振り飛車全般

ホントに勝てる振り飛車 先崎学式将棋レクチャー&トーク

ホントに勝てる振り飛車 (先崎式将棋レクチャー&トーク)
著者 :先崎 学
出版社:河出書房新社
出版日:2003-01-01
価格 :¥209(2024/02/08 03:04時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『ホントに勝てる四間飛車』に続くホントに勝てるシリーズ第2弾。既に「~穴熊」が発行予定だそうで、これは初級者にやさしいシリーズ本の誕生かもしれない。
本書は三間飛車、中飛車、向かい飛車を扱っている。
どれもよくある形で、かつ既存の定跡書でさんざん語られた部分ではある。しかし、できるだけ初級者に判りやすく書こうというコンセプトで作られているせいか、非常に読みやすくかつ理解しやすい。こういうたとえがいいのかどうか判らないが、同じ道を走っているのに違う景色を見ているような感じがする。一応は有段者の白砂でもそうなので、初段以前の人は立ち読みでもいいから是非一度は読んでみて欲しい。

定跡書はどうあるべきか、というのは非常に難しい問題だと思う。「羽生の頭脳」はその一つの回答だと思うし、東大将棋本もまた一つの回答だと思う。指しこなす本シリーズもまたそうだろう。
本シリーズは、それらとはまた別の、非常に魅力ある一つの回答だと思う。

もちろん、本書を読んだだけでホントに勝てるわけではないのだが(笑)、それでも、ホントに実力がつくことだけは約束できる。

作成日:2003.02.19 
振り飛車全般

島ノート 振り飛車編

島ノート―振り飛車編
著者 :島 朗
出版社:講談社
出版日:2002-12-01
価格 :¥1,392(2024/02/07 07:27時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

振り飛車vs居飛車についての研究書
定跡書、というと特定の形を指す感じがするので、ここではあえて研究書という表現を使いたい。それくらい、王道としての定跡だけでなく、ちょっと変わった戦法など膨大な考察が書かれている。

まず素直に驚いた。
これだけの研究を、アマチュアのために惜しげもなく公開してくれたヅラ……じゃなかった著者には敬意を表したい。ホントにすごい。
いくつか既出の手もないわけではないが(たとえば石田流封じに対抗する343戦法。学生のころ、すでに白砂が会報に発表しているくらいメジャーだった)、それを上回るだけの新戦法、新研究がたくさんある。

「基本」と「発展」のふたつにページを分けているのも好感が持てる。
だいたいこういう奇襲の本では、本書の「基本」に書かれている「うまくいった部分」だけを取り上げておしまい、という感じになる。本書はさらに「発展」の項を設けて、細かい枝分かれの変化、その先の実戦解説など、有段者でも満足できるようにきちんとフォローをしている。ここまで懇切丁寧に解説してもらえれば、その手順にも説得力が出ようというものだ。

手紙で質問をできる、などという新機能(昔、別の本であったらしいが)も話題だが、そんなことよりなによりこの研究量である。本書の魅力はそれに尽きる。
初心者から有段者県代表クラスまで、というヒキ文句は「下限」に関してはちょっと怪しいが、上が県代表クラスというのは間違いない。自分が有段者だと思ったら即買いだし、後々の棋力向上のことを考えても、5級くらいまでの人なら持っていて損はないだろう。それより下の人は、申し訳ないがもっと他にやることがあるはずだ。
「渾身の、一冊です」と著者が語るとおり、まさに毛根を削って……あ、いやいや、とにかく渾身の一冊だろう。

1,800円という値段は決して安くないが、内容を考えれば決して高くはない。できることなら皆さんも買ってほしい。売上がよければ、今後のシリーズ化も夢ではないと思うから。

作成日:2002.11.29 
振り飛車全般

週刊将棋の伝説シリーズ2 左美濃伝説

左美濃伝説―秘法巻之弐
著者 :週刊将棋
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:1991-08-01
価格 :¥1,061(2024/02/06 08:41時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

左美濃といえば、プロ間では4枚美濃を指すと言っても過言ではないが、本書で紹介しているのは3枚美濃である。
右銀は攻めに使う。対振り飛車急戦で使われる▲4六銀戦法のように攻める。▲4六銀戦法の破壊力に、左美濃の堅陣をプラスしたのが本書で紹介されている指し方である。

非常に詳しく、また、微妙な形の違いにまで踏み込んでよく解説してある。一通り読みこなせばとりあえず実戦で使えるくらいの完成度にはなっているだろう。東大将棋部だかどこだかが編集に携わったという話をどこかで読んだことがあったが(違ってたらごめんなさい)、なるほど確かに実戦の臭いと研究の薫りがする。

先にも述べた通り、現在のプロで振り飛車と言えば藤井システムなので、この形になることはまずない。しかし、だからこそ我々アマチュアにとってはチャンスなのである。みんなが知っている戦形はみんなが詳しく研究している。みんなが知らない戦形を指すからこそ、自分の土俵に引きずり込めるというものだ。
逆に言うなら、指されて困るからこそ普段からこういった「あんまり見ない形」も勉強しておく必要がある。本になっているのだ。読者は何千・何万といる。次に自分の目の前に座った彼氏彼女がその読者かもしれない。
その時に困らないためにも、是非ともチェックしておきたい。

作成日:2001.07.20 
振り飛車全般

攻める振飛車の急所

攻める振飛車の急所 (王将ブックス DELUXE版 F 実戦振飛車シリーズ 2)
著者 :北村 昌男
出版社:北辰堂
出版日:1986-11-01
価格 :¥880(2024/02/06 20:27時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

メリケン向飛車や石田流、位取り中飛車といった、それこそ昔の縁台将棋に出てきそうな変態戦法を紹介している。私がメリケン向飛車を指し始めたのは実は本書を読んだからである。
都合のいい指し手はあるものの、変態戦法の「心得」のようなものが感じられる点は買える。この『王将ブックス』は全体的にそういう作りが感じさせるので、級位者はいろいろ買って読み込むといいだろう。
ただ、くどいようだがこのシリーズの「定跡手順」が実戦で通用するほど甘くはないので、その辺を頭の隅に入れておくともっといいと思う。

作成日:2001.07.20 
振り飛車全般

定跡外伝

定跡外伝 (MYCOM将棋文庫 3)
著者 :毎日コミュニケーションズ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-12-01
価格 :¥132(2024/02/07 09:03時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

巷には定跡書があふれている。
しかし、当然のことながらそれらの定跡書は「すべての変化」を解説してあるわけではない。紙数の都合もあるだろうし、すっきりと優勢にならないから掲載しないということもあるだろう。ひどいのになると、不利になると困るから言わない、なんていうケースもあるかもしれない(笑)。かくして、「定跡書なんて役に立たないよ」なんて陰口がささやかれることになる……。

本書は、そんな「定跡外の定跡」を解説している。
むろん、プロやアマ高段者は当然知っている変化だ。定跡よりも常識の範疇かもしれない。しかし、初段をちょっと過ぎて「定跡書なんてさぁ……」と言っている人には目からウロコがぼろぼろ落ちることうけあいである。
ちょっとウソっぽいな……という変化がないわけではないのだが、それもほんの数ヶ所。全編ほとんどが「実戦的な定跡書」である。表紙に書かれた「将棋の裏ワザ教えます」の言葉はウソではない。
基本となる定跡を知っていないといけないので、それがまだおぼつかない初段くらいではちょっと難しいかもしれない。しかしその少し上くらいの人にはお薦めである。もちろん、高段者は知っていて当然、ぜひ目を通しておいてほしい。

作成日:2001.07.20 
振り飛車全般
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