2002

新・対局日誌 第6集 大山伝説

新・対局日誌 第6集 大山伝説
著者 :河口 俊彦
出版社:河出書房新社
出版日:2002-06-01
価格 :¥290(2024/02/08 14:35時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『将棋世界』に連載されている「新・対局日誌」を1年間分まとめたものを出版するシリーズ。6冊目は大山名人がガンに倒れ、しかし復帰してプレーオフにまで進んでしまったという凄い年のものだ。サブタイトルの「大山伝説」はまさに伝説としか言いようがないだろう。おそらく、もうこんな棋士は出ないんじゃないのかなぁ。
A級順位戦最終戦、対谷川戦の▲6七金は永久に語り継がれる妙手だろう。プレーオフの対高橋戦もよかった。惜しくも負けてしまった将棋で、著者は「もう休め、の神様の配慮だったのかもしれない」と言っているが、大山はそんなこと思わなかったろうなー。少なくとも、もしそうなんだとしたら将棋の神様を恨んだだろう。そういう人だよねきっと(笑)。

ちなみに、この高橋-大山戦。『月下の棋士』で、主人公氷室将介vs大原名人(もう明らかに大山がモデルだぁね)の激戦として使用された。マンガ自体は荒唐無稽なものなのだが(笑)、おおげさではあるけど棋士の魅力を引き出した名シーンだと思う。機会があったら一度読んでみてほしい。
一度でいいけど(爆)。

作成日:2002.06.30 
読みもの

東大将棋ブックス四間飛車道場 第5巻 棒銀

四間飛車道場 第5巻 棒銀 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-06-01
価格 :¥1(2024/02/06 01:39時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

説明の必要もない、棒銀対四間飛車の本である。

基本図は△4三金と上がって受ける形で、そこからの居飛車の攻め、振り飛車の反撃について詳しく述べている。特に△4四歩の反撃は『新スーパー四間飛車Ⅰ』など数冊しか書かれていないので振り飛車党、棒銀党ともに必読である。

捌いたり押さえ込んだりといろいろ忙しい棒銀戦法だが、指しこなすにはこれくらいの知識は必要だということだろう。加藤先生は偉大だ(爆)。
棒銀は有段者以外も指す戦法だが、最低でも3段くらいないと本書は読めないと思う。

作成日:2002.06.12 
四間飛車

三浦流右四間の極意 四間飛車をやっつけろ

三浦流右四間の極意―四間飛車をやっつけろ
著者 :三浦 弘行
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-05-01
価格 :¥156(2024/02/08 03:09時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

タイトルそのままの、右四間飛車の本。

通常の舟囲いでの攻防に始まり、美濃囲いではどうか、米長玉はどうか、居飛車穴熊はどうかとどんどんいろんな形が出てくる。そして、それらはいずれも決定的に右四間有利にはならないとして、今度は飛車先不突きの右四間が出てくる。しかしこれもうまくいかず、最終兵器として「飛車先不突き+居飛車穴熊右四間」という本書のメイン戦法が出てくる。
……というわけで、主要な攻防(というか新研究)は飛車先不突き+居飛車穴熊右四間なのだが、級位者や初段前後の人はむしろその前段を読んで欲しい。

まえがきに「初心者に判りやすく、上級者にも耐えうる変化を紹介」といったようなことが書いてあるが、まさにその通りでうまく書けていると思う。今までの定跡書がコンパクトにまとまった感じで、これ1冊だけで右四間の基礎は理解できると断言する。

惜しむらくは先手側が右四間を持っているということで、急戦なので仕方がないとは言えるが、できれば先後両方解説して欲しかった。
また、うしろの方に出てくる△5三銀型での振り飛車からの揺さぶりについて、本書では▲4四角で居飛車が有利と断言している。しかし、2ヵ月後に同じ毎コミから出版された『定跡外伝2』には「▲4四角は後手に返し技があって後手有利」となっている。さらにそのあと、『島ノート』で進化した形が解説されて……と、本書だけではカバーできないほどに進化している。

それはさておき、そういったちょっとした部分は置いておいても、とりあえず本書を全部マスターすれば右四間を指すことはできるだろう。もともとが常に主導権を握れる戦法であるので、攻めが好き(というか受けが苦手)なアマチュアにはもってこいの戦法と言える。
居飛車・振り飛車双方にとって必携の書と思う。

作成日:2002.05.28 
四間飛車

東大将棋ブックス矢倉急戦道場 棒銀&右四間

矢倉急戦道場―棒銀&右四間 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-05-01
価格 :¥15(2024/02/06 18:07時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

いわゆる「本筋の矢倉」ではなくて、後手から変化していく矢倉の形について解説している。前半の後手棒銀は△4二金の新手を、後半の右四間飛車は△3二銀から囲う形を紹介している。
このシリーズ共通の特徴である「どっちかをひいきしない」という点は本書でも貫かれており、そのため、最善をつくせばやや互角かほんのちょっと後手有利、というていどの分れにしかならない。しかし、後手番で矢倉をどうしようと悩んでいる向きには有力な選択肢になるかもしれない。

個人的な話をすると、右四間は3二金戦法からの変化に使えないかと思って読んだ。▲7六歩△3二金に▲2六歩と突かれた場合、現在のところ中飛車を主に指している。しかし、右四間に組めるのであれば後手番でありながら主導権が握れるかもしれない。ちょうど「△3二金型」という項目もあったので、その可能性は高いなと期待もした。
結論から言うと「△3二銀型よりやや損。やや先手有利の分かれ」ということだったのだが(泣)、それでも、なかなか参考になった。3二金戦法から右四間にする場合は飛車先を突かない可能性が高いので、本書で解説されている形より得な意味があるからだ(=本書の結論よりもやや有利な分れが得られる可能性がある)。

構成についてはあいかわらずである。有段者以外は手を出さないほうが無難だろう。

作成日:2002.05.13 
矢倉

新・対局日誌 第5集 升田と革命児たち

新・対局日誌 第5集 升田と革命児たち
著者 :河口 俊彦
出版社:河出書房新社
出版日:2002-04-01
価格 :¥407(2024/02/07 10:05時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

プロ棋士でもある著者がプロ棋士の日常風景を記していく人気の(?)シリーズ第5作。時代は平成2年から3年というから、今(2003.1)より12、3年前の話ということになる。それなのに読んでいて面白いのは、やはり題材のよさなのだろう。
プロ棋士の何気ない言動も楽しいし、取り上げられている将棋はどれも「なんかいい」将棋ばかりだ。読み物としても棋書としても楽しめる。本書はそんな稀有な本である。

個人的には、コラムでも取り上げた大山の▲6九銀が印象に残っている。こんな凄い将棋は他にないし、こんなドラマを作れる棋士は大山しかいないだろう。
その他にも、羽生が順位戦で叩きのめされる話(笑)や藤井の奨励会時代の話、石田-加藤戦の泥試合など、見所を挙げていったらキリがない。

肩に力を入れて読む本ではないが、できれば一気に読んで欲しい。臨場感が違ってくるだろうから。

作成日:2002.04.30 
読みもの
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