穴熊

居飛穴なんかコワくない

居飛穴なんかコワくない―振り飛車の逆襲 (週将ブックス)
著者 :神谷 広志
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:1987-03-01
価格 :¥181(2025/04/30 17:35時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

何度も出てくる話だが、居飛車穴熊の出現は振り飛車党にとっては大打撃だった。と同時に、イビアナ退治本も氾濫することとなった。本書はそのなかの一冊である。
三間飛車真部流、メリケン向かい飛車、四間飛車▲4八飛戦法(スーパー四間飛車の原型)、中飛車角交換型、石田流飛車交換型と、振り飛車すべてについて解説してある。

個人的には、石田流の指し方に興味を持った。
普通に組んだあと、▲4六角とノゾく。そのまま▲7四歩とされると△同飛▲同飛△同歩▲9一角成とダイレクトに香を取られるので△9三香と逃げるが、そこで▲5七角と引く。△9三香としているので、▲7四歩△同飛(△同歩は▲6五歩)▲同飛△同歩に▲8五桂と跳ねた手が香に当たるという仕組みである。
よく考えられた手順だと思う。『真・石田伝説』で紹介されている「楠本流対潜石田」でも似たような手が出てくる。

このように、古い(1987年刊)本でありながら現在でも十分に通用する戦法が解説されている。級位者から初段前後の人にとっては「買い」である。ぜひとも一度読んでみてほしい。

作成日:2001.07.20 
穴熊

史上最強の穴熊 1.急戦編

史上最強の穴熊 1 急戦編
著者 :大内 延介
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:1994-10-01
価格 :¥769(2025/04/30 17:33時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

突然だが、正直に告白する。

私はここまで、けなし言葉として何度か「高段者の定跡本」という表現を使ってきた。
出るはずもない都合のいい手順をただ書いていくだけで、最新手順の発表もなく、さまざまな形の紹介をするでもなく、言葉は悪いが「金のためだけに」書いた本。それを「高段者の定跡本」と表現したわけだが、本書もそうだと思っていた。
だって、大内だよ。

しかし、それは間違いだった。

急戦・持久戦ともに、惜しげもなく最新の指し手が紹介されていた。残念ながら互角ていどの分かれにしかならない変化もあったと思うが、それだって正直さの裏返しである。作った手順を見せられるよりはよっぽどいい。
「しばらくの間、苦戦の続いた穴熊だが、今度はこちらから新作戦を披露する番だ。本書はそういった新しい指し方をすべて披露した」とはまえがきの言葉だが、この言葉に嘘はない。
古い本ではあるが、できれば一度は読んでみてほしい。

作成日:2001.07.20 
穴熊

史上最強の穴熊 2.持久戦編

史上最強の穴熊 2 持久戦編
著者 :大内 延介
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:1994-11-01
価格 :¥1,465(2025/04/30 17:36時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『史上最強の穴熊 1.急戦編』は対急戦だったが、本書は対持久戦。振り穴党はむしろこっちを解説してくれた方が嬉しいのではないだろうか?

もともと、振り飛車穴熊は居飛車穴熊に比べて不利だ、という話がある。左銀が使いにくいとか飛車先の歩が伸びているとかそんなようなことだと思ったが、実際のところそれってそんなに不利になんのかよ? と思った記憶がある。
本書の指し方はかなりオーソドックスな方だが、それでも、いわゆる「相穴熊振り飛車側の不利」を感じさせない指し方である。少し変化の底が浅いので、『振り飛車新世紀 4 鈴木流四間穴熊』『これが最前線だ!』などと合わせて読むといいだろう。

作成日:2001.07.20 
穴熊

快勝! スーパー穴熊

快勝スーパー穴熊
著者 :小林 健二
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:1998-02-01
価格 :¥1,540(2025/04/30 16:19時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

ホントに商売人やのぅ……(笑)

スーパー四間飛車シリーズ、今度は穴熊である。
そこそこ詳しく解説はしてあるが、なんだかすでにどこかで読んだことがあるぞ、という変化も数多い。定跡書と思って買うと多分損をする。
この本のウリは、冒頭の「穴熊の歴史」の部分であろう。穴熊党の各プロの将棋を解説して、それぞれの棋風の違いなどを紹介している。穴熊の戦い方も参考になるし、この部分だけは読んでいてためになったと感じた。

作成日:2001.07.20 
穴熊

将棋・穴熊戦法

将棋・穴熊戦法 (1980年)
著者 :
出版社:
出版日:
価格 :¥3,001(2025/04/30 15:08時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

昭和55年発行という古い本である。もはや古本屋か図書館でなければお目にかかることはないだろう。
穴熊、ということなのだが、くりかえすようだがなにしろ昭和55年である。一応居飛車穴熊の記述はあるものの、当時の穴熊と言えば振り飛車穴熊である。よって、居飛車穴熊対振り飛車美濃囲いはさらっとしか載っていない(むしろ掲載されているだけすごいのかもしれない)。

内容としては、振り飛車穴熊対急戦、振り飛車穴熊対持久戦(位取り)、相穴熊、相振り飛車での穴熊などである。
おすすめなのは、最後の章。
「穴熊の再認識」と題された本章では、穴熊戦法を論理的に分析している(とはいっても現在では常識の範疇だろうが)。
いわく、

  • 「穴熊は玉を固く囲うので受けの戦法と思われるかもしれないが、実は豪快に攻めるための準備であり、本質は攻めにある」
  • 「穴熊戦法の魅力はその強力な破壊力にある」
  • 「穴熊は端、上部からの桂香(+下段飛車)による攻撃に弱い」

そして、弱点を知ってしまうと、「なんだ、弱いんじゃん」ということで穴熊が嫌いになるかもしれないが、そんなことはない。弱点をきちんと知っていれば、それを受けないように気をつけるからそんなに不利にはならないはずである、と結んでいる。

なかなかに含蓄のある論理だと思う(表現は大幅に修正してます)。特に、きちんと弱点を説明し、それを受けないように気をつけようという態度がいい。なんでもかんでも穴熊よし、ではないのである。
昭和の時代に、そういう「健全な精神」で棋書が著されているというのは嬉しいことだ。木村先生の哲学の賜物なのだろうか。

作成日:2001.07.20 
穴熊
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