2003

羽生善治の必殺の一手100 羽生マジック傑作選 五冠獲得と早指しの妙技

羽生善治の必殺の一手100―五冠獲得と早指しの妙技
著者 :森 鶏二
出版社:日本文芸社
出版日:2003-02-01
価格 :¥652(2024/02/08 14:48時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

羽生の勝った将棋を集めて、次の一手形式で出題する。題材は、藤井竜王との激戦を制したあの竜王戦を基点として、そこから遡って100局分の将棋である。まぁ最近の将棋と言ってもいいだろう。
単純な次の一手だけではなく、そこに至るまでの簡単な解説と、巻末には実戦譜が収録されている。羽生の実戦譜集だと思って購入するのもありかもしれない。

図書館に入荷されたので手にとってみたのだが、はっきり言って難しい。さくさくっと見ただけではあるが、2/3くらいしか判らなかった。
しかも、解説がかなり不十分。中盤くらいの将棋を題材にして、正解手とそこからはっきり良くなるまでの棋譜を書き、なのに図面が投了図。なんじゃそれは(笑)。図面がない上に手の意味もあんまり説明してくれないので、手順を頭の中で追えない人は盤に並べて確かめるしかない。それか読み流すか(笑)。
とはいえ、たかが(と敢えて言ってしまう)次の一手に盤駒を引っ張り出してくるとも思えないし、級位者が手順を追えるとは思えないので(頭の中の盤をきちんと動かせたら、初段は確実にあると白砂は思う)、きっと級位者の人は読み飛ばすことになると思う。つまり、この本は「読者を選ぶ」。

評価の方は、そういうことを考えて上のようになっている。有段者にはお勧めかといえばそんなに強く勧められるものではないが、既存の次の一手よりは遥かに骨がある。

ただし。
羽生マジックは、あんまり出てこない(笑)。看板にでっかい偽りあり、だと思う。

作成日:2003.03.13 
次の一手

編集者T君の謎 将棋業界のゆかいな人びと

編集者T君の謎 将棋業界のゆかいな人びと (講談社文庫)
著者 :大崎 善生
出版社:講談社
出版日:2006-07-12
価格 :¥131(2024/02/07 08:23時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

いわゆるエッセイ集というやつで、将棋界のいろんなことについて面白おかしく(というとちょっと否定的なニュアンスになっちゃうのか)書いている。昔「将棋世界」の編集長だっただけあってそのテの裏話には事欠くことはなく、それで「週刊現代」という将棋と全然関係ない雑誌でも連載ができたんだろう。

面白く読めたのだが、個人的にはちょっと著者がうるさい(笑)感じがした。こういう読み物の場合、書いている当人というのはあんまり表に出てこなくていいと思うのだ。もちろん、受け止めたことを書くわけだから著者が前に出ないと始まらないのだけれど、この本の場合、なんだか個人の自慢話を聞いているような感じになってちょっと厭だった。まぁ、ホントに個人的な話なんだけど。
それから、この本には高橋和のことが書いてある。その原稿を書いた時に既につきあっていたのか結婚の約束をしていたのか、そんなことを考えながら読むとより楽しめると思う。

作成日:2003.02.19 
読みもの

ホントに勝てる振り飛車 先崎学式将棋レクチャー&トーク

ホントに勝てる振り飛車 (先崎式将棋レクチャー&トーク)
著者 :先崎 学
出版社:河出書房新社
出版日:2003-01-01
価格 :¥209(2024/02/08 03:04時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『ホントに勝てる四間飛車』に続くホントに勝てるシリーズ第2弾。既に「~穴熊」が発行予定だそうで、これは初級者にやさしいシリーズ本の誕生かもしれない。
本書は三間飛車、中飛車、向かい飛車を扱っている。
どれもよくある形で、かつ既存の定跡書でさんざん語られた部分ではある。しかし、できるだけ初級者に判りやすく書こうというコンセプトで作られているせいか、非常に読みやすくかつ理解しやすい。こういうたとえがいいのかどうか判らないが、同じ道を走っているのに違う景色を見ているような感じがする。一応は有段者の白砂でもそうなので、初段以前の人は立ち読みでもいいから是非一度は読んでみて欲しい。

定跡書はどうあるべきか、というのは非常に難しい問題だと思う。「羽生の頭脳」はその一つの回答だと思うし、東大将棋本もまた一つの回答だと思う。指しこなす本シリーズもまたそうだろう。
本シリーズは、それらとはまた別の、非常に魅力ある一つの回答だと思う。

もちろん、本書を読んだだけでホントに勝てるわけではないのだが(笑)、それでも、ホントに実力がつくことだけは約束できる。

作成日:2003.02.19 
振り飛車全般

ホントに勝てる四間飛車 先崎学式将棋レクチャー&トーク

ホントに勝てる四間飛車 (先崎式将棋レクチャー&トーク)
著者 :先崎 学
出版社:河出書房新社
出版日:2002-12-01
価格 :¥3,327(2024/02/05 22:20時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

先崎と言えばエッセイ、と言ってしまっては少しかわいそうだが、そういうイメージというのは多少なりともあると思う。その先崎が、定跡書を書いた。
とはいってもそこは先崎。「東大将棋ブックス」シリーズのような難解なものではなく、あくまでエッセイに近い語り口で易しく振り飛車について解説している。

解説しているのは表題の通り四間飛車で、山田定跡、鷺宮定跡、早仕掛け、棒銀、といった急戦から左美濃、穴熊の持久戦まで、およそ普通に指していて生じそうな形がほとんど網羅されている。
しかも、単純な手のやり取りよりも、序盤の構想や中盤での方針など、初級者や中級者が悩みそうな難しいテーマについて多くの筆を割いている。そのため、「四間飛車を指すコツ」のようなものがよく判る。有段者の目から見れば少し都合がよくないかぁ? という変化もないではないが、この本の趣旨はそういうところにはないのでそれを言うのは野暮というものだろう。この本を読みこなしていけば、(序盤中盤に関してだけ、だけど(笑))初段くらいまでなら間違いなく行けると思う。
続編の「ホントに勝てる振り飛車」も面白く、シリーズ化してくれると嬉しい。

作成日:2003.02.19 
四間飛車

最強四間飛車マニュアル 急戦編

最強四間飛車マニュアル―急戦編
著者 :久保 利明
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2002-12-01
価格 :¥75(2024/02/07 11:10時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

タイトル戦にも登場したことがある久保の振り飛車定跡書。
内容を急戦に絞り、先手後手それぞれの振り飛車について解説している。棒銀については別に項を設けて詳しく解説している。他の本でも棒銀についてだけやけに詳しく書いていたが、何か理由でもあるのだろうか? ひょっとして加藤一二三がきら(略。

内容はそれなりに高度だが、有段者であれば知っている変化が多い。2段とか3段の人が、改めて知識を確認するにはいい本だと思う。初段くらいまでの人は形を覚えることに重点を置いた方がいいだろう。
図面と解説が多い東大将棋本のようで、読めるのではあるか何故か見づらい。細かいことを言うとインクの濃さとか、そういうものまで気になってしまう(笑)。もっともこれは個人的なことなので、人によっては単なる言いがかりにしか聞こえないかもしれない。実際に手にとって確認してみて欲しい。
どーーーーしても本書でないといけない、という変化はないと思うので、読みにくかったらそんなに無理して読む必要はないと思う。

作成日:2003.02.19 
四間飛車
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