2004

東大将棋ブックス中飛車道場 4 6四銀・ツノ銀

中飛車道場 第4巻 6四銀・ツノ銀 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-07-01
価格 :¥546(2024/02/05 22:37時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「終わり」と確か書いていたと思ったのだが、なぜか発刊された中飛車道場第4弾。
今回は矢倉(流)中飛車とツノ銀、風車について解説している。

矢倉流中飛車を簡単に説明すると……。
最初中飛車にして△5三銀△6四銀と強気に構え、相手が居飛車穴熊を目指してきたら△4五歩から△4二飛として捌きを狙い、また、相手の陣形によってはこちらが振り飛車穴熊に囲う……という硬軟織り交ぜた戦法である。
手順もシンプルなので、アマチュアでも十分に指しこなせるだろう。5二飛・6四銀という形自体は昔からあったが、居飛車穴熊に対して△4五歩~△4二飛で捌ける、ということを発見したのが矢倉流の功績だと思う。
最近徐々に増えている形でもあり、また、話題にもなっているので採り上げたのだろう。終わったものに追加する、というのに躊躇があったかもしれないが、この柔軟な姿勢は素直に評価したい。

一方、ツノ銀・風車の方は少し物足りなかった。
特に風車の方は、「~にて一局」ばかりでなんの面白みもない(笑)。いや、風車そのものが実戦的な戦法なので、解説がしづらいというのは判る。しかしそれにしても、もう少しなんとかならなかったのかと思う。

せっかくだから、矢倉流中飛車だけで一冊として、ツノ銀・風車でもう一冊、そっちは急戦持久戦をきちっと解説する……とでもしてくれればよかった。せっかく立ち上げ直したのだから、それくらいの筆は割いてもいいと思う。
矢倉流中飛車の解説を書いたものの、分量が足りなかったんでツノ銀と風車を足しましたぁ……みたいな感じでちょっと厭だ。

作成日:2004.07.19 
中飛車

新 谷川浩司全集 3

新谷川浩司全集 3
著者 :谷川 浩司
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-07-01
価格 :¥571(2024/02/08 14:39時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

新、となっているが3、というよく判らない題名になっているが、これはおそらく「新装丁」という意味だと思う。今回から、本の表紙がハードカバーっぽい厚い紙質になっていた。

内容自体は、そんなに変わり映えはしていない。いつもの通りの実戦集である。
冒頭にインタビューがついていたが、これはいままであったっけ……?(←買ってないので確認できない)

谷川ファンは買い。その他の人は、ちょっと微妙。本書に限らず、こういう類の本は、きちっと読みこなせる人でないと買っても意味がないと思うので。

作成日:2004.07.19 
実戦譜集

加藤流最強三間飛車撃破

加藤流最強三間飛車撃破 (新プロの将棋シリーズ 1)
著者 :加藤 一二三
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-06-01
価格 :¥1,000(2024/02/05 22:37時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

まさかここまでシリーズ化するとは思わなかったのだが、加藤大先生の第3弾が出た。
今回は三間飛車破り。三間飛車の本、というだけである程度貴重なので、その意味でも価値が高い本だ。

内容はオーソドックスな桂を跳ねて急戦、という変化から、『振り飛車破り超急戦ガイド』に載っていた桂を跳ねない急戦、棒銀から▲4六銀(4六銀戦法ではなく、▲4五歩のあとに単騎に銀が出て行く米長新手)まで、かなりバラエティーに富んだものになっている。これにまず驚いた。
次に驚いたのは、意外と三間飛車がよくなる変化も書いていること。『ホントに勝てる振り飛車』にもあるとおり、後手三間への仕掛けは成立しているようなので、まぁ先手(居飛車)有利になるというのは判らないではない。ただ、深浦本にある変化を否定していて、しかもそれが一応深浦本よりも深く解説してあるのだ。
具体的に言うと、深浦本では、▲4四銀で飛車を逃げても先手よし、というところで打ち切っている。しかし本書では、▲4四銀に飛車を見捨てて△4一香と打つ手を解説していて、▲3三銀成△4八香成▲同金△5七銀で振り飛車もやれるとしている。実際にその変化でやれるのかどうかはともかく、こちらの方が深く「解説」していることは間違いない。

正直、定跡編はゴーストなんじゃないの……? と思ってしまった。大先生らしさ(笑)がないのだ。それどころか、ところどころで「先程はこうやってダメだったので今度はこの手を……」といった感じできちんと立ち止まって解説してくれている。カトピンさんはこんな親切な書き方してたっけなぁ……?

まぁ、それだけ判りやすく書いているわけで、かつまたいろんな戦形についても触れているので、対三間飛車というものを一通り知っている……という初段前後の人は参考になると思う。ただし、変化をばっさり切っている戦形もあるので、その部分については自分で補完しなければならず、その点は少し苦しいかもしれない。
それより上の人にとっては「常識」の部分も多いだろうから、立ち読みor図書館で足りるだろう。逆にそれより下の人は、本書は少し難しすぎるかもしれない。別の本、例えば『ホントに勝てる振り飛車』などをまずは読むべきだろう。

あ、実戦解説とコラム(?)については、間違いなく本人が書いてます。本人電波がゆんゆん出てます。
よって、ファンの人は当然買い(笑)。

作成日:2004.07.01 
三間飛車

東大将棋ブックス三間飛車道場 1 居飛穴vs5三銀

三間飛車道場 第1巻 居飛穴vs 5三銀 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-06-01
価格 :¥800(2024/02/06 20:06時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

東大将棋シリーズが今度は三間飛車に進出してきた。
ここのところプロの三間飛車の採用も増えているようだし、アマチュアでは石田流を含めていまだに人気戦法の一つである。待っていた人も多いんじゃないだろうか?

で、第一巻はというと……

古いよ

今時真部流ってなんだよ……。
いや、中田功も本を出してるけど、やっぱ中田といえばXP。この△6四銀型は真部流だと思う。で、この指し方が出たのは昭和の頃。なにしろ『居飛穴なんかコワくない』に出ているのだから相当昔だ。
いまさらこんなこと解説されてもなぁ……。

まぁ、古い定跡をさらっておくのは大事なことだし、ひょっとすると新手もいくつか入っているのかもしれない。しかし、どうにも読んでいて新味がなかった。
どうせだったら、最近流行りの急戦定跡とか、XPとか、石田流とか、そういう方面で攻めて来てくれた方がよかった。厭な表現を使えば、本書は「とりあえず出した」感が強い。

余談を一つ。
真部流の場合、振り飛車が玉側の桂を跳ねるか跳ねないかが意外と悩ましかったりする。△8五桂の端攻めがあるために跳ねておきたい気がするが、前出の『居飛穴なんかコワくない』では、玉が弱くなるし、それより重要な手があるので跳ねない方がいい、となっていた。
ところが、誰だったか忘れたが、ある学生強豪は桂を跳ねる派だったらしい。
氏によると、まず真部流に組んで桂も跳ねる。で、機を見て△8五桂と端攻めに桂を跳ね出し、空いた7三に△7三銀と引いて玉を固めるんだそうな。この4枚美濃は相当固いので、穴熊にも攻め合い負けしないらしい。
白砂が学生の頃に又聞きで聞いた話なのだが、△7三銀という手の感触は今でも覚えている。
なんの参考になるか判らないが、ま、余談ということで(笑)。

作成日:2004.07.01 
穴熊

桂馬飛びはなぜ妙手を生むのか

桂馬飛びはなぜ妙手を生むのか―清朝・始皇帝の墓と囲碁・将棋の謎
著者 :永松 憲一
出版社:新風舎
出版日:2004-06-01
価格 :¥305(2024/02/08 01:18時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

なんと言うか……。

わけわからん。

実戦における桂馬飛びの妙手を抜き出し、なぜそれが妙手となったのか、また、なぜそれが妙手に見えるのか、そのメカニズムを探る……という本ではない
なんだか六角形がどうとか、囲碁だのチェスだの他のゲームではどうとか、歴史的に見てうんちゃらとか、はっきり言ってしまうと、

これ将棋の話じゃない

立ち読みでよかった……(笑)。

少し真面目な話をすると、内容そのものはとりあえず面白く読めた。白砂は数学とか嫌いじゃないんで。ただ、最初に述べた通り、将棋の本だと期待して読むと泣くことになる。
もう一度読むか……? と聞かれると困るけど。

作成日:2004.07.01 
読みもの
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