矢倉

初段に勝つ矢倉戦法

初段に勝つ矢倉戦法 (将棋必勝シリーズ)
著者 :森下 卓
出版社:創元社
出版日:2003-02-01
価格 :¥1,430(2024/02/07 08:15時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

矢倉24手組みから始まって、3七銀戦法など基本的な矢倉戦についての解説をした本。題名の通り、定跡を深く解説するのではなく、定跡の本筋だけを紹介するような形になっている。

森下といえば『現代矢倉の○○』があるが、内容そのものはそちらで十分である。こっちの本は、創元社という出版元からも判る通り、入門編。
そのため、既に河出書房新社の本を持って読んだ、という人には必要ないと思う。あの本は難しくて……という人のための本だ。

ベースが河出書房新社のものなので、内容は本筋である。
ただし、コンセプトは先崎の「ホントに勝てる」シリーズと同じなのだが、非常に高度でもある。
題材が矢倉のためなのか、著者の森下が「正しいことを伝えるのが正しいことだ」と考えているからか、その辺は判らない。ただ、先崎本が「なんとなく指しこなしていけるようにする」というコンセプトなのに対し、本書は真っ向から矢倉の本筋を語っているような気がする。要は高段者の考え方をそのまんま書いているので、そのために高度な思想が見え隠れする内容になっている。
もちろん、指し口そのものは「入門編」なので、心配しながら読むほどではないだろうが、白砂は少し気になった。もっとも、これは振り飛車と矢倉の違いという本質的なものかもしれないので、なんとも言えないのだが。

とりあえず、初段くらいの人までなら読んで参考になると思う。有段者は必要ない。もっと他の本を読みましょう(笑)。

作成日:2003.03.16 
矢倉

東大将棋ブックス矢倉急戦道場 棒銀&右四間

矢倉急戦道場―棒銀&右四間 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-05-01
価格 :¥15(2024/02/06 18:07時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

いわゆる「本筋の矢倉」ではなくて、後手から変化していく矢倉の形について解説している。前半の後手棒銀は△4二金の新手を、後半の右四間飛車は△3二銀から囲う形を紹介している。
このシリーズ共通の特徴である「どっちかをひいきしない」という点は本書でも貫かれており、そのため、最善をつくせばやや互角かほんのちょっと後手有利、というていどの分れにしかならない。しかし、後手番で矢倉をどうしようと悩んでいる向きには有力な選択肢になるかもしれない。

個人的な話をすると、右四間は3二金戦法からの変化に使えないかと思って読んだ。▲7六歩△3二金に▲2六歩と突かれた場合、現在のところ中飛車を主に指している。しかし、右四間に組めるのであれば後手番でありながら主導権が握れるかもしれない。ちょうど「△3二金型」という項目もあったので、その可能性は高いなと期待もした。
結論から言うと「△3二銀型よりやや損。やや先手有利の分かれ」ということだったのだが(泣)、それでも、なかなか参考になった。3二金戦法から右四間にする場合は飛車先を突かない可能性が高いので、本書で解説されている形より得な意味があるからだ(=本書の結論よりもやや有利な分れが得られる可能性がある)。

構成についてはあいかわらずである。有段者以外は手を出さないほうが無難だろう。

作成日:2002.05.13 
矢倉

東大将棋ブックス矢倉道場 第4巻 新3七銀

矢倉道場 第4巻 新3七銀 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-03-01
価格 :¥814(2024/02/06 13:09時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

第3巻と同じ3七銀型ではあるが、こちらは少し変態チックな変化を解説している。変態戦法系といっても、脇システムや6五歩突きというプロの対局に出ている立派な指し方である。まぁ、森下は『現代矢倉の思想』で脇システムを「今後主流になることはないと思っている」とバッサリ切り捨てていたが(笑)。
一方、アマチュアにとっては知りたい変化でもあるだろう。特に脇システムはハマると一発だし一気に終盤までなだれ込んでいく。知っておいて損はないし、知っているからこそ引きずり込んでいくこともできる。今までこれらの戦法についてはあまり光が当てられていなかったので、『定跡外伝』感覚で読むこともできるだろう。

とはいっても『定跡外伝』よりもはるかに読みにくいことは約束できる(<してどーする)。本書も、やはり自信がない人は手を出さない方がいい。もっとわかりやすく書かれた本はいっぱいある。本書ほど詳しく書き込まれた本がないのは寂しい限りだが……。

作成日:2002.03.15 
矢倉

東大将棋ブックス矢倉道場 第3巻 3七銀

矢倉道場 第3巻 3七銀 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-01-01
価格 :¥334(2024/02/05 23:41時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

今回は4六銀型ではなく、3七銀型。加藤流と呼ばれる指し方である。
4六銀型があるていどの結論をみた(といっても難解なことに変わりはない)ため、比較的研究されていないこの形が脚光を浴びたのだそうだ。加藤9段はずーっとこればっか指してたけどね(笑)。
基本的には森下が書いた現代矢倉シリーズとあまり変わらない。ならば森下本の方がよさそうなものだが、「あまり」というだけで「ぜんぜん」ではないところが実は問題(?)である。プロや有段者の将棋は、その「定跡の先端の一手」の違いが形勢を分けるのだ。というわけで、あいかわらず有段者には必携書である。

そしてこれまたあいかわらずだが、読みにくい。直す気はなさそうなのでこれ以上言うのもなんなのだが、一応書いておく(笑)。

作成日:2002.01.15 
矢倉

東大将棋ブックス矢倉道場 第2巻 続・4六銀

矢倉道場 第2巻 4六銀 続 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2001-11-01
価格 :¥219(2024/02/06 02:48時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

第1巻は▲5七角と一手待つ形だったが、今度は待たずに▲2五形と開戦する形を解説している。現在のプロの主流ではないがこれも難しい展開になり、結論はほぼ優劣不明かやや後手のり。これくらいの差なら、アマチュアなら知ってたモン勝ちである。矢倉党の有段者には必携の書といえよう。

とはいえ、あいかわらずツメ込み構成は変わっていないので、読むのがひどく疲れる。有段者必携とは言ったが、現実的には有段者「のみ」必携、初段以下は読むだけムダな本とも言える。
定跡の難しさ(奥深さ、ではない(笑))を知りたい人なら、怖いもの見たさで読んでみるのもいいかもしれない。1,200円は棋書にしてはそんなに高くない値段ではあるが、それでもたぶん後悔すると思う(笑)。

作成日:2001.11.15 
矢倉
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