加藤流最強三間飛車撃破

作成日:2004.07.01
加藤流最強三間飛車撃破 (新プロの将棋シリーズ 1)
著者 :加藤 一二三
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-06-01
価格 :¥1,000(2024/02/05 22:37時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

まさかここまでシリーズ化するとは思わなかったのだが、加藤大先生の第3弾が出た。
今回は三間飛車破り。三間飛車の本、というだけである程度貴重なので、その意味でも価値が高い本だ。

内容はオーソドックスな桂を跳ねて急戦、という変化から、『振り飛車破り超急戦ガイド』に載っていた桂を跳ねない急戦、棒銀から▲4六銀(4六銀戦法ではなく、▲4五歩のあとに単騎に銀が出て行く米長新手)まで、かなりバラエティーに富んだものになっている。これにまず驚いた。
次に驚いたのは、意外と三間飛車がよくなる変化も書いていること。『ホントに勝てる振り飛車』にもあるとおり、後手三間への仕掛けは成立しているようなので、まぁ先手(居飛車)有利になるというのは判らないではない。ただ、深浦本にある変化を否定していて、しかもそれが一応深浦本よりも深く解説してあるのだ。
具体的に言うと、深浦本では、▲4四銀で飛車を逃げても先手よし、というところで打ち切っている。しかし本書では、▲4四銀に飛車を見捨てて△4一香と打つ手を解説していて、▲3三銀成△4八香成▲同金△5七銀で振り飛車もやれるとしている。実際にその変化でやれるのかどうかはともかく、こちらの方が深く「解説」していることは間違いない。

正直、定跡編はゴーストなんじゃないの……? と思ってしまった。大先生らしさ(笑)がないのだ。それどころか、ところどころで「先程はこうやってダメだったので今度はこの手を……」といった感じできちんと立ち止まって解説してくれている。カトピンさんはこんな親切な書き方してたっけなぁ……?

まぁ、それだけ判りやすく書いているわけで、かつまたいろんな戦形についても触れているので、対三間飛車というものを一通り知っている……という初段前後の人は参考になると思う。ただし、変化をばっさり切っている戦形もあるので、その部分については自分で補完しなければならず、その点は少し苦しいかもしれない。
それより上の人にとっては「常識」の部分も多いだろうから、立ち読みor図書館で足りるだろう。逆にそれより下の人は、本書は少し難しすぎるかもしれない。別の本、例えば『ホントに勝てる振り飛車』などをまずは読むべきだろう。

あ、実戦解説とコラム(?)については、間違いなく本人が書いてます。本人電波がゆんゆん出てます。
よって、ファンの人は当然買い(笑)。