大局観

これで簡単形勢判断

これで簡単形勢判断
著者 :高野 秀行
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2001-09-01
価格 :¥1,320(2025/10/27 16:16時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「大局観」に関する著書は意外と少ないが、その最新刊になると思う。『これにて良し? 四間飛車VS急戦定跡再点検』の続編といってもいい内容である。
基本的なコンセプトは前回と変わらない。従来から言われている形勢判断の4つの要素……駒の損得、玉型、駒の働き、手番……を分析して、現在の局面の形勢判断をするというものである。初級者にとっては大事なことなので、本書を読んで勉強するのはいいと思う。

ただ、題材が「ありきたり」というかそんなにたいしたものではない(と白砂は感じた)ので、初段以上の人が改めて読むのはどうだろう、という気がした。いくつか面白い変化はあったので損はしないと思うが、かといっておぉそうかと感銘を受けるほどではない。
個人的に言わせてもらえば、本当にプロが本書のような形勢判断法をもって形勢判断を行っているのかどうかが気になる。なんかこの4つの要素というのは「使い古された感じ」がしてしまうのだ。
例えば「駒の働き」という項目。なにをもって働いているかをどうやって判断するか、というのが形勢判断方のひとつだと白砂は思うのだがどうだろう。「それがわかりゃ苦労しねえんだよ」みたいな(笑)。非常に抽象的だと思う。
逆にプロになればなるほどそういう部分は「感覚」でわかるようになってくるので、それを文字にして伝えるのは難しいのだとは思う。しかし、初級者の底上げのために本当に役立つのはそういう感覚の部分を数値化・言語化することだと白砂は考えている。その点、ちょっと本書には不満がある。

もちろん、それこそ「それができりゃ苦労しねえんだよ」というプロの声が聞こえてきそうな贅沢な要求なのだが(笑)。

作成日:2001.09.28 
大局観

佐藤康光の戦いの絶対感覚

佐藤康光の戦いの絶対感覚 (最強将棋塾)
著者 :佐藤 康光
出版社:河出書房新社
出版日:2000-01-01
価格 :¥727(2025/10/27 16:16時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

序盤中盤終盤の各局面での考え方について、佐藤康光の考え方を解説していくことによって習得しようという内容。『読みの技法』の佐藤先生特別レッスン版といえばいいだろうか。

非常に高度な内容なので、有段者でないと理解できないかもしれない。懇切丁寧に解説しているようでいて、基本的な大局観などは「すでに持っているもの」として解説しているので、基本ができていない人が読んでもきっとチンプンカンプンだと思う。そういう意味では非常に読者を選ぶ本である。
もっとも、佐藤の大局観を解説してもらっているわけなのだから、簡単なわけがない。これは仕方がないというものだろう。

作成日:2001.07.20 
大局観

実戦!!森内の次の一手 勝利の三段論法、優駿流ここでどう指す

実戦森内の次の一手: 勝利の三段論法、優駿流ここでどう指す (森内優駿流棋本ブックス)
著者 :小暮 克洋
出版社:主婦と生活社
出版日:2000-08-01
価格 :¥1,045(2025/10/29 08:37時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

森内優駿流(どうもこのネーミング好きになれないんだけどなぁ……)シリーズの一冊。現状を正しく認識し、それを踏まえてどうすべきか方針を立て、指し手を決定するという考え方の本である。
一度読んでみるのはいいかもしれないが、そんなに凄い本でもないなぁ……というのが正直な感想。ただ、初段直前くらいの人で、「茫洋とした局面でどう指せばいいか判らない」と感じている人は一度手にとって見るといいかもしれない。なにか発見があるかもしれない。

……かも、だけど。

作成日:2001.07.20 
大局観

週刊将棋の伝説シリーズ4 大覇道伝説

秘法卷之参大覇道伝説
著者 :週刊将棋
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:1991-09-01
価格 :¥2,598(2025/10/30 06:10時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

定跡をなぞって進行している間は、将棋を指していてもあるていど気が楽なものである。
しかし、一度定跡を離れると、自分の大局観と読みがすべてを決めることになる。これは楽しくもあるが、同時にとても怖いことだ。特に「腕力」に自信がない人にとっては、その恐怖感はより強いものになる。
本書は、そういった定跡を外れた局面、漠然とした場面での指針を解説したものである。特定の戦形に限らず、序盤での差し手争い、中盤でのもみ合い、終盤での競り合いすべてについて解説をしているので、非常に「お得感」が強い。

大局観という形にしにくいものを表現することに挑戦し、そして成功した良書と思う。

作成日:2001.07.20 
大局観

読みの技法

読みの技法 (最強将棋塾)
著者 :島 朗
出版社:河出書房新社
出版日:1999-03-01
価格 :¥402(2025/10/27 15:29時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

島八段が出題する局面について、羽生・佐藤・森内の三者が自分の「読み」を披露する。局面は漠然としたものが多く、次の一手のように厳然たる正解が存在するものではない。つまり、トッププロの三者が「実戦でどう読んでいるか」が正直に書かれているのである。
実際にその局面に出会った時、どういう風に読みを展開していくのがいいのか。棋風の違いなども考慮しつつ読むと読み物としても楽しめる。

このシリーズは全体的に有段者向けに書かれているので級位者には辛いかもしれないが、それでもできれば手に取ってほしい。
もちろん、有段者は必携である。

作成日:2001.07.20 
大局観
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