三間飛車

東大将棋三間飛車道場3 急戦

三間飛車道場 第3巻 急戦 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-10-01
価格 :¥1,300(2024/02/06 05:33時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

今度の東大将棋道場は急戦。昔からある▲3七桂と跳ねて▲4五歩と突く急戦と、桂を跳ねずにいきなり▲4五歩と仕掛ける急戦が載っている。あと、5筋を突かない形に対しての急戦もあるが、これはもともと三間飛車が悪いとされている形で、旧来の定跡に近い。

正直、時代が変わったなと思った(笑)。白砂が学生の頃には、対三間飛車の急戦は▲3七桂跳ねしかなかった。しかも▲8八角には△4二金が最善で、△4三金は二枚替えの変化があって後手損と言われていた時代である。現在では△4三金が最有力とされているし、いきなり▲4五歩と仕掛ける急戦なんて聞いたことがなかった(知らなかっただけかもしれないが)。
二枚替えの変化はウソで、実は△4三金が有力ではないかという話が始めて出たのが白砂の記憶では『定跡外伝』。それからしばらくは三間飛車の本など見かけることすらなかったのだが、ここ1年ほどで、コーヤン流深浦本加藤本など、様々な急戦の解説書が出版された。本書もなんか流行に乗った感はあるが(笑)、貴重な一冊だろう。

内容は始めに述べた通りだが、実際によく読むと、既存の定跡書とは微妙に採り上げている変化が違ったり、書き込みの量も違ったりする。別の定跡書をお持ちの方は、実際に読み比べてみて欲しい。ある本で掘り下げられている変化を「これはダメ」とあっさり流していたりもしている。
また、冒頭で5筋不突き急戦の話をしたが、実際にこの定跡を詳細に解説した本を白砂は初めて見たので、そういう意味では参考になるかもしれない。おそらくほとんどの三間飛車党は普通に▲5六歩△5四歩と指してくるだろうから役には立たないと思うのだが(笑)、知っておくことは必要だ。

作成日:2004.12.11 
三間飛車

コーヤン流三間飛車 実戦編

コーヤン流三間飛車 実戦編 (新プロの将棋シリーズ 2)
著者 :中田 功
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-09-01
価格 :¥3,197(2024/02/06 12:45時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

急戦編、持久戦編に続いて、今度は実戦編と銘打ったコーヤン三間飛車シリーズ。東大道場シリーズといい、ここのところやけに三間飛車が注目を浴びている。
おそらくその一因の一つとなっているのがこのコーヤンこと中田功の存在で、プロの間で非常に評価が高い三間飛車党である。「実戦編」ということで、これはマニアが待ち望んでいた実戦集かと思いきや……。

実戦譜は後ろの方に固まっていて、棋譜もついている。
しかし、この本は実戦譜集ではない普通の定跡書である。

本の半分は、今まで出版した急戦編、持久戦編のフォローになっている。時間が経って結論が変わったもの、書ききれなかった変化などをここで改めて詳解している。
また、「実戦」の部分も、解説されているのは組み合った後からで、中盤から寄せまでの解説となっている。序盤の駒組みについてはほとんど触れられていない。

これで「実戦編」と出版してしまう出版社にまず驚いたが、内容は非常に濃く、面白く読めた。ギリギリの部分での優劣を解説しているため、初段くらいでは少し難しいのではないかと思う。旧来の定跡を知っている人が、ここで新定跡を手に入れる。そんな感じの本だ。

実戦解説を部分的にしたのも、好意的に見れば「見たいところだけを集中的にたくさん解説する」という表れなので、これはこれで評価できると思う。
一冊の本として出版をする場合、序盤はどうしても似たような手順になりがちなので、解説部分に書く事がなくなって(笑)いきおい棋士の人となりを紹介したり対局時の精神状態を解説したりと「ムダ」なものになりがちだ(笑)。それをバッサリと省いて解説したいところだけ解説をしたと考えれば、合理的ではある。白砂はどちらかと言うと「よみもの」と捉えているので(だから観戦記や自戦記は好きだけど棋譜集は嫌い)、そのムダな部分をどう捌くかというところが見たかったりするあまのじゃくではあるのだが(爆)。

作成日:2004.10.02 
三間飛車

三間飛車戦法 軽快に豪快に一気に寄せきる

三間飛車戦法―軽快に豪快に一気に寄せきる (将棋必勝シリーズ)
著者 :鈴木 大介
出版社:創元社
出版日:2004-07-01
価格 :¥156(2024/02/06 21:51時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

四間飛車やゴキゲン中飛車でおなじみの鈴木大介が、今度は三間飛車の解説を書いた。
創元社+鈴木大介というラインナップ、予想通りの(爆)仕上がりになっている。

内容としては、三間飛車vs急戦、左美濃、居飛車穴熊の三種。
相変わらず都合のいい解説は健在で(笑)、例えば左美濃や居飛車穴熊では無防備に△7四歩と突いて飛車のコビンを攻められるとか、急戦もやや危なっかしい手順で「これにてよし」で終わったりしている。
しかし、急所は判りやすく解説されているので、取っ掛かりの一冊としては悪くないと思う。この辺り、いつものツクリという気がしないでもない。

少し気になったのは、本書は本当に鈴木大介が書いたのか? ということ。どうも今までとは文章の調子が違っているように思えるのだ。
今までの「鈴木節」は、文体というよりは手順が豪快というか粗雑というか、まぁそこはそれいいじゃん振り飛車が勝てば、みたいな感があったのだが、本書の場合、手順というよりは文体でその豪快感を出そうという雰囲気がむんむんしている……気がする(笑)。いや、それだけ形容詞を使えるようになったと言えばそうなのかもしれないが、それよりはむしろゴーストが鈴木大介感を出そうとしてすべりまくった結果に見えるのだ。まぁ、いまさらゴーストを問題にするのもなんかどうでもいい気がするが、少し気になったので。

作成日:2004.09.14 
三間飛車

加藤流最強三間飛車撃破

加藤流最強三間飛車撃破 (新プロの将棋シリーズ 1)
著者 :加藤 一二三
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-06-01
価格 :¥1,000(2024/02/05 22:37時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

まさかここまでシリーズ化するとは思わなかったのだが、加藤大先生の第3弾が出た。
今回は三間飛車破り。三間飛車の本、というだけである程度貴重なので、その意味でも価値が高い本だ。

内容はオーソドックスな桂を跳ねて急戦、という変化から、『振り飛車破り超急戦ガイド』に載っていた桂を跳ねない急戦、棒銀から▲4六銀(4六銀戦法ではなく、▲4五歩のあとに単騎に銀が出て行く米長新手)まで、かなりバラエティーに富んだものになっている。これにまず驚いた。
次に驚いたのは、意外と三間飛車がよくなる変化も書いていること。『ホントに勝てる振り飛車』にもあるとおり、後手三間への仕掛けは成立しているようなので、まぁ先手(居飛車)有利になるというのは判らないではない。ただ、深浦本にある変化を否定していて、しかもそれが一応深浦本よりも深く解説してあるのだ。
具体的に言うと、深浦本では、▲4四銀で飛車を逃げても先手よし、というところで打ち切っている。しかし本書では、▲4四銀に飛車を見捨てて△4一香と打つ手を解説していて、▲3三銀成△4八香成▲同金△5七銀で振り飛車もやれるとしている。実際にその変化でやれるのかどうかはともかく、こちらの方が深く「解説」していることは間違いない。

正直、定跡編はゴーストなんじゃないの……? と思ってしまった。大先生らしさ(笑)がないのだ。それどころか、ところどころで「先程はこうやってダメだったので今度はこの手を……」といった感じできちんと立ち止まって解説してくれている。カトピンさんはこんな親切な書き方してたっけなぁ……?

まぁ、それだけ判りやすく書いているわけで、かつまたいろんな戦形についても触れているので、対三間飛車というものを一通り知っている……という初段前後の人は参考になると思う。ただし、変化をばっさり切っている戦形もあるので、その部分については自分で補完しなければならず、その点は少し苦しいかもしれない。
それより上の人にとっては「常識」の部分も多いだろうから、立ち読みor図書館で足りるだろう。逆にそれより下の人は、本書は少し難しすぎるかもしれない。別の本、例えば『ホントに勝てる振り飛車』などをまずは読むべきだろう。

あ、実戦解説とコラム(?)については、間違いなく本人が書いてます。本人電波がゆんゆん出てます。
よって、ファンの人は当然買い(笑)。

作成日:2004.07.01 
三間飛車

振り飛車党宣言! 2.三間飛車

振り飛車党宣言 2 (MYCOM将棋文庫 16)
著者 :石川 陽生
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-08-01
価格 :¥280(2024/02/06 08:36時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

シリーズ第2弾。今度は三間飛車である。
考えてみると、三間飛車の本というのは少ないのかもしれない。石田流はそこそこあるのだが、純粋三間飛車となると、居飛車側から見た▲4五歩急戦とか、その程度しかないと思う。
本書のまえがきには「プロ間では先手なら三間飛車、後手なら四間飛車を指すという人がいる」とある。ということは、もっと三間飛車に注目してもよさそうなものなのだが……。

内容としてはやはり変化の底が浅い。これはもうシリーズの特徴とも言えるものなので仕方がないだろう。

作成日:2003.08.14 
三間飛車
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