次の一手

振り飛車の核心 ”さばき”の基本手筋

振り飛車の核心 “さばき"の基本手筋 (マイナビ将棋BOOKS)
著者 :藤倉 勇樹
出版社:マイナビ出版
出版日:2018-04-23
価格 :¥1,694(2024/02/06 08:41時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

振り飛車側から見た対抗形の定跡について、次の一手で勉強する本。三択・ヒントつきというどちらかというと級位者向けに作られている。

問題は四間飛車がほとんどで、一応三間飛車・中飛車・向かい飛車もある。なぜか4→3戦法も入っているのがいいのか悪いのか。あと、中盤の次の一手というのも少し入ってたかな。
特に四間飛車編では居飛車側の戦法がほとんど急戦で、▲8五歩△同銀▲8八飛とか、▲6四歩△7七角成▲6五銀△7五飛▲7七桂とか、居飛車穴熊黎明期を知っている白砂くらいの世代には懐かしい手順が紹介されたりしている。懐かしいのは結構だがしかしどれくらい需要があるのかが少し疑問で、同時にそんな風に将棋が変わってしまったことにちょっと残念に思ったりもしてしまった。

定跡の基本的な部分の、振り飛車がカッコイイ部分を抜き出して紹介してくれているので、定跡の勉強というよりは振り飛車の「布教用」かなぁ……などとも考えてしまった。とにかくこういう手順・形を紹介して、捌きのカッコよさを吸収してもらおうというのであれば、一定の効果はあると思う。鈴木大介定跡というか(笑)。ただ、やっぱり振り飛車の醍醐味ってこれなんだよなぁ。
初段くらいまでにはこの本の変化はすべて知っているくらいでないといけないと思うので(もしくは「こんな将棋にはならないから必要ない」か……orz)、それ以上の人は勉強用としては本書は必要ないと思う。ただ、「こんな将棋にはふだんはならないけど」というエクスキューズをつけないといけないのは少し悲しいけど、こういうのが振り飛車なんだよ、面白いでしょ! と級位者の人たちに知ってほしくはなる。

作成日:2018.06.02 
振り飛車全般 次の一手

佐藤康光の居飛車の手筋2 強襲・矢倉編

佐藤康光の居飛車の手筋 2(強襲・矢倉編) 3七銀戦法から対右四間飛車まで、緩急自在の佐藤流
著者 :佐藤 康光
出版社:山海堂
出版日:2007-08-01
価格 :¥499(2024/02/06 04:49時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『佐藤康光の居飛車の手筋1』に続く次の一手形式の解説本。第2段は矢倉である。
内容は基本の▲3七銀戦法に始まり、森下システム、右四間飛車、左美濃戦法。
先手番から見た矢倉であり、そういう意味では「公平な視点」で書かれている本ではない。
また、少し内容が薄すぎる気もする。例えば▲3七銀戦法は宮田新手あたりまでで、後手版の対策も△9五歩型に限られている(△8五歩型がない)。森下システムも端攻めや深浦新手がない。本当に「先手が成功する形」だけを紹介している感じだ。まぁ、入口で読んでもらう本であるので、これはこれでいいという気もするが。

vs右四間、左美濃といった形を取り上げているのもポイントが高い。ただし、右四間は△4二金対策に触れていないので、安易に使うと痛い目を見ることだけはとりあえず書いておく。使いこなしたいのであれば、別の棋書も参考にすること。

判りやすく矢倉の組み方・戦法の狙いが書かれているので、初段くらいまでの居飛車等は参考にして欲しい。有段者は知っている変化が多いので前半はいらないだろうし、例えば左美濃などは『対矢倉 左美濃作戦』といった本も出ているので、そちらを参考にした方がいいだろう。

実は、本シリーズは4巻出して(評判を見て)以下続刊、という予定だったようだ。巻末に広告が載っている。しかし、本書を出版後わずか3ヵ月後に出版社の山海堂が倒産してしまったので、34巻は出版されていない。vs中飛車・三間飛車と角換わり・横歩取りを予定したようだが、無責任な感想を言えば、とりあえず一通りは出して欲しかったなぁ……。

作成日:2014.06.29 
次の一手 矢倉

佐藤康光の居飛車の手筋1 四間飛車粉砕編

佐藤康光の居飛車の手筋 1(四間飛車粉砕編) 急戦から居飛車穴熊まで、緩急自在の佐藤流
著者 :佐藤 康光
出版社:山海堂
出版日:2007-05-01
価格 :¥623(2024/02/06 04:05時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

次の一手形式で解説する四間飛車破りの本。
急戦からは▲4六歩急戦とナナメ棒銀、持久戦は居飛車穴熊。あと、四間飛車穴熊に対する銀冠と、立石流対策、飯島流引き角戦法が掲載されている。基本的な四間飛車対策は網羅されている感じだ。

次の一手形式なので、通常の定跡書を読むように体系的に学ぶということはしづらい。その代わり、戦法を指す上での大体の雰囲気はつかみやすくなっていると思う。
ただ、その分内容は薄くなっており、立石流▲7七角対策などは、本当に狙いを示すだけに留まっている。まぁ、個人的な思い入れも強いので「こんな手は指さないだろー」と評価が厳しくなっている部分はあるのだが(笑)。

細かいことを言うと、本書の場合、珍しく「失敗例」がほとんど入っていない。よく「▲○○と指すと失敗する。振り飛車の立場に立って考えていただきたい」みたいな感じの問題があるが、そこはバッサリ切って、各問題の中で失敗例を解説するにとどめている。居飛車党にしてみれば「そんな立場なんて知らねーよ」と(笑)、まぁそこまで極端ではないにしろ、本書のように「どうやったら成功するか」を考えるだけでいいのになぁ……と思うことはよくある。なので、ホントにこういうことするんだ……と少し驚いた。

できれば体系だった棋書を読んでもらうことを前提として、こういう本をサブテキストとして活用すれば、棋力向上も早いのではないかと思う。棋書の性格上、買って手元に置いておくとよい、とまでは勧められないが、読んでみる価値は十分にある。

作成日:2014.06.29 
次の一手 四間飛車

3手1組プロの技

3手1組プロの技 (マイコミ将棋ブックス)
著者 :片上 大輔
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2007-08-21
価格 :¥1,000(2024/02/06 04:05時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

3手一組の指し手を考える、次の一手ならぬ次の三手本。
考えてみれば、次の一手というものは次の一手だけを当てればいいというものではなく、その局面から勝ち筋有利筋を引き出すものだ。そういう意味では、一手だけではなく連続した手筋というのを扱うのも当然といえば当然である。

本書で扱っている3手一組は、「歩の手筋」「攻めの手筋」「しのぎの手筋」の三種類。計86問である。
白状すると、結構難しかった。
いわゆる手筋的な……という表現はよろしくないのだろうが、いかにも作りもの的な問題はさすがにすぐにわかった。ただ、タイトルどおり「プロの技」がたくさん詰まっているので、パッと正解が浮かぶという問題ばかりではない。問題を解く、というより、プロの技を鑑賞するといった感じになってしまった。

それぞれのテーマごとに最初に少しだけ解説が載っているが、それもなかなか親切でよかった。
量産するのは難しいジャンルかもしれないが、こういう本がもっとたくさん出ると、3段くらいからのステップアップにはいいと思った。

作成日:2008.04.18 
次の一手 手筋

将棋・ひと目の端攻め―攻防の手順がわかる200問

将棋・ひと目の端攻め (マイコミ将棋文庫SP)
著者 :週刊将棋
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2008-01-30
価格 :¥1,100(2024/02/07 15:50時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「端攻め」という1ジャンルにしぼって解説している手筋本。一局の将棋で端がからまないということなどはほとんどなく、そういう意味では必修手筋とも言えるはずなのだが、これまであまりクローズアップされてこなかった。
もちろんそれは触れてこなかったという意味ではなく、実は「歩の手筋」「囲いの崩し方」という形で取り上げられてはいた。しかしそのためやや手筋が分散してしまった感があった。本書では、200問の次の一手形式で端攻め手筋を網羅している。

端攻めの基本手筋から始まって、終盤での手筋、囲いの崩し方と、本当にいろいろな形での端攻めが載っている。また難易度も、▲4六角△1一香△1四歩持駒歩歩の局面で「▲1二歩△同香▲1三歩で香得が確定」というレベルから(正直、最初の問題がこれだったので「入門書だったのか?」と少し不安になった)9手くらいの一連の手筋までさまざまだ。下は初心者(初級者ではなく)から上は2、3段くらいまで十分に楽しめる。

個人的な話になるが、今回200問を解いてみて、自分がやはり振り飛車党だということがよくわかった。矢倉の崩し方の正答率が他に比べてかなり低かった(4、5問は出なかった)。「自分の客観的な将棋観をはかる」という、ちょっと変わった楽しみ方もできるようだ(笑)。

有段者にとっては常識レベルの話だろうが、そこまで行かないなぁ……という人であれば、一度目を通しておくのもいいと思う。いっぺんでいいなら立ち読みでも十分だが、できればたまに読み返して棋力が落ちてないかをはかる試験にするという読み方もある。
次の一手形式というサラッと読める形式なので、こちらもそれを活かした読み方をするべきだ。

作成日:2008.03.20 
次の一手 手筋
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