2008

寄せの極意

寄せの極意:終盤の華麗な技で勝利をつかめ! (スーパー将棋講座)
著者 :高橋 道雄
出版社:創元社
出版日:2008-02-01
価格 :¥1,320(2024/02/08 23:06時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

寄せの技術についての解説本。
各テーマごとに、見開き2ページの基本問題と、テーマを応用した実戦解説を4ページ前後費やしている。
サブタイトルが対居飛車・対振り飛車となっているが、著者が純粋居飛車党ということもあって、対居飛車は矢倉のことであり、対振り飛車は居飛車から見た美濃・穴熊攻略である。振り飛車党は逆の立場で読まなければいけないし、横歩取りなどは出てこない。

「とにかく上から押さえていこう」「王手をかけて玉を逃がすのは下策」といった感じの初級編テイストではあるが、基本問題から全体図を使用しているため、やや複雑な印象を受けた。このレベルのことを解説したいのであれば、部分図にしたほうが頭には入りやすいんじゃないかなぁ……と思う。
また、ちょっとムリがないかこのテーマは? というものもないではない。「遊び駒を活用せよ」とか「盤面を広く見ろ」とか、これは寄せの極意というよりは常に考えておなければならないことだと思うのだが(笑)。また、基本問題で美濃囲いの▲7四桂という手を解説しておきながら実戦編では▲9四桂という手を出すとか(▲7四桂の筋はかけらも出てこない)、ちょっとチグハグな部分もないではなかった。この辺りの部分をもう少し整理して削り、横歩系の陣形に対する寄せを盛り込んだ方が、内容としては充実した気がする。

やや重箱の隅的な注文ではあるが、逆に言うとそれ以外の部分、たとえば問題のレベルや解説の多寡などは非常にバランスが取れていてすばらしい。創元社らしい初級者に優しい作りになっていると思う。
前述のとおりすべてが全体図なのでとっつきにくい印象があるかもしれないが、初段前後までであればお勧めできる良書である。

作成日:2008.03.22 
終盤・寄せ

将棋・ひと目の端攻め―攻防の手順がわかる200問

将棋・ひと目の端攻め (マイコミ将棋文庫SP)
著者 :週刊将棋
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2008-01-30
価格 :¥1,100(2024/02/07 15:50時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「端攻め」という1ジャンルにしぼって解説している手筋本。一局の将棋で端がからまないということなどはほとんどなく、そういう意味では必修手筋とも言えるはずなのだが、これまであまりクローズアップされてこなかった。
もちろんそれは触れてこなかったという意味ではなく、実は「歩の手筋」「囲いの崩し方」という形で取り上げられてはいた。しかしそのためやや手筋が分散してしまった感があった。本書では、200問の次の一手形式で端攻め手筋を網羅している。

端攻めの基本手筋から始まって、終盤での手筋、囲いの崩し方と、本当にいろいろな形での端攻めが載っている。また難易度も、▲4六角△1一香△1四歩持駒歩歩の局面で「▲1二歩△同香▲1三歩で香得が確定」というレベルから(正直、最初の問題がこれだったので「入門書だったのか?」と少し不安になった)9手くらいの一連の手筋までさまざまだ。下は初心者(初級者ではなく)から上は2、3段くらいまで十分に楽しめる。

個人的な話になるが、今回200問を解いてみて、自分がやはり振り飛車党だということがよくわかった。矢倉の崩し方の正答率が他に比べてかなり低かった(4、5問は出なかった)。「自分の客観的な将棋観をはかる」という、ちょっと変わった楽しみ方もできるようだ(笑)。

有段者にとっては常識レベルの話だろうが、そこまで行かないなぁ……という人であれば、一度目を通しておくのもいいと思う。いっぺんでいいなら立ち読みでも十分だが、できればたまに読み返して棋力が落ちてないかをはかる試験にするという読み方もある。
次の一手形式というサラッと読める形式なので、こちらもそれを活かした読み方をするべきだ。

作成日:2008.03.20 
次の一手 手筋
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