その他

中井広恵の駒の自然な使い方

中井広恵の駒の自然な使い方 (NHK将棋シリーズ)
著者 :中井 広恵
出版社:NHK出版
出版日:2007-11-01
価格 :¥723(2024/02/06 00:46時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

NHK将棋講座をまとめたもの。
タイトルの「自然な」というのは、いい手、くらいの意味と思っていただければ間違いないだろう。

一応、序盤、中盤、終盤とすべて解説してはいるのだが、終盤では自然というのが一切出て来ない。終盤は、自然かどうかというよりは純粋に読みの世界になってしまうから仕方のないことだとは思うのだが、だったら最初っから序盤のみの解説に特化した方が「自然」を全面に出せてよかったと思う。半年間の講座であるために間が保たないとか、いろいろ事情があるであろうことは重々承知の上で、でももったいなかったと指摘したい。
それと、どうでもいい話なのだが、本書の図面番号はすべて通し番号になっている。最後の図面は314図(!)である。こういう番号の振り方は初めて見た(笑)。なんでこういう風にしたんだろう。

作成日:2014.12.27 
入門

第一線棋士! B級に落ちても輝け中年の星

第一線棋士!―B級に落ちても輝け中年の星
著者 :青野 照市
出版社:清流出版
出版日:2004-08-01
価格 :¥150(2024/02/07 08:24時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

青野2ch名人がいろんなところで書いたエッセイをまとめたもの。

将棋と違う世界の話を将棋にからませつつ、うまく話を転がしていくので、将棋を知っている人にとってはとても読みやすいエッセイになっている。また、昔の将棋界の話なども、実体験として非常にリアルに書かれていて(塾生の頃の話とか)、逆に将棋を知らない人が読んでも面白いのかもしれない。さすがにもう「将棋を知らない人」の気持ちは判らないので断言はできないが。

青野先生の人柄を反映しているかのような読みやすい文章と、選材のうまさで、あっという間に読めてしまう。まぁ、選材について言えば、「ドーハの悲劇」なんて言うのは勝負を知らない人の言葉で、知っている者にしてみれば必然の結果、とか、大丈夫なのかと思うものもないわけではなかったが、基本的にはのんびり面白く読めると思う。個人的には、盤駒の話が面白かった。

かなり前(2014年現在から見て10年以上前)に書かれたものではあるのだが、普遍的な内容が多いので、今の将棋ファンにも、というか今の将棋ファンにこそ読んでほしい一冊といえるだろう。

作成日:2014.12.27 
読みもの

一二三の玉手箱

一二三の玉手箱
著者 :加藤 一二三
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2007-02-01
価格 :¥43(2024/02/08 03:31時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

いや、まぁ、なんというか……加藤一二三の本。

内容は大きく3つあって、一つはNECビッグローブで配信していた「加藤一二三伝説」の抜粋。滝を止めるとか食事はいつも鰻だとか、そういう話を集めたもの。特筆すべきは本人のインタビューが載っている点で、本人の言い訳(笑)が聞ける。
二つ目は自戦記。これは将棋世界で連載されていたものだと思う。間に挟まれる宗教についての話などに見覚えがある。
最後はエッセイ。宗教や音楽、将棋などについて書かれている。

全編これ加藤一二三で、ひふみんヲタの人は絶対に買い。将棋界に興味がある人は、こういう棋界随一の名キャラクターを知っておくべきだと思うので読んでおいて損はないと思う。そうでない人は……時間があれば(笑)。
最近、棋士がちょっと笑いのネタになっているきらいがある気がする。しかし、本書を読めば、本人達はいたって真剣であるという、本当に本当に当たり前の事実がよく判るだろう。将棋も知らずに「ひふみん」などと言って笑い飛ばしているだけの人達にこそ、本当は読んで反省して欲しいと思う。

作成日:2014.08.04 
読みもの

佐藤康光の居飛車の手筋2 強襲・矢倉編

佐藤康光の居飛車の手筋 2(強襲・矢倉編) 3七銀戦法から対右四間飛車まで、緩急自在の佐藤流
著者 :佐藤 康光
出版社:山海堂
出版日:2007-08-01
価格 :¥499(2024/02/06 04:49時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『佐藤康光の居飛車の手筋1』に続く次の一手形式の解説本。第2段は矢倉である。
内容は基本の▲3七銀戦法に始まり、森下システム、右四間飛車、左美濃戦法。
先手番から見た矢倉であり、そういう意味では「公平な視点」で書かれている本ではない。
また、少し内容が薄すぎる気もする。例えば▲3七銀戦法は宮田新手あたりまでで、後手版の対策も△9五歩型に限られている(△8五歩型がない)。森下システムも端攻めや深浦新手がない。本当に「先手が成功する形」だけを紹介している感じだ。まぁ、入口で読んでもらう本であるので、これはこれでいいという気もするが。

vs右四間、左美濃といった形を取り上げているのもポイントが高い。ただし、右四間は△4二金対策に触れていないので、安易に使うと痛い目を見ることだけはとりあえず書いておく。使いこなしたいのであれば、別の棋書も参考にすること。

判りやすく矢倉の組み方・戦法の狙いが書かれているので、初段くらいまでの居飛車等は参考にして欲しい。有段者は知っている変化が多いので前半はいらないだろうし、例えば左美濃などは『対矢倉 左美濃作戦』といった本も出ているので、そちらを参考にした方がいいだろう。

実は、本シリーズは4巻出して(評判を見て)以下続刊、という予定だったようだ。巻末に広告が載っている。しかし、本書を出版後わずか3ヵ月後に出版社の山海堂が倒産してしまったので、34巻は出版されていない。vs中飛車・三間飛車と角換わり・横歩取りを予定したようだが、無責任な感想を言えば、とりあえず一通りは出して欲しかったなぁ……。

作成日:2014.06.29 
次の一手 矢倉

佐藤康光の居飛車の手筋1 四間飛車粉砕編

佐藤康光の居飛車の手筋 1(四間飛車粉砕編) 急戦から居飛車穴熊まで、緩急自在の佐藤流
著者 :佐藤 康光
出版社:山海堂
出版日:2007-05-01
価格 :¥623(2024/02/06 04:05時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

次の一手形式で解説する四間飛車破りの本。
急戦からは▲4六歩急戦とナナメ棒銀、持久戦は居飛車穴熊。あと、四間飛車穴熊に対する銀冠と、立石流対策、飯島流引き角戦法が掲載されている。基本的な四間飛車対策は網羅されている感じだ。

次の一手形式なので、通常の定跡書を読むように体系的に学ぶということはしづらい。その代わり、戦法を指す上での大体の雰囲気はつかみやすくなっていると思う。
ただ、その分内容は薄くなっており、立石流▲7七角対策などは、本当に狙いを示すだけに留まっている。まぁ、個人的な思い入れも強いので「こんな手は指さないだろー」と評価が厳しくなっている部分はあるのだが(笑)。

細かいことを言うと、本書の場合、珍しく「失敗例」がほとんど入っていない。よく「▲○○と指すと失敗する。振り飛車の立場に立って考えていただきたい」みたいな感じの問題があるが、そこはバッサリ切って、各問題の中で失敗例を解説するにとどめている。居飛車党にしてみれば「そんな立場なんて知らねーよ」と(笑)、まぁそこまで極端ではないにしろ、本書のように「どうやったら成功するか」を考えるだけでいいのになぁ……と思うことはよくある。なので、ホントにこういうことするんだ……と少し驚いた。

できれば体系だった棋書を読んでもらうことを前提として、こういう本をサブテキストとして活用すれば、棋力向上も早いのではないかと思う。棋書の性格上、買って手元に置いておくとよい、とまでは勧められないが、読んでみる価値は十分にある。

作成日:2014.06.29 
次の一手 四間飛車
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