2003

東大将棋ブックス矢倉道場 第6巻 森下システム 続

矢倉道場 第6巻 森下システム 続 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-11-01
価格 :¥1,000(2024/02/08 20:55時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

前書が最新のスズメ刺し対策を述べたものであるのに対し、こちらはスズメ刺し以外の対抗策を解説している。

必然的に「昔の指し方」の解説が中心となっている。少し損をした気分だ(笑)。出版社側(敢えて著者は、とは書かないことにしよう)としては「古き皮に新しい酒を注ぐ」つもりだったのだろうが、それにしては新しい酒があんまり見当たらなかったように思う。この辺、白砂は振り飛車党なので事情がよく判らない。3年くらい前なら、『現代矢倉の○○』を読んでにわか矢倉定跡党になっていたんだけど……。
今までの森下システムを知らない人には参考になるかもしれない。また、少しではあっても全く新手がないわけではない(と思う)ので、最新を追いかけたい人はやはり持っていて損はない一冊だろう。

こういう乱暴な言い方をしていいものかどうか判らないが、こちらが森下システムを指して、相手が前書のような指し方をしてきたらそれは有段者だ。初段前後くらいの人同士の対局だと、むしろ本書の範囲で戦うことが多いと思う。
そう考えれば、一応パラパラとめくって変化をさらっておくのは悪くないことかもしれない。
もっとも、そういう用途であればもっといい本はあるわけなんだけど(笑)。

作成日:2003.12.24 
矢倉

振り飛車ワールド 6

振り飛車ワールド 第6巻
著者 :毎日コミュニケーションズ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-11-01
価格 :¥600(2024/02/07 05:52時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

もう6冊めか……。すっかりお馴染みになったなぁ。

今回は全体的に内容は盛りだくさん。
インタビューが谷川と櫛田。あ、太文字は普通逆か(笑)。まぁでも、ある意味正しい強調かも。もうインタビューする人がいないのかなぁ。
指定局面対局はミレニアム。初の持久戦ということで、なかなか面白かった。最新の攻防、というわけではないが、振り飛車側がどう指せばいいか、といった指針のようなものがなんとなく判る。
あとのコラム&エッセイはいつもの布陣。
鈴木大介の講座は石田流vs棒金で、久しぶりに役に立つ講座を書いたなをい、って感じ。正直、升田式の解説ってどーなん? と思ってたので(笑)。石川の符号講座は飛車特集。ちょっとむりがないかこれ。
千葉の講座は最新藤井システムの攻防。相変わらずの濃い内容だ。そのほか、ミレニアム退治の手筋集もあったりして、何度も言うがかなり「お得感」のある一冊となった。

……最後に。
これは被害妄想、というか加害妄想なのかもしれないんだけど、一つ謝っておきたい。

バンカナの写真、
一枚になってました。

作成日:2003.12.24 
振り飛車全般

将棋ガイドブック 日本将棋連盟公式

将棋ガイドブック―日本将棋連盟公式
著者 :日本将棋連盟開発課
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2003-11-01
価格 :¥3,691(2024/02/07 15:51時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

書名に「ガイドブック」とあるが、ルールブック+αといった内容に近い。
基本的以前やん、という項目まできっちりと解説したルールと、将棋用語集、ちょっとした歴史ガイドやトリビア的な章まで、とりあえず一度は読んでみて損はないと思う。もっとも、あのルールの部分を初心者が読むとは思えないんで、どっちかと言うと細っかいところを突っついたりこねくったりして楽しむ人用だとは思う。まぁ、白砂もそうなんだけどね(笑)。

勤め先の図書館では、5冊購入して全ての分館に配布した。そういう感じで、辞書的に一冊欲しいな、という本である。学校図書館などに置いてくれると嬉しい。
将棋連盟に寄付させる、というのはムリなんだろうな……。
現在の学校図書館の予算はそれはもうお粗末なもので、数十万円しかないところも決して珍しくはない。そんなところで、わざわざこの本を買ってくれるとはとうてい思えない。
だからこそ、将棋連盟には少し考えて欲しいんだけどなあ……(関係ない話で申し訳ない)。

作成日:2003.12.24 
その他の総合

入玉大作戦 逃げるが勝ち!

入玉大作戦 (MYCOM将棋文庫 22)
著者 :毎日コミュニケーションズ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-12-01
価格 :¥2,581(2024/02/06 11:00時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

私は3二金戦法という戦法を指しているのだが、この将棋のコンセプトは「入玉」である。しかし、入玉というのは簡単なようでとても難しい。流れ弾の当たる確率が高いのだから当然である。
本書は、そんな難しい入玉のテクニックにスポットを当てて書かれている珍書である。
元々が「実戦的」な技術なのでウソっぽいところがないわけではないのだが、読んでいると「将棋は入玉だ」と思ってしまう(すいません、ウソです)。

本書に限らず、この「外伝」シリーズは先に紹介した「伝説」シリーズと同様、アマチュアが最も知りたい、けれども今まで紹介されていなかったさまざまな手筋が紹介されている。毎コミのそういう編集方針は好ましく思う。
最近はやや停滞感があるが、またこれらのシリーズのような良書を世に出して欲しい。

作成日:2003.12.14 
その他の分類

杉本流四間飛車の定跡 居飛車の右四間飛車・4五歩早仕掛けを粉砕

杉本流四間飛車の定跡 (将棋必勝シリーズ)
著者 :杉本 昌隆
出版社:創元社
出版日:2003-12-01
価格 :¥802(2024/02/06 10:43時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

タイトル通り、対右四間飛車と対4五歩早仕掛けを扱った本。

かなり『四間飛車の急所1』とかぶる部分はあるのだが(特に右四間飛車)、そこは創元社のシリーズということで、うまいこと判りやすく書いてある。特に右四間飛車は狙いが単純なため変化が少なく、かなり突っ込んだ変化手順を解説されてもそんなに苦にならない。
実際はかなり高度な内容が書かれていると思う。3段クラスでも「おぉ!」と思うような変化が転がっているかもしれない。右四間飛車での飛車先不突き対策であったり、玉頭銀の攻防であったり、面白い形であるにもかかわらず、プロであまり指されないが故に紹介されない形を拾ってくれている。

創元社にしては珍しく(<をい)、きちんと居飛車側の対抗策が書かれているところも見逃せない。4五歩戦法vs玉頭銀、最善を尽くした変化はむしろ居飛車指しやすいんじゃないかなぁ……とも思えるのだが(笑)、それもきちんと書いてある。振り飛車党も居飛車党も、2段3段くらいまでの人は一度目を通しておいて損はない。

一つ気になったのは、実際に4五歩戦法ってそんなに指されてるのかなぁ……ということ。白砂は「まっとうな将棋」を指さないし、公式戦から遠ざかっていることもあって、現在のアマチュアの流行をほとんど知らない。右四間飛車はいかにもアマチュアで指されそうな気がするのだが、あんな渋い(<失礼)戦法を指す人がそんなにいるのだろうか?

作成日:2003.12.10 
四間飛車
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