仕掛け

失敗しない仕掛け

失敗しない仕掛け
著者 :小野 修一
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2001-04-01
価格 :¥49(2024/02/07 23:13時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

定跡を覚えたとしても、まったくそのとおりに相手が指してくれるとは限らない。それはそのとおりで、不利になる定跡にみすみす踏み込んでくれるなんてことはそうそうない。そうでなくても、定跡から離れる、あるいは離れる直前というのは怖い瞬間である。そこから先、頼れるのは自分だけなのだから。
そこで本書では、その「定跡での仕掛け周辺」に焦点を絞り、仕掛けの時期、開戦の方法を解説する。

初心者や初段前後の人達には特に参考になる棋書だと思う。しかし、実際に読んでみるとほとんどが定跡をなぞっているだけなので、定跡を知っている人にとってはあまり意味がない。極論をするならば、本書を読むくらいならば定跡書をもっと読め、という感じである(笑)。特色を出したいのであれば、もっと「定跡の類似形」を例にとって解説して欲しかった。
逆に言うなら、本書は定跡のエッセンスを集めた「カタログ集」でもある。そう割り切って読むのであれば、初段前後の人達にはやはりお奨めである。
4段以上の人達は、本書に載っているくらいのことは知っていて当然なので、読む価値はあまりないだろう。

作成日:2001.07.20 
仕掛け

仕掛けの時期 攻めの原点を探る

仕掛けの時機―攻めの原点を探る (1980年) (初段に挑戦する将棋シリーズ)
著者 :大内 延介
出版社:創元社
出版日:1980-06T
価格 :¥126,683(2024/02/06 04:48時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

中盤の入り口、つまり仕掛け周辺の指し手について、実例をあげながら具体的に解説している本である。形も相居飛車、対振り飛車、振り飛車とひととおりそろっていて、しかもそれぞれが豊富である。
定跡外れの形も数多くあり、また、ほとんどがプロの実戦から採ったということで、そういう意味では説得力もある。しかし……。

まず、例題がバラバラに載っている。例えば居飛車編の場合、矢倉を解説したあと角換わりに行き、再び矢倉に戻り、そして相掛かりといった感じになっている。だったら矢倉だけをまとめればいいのに、しかもできるだけ類似した形はページを近くした方がわかりやすいのに、わざとのようにバラバラにしてある。最初は手筋の種類によって分けているのかと思ったがそうでもないようだ。この辺については本当に意味がわからない。
また、「ほとんどが」プロの実戦ということだが、ちょっと疑わしい。
というのも、題材はすべて(読みやすさの都合上)先手番となっているのだが、その直前の後手の指し手が意味不明なのだ。例えば相矢倉で後手の指し手が△6二銀。形を見るに、どう考えても5三から引いた銀である。そして先手から▲3五譜△4五歩▲同銀以下つぶされるのである。どこの世界にそんな支離滅裂な指し手をするプロがいるのか。
初心者向けにわかりやすく解説する、という意図は判るのだが、「矢倉崩し」や「美濃崩し」以上に都合のいい図面が並んでいると、「ええかげんにせぃやコラ!」と言いたくなる。

加えて、あまりに手将棋の例題が多すぎる。いや、定跡をなぞっても意味がないとは思うのだが、それにしても無理がありすぎる。つかみ合い殴り合いの将棋で仕掛けの手筋を解説するというのでは、初心者にはわけがわからないんではないだろうか。

と、そういうわけで若干(もとい、かなり)点は辛めに設定してある。なによりも都合が良すぎるというのが大きなマイナス点である。
仕方ない気もするのだが……。

作成日:2001.07.20 
仕掛け
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