その他

よくわかる将棋入門

よくわかる将棋入門 (ビッグ・コロタン 112)
著者 :古作 登
出版社:小学館
出版日:2008-08-01
価格 :¥5(2024/02/06 05:28時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

駒の動かし方から定跡、詰めまでの一通りを押さえた入門書。
すべての漢字にルビが振ってあり(符号は別)、また、「とちゅう」「特ちょう」など難しい漢字はひらがなで書くなど、子供が読むことを前提に作られている。しかし、「特ちょう」は「とくちょう」でよかったんじやないかな……(笑)。

本当に「最初から順番に読んでいって、読み終われば強くなる」という作りになっていて、ルール説明で詰みの概念を説明したあと、「もういくつか、詰みの例を見ていきましょう」と言って一手詰の問題を7問出したり、詰めろや必死の概念を実戦例の前に解説したり、いろいろ工夫している。
実戦例も、小田切式8枚落ち(今なら「ハム将棋の8枚落ち」と言った方がいいのかな)で終局まで解説したあと、相掛かり棒銀、四間飛車の序盤を見せ、そのあと玉の囲いの説明に入り、駒別の手筋を解説し、そこからもう一度矢倉棒銀と四間飛車の将棋を中終盤まで解説している。駒落ちの「駒が少ない状態」で符号を追うのに慣れさせてから、平手の形を見せ、強くなるためのエキスを解説したあと本格的な説明に入る、という作りだ。
そのため、目次を見ただけだととっ散らかっているように見えるのだが、実際は関係が深いものをちゃんと並べているので、本当に将棋教室で講師が解説しているかのような順序で進んでいくように感じる。うまい方法だと思う。

後半で格言により「将棋の方向性」を示唆していることや、渡辺へのインタビューという体裁を使って勉強方法などを伝える(プロが薦める方法なんだからボクもやろう、と自発的にそういう勉強法を取らせるようにうまく誘導しているわけだ)など、「本を読んだそのあと」について細かい配慮をしている点もいい。また、マナーについていろいろ言及しているというのも大事なところだ。

ページ数をもう少し増やすとかしてもうちょっとボリュームが出せれば、この一冊で3級くらいまで、という本になったのに、とも思うが、まぁ200ページもあるし850円だしと考えると仕方がないのかもしれない。これ以上本が厚くなると子供が手に持ちづらくなる、ということもあるし。

なかなかの良書だと思う。
……そういえば、本書のイラストの先生。これは渡辺なんだろうか古作なんだろうが……?(笑)

作成日:2011.08.28 
入門

マンガでおぼえる棒銀戦法

マンガでおぼえる棒銀戦法:この本を読めば友だちに勝てる!
著者 :高橋 道雄
出版社:創元社
出版日:2011-06-09
価格 :¥1,046(2024/02/06 05:28時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

マンガで戦法の解説ができるものなんだろうか、と正直疑ってかかっていたのだが、なかなかどうして、ちゃんと解説されている。もちろん、微に入り細を穿ちというわけにはいかないが、「棒銀でこうやって敵陣を破るんだよー」という基本ができている。
ここで、ホントはやっていいのかどうか微妙なところなのだが、本書で紹介されている解説手順の棋譜を掲載する。

▲2六歩  △8四歩A  ▲2五歩  △8五歩  ▲7八金B  △3二金  ▲2四歩  △同 歩
▲同 飛  △2三歩  ▲2八飛  △8六歩  ▲同 歩  △同 飛  ▲8七歩  △8二飛C
▲3八銀  △7二銀  ▲2七銀  △6四歩  ▲2六銀  △6三銀  ▲2五銀  △5四銀
▲2四歩D  △同 歩  ▲同 銀  △3四歩E  ▲2三銀不成F△4四角  ▲3四銀成 △2二角G
▲2四歩H  △4五銀  ▲3五成銀 △5四銀  ▲2三歩成 △同 金  ▲同飛成  △8六歩
▲同 歩  △8五歩  ▲7六歩I  △8六歩  ▲8三歩  △5二飛J  ▲2二角成 △同 飛K
▲同 龍L  △同 銀  ▲8二歩成 △8七歩成M ▲同 金  △8五飛  ▲9六角N  △3五飛
▲4一飛  △6二玉  ▲6一飛成O △同 玉  ▲5二金 まで先手勝ち

A:△3四歩と突けば棒銀の形は回避できる
B:▲2四歩は△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△8七歩で不利になる
C:△8四飛とし、以下▲3八銀△3四歩▲2七銀△3三角▲2六銀△2二銀▲2五銀△3五歩で棒銀不発
D:▲2四銀では△同歩▲同飛で銀損
E:△2三歩は▲同銀成△同金▲同飛成で先手有利
F:不成で行くのがポイント
G:△2二歩は▲4四成銀で駒損
H:▲2三歩でも悪くないが、▲2三歩成とと金ができた図と比べると若干損
I:▲同歩は△同飛で3五成銀取りと△8七歩を見られる
J:△同飛は▲2二角成△同銀▲同龍で先手銀得
K:△同銀は▲2六龍で先手有利
L:▲3四龍は△3三歩で先手やや不満
M:△2七飛は▲3九金△2三飛成▲3四歩で後手不満
N:▲8六歩は△8二飛で、▲8六飛は△3五飛で先手やや不満
O:詰み筋は他にもいろいろある

注目してほしいのが、▲2三銀不成から▲3四銀成、▲2四歩といった手筋を解説しつつも、▲2四歩と合わせ歩で攻めるのではなく▲2四銀と突っ込んだらどうなるのかという超初心者向けの手も解説しているところ。実際にこういう手を初心者が指してしまうのかどうかは正直わからないが、そういう「ダメな手」を解説しつつ駒の損得など基本的な部分についての解説もしているという点は評価できる。また、最後の詰めの部分についても何通りもの詰め方を解説したり、基本的な手順のみではあるが原始棒銀対策も紹介しているところなど、「次の一歩」の手がかりを残しているという点もいい。

将棋を覚えたての子供が本書を読んで、とりあえずの得意戦法とする……というにはちょうどいいだろう。良書と思う。

作成日:2011.08.13 
入門

大局観 自分と闘って負けない心

大局観 自分と闘って負けない心 (角川新書)
著者 :羽生 善治
出版社:KADOKAWA
出版日:2011-02-11
価格 :¥990(2024/02/07 08:24時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「羽生ブランド」の一冊、という感じがした。正直なところ。

羽生の将棋に対する考え方というのは、意外と目にする機会が多いように思う。おおげさな表現をすると、その内容がそのまま載っている。予想通りの一冊、である。
その「カタい」作りから、将棋の本と言うよりはビジネス書として位置づけた方がいいと思った。まぁ、このシリーズの既刊内容を見ればそんな持って回った言い方をしなくてもわかる当たり前の話ではあるのだが(笑)。ちなみに、既刊については裏表紙の折り返しに出てます。

内容は、勝負に関する事項──表題の「大局観」であるとか、精神力、運、セオリーなど──について羽生が自身の視点で語る、というもの。ざーーーっくり極端な約し方をしてしまうと、精神力って大事だよね、便利なものを過信しちゃダメだよね、といった感じの、まぁ典型的な「非論理賛美(白砂の造語です)」である。

誤解のないように言っておくと、羽生は別に論理が大事ではない、精神力がすべてであるといっているわけではない。ここは大事なところなのでハッキリ言っておく。
ただ、これまたありがちな話なのだが、

  1. 論理は大事
  2. 論理がすべてではない
  3. 非論理的なものは大事
  4. 非論理なものがすべてではない

という4つの面があったとして、だいたいにおいてこういう本で強調されるのは2と3である(笑)。やっぱりその方がウケがいいんだろうか。
場所によってはそれがものすごく強調されすぎたところもあったので、そういう点でも「これホントに全部羽生が書いたのかなぁ……」と思ってしまった。

作成日:2011.08.04 
読みもの

史上最強カラー図解 羽生流勝つための将棋入門

史上最強カラー図解 羽生流勝つための将棋入門
著者 :羽生善治
出版社:ナツメ社
出版日:2011-04-14
価格 :¥1,100(2024/02/07 06:04時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

駒の動かし方から始まって、序盤・中盤・終盤にどのような目標を持って指せばいいか(玉を固める、駒を成る、など)の概論と各論、この辺りまでで大体120ページくらい。そこから先は囲いと戦形のガイドと手筋の紹介、次の一手が合わせて70ページくらい、といったところか。

書名の通り全ページオールカラーで、191ページで1,000円というのは頑張った価格なんだろうな、とは思う。ただ、この本の対象者が見えない。
すべての漢字にルビを振っているところからも、小学生程度を対象としているのだろうなということはなんとなくわかる。しかし、であれば「攻めの拠点を作る」とか「攻守のバランスに優れた」なんていう表現をするのはどうなんだろう。もう少し他の言い回しがあってもいいように思う。

どうも、子供向けとは言いながらも、将棋を知っている人がその知識で作ってしまった本、という感じがする。
内容は悪くない。特に、レベル2、3辺りの「序盤中盤終盤でやるべきことが違って、それぞれの目標に合った指し方をする」という解説は、ただ手筋を並べるよりも親切だしわかりやすいだろう。

前述のことからも、むしろ大人の入門者が読むべき本だと感じた。

作成日:2011.08.03 
入門

3手1組プロの技

3手1組プロの技 (マイコミ将棋ブックス)
著者 :片上 大輔
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2007-08-21
価格 :¥1,000(2024/02/06 04:05時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

3手一組の指し手を考える、次の一手ならぬ次の三手本。
考えてみれば、次の一手というものは次の一手だけを当てればいいというものではなく、その局面から勝ち筋有利筋を引き出すものだ。そういう意味では、一手だけではなく連続した手筋というのを扱うのも当然といえば当然である。

本書で扱っている3手一組は、「歩の手筋」「攻めの手筋」「しのぎの手筋」の三種類。計86問である。
白状すると、結構難しかった。
いわゆる手筋的な……という表現はよろしくないのだろうが、いかにも作りもの的な問題はさすがにすぐにわかった。ただ、タイトルどおり「プロの技」がたくさん詰まっているので、パッと正解が浮かぶという問題ばかりではない。問題を解く、というより、プロの技を鑑賞するといった感じになってしまった。

それぞれのテーマごとに最初に少しだけ解説が載っているが、それもなかなか親切でよかった。
量産するのは難しいジャンルかもしれないが、こういう本がもっとたくさん出ると、3段くらいからのステップアップにはいいと思った。

作成日:2008.04.18 
次の一手 手筋
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