終盤・寄せ

詰めと必至ハンドブック

詰めと必至ハンドブック
著者 :内藤 國雄
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2006-03-01
価格 :¥375(2024/02/08 01:38時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

初級者から中級者向けくらいを対象にした、易しい必死集。
簡単な1手必死120問と、少し難しい1手必死30問とからなる。

終盤を鍛えるなら詰将棋より必死の方が実践的で、というか必死はその中に詰将棋を内包しているため、読みの長さが少し多く必要になる。そのため、たった1手の必死とはいえ、詰将棋に直すと5手とか7手分を読むことになる。読みの訓練になるのも納得というものだ。
本書では、前段として詰みの形について解説し、どの持ち駒があれば詰むかという練習問題でウォーミングアップする。それから1手必死に入っていくので、徐々に読み筋が深まっていくのだがあまり気にならない。

問題数、問題の質ともに、初段以下の人には最適だと思う。

こういう良質な必死本を読むと、必死と詰将棋を合わせた本というのも欲しくなってくる。
問題が提示されるが、詰むかどうかが判らない。詰ますか必死をかけるかという選択も同時に迫られる。応用問題として、詰みも必死もかからないのでいったん受けに回るとか、2手スキをかけて勝ちとか、そういう問題がところどころに入っているとなおいい。
浅川書房あたりで一つよろしく(笑)。

作成日:2006.07.08 
終盤・寄せ

羽生善治の終盤術1 攻めをつなぐ本

羽生善治の終盤術(1) 攻めをつなぐ本 (最強将棋21)
著者 :羽生 善治
出版社:浅川書房
出版日:2005-12-22
価格 :¥1,430(2024/02/07 06:05時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

浅川書房がついに動いた。羽生を担ぎ出しての大局観解説本である。
シリーズ第一巻は「攻めをつなぐ本」。主に中盤戦たけなわの局面から最終盤までの局面について、考え方や指し手の方向性について解説している。

ただ、実際の体裁は「解説」ではなく、次の一手の出題という形になっている。『読みの技法』系の体裁を期待していた白砂はちょっと拍子抜けだった。実際、一通り読んでみた感想としても、「これちょっと……」だった。
ちょっと、の原因は単純なことで、解説の量と解説の質が一致していない。一言で言うと「解説が少なくてわかりづらい」。非常に高度な解説をしているので、次の一手の回答としての解説量だと少なすぎるのだ。
また、一局を数問に分けて出題している。そのため、その局の最後の方の問題では「読む手数」が少なくてすむが、最初の方では成算が持てる局面に持っていくまでの読む手数はかなり長くなる(ややこしい表現で申し訳ない)。まえがきには「7手詰めが読める程度の棋力があれば……」とあるが、上記の理由により、それはちょっと疑問だと思う。

まぁごちゃごちゃと書いたが、要は「せっかく高度なことを書いているのだから、それに見合う編集形式である講義形式にしてほしかった。次の一手形式ではその効果が半減する」ということである。

……ところが。

騙されたと思って、もう一度読み返してみて欲しい。
できれば一読した後すぐがいい。「答えを知っている」状態でもう一度読むのだ。

するとあら不思議(笑)。次の一手形式だった体裁が、図面を豊富に使った解説本へと一変しているではないか。
要するに、「次の一手として問題を考える」→「答えを見る」→「解説を読む」というステップが、非常に「疲れる」ものだったのだ。答えを考えるという思考と、解説を読んで理解し吸収するという思考とは違うということなのだろう。再読した場合は、純粋に解説だけに集中して読めるために、思考の流れというかパターンが一つで済むために疲れず、非常に判りやすく読める。
実際のところ、これは単純に白砂の棋力では理解しづらいほど高度なことをやっているだけかもしれないのだが(笑)、とりあえず白砂の場合はそうだった。そういう読み方をすると、図面一つ一つに解説が入り、手の流れを説明して最後に理論を総括するという実に丁寧な解説本として読める。

この読み方が正しい、と言うつもりはないが、「一読してもよく判らん」と思った方はぜひとも試してみて欲しい。きっと効果はある。本書で説いているものを吸収できないのはもったいない。
もちろん、それでも難しいと感じることもあると思う。しかしそれは仕方がない。それだけかなり難しいことを説明しようとしている本なのだ。本書は。

作成日:2006.01.08 
次の一手 手筋 終盤・寄せ 大局観

終盤の鬼 森信雄の強くなる将棋

終盤の鬼―森信雄の強くなる将棋
著者 :森 信雄
出版社:山海堂
出版日:2005-08-01
価格 :¥575(2024/02/07 13:02時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

次の一手形式で寄せの勉強をする本。

最初にちょっとした解説ページがあり、そのあとはひたすら問題を解いて鍛えていく方式である。
ちょっと面白いのが、問題のページにヒント図面があり、「▲○○○という手ではこうなってダメ」みたいなものが図入りで載っていること。こういう、最初に失敗図を示すという形式の問題集は初めて見た。
要するに、問題形式にはなっていても、その実これは講義形式であり、だから問題を解くというよりはどんどん読み進んでしまっても構わないようになっている。一通り読む(図面を見る)ことによって、寄せの形や手順を叩き込むという本だ。

問題自体はなかなか骨っぽいものも入っているが、上級になると逆に「スーパートリック(作者にちなんで言ってみました(笑))」っぽくなっていて寄せの教材という感じではなくなる。もう少しターゲットを絞って、実戦的な問題集(寄せ講義)としてまとめた方が本としては生きたのではないか……と思った。
試みとしては悪くないので、『寄せが見える本』一歩手前の読者を対象とするくらいで続編を作ってほしい。

作成日:2005.10.26 
次の一手 終盤・寄せ

谷川流寄せの法則 応用編

谷川流寄せの法則 応用編
著者 :谷川 浩司
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2004-12-01
価格 :¥179(2024/02/08 03:20時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

前著『谷川流寄せの法則 基礎編』に続く応用編。なのだが……

そんなに難しくなってない気が……

あくまでも白砂の感想、なのだが、基礎編にあった「きちんと解説する」感があまりなく、問題形式でどんどん進んでいく。最初の格言を用いての解説もなんか上っ滑りの感があって、あまり実用的(基礎編と比べて)ではない。
難易度の方も、一つ一つの問題の難易度は基礎編とさほど変わらないと思う。
これが仮に、読む深さなり読む広さなり、あるいは攻防の速度計算だったり、もう少し難しい要素が入って入れば別なのだが、そんな感じもあまりしなかった。

谷川の本はそれこそ昭和の頃から良書が多く、期待する部分はあったのだが、その期待が過剰になってしまったのかもしれない。また、『寄せが見える本 応用編』との比較でそう思えてしまったのかもしれない。と、まぁ、いろいろ外部要因があって偏見が入ってしまっているのかもしれないが、要するに、白砂としてはあまり期待したものではなかった。

もう少し「解説」がきちんとあって、寄せの系統立てでもしてくれたら、評価はまた違ったものになったかもしれない。

作成日:2005.02.10 
終盤・寄せ

谷川流寄せの法則 基礎編

谷川流寄せの法則 基礎編
著者 :谷川 浩司
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2004-07-01
価格 :¥17(2024/02/09 04:41時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

今度は谷川が寄せの本を出した。『光速の寄せ』シリーズは歴史に残る名著だと思うが、さて本シリーズはどうなるか……。

形式としては、よくある寄せの本とそんなに変わらない。
詰めろ、必死、1手すき2手すきといった言葉の定義から、簡単な寄せの紹介、囲いの種類と特徴など、一般的な項目が並ぶ。非常に簡潔に書かれているので、カタログとして読むなら十分だろう。
ちょっと目を惹いたのが、「この局面でどの駒があれば詰むか?」という問題。
確か『将棋世界』で連載していたものの焼き直し(かそのままか)だと思うのだが、これはなかなか骨があった。しかも、当時の講座では「この局面でどの駒があれば詰むか? できるだけパターンを挙げよ」という問題になっていて、エラい高度だなぁ~と感心した記憶がある。本書では、多少優しくするためか選択式になっているが、それでも「基礎」かぁ? と思ってしまうほど高度だ。腕に覚えのある方は、このページだけでもいいから読んでみるといいだろう。

今後の方向性がいまいち判らない感はあるが、谷川が寄せの本を出す、ということに意義があると思う。
県代表レベルの本、というのも期待してみたい。いや、もし出たら出たで、白砂なんかには手に負えないけど(笑)。

作成日:2004.08.06 
終盤・寄せ
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