居飛車

東大将棋ブックス矢倉急戦道場 棒銀&右四間

矢倉急戦道場―棒銀&右四間 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-05-01
価格 :¥15(2024/02/06 18:07時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

いわゆる「本筋の矢倉」ではなくて、後手から変化していく矢倉の形について解説している。前半の後手棒銀は△4二金の新手を、後半の右四間飛車は△3二銀から囲う形を紹介している。
このシリーズ共通の特徴である「どっちかをひいきしない」という点は本書でも貫かれており、そのため、最善をつくせばやや互角かほんのちょっと後手有利、というていどの分れにしかならない。しかし、後手番で矢倉をどうしようと悩んでいる向きには有力な選択肢になるかもしれない。

個人的な話をすると、右四間は3二金戦法からの変化に使えないかと思って読んだ。▲7六歩△3二金に▲2六歩と突かれた場合、現在のところ中飛車を主に指している。しかし、右四間に組めるのであれば後手番でありながら主導権が握れるかもしれない。ちょうど「△3二金型」という項目もあったので、その可能性は高いなと期待もした。
結論から言うと「△3二銀型よりやや損。やや先手有利の分かれ」ということだったのだが(泣)、それでも、なかなか参考になった。3二金戦法から右四間にする場合は飛車先を突かない可能性が高いので、本書で解説されている形より得な意味があるからだ(=本書の結論よりもやや有利な分れが得られる可能性がある)。

構成についてはあいかわらずである。有段者以外は手を出さないほうが無難だろう。

作成日:2002.05.13 
矢倉

谷川の21世紀定跡 2 横歩取り8五飛戦法編

谷川の21世紀定跡 2(横歩取り〔ゴテ〕8五飛戦法
著者 :谷川 浩司
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2002-03-01
価格 :¥91(2024/02/06 00:12時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

ついにというかやっとというか、谷川が8五飛戦法を解説した。
とはいっても最新変化がずーらずら……というわけではない。むしろ今までの定跡をまとめたものに近い。そういう意味では、類書であり良書であるものがいくつか出ているので、そちらを参考にした方がいいだろう。

わざわざ谷川をかつぎ出したのは、プロローグにあると思う。
約30ページを割いて、今までの8五飛の歴史について簡単に触れている。その中で、谷川自身の考えたことや指し手の意味などを結構詳しく書いてくれている。

これが面白い、と思った人は買い。
そうでない人は別の本で十分だと思う。

作成日:2002.03.25 
横歩取り

東大将棋ブックス矢倉道場 第4巻 新3七銀

矢倉道場 第4巻 新3七銀 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-03-01
価格 :¥814(2024/02/06 13:09時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

第3巻と同じ3七銀型ではあるが、こちらは少し変態チックな変化を解説している。変態戦法系といっても、脇システムや6五歩突きというプロの対局に出ている立派な指し方である。まぁ、森下は『現代矢倉の思想』で脇システムを「今後主流になることはないと思っている」とバッサリ切り捨てていたが(笑)。
一方、アマチュアにとっては知りたい変化でもあるだろう。特に脇システムはハマると一発だし一気に終盤までなだれ込んでいく。知っておいて損はないし、知っているからこそ引きずり込んでいくこともできる。今までこれらの戦法についてはあまり光が当てられていなかったので、『定跡外伝』感覚で読むこともできるだろう。

とはいっても『定跡外伝』よりもはるかに読みにくいことは約束できる(<してどーする)。本書も、やはり自信がない人は手を出さない方がいい。もっとわかりやすく書かれた本はいっぱいある。本書ほど詳しく書き込まれた本がないのは寂しい限りだが……。

作成日:2002.03.15 
矢倉

東大将棋ブックス矢倉道場 第3巻 3七銀

矢倉道場 第3巻 3七銀 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-01-01
価格 :¥334(2024/02/05 23:41時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

今回は4六銀型ではなく、3七銀型。加藤流と呼ばれる指し方である。
4六銀型があるていどの結論をみた(といっても難解なことに変わりはない)ため、比較的研究されていないこの形が脚光を浴びたのだそうだ。加藤9段はずーっとこればっか指してたけどね(笑)。
基本的には森下が書いた現代矢倉シリーズとあまり変わらない。ならば森下本の方がよさそうなものだが、「あまり」というだけで「ぜんぜん」ではないところが実は問題(?)である。プロや有段者の将棋は、その「定跡の先端の一手」の違いが形勢を分けるのだ。というわけで、あいかわらず有段者には必携書である。

そしてこれまたあいかわらずだが、読みにくい。直す気はなさそうなのでこれ以上言うのもなんなのだが、一応書いておく(笑)。

作成日:2002.01.15 
矢倉

8五飛を指してみる本

8五飛を指してみる本 (最強将棋塾)
著者 :森下 卓
出版社:河出書房新社
出版日:2001-11-01
価格 :¥32(2024/02/06 00:12時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『8五飛戦法』を著した森下の、「指してみる本」。激しい変化が多い横歩取りには、次の一手形式で図面が豊富というのは意外と合っているのかもしれない。
初級者が8五飛を指した時に困る△8五飛▲9六角の変化にかなり筆を入れてくれている。どの本でも書かれている変化なのだが、級位者はこうやって少しずつ立ち止まりながら解説してくれた方がわかりがいいだろう。もう白砂も▲9六角は怖くないぞ(笑)。

やらんけど(爆)。

東大将棋シリーズとは対極をなすようなシリーズだが、どちらも繁栄していってほしい。どちらの本も、将棋ファンは必要としているのだから。

作成日:2001.11.20 
横歩取り
広告