのだろうからしょうがないのだろうが、いきなり仕掛けの場面から始まるので、局面に必然性が感じられない。通常の定跡書だと、こんな感じでお互いに最善手を指してはいこの基本図、というところからのスタートだが、それがないのだ。なので、とても役に立つ本だと思うのだが、通しで読むのが意外とキツい。あくまでも「観光案内」なので。
例えば、『るるぶ箱根』を最初のページから全ページ読む、ということを想像してもらいたい。行く予定もない場所の紹介を丹念に読むのは意外と面倒くさいものだ。……いや、これはこれで読んでて面白いから例としては不適切だったか?(笑)

紹介している定跡そのものは(当時の……ごめんなさい、すぐに紹介を書けばよかった)最新のものなので、手の意味の説明がとても少ない解説書と考えれば、かなりコストパフォーマンスが高い本だと言える。『東大将棋』シリーズの解説をもっと淡泊にしてギュッと押し込んだ感じだ。そう考えればかなり重宝する1冊にもなりうる。
定跡を勉強するため、頻繁に「あれ、この局面って……」と定跡書をひっくり返すのであれば、手元に本書があればたいていは事足りるだろう。
そういう人であれば買い。そうでない人は、ちょっと本書で勉強というのは辛いと思う。

作成日:2014.12.30 
四間飛車 仕掛け

羽生の法則 Volume 6 仕掛け

羽生の法則 Volume6
著者 :羽生 善治
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2007-03-01
価格 :¥37(2024/08/31 16:50時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

法則シリーズのラストは「仕掛け」。

「まえがき」では、さまざまな戦形の攻め方の基本を紹介する、というようなことが書いてある。ラインナップを見ると確かにその通りで、内容はこんな感じになっている。

  • 矢倉
    • 先手が▲4六角▲3六銀▲3七桂の理想形を作れた場合
    • ▲3七銀戦法の基本。▲5八飛で一手得の形
    • 脇システム
  • 振り飛車
    • 石田流角交換型
    • メリケン向かい飛車
    • 先手藤井システム
    • 後手三間飛車▲3七桂急戦
    • 後手四間飛車①▲4五歩早仕掛け
    • 後手四間飛車②▲左4六銀
    • 後手四間飛車③▲3八飛(▲6八金直が入ると鷺宮定跡)
  • 角換わり
    • 木村定跡
    • ▲7九玉△3一玉型の腰掛け銀
    • 棒銀で銀交換
    • 棒銀で端攻め
  • 相掛かり▲3七銀△4四角
  • 横歩取り
    • 8五飛戦法山崎流
    • 相横歩取り

ただ、ラインナップは確かにこうなっているのだが、それぞれの変化は乏しく、さほど網羅的というわけでもない。一番うまく行く変化を1つ紹介、くらいの感じである。
個人的には、振り飛車の紹介でいきなり石田流でしかもいきなり角交換の変化というのはどうかと思ったし、次がまたメリケン向かい飛車というのも、なんというか本筋なのかそれ? と思ってしまった(笑)。もう少し考えようがあるよねぇ……。

あと、そもそも「仕掛け」と言っているのだから、仕掛けの局面から始めた方がよかっただろう。初手から並べるのはハッキリ紙面のムダだ。そこは割り切って、変化や戦形を増やした方がもっとよかった。

全体的に、なんか薄い本(←違う意味に取らないように←意味が判らない方は気にせず飛ばしてください)という感じ。2段くらいであれば、ほぼ常識の範疇といってよく、本書を読む必要はほとんどないだろう。初級者がいろんな戦形を一渡りするのにはいいと思う。

作成日:2014.08.04 
仕掛け

仕掛けの時期 攻めの原点を探る

仕掛けの時機―攻めの原点を探る (1980年) (初段に挑戦する将棋シリーズ)
著者 :大内 延介
出版社:創元社
出版日:1980-06T
価格 :¥154,215(2024/08/31 16:52時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

中盤の入り口、つまり仕掛け周辺の指し手について、実例をあげながら具体的に解説している本である。形も相居飛車、対振り飛車、振り飛車とひととおりそろっていて、しかもそれぞれが豊富である。
定跡外れの形も数多くあり、また、ほとんどがプロの実戦から採ったということで、そういう意味では説得力もある。しかし……。

まず、例題がバラバラに載っている。例えば居飛車編の場合、矢倉を解説したあと角換わりに行き、再び矢倉に戻り、そして相掛かりといった感じになっている。だったら矢倉だけをまとめればいいのに、しかもできるだけ類似した形はページを近くした方がわかりやすいのに、わざとのようにバラバラにしてある。最初は手筋の種類によって分けているのかと思ったがそうでもないようだ。この辺については本当に意味がわからない。
また、「ほとんどが」プロの実戦ということだが、ちょっと疑わしい。
というのも、題材はすべて(読みやすさの都合上)先手番となっているのだが、その直前の後手の指し手が意味不明なのだ。例えば相矢倉で後手の指し手が△6二銀。形を見るに、どう考えても5三から引いた銀である。そして先手から▲3五譜△4五歩▲同銀以下つぶされるのである。どこの世界にそんな支離滅裂な指し手をするプロがいるのか。
初心者向けにわかりやすく解説する、という意図は判るのだが、「矢倉崩し」や「美濃崩し」以上に都合のいい図面が並んでいると、「ええかげんにせぃやコラ!」と言いたくなる。

加えて、あまりに手将棋の例題が多すぎる。いや、定跡をなぞっても意味がないとは思うのだが、それにしても無理がありすぎる。つかみ合い殴り合いの将棋で仕掛けの手筋を解説するというのでは、初心者にはわけがわからないんではないだろうか。

と、そういうわけで若干(もとい、かなり)点は辛めに設定してある。なによりも都合が良すぎるというのが大きなマイナス点である。
仕方ない気もするのだが……。

作成日:2001.07.20 
仕掛け
広告