奇襲・変態戦法

奇襲振り飛車戦法 ~その狙いと対策~

奇襲振り飛車戦法 ~その狙いと対策~ (マイナビ将棋BOOKS)
著者 :飯塚 祐紀
出版社:マイナビ
出版日:2014-12-23
価格 :¥1,694(2021/10/13 09:23時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

意外とB級戦法の本というのは少ないものだが、本書はB級以前の、まさに「奇襲戦法」を題材にしている。
なにしろラインナップが、

  • 原始中飛車
  • 端角中飛車
  • 石田流
  • 鬼殺し
  • 急戦向かい飛車
  • 強引向かい飛車
  • 阪田流向かい飛車
  • 鬼六流どっかん飛車
  • 角頭歩
  • パックマン

である。なんだかとても懐かしい感じがした(笑)。

基本的には、最初に奇襲成功のパターンを紹介し、そのあとで奇襲対策を紹介している。ものすごく大雑把に言ってしまうと、『超急戦!!殺しのテクニック』のような作りである。
図面をふんだんに使っているのでとても読みやすいが、ページ数の割に変化が薄い気がするのはそのせいなのだろうか。正直なところ、「実戦で使えるか?」と疑問に思ってしまった。本気で変化を書こうと思えば3冊分くらいにはなる気がするので、これだけいろいろな奇襲戦法を紹介しているのであれば仕方がないところだろうか。

最近では、角交換四間飛車とかゴキゲン中飛車とか、プロの将棋が変態戦法化している感すらある。また、ネットの普及や棋書の充実により、アマチュアでもプロはだしの本格的な序盤を指すようになっている。そのせいか、本書の戦法達を久しぶりに目にして、本当に本当に懐かしさを感じた。有段者の方、立ち読みでもいいから本書を手に取ってみてほしい。
初級者の方は、本書を読んでみて、一度指してみるのもいいと思う。こういうのは将棋ソフト相手よりは対人の方が有効なので、ネット将棋などで。道場などに行くと嫌な顔をされるかもしれないですしね(笑)。いや、それ以前に、いまだにこういう戦法一本の御仁がいっぱいいるかもしれないな(笑)。

作成日:2015.01.05 
奇襲・変態戦法

杉本昌隆の振り飛車破り

杉本昌隆の振り飛車破り (MYCOM将棋ブックス)
著者 :杉本 昌隆
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2007-02-01
価格 :¥731(2021/10/12 19:46時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

振り飛車党(現在は居飛車党に鞍替えしているが)の杉本が書いた振り飛車破り本。振り飛車党であれば振り飛車がやられてイヤなこともよく知っているだろう、という考えで依頼があったらしい。

内容は以下の通り。

▲3五歩急戦vs後手藤井システム
室岡新手で有名な形。かなり詳しく解説している。初段くらいまでの人は、むしろ室岡新手以前の指し方(△3五同歩・△3二金)の際の速攻手順を読んでほしい。
先手藤井システムvs居飛車穴熊
居飛車側から△4五歩と仕掛ける形や、△5五角急戦など。これも詳細に解説されている。ここまでで本の半分くらい。発刊当時(2007年)はまだ藤井システムが指されていた時代なんだなぁと思わされる。
5筋位取り急戦
もはやB級戦法に近い作戦だが、5筋位取りでなおかつ急戦というのが面白い(もちろん昔から指されていた戦法ではある)。最終的には振り飛車有利という結論になっているような気もするが(笑)、一発狙いには知っておいてもいいかもしれない。
ポンポン桂
従来からある「富沢キック」の話も出てくるが、どちらかというと藤井システム対策という感じ。これもあまり類書がないので、とりあえずは押さえておきたい変化だ。
三間飛車vs居飛車穴熊
居飛車穴熊側が△8四飛をギリギリまで受けない(その手を囲いに回す)というちょっと贅沢な指し方。先手が何もしなければしれっと1手得できるわけで当然先手は▲7四歩から動いてくるが、むしろそれを誘ってカウンターで切り返す、というのが基本的な骨格。実戦的な考え方で言えば、▲7四歩から歩を交換されるデメリットよりとにかく居飛車穴熊に囲えるメリットを追求した、とも言える。
石田流vs銀冠
最近はあまり見ない気がする(そもそも石田流を目指さない)が、▲7四歩急戦がらみで石田流がバンバン指されていた頃、居飛車側が急戦を避けて銀冠に囲うという将棋がよくあった。その形のこと。△9二飛と千日手を目指す形、と言えば判りやすいか。
山本流石田封じ
昔からの石田流対策に、▲7六歩△3四歩▲7五歩△4二玉という指し方がある。▲7八飛なら△8八角成▲同銀△4五角で、定跡の▲7六角を防いでいる(△4二玉としたため▲4三角成が先手にならない)から後手有利、という仕組みだ。そのため、△4二玉には▲6六歩と穏やかに指すのが無難、とされている。それをもっと突き詰めて、▲6六歩と穏やかに指してきたらその▲6六歩を目標に△6四歩~△6二飛と右四間にしたらどうだろう、というのがこの山本流の骨子である。なかなか面白い発想で、特に石田流という「形」を指したいという石田党にはイヤな対策だろう。

藤井システム破りに大半を割いているが、むしろ読んでほしいのはそれ以外のB級戦法の部分だ。なかなか類書がないので、こういうまとまった解説は貴重である。

本のツクリで少し言わせていただくなら、ちょっと密度の違いがありすぎてとまどってしまう。ポンポン桂などはかなり散文的に書かれているので、大体の狙いは判るのだが、じゃあ本書を読めばバッチリ指しこなせるかというと難しいと思う。
もっと言ってしまうと、密度の濃い内容とガイド的な内容を同じレイアウトで見せようというのがそもそも無理だと思うので、いっそのことどちらかに絞ってしまった方が(贅沢を言えば2冊出してしまえば)よかったんじゃないか、とさえ思う。

内容は悪くない、というかとてもいいので、初段くらいまでの人は、藤井システム関連は飛ばして(笑)、その他のページを、少し面倒でも盤駒を用意して読み込めばいいと思う。有段者は本書の内容くらいは知っていないといけないことなので、サラっと読むくらいでいいだろう。

あと、いおたんヲタの人は、わすが2ページだけどチラっと登場しているので、そうだよなぁあの連載のときはかわいかったなぁ……と思いつつ、囲碁界に呪いをかけておいてください(笑)。

作成日:2014.06.22 
四間飛車 奇襲・変態戦法

我が道を行く定跡の裏街道

我が道を行く定跡の裏街道 (週将ブックス)
著者 :週刊将棋
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2004-12T
価格 :¥411(2021/10/13 06:33時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『定跡外伝』系の本だと思っていたら、『B級戦法の達人』系の本だった。奇襲・変態戦法を20、紹介する本。

「紹介」と書いたが、変化がほとんど書かれていない戦法も数多くあるので、解説とまで言えない。もう少し数を絞って解説を増やして欲しかったという気もするし、いやそんなことよりよくぞいろいろ紹介してくれたという気もするのでなんとも言えない。これはもう、本書をどう見るかによるだろう。
振り飛車系の将棋が多いが、アマチュア向けということだから仕方がない。

パックマンや後手角頭歩などはさすがにウソ(対策が知られているのに触れていない)だし、パーフェクトディフェンスなどはそもそもこうなるのかどうかがウソ臭い。
それでも、よくもまぁ変態戦法をこれだけ集めたものだ。
いくつかは自分で指してみたいと思うものもあった。20あるうちの一つでも気に入ったものがあれば、それで本書は成功なのだろう。

ちなみに、本書に出てくる「対振り棒金」。これ、まんま3二金戦法である。
掲示板に指摘があって読んでみたのだが、白砂の実戦にほとんど同じ攻め筋(斬られ役側の攻め筋も)が出てくる。
ここに白砂の実戦譜があるので、44手目以降と本書を比べてみて欲しい。

3二金戦法、ついにメジャーデビ……

違う

作成日:2004.12.25 
奇襲・変態戦法

パワーアップ戦法塾

パワーアップ戦法塾 (NHK将棋シリーズ)
著者 :豊川 孝弘
出版社:NHK出版
出版日:2004-03-12
価格 :¥19(2021/10/12 19:34時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

昔NHK将棋講座で講師を勤めていた著者が、その内容をまとめ、さらに新しい変態戦法も加えて書き下ろした本。

……というと聞こえはいいが、一つ一つの戦法について深く突っ込んで書いているわけではないので、級位者くらいの人がかじって使うとかえって手痛い目に遭いそうだ。『奇襲大全』と同じか、むしろやや少ない感じの解説量か。
逆に、有段者だと知っている形がほとんどだろうから、新しい興味はそんなにない。冷静に考えると、どの層が読んで役立つのかという話になりそうだ(笑)。
もっとも、形を見る分には面白いので、パラパラと読む分にはいいだろう。

細かいことを言うと、なんか活字が太くて読みにくい。図面の入り方も少し違和感を感じる。
個人的には、内容うんぬんより編集の部分で評価が下がった本。

作成日:2004.03.27 
奇襲・変態戦法

武市流力戦筋違い角の極意

武市流力戦筋違い角の極意 (プロの将棋シリーズ)
著者 :武市 三郎
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2003-05T
価格 :¥850(2021/10/13 05:44時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

感想、ね。あくまでも感想だよ。

文章がヘタすぎ

こんなこと言っちゃってホントに申し訳ないと思う。ある意味、ゴーストを使っていない証明かもしれない。
しかしそれにしてもヒドい。
とにかく一度読んでみてくれ、としか言えない。久々に「読みにくい文章」に出会った。

ただ、ひとつ気になることがあって、じつは、個々のフレーズについては自分でもよく使っているのだ(笑)。人のことをこんだけ言っといて、他人から見ると自分の文章もそう見えるんじゃなかろうか……と心配してしまった。

内容はというと筋違い角で(<をい)、基本的には振り飛車型を扱っている。
角交換していきなり▲4五角として、あとは四間飛車に振って▲6七角からさばいていく感じとなる。
もう少し変化を多くしてくれると、もっと良かったと思う。
例えば、▲4五角△6二銀▲3四角△3二金▲6六歩に△6四歩と突く手がある。▲8八銀ならいきなり△6五歩と突いて▲同歩△6六角、という狙いを持った手で、△6四歩には▲6八飛と備える一手となる。ここまでは本書にも書いてある。
しかし、同じ筋違い角を扱っている『筋違い角と相振り飛車』には、ここから後手が右四間にする狙いが示されていた。「アマ強豪間ではこの対策が浸透しており……」みたいな記述もあったので、有力な対策の一つだと思う。ところが、本書ではこの形は出てこない(と思う。一応買って読んだ)。

数年前の本に負けてどーするよ武市さんよぉ。

冗談はさておき、読みづらく変化の底も浅い気がするが、筋違い角の狙い筋と戦い方はきちんと示されている。なので、筋違い角で一発狙ってやろうと思っている人、やられて困っている人は一度読んでみるのもいいかもしれない。

作成日:2003.06.04 
奇襲・変態戦法
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