読みもの

桂馬飛びはなぜ妙手を生むのか

桂馬飛びはなぜ妙手を生むのか―清朝・始皇帝の墓と囲碁・将棋の謎
著者 :永松 憲一
出版社:新風舎
出版日:2004-06-01
価格 :¥305(2024/02/08 01:18時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

なんと言うか……。

わけわからん。

実戦における桂馬飛びの妙手を抜き出し、なぜそれが妙手となったのか、また、なぜそれが妙手に見えるのか、そのメカニズムを探る……という本ではない
なんだか六角形がどうとか、囲碁だのチェスだの他のゲームではどうとか、歴史的に見てうんちゃらとか、はっきり言ってしまうと、

これ将棋の話じゃない

立ち読みでよかった……(笑)。

少し真面目な話をすると、内容そのものはとりあえず面白く読めた。白砂は数学とか嫌いじゃないんで。ただ、最初に述べた通り、将棋の本だと期待して読むと泣くことになる。
もう一度読むか……? と聞かれると困るけど。

作成日:2004.07.01 
読みもの

編集者T君の謎 将棋業界のゆかいな人びと

編集者T君の謎 将棋業界のゆかいな人びと (講談社文庫)
著者 :大崎 善生
出版社:講談社
出版日:2006-07-12
価格 :¥131(2024/02/07 08:23時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

いわゆるエッセイ集というやつで、将棋界のいろんなことについて面白おかしく(というとちょっと否定的なニュアンスになっちゃうのか)書いている。昔「将棋世界」の編集長だっただけあってそのテの裏話には事欠くことはなく、それで「週刊現代」という将棋と全然関係ない雑誌でも連載ができたんだろう。

面白く読めたのだが、個人的にはちょっと著者がうるさい(笑)感じがした。こういう読み物の場合、書いている当人というのはあんまり表に出てこなくていいと思うのだ。もちろん、受け止めたことを書くわけだから著者が前に出ないと始まらないのだけれど、この本の場合、なんだか個人の自慢話を聞いているような感じになってちょっと厭だった。まぁ、ホントに個人的な話なんだけど。
それから、この本には高橋和のことが書いてある。その原稿を書いた時に既につきあっていたのか結婚の約束をしていたのか、そんなことを考えながら読むとより楽しめると思う。

作成日:2003.02.19 
読みもの

新・対局日誌 第7集 七冠狂騒曲(上)

新・対局日誌 第7集 七冠狂騒曲 上
著者 :河口 俊彦
出版社:河出書房新社
出版日:2002-09-01
価格 :¥1,112(2024/02/08 01:18時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

もともと、この『対局日誌』という本はどう読んでいいのか判りにくい、という面がある。いや、判りにくいというと失礼な話で、要するにいろいろな読み方ができるということなのだが。
単純に考えれば、日々のプロ棋士の横顔、表に出ない素顔を見られるという本でもあるのだが、同時にプロ将棋のエッセンスをうまく散りばめているので、手筋集としても面白く読める。白砂がよくコラムで取り上げるのはそういう事情もあるからだが、というわけで、単純な分類分けができない珍しい棋書である。

今回の話は羽生が七冠を取れるかどうか……という辺りの話で、もう結末は判っているのだが(笑)谷川が最後にふんばって七冠は達成されなかった。しかし、その辺のことをいかにも著者らしい視点と語り口で綴っている。
これが嫌い、という人ももちろんいるだろうが、白砂はそんなに気にならない。年寄りの戯言部分は「はいはい」って感じで読み流している(笑)。

作成日:2002.09.30 
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新・対局日誌 第6集 大山伝説

新・対局日誌 第6集 大山伝説
著者 :河口 俊彦
出版社:河出書房新社
出版日:2002-06-01
価格 :¥290(2024/02/08 14:35時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『将棋世界』に連載されている「新・対局日誌」を1年間分まとめたものを出版するシリーズ。6冊目は大山名人がガンに倒れ、しかし復帰してプレーオフにまで進んでしまったという凄い年のものだ。サブタイトルの「大山伝説」はまさに伝説としか言いようがないだろう。おそらく、もうこんな棋士は出ないんじゃないのかなぁ。
A級順位戦最終戦、対谷川戦の▲6七金は永久に語り継がれる妙手だろう。プレーオフの対高橋戦もよかった。惜しくも負けてしまった将棋で、著者は「もう休め、の神様の配慮だったのかもしれない」と言っているが、大山はそんなこと思わなかったろうなー。少なくとも、もしそうなんだとしたら将棋の神様を恨んだだろう。そういう人だよねきっと(笑)。

ちなみに、この高橋-大山戦。『月下の棋士』で、主人公氷室将介vs大原名人(もう明らかに大山がモデルだぁね)の激戦として使用された。マンガ自体は荒唐無稽なものなのだが(笑)、おおげさではあるけど棋士の魅力を引き出した名シーンだと思う。機会があったら一度読んでみてほしい。
一度でいいけど(爆)。

作成日:2002.06.30 
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新・対局日誌 第5集 升田と革命児たち

新・対局日誌 第5集 升田と革命児たち
著者 :河口 俊彦
出版社:河出書房新社
出版日:2002-04-01
価格 :¥407(2024/02/07 10:05時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

プロ棋士でもある著者がプロ棋士の日常風景を記していく人気の(?)シリーズ第5作。時代は平成2年から3年というから、今(2003.1)より12、3年前の話ということになる。それなのに読んでいて面白いのは、やはり題材のよさなのだろう。
プロ棋士の何気ない言動も楽しいし、取り上げられている将棋はどれも「なんかいい」将棋ばかりだ。読み物としても棋書としても楽しめる。本書はそんな稀有な本である。

個人的には、コラムでも取り上げた大山の▲6九銀が印象に残っている。こんな凄い将棋は他にないし、こんなドラマを作れる棋士は大山しかいないだろう。
その他にも、羽生が順位戦で叩きのめされる話(笑)や藤井の奨励会時代の話、石田-加藤戦の泥試合など、見所を挙げていったらキリがない。

肩に力を入れて読む本ではないが、できれば一気に読んで欲しい。臨場感が違ってくるだろうから。

作成日:2002.04.30 
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