振り飛車

渡辺明の居飛車対振り飛車〈1〉中飛車・三間飛車・向かい飛車編

渡辺明の居飛車対振り飛車 I 中飛車・三間飛車・向かい飛車編 (NHK将棋シリーズ)
著者 :渡辺 明
出版社:NHK出版
出版日:2008-02-13
価格 :¥1,100(2024/02/07 09:03時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

NHK将棋講座の内容をまとめた居飛車vs振り飛車の解説書。全2冊で、1の本書は四間飛車以外の中飛車、三間飛車、向かい飛車を取り上げている。

現代将棋イコール穴熊、対振り飛車イコール穴熊、という事情もあってか、居飛車穴熊とその周辺に多くの筆が割かれている。
中飛車編ではまず急戦の変化を取り上げ、これに代わって居飛車穴熊が出現して中飛車を撃破、対して振り飛車側はゴキゲン中飛車でそれを迎え撃つ……というような感じである。
三間飛車も同様に、まずは急戦の変化を取り上げ、実戦的には大変という結論のあと、居飛車穴熊の出現、そして、それに対抗して(?)升田式石田流に話が進む。向かい飛車などはハナから居飛車穴熊の話しか出てこない。
これはもう、前述のとおり、現代の常識がそうなっているから仕方がない、としか言いようがない。白砂のような古い人間だとなんとなく物足りないのだが(笑)、使わない定跡の変化を長々と解説されるよりは実践的といえる。

非常に読みやすく、また、変化を必要最低限に抑えて、戦法の指し方、考え方、出現した理由など、概論的総論的な書き方をしている。NHKの講座単位という事情のためだろうが、入門書としてはそれがいい方に働いているように感じた。
振り飛車を指す人も居飛車を指す人も、とりあえず形を覚えたら次は本書で少しだけ深くお勉強、というのが、使い方としてはいいだろう。戦法解説の中級編とでもいうべき内容なので、初級者には少し難しいかもしれないが、ちょっと強くなったり壁にぶつかっている人は一度読んでみるといいと思う。単純に形を覚えるという以上に、その戦法の持つ思想がよく伝わってくる。

作成日:2008.03.24 
振り飛車全般

世紀末四間飛車 急戦之巻

世紀末四間飛車 急戦之巻
著者 :櫛田 陽一
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:1990-12-01
価格 :¥932(2024/02/05 22:20時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『スーパー四間飛車』の小林八段とほぼ時を同じくして出てきた振り飛車党に櫛田五段がいる。その彼の書いたのがこの世紀末四間飛車シリーズである。本書はその1巻目。急戦について扱っている。

内容はナナメ棒銀、▲4五歩早仕掛け、棒銀、5筋位取り、▲4六銀、右四間飛車と一通り。いずれも居飛車先手四間飛車後手で解説されている。

△3二銀で待機せず、さっさと△4三銀と上がっておいて十分、というのが世紀末流で、現在の視点から見るとやや荒い感じはする。たとえば『東大将棋ブックス四間飛車道場 第6巻 最強1二香』『四間飛車の急所 4 最強の4一金型』などは「通常の形では振り飛車がやられるから形を変えよう」という思想に基づいてシステム化されている。
しかし、とにかく美濃囲いに組んで△4三銀と上がって、この形を組んでしまえばあとはどうとでもなる、というある種の開き直り(笑)はアマチュアにとってありがたいことでもある。細かいことをこちゃこちゃやりたい人は8五飛戦法でも指していればいいのだ。振り飛車は暴れてナンボである(←暴言)。

というわけなので、厳密には少し振り飛車が苦しいのかもしれないが、そんなことを気にせずまず形を覚えよう、という初段前後くらいまでにはお勧めの本。

もっとも、そもそも新刊では手に入らないだろうが……

作成日:2007.09.21 
四間飛車

世紀末四間飛車 持久戦之巻

世紀末四間飛車 持久戦之巻
著者 :櫛田 陽一
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:1991-05-01
価格 :¥665(2024/02/06 21:30時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『世紀末四間飛車 急戦之巻』に続く世紀末四間飛車シリーズ第2弾。本書は。持久戦を扱っている。

内容は玉頭位取り、5筋位取り、左美濃、居飛車穴熊。左美濃に▲8八玉型があるあたり、時代を感じさせる。
あいかわらず不親切な(笑)解説で、場合によってはおいこれで本当に振り飛車有利なのか? という局面もある。鈴木大介よりすごいかもしれない(笑)。

作成日:2007.09.21 
四間飛車

東大将棋ブックス四間飛車道場 第1巻 ミレニアム

四間飛車道場 第1巻 ミレニアム (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2001-10-01
価格 :¥200(2024/02/06 12:40時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

東大将棋ブックスのシリーズの栄えある1冊目。当時流行していたミレニアムを扱っている。この当時はまさかあと16冊も出るとは思わなかったが、しかし、衝撃的なほどに内容が濃かったことは間違いない。

内容は、

▲6七金型
早めに▲6七金と上がって桂頭を守る。
▲6六角型
▲6六角▲7七桂から▲8九玉と引き、▲8八銀▲7九金▲7八金とガチガチに囲う
▲5五角型
やや特殊な形。振り飛車を牽制する狙い

となっている。
『四間飛車の急所1』などの新しい本を読むと、本書の振り飛車はやや無策で、ミレニアム側に都合がいい手順が多い。しかし、当時はそれだけミレニアムに対する距離感がわからなかったということの証左でもある。
東大将棋シリーズらしい丁寧でない編集(<ごめんなさい)のために非常に読みづらいのだが、内容はギッチリ詰まった良書である。

作成日:2007.09.21 
四間飛車

飯島流引き角戦法

飯島流引き角戦法 (MYCOM将棋ブックス)
著者 :飯島 栄治
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2006-12-01
価格 :¥239(2024/02/07 13:05時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

元々は対藤井システム用に開発した戦法を、総合的な振り飛車退治戦法に昇華させたのがこの「引き角戦法」である。
角道を開けないことで、振り飛車からの角筋の脅威から逃れている。また、変態戦法の「平美濃返し」のような感じで玉を囲っていくので、持久戦にも対応できる。

内容は、まず通常の四間飛車について解説し、続いて中飛車、向かい飛車と続く。朝日オープンで登場した藤井-羽生戦は向かい飛車で、本書にもその解説が一部載っている。

「話としては面白い」というのが一読しての感想で(笑)、冒頭羽生の言葉ではないが、飛車先不突きがあるなら角道不突きがあったっていいじゃないか、というのはまぁわからなくもない。烏指し戦法と違うのは現代には穴熊を代表とする「玉を固める」という思想があることで、これにより単純な奇襲戦法から立派な変態戦法に昇格したと言ってもいい。

ユニークな戦法だと思うが、「玉を固める発展性があるから有利」とか、意外と地味な部分が多いので、初段くらいの棋力では指しこなすのは難しいような気がする。高段者はやる方もやられる方も必須。一度は目を通しておくべきだ。

作成日:2007.09.04 
振り飛車全般
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