2008

3手1組プロの技

3手1組プロの技 (マイコミ将棋ブックス)
著者 :片上 大輔
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2007-08-21
価格 :¥1,000(2024/02/06 04:05時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

3手一組の指し手を考える、次の一手ならぬ次の三手本。
考えてみれば、次の一手というものは次の一手だけを当てればいいというものではなく、その局面から勝ち筋有利筋を引き出すものだ。そういう意味では、一手だけではなく連続した手筋というのを扱うのも当然といえば当然である。

本書で扱っている3手一組は、「歩の手筋」「攻めの手筋」「しのぎの手筋」の三種類。計86問である。
白状すると、結構難しかった。
いわゆる手筋的な……という表現はよろしくないのだろうが、いかにも作りもの的な問題はさすがにすぐにわかった。ただ、タイトルどおり「プロの技」がたくさん詰まっているので、パッと正解が浮かぶという問題ばかりではない。問題を解く、というより、プロの技を鑑賞するといった感じになってしまった。

それぞれのテーマごとに最初に少しだけ解説が載っているが、それもなかなか親切でよかった。
量産するのは難しいジャンルかもしれないが、こういう本がもっとたくさん出ると、3段くらいからのステップアップにはいいと思った。

作成日:2008.04.18 
次の一手 手筋

新鋭振り飛車実戦集

新鋭振り飛車実戦集 (マイコミ将棋BOOKS)
著者 :高崎 一生
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2008-02-26
価格 :¥1,518(2024/02/06 11:24時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

戸辺、遠山、長岡、高崎という4人の若手振り飛車党が書き下ろした振り飛車vs居飛車の自戦記集。
内容は、

戸辺

  • ゴキゲン中飛車▲5八金型
  • 石田流vs左美濃
  • 中飛車vs△7二飛

遠山

  • 三間飛車vs玉頭位取り
  • イビアナvs四間飛車
  • 佐藤流▲9六歩vsゴキゲン中飛車銀冠

長岡

  • 山田定跡vs△3二銀四間飛車
  • 角交換型
  • 鷺宮定跡

高崎

  • 四間飛車藤井システムvsイビアナ

いずれも振り飛車側が勝っている将棋だが、優勢のまま押し切ったものあり、大逆転ありと、そのあたりが通常の定跡書とひと味違っている。
また、すべての自戦記で「研究」と題したコーナーがあり、本譜で選択しなかった変化についての詳細な解説が入る。定跡書でいえば変化手順の解説に当たるところで、これがあるせいで、自戦記とも定跡書とも少し違ったテイストの読み物に仕上がっている。

どの層に向けて書かれたものかを考えると難しいが、そんな細かいことは考えずに、素直に振り飛車のさばきを楽しめばいい。

作成日:2008.04.18 
実戦譜集

光速の詰将棋

光速の詰将棋
著者 :谷川 浩司
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2008-02-01
価格 :¥927(2024/02/07 07:53時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

看寿賞作家谷川浩司の短編図式集。7手から15手までの短編が120作と、思い出の作品4作が収録されている。
一応、「5分で解ければ○段」という目安もあるのだが、そんなことは考えずに素直に鑑賞するのが吉だ。

個人的には短編詰将棋というものの「鑑賞の仕方」が今イチつかめていない感じで、解いて面白いなぁ……と感じたものもなくはないのだが、単純に「あぁ、手筋だねぇ……」とか、そんなていどで終わってしまったものも少なくない。これは白砂がいけないんだな。

真剣に勝負するつもりで手を出したのだが、なんだかんだで全問解くのに2週間以上かかってしまった。それだけの時間をかける価値は間違いなくある作品集だと太鼓判は押すので、ぜひともチャレンジしてみてほしい。

作成日:2008.03.27 
詰将棋

渡辺明の居飛車対振り飛車〈2〉四間飛車編

渡辺明の居飛車対振り飛車 II 四間飛車編 (NHK将棋シリーズ)
著者 :渡辺 明
出版社:NHK出版
出版日:2008-02-13
価格 :¥1,100(2024/02/05 22:20時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

NHK将棋講座の内容をまとめたシリーズの後編。2冊目は1巻まるごと四間飛車である。
前書と同じく平易な語り口で、詳しい変化よりは大きく俯瞰で眺めるような内容になっている。

取り上げられているのは、ナナメ棒銀、4五歩急戦、棒銀、5筋位取り、玉頭位取り、居飛車穴熊、相穴熊と盛りだくさんで、穴熊は藤井システムについてもかなり筆が割かれている。
基本的なコンセプトも前書と変わらず、「急戦でも悪くないけど、美濃囲いは固いよ。居飛車穴熊のがいいんじゃない?」「居飛車穴熊は攻略が大変だよ。いろいろ工夫しないと」という歴史的なやりとりをふまえて書かれている。この辺り、初級、中級向けに説明するのはけっこう難しいと思うのだか、非常にうまくやっている感じがする。
前書同様、中級者にとって心強い味方になってくれる本だ。

どうでもいい話だが、藤井について「ユニークな解説や棋士のモノマネなどのファンサービスで有名ですが」って(笑)。

作成日:2008.03.24 
四間飛車

渡辺明の居飛車対振り飛車〈1〉中飛車・三間飛車・向かい飛車編

渡辺明の居飛車対振り飛車 I 中飛車・三間飛車・向かい飛車編 (NHK将棋シリーズ)
著者 :渡辺 明
出版社:NHK出版
出版日:2008-02-13
価格 :¥1,100(2024/02/07 09:03時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

NHK将棋講座の内容をまとめた居飛車vs振り飛車の解説書。全2冊で、1の本書は四間飛車以外の中飛車、三間飛車、向かい飛車を取り上げている。

現代将棋イコール穴熊、対振り飛車イコール穴熊、という事情もあってか、居飛車穴熊とその周辺に多くの筆が割かれている。
中飛車編ではまず急戦の変化を取り上げ、これに代わって居飛車穴熊が出現して中飛車を撃破、対して振り飛車側はゴキゲン中飛車でそれを迎え撃つ……というような感じである。
三間飛車も同様に、まずは急戦の変化を取り上げ、実戦的には大変という結論のあと、居飛車穴熊の出現、そして、それに対抗して(?)升田式石田流に話が進む。向かい飛車などはハナから居飛車穴熊の話しか出てこない。
これはもう、前述のとおり、現代の常識がそうなっているから仕方がない、としか言いようがない。白砂のような古い人間だとなんとなく物足りないのだが(笑)、使わない定跡の変化を長々と解説されるよりは実践的といえる。

非常に読みやすく、また、変化を必要最低限に抑えて、戦法の指し方、考え方、出現した理由など、概論的総論的な書き方をしている。NHKの講座単位という事情のためだろうが、入門書としてはそれがいい方に働いているように感じた。
振り飛車を指す人も居飛車を指す人も、とりあえず形を覚えたら次は本書で少しだけ深くお勉強、というのが、使い方としてはいいだろう。戦法解説の中級編とでもいうべき内容なので、初級者には少し難しいかもしれないが、ちょっと強くなったり壁にぶつかっている人は一度読んでみるといいと思う。単純に形を覚えるという以上に、その戦法の持つ思想がよく伝わってくる。

作成日:2008.03.24 
振り飛車全般
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