2003

小倉流向かい飛車の極意

小倉流向かい飛車の極意 (プロの将棋シリーズ 5)
著者 :小倉 久史
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-09-01
価格 :¥962(2024/02/06 04:52時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

向かい飛車党だと語る著者が、向かい飛車について解説した本。

そもそも向かい飛車の本などというものがほとんどないので、それだけでも貴重だろう。手順のいくつか、特に最初の方の手順は『島ノート』丸かぶりだが、変化が変化なので仕方ない。
また、向かい飛車はその性質上必ず指せるというわけではない(相手が△8五歩としてこないと向かい飛車にする意味がない)ので、その点でややインパクトが薄い。
例えばゴキゲン中飛車や藤井システムは「とにかくこちらがその形に組め、しかも相手がどう来ても対応できる」という戦法である。それに慣れていると「なんだよ、書いてある形に全然なんないぢゃん」ということにもなりがちだ。これはもう戦法の持つ宿命ということで諦めるしかない。

惜しむらくは解説部分が少ない。
もう少し詳しく解説をするか、中盤での手筋などについていくつか指針を出してほしかったと思う。
向かい飛車について解説すると言いながら半分以上が実戦譜というのは、少しサギっぽいと思うぞー(笑)。

作成日:2003.10.01 
向かい飛車

お昼休みに解く初段次の一手

お昼休みに解く初段次の一手
著者 :毎日コミュニケーションズ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-09-01
価格 :¥148(2024/02/08 16:19時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

タイトル通り、次の一手本。
難易度はさまざまだが、いろんなタイプの問題がある。

個人的にはこういうものをわざわさ買ってまで読むことはないかなぁ……と思っているのだが(笑)、初段になるくらいまでの人は「常に将棋に接しておく」というのも上達法の一つだと思うので、持っていて損はないかもしれない。
さらっと読めるので、図書館で借りて2週間で読む(今の図書館は大体貸出期間は2週間のようです)、というのが賢い利用方法かもしれない。

昔、近代将棋の付録で「ふろ詰(水に濡れても大丈夫な素材で作られた小冊子)」というのがあったが、そんな感じの本を出してくれてもいいかもしれない。

作成日:2003.10.01 
次の一手

金言玉言新角言

金言玉言新角言 (MYCOM将棋文庫 19)
著者 :毎日コミュニケーションズ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-09-01
価格 :¥56(2024/02/06 20:24時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『大覇道伝説』と同じく、大局観、局面の考え方について書かれた本。もう刊行されてからずいぶん経つのだが、素材が定跡のように日々変わるわけではないだけに今でも十分通用する。
実戦から遠ざかっている社会人は必読である。

大会の日、会場に向かう電車の中でよく読んでいた。なんかそれだけで力が出てきそうな本である。良書と思う。

作成日:2003.09.14 
大局観

詰みより必死

詰みより必死 (MYCOM将棋文庫 14)
著者 :金子 タカシ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-07-01
価格 :¥110(2024/02/09 17:29時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

毎コミの復刻文庫化シリーズの一編。
必至をうまく分類・整理し、実戦に生じそうな形での必至問題をたくさん載せている。

タイトルの「詰みより必死」の通り、勝率を上げたいのなら、詰みを読むことよりも必死をかけることを考えた方がいいのかもしれない。もちろん、その結果自分の玉が詰まされたというんじゃ目も当てられないんで、やっぱり詰みは詰みでちゃんと読まないといけないんだけど(笑)。
一回精読する、というのではなく、常に手元に置いて何度も解いていく、という使い方をするべき本である。
必死、という読み自体が少し難しいので、級位者にはちょっと敷居が高いかもしれない。1手必死がそこそこ読めれば初段へリーチ、くらいの感覚で、判らないのを覚悟で読んだ方が気楽だと思う(笑)。

作成日:2003.08.25 
終盤・寄せ

必至のかけ方 寄せのコツを体得する

必至のかけ方―寄せのコツを体得する (将棋終盤力養成講座 4)
著者 :勝浦 修
出版社:創元社
出版日:2003-04-01
価格 :¥212(2024/02/08 14:34時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

必死といえば金子タカシ、という風に、白砂のような昔の人は(つったってまだ33なんだがなぁ……)ほぼ条件反射的に出て来てしまうので(笑)、逆に他の人の必死本だと少し胡散臭げな目で見てしまう。「ちゃんと書いてんのかぁ?」って(<をい)。
でも、本書はお勧め。金子タカシの必死本より、かなり易しい問題が揃っている。

級位者であれば、金子タカシよりはまず本書を読むことをお勧めする。形式的には必死の解説と問題がいっぱいという同じものなのだが、題材が1・3・5手の必死に絞られているので、無理なく考えられる。多分、級位者では3手の必死を考えるのも大変だろうから。

必死問題の3手と詰め将棋の3手は全然違って、詰め将棋は3手でちゃんと終わるから、読みの「深さ」は3手でいい。しかし、必死問題は3手で必死をかけた後に実際に詰ますまでが5手とか7手、場合によっては10数手とかになってしまうので、実際の読みの深さはかなりなものになる。
これを級位者が読むというのは大変なことだ。それがちゃんと読めるのなら初段と認めてもいいかもしれない。
本書の問題は、意図的かどうかは判らないが、必死がかかったあとの詰み筋があまり長く難しくない。なので、そんなに深く読まなくても、必死の「形」が解ける楽しみとともに習得できる。
これは、問題を作った人(多分勝浦じゃないよね……)の勝利だと思う。

本書で覚えた必死で勝つ、なんてことになったら、ますます将棋が好きになるだろう。そんな、「これから頑張って初段を目指す」人達にはぜひとも薦めたい本である。
この一冊だけで、少し創元社を見直した(笑)。

作成日:2003.08.25 
終盤・寄せ
広告