総合

羽生善治の戦いの絶対感覚

羽生善治の戦いの絶対感覚 (最強将棋塾)
著者 :羽生 善治
出版社:河出書房新社
出版日:2001-11-01
価格 :¥385(2024/02/06 07:18時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

絶対感覚シリーズ第3弾。シリーズ決定版ともいうべき羽生の登場である。

しかし、正直に感想を言うと「物足りなかった」。
今までの2冊(佐藤本森内本)に比べて、キレがあまりない感じがするのだ。
題材の選び方が白砂の肌に合わなかっただけかもしれないが、なんとなくよくある局面のよくある解説を聞かされている感じがした。
それでも、大局観というものを考えるうえで有効な指針が数多く含まれていることは間違いない。このシリーズ、ここで打ち止めになっている感じがするが、できればもっと他の棋士のものも読んでみたかった。

作成日:2001.11.20 
大局観

これで簡単形勢判断

これで簡単形勢判断
著者 :高野 秀行
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2001-09-01
価格 :¥2,196(2024/02/07 22:21時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「大局観」に関する著書は意外と少ないが、その最新刊になると思う。『これにて良し? 四間飛車VS急戦定跡再点検』の続編といってもいい内容である。
基本的なコンセプトは前回と変わらない。従来から言われている形勢判断の4つの要素……駒の損得、玉型、駒の働き、手番……を分析して、現在の局面の形勢判断をするというものである。初級者にとっては大事なことなので、本書を読んで勉強するのはいいと思う。

ただ、題材が「ありきたり」というかそんなにたいしたものではない(と白砂は感じた)ので、初段以上の人が改めて読むのはどうだろう、という気がした。いくつか面白い変化はあったので損はしないと思うが、かといっておぉそうかと感銘を受けるほどではない。
個人的に言わせてもらえば、本当にプロが本書のような形勢判断法をもって形勢判断を行っているのかどうかが気になる。なんかこの4つの要素というのは「使い古された感じ」がしてしまうのだ。
例えば「駒の働き」という項目。なにをもって働いているかをどうやって判断するか、というのが形勢判断方のひとつだと白砂は思うのだがどうだろう。「それがわかりゃ苦労しねえんだよ」みたいな(笑)。非常に抽象的だと思う。
逆にプロになればなるほどそういう部分は「感覚」でわかるようになってくるので、それを文字にして伝えるのは難しいのだとは思う。しかし、初級者の底上げのために本当に役立つのはそういう感覚の部分を数値化・言語化することだと白砂は考えている。その点、ちょっと本書には不満がある。

もちろん、それこそ「それができりゃ苦労しねえんだよ」というプロの声が聞こえてきそうな贅沢な要求なのだが(笑)。

作成日:2001.09.28 
大局観

将棋・端攻め全集

将棋・端攻め全集―破壊力抜群の必勝手筋 (パーフェクトシリーズ)
著者 :大内 延介
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:1998-02-01
価格 :¥222(2024/02/08 03:22時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

いきなり個人的な話で申し訳ないが、7七桂戦法を研究して感じたのは端攻めの重要性だった。7七桂戦法は持久戦になる確率が高く、また相手は位を取ってくる将棋になる。下段飛車から桂香を2四あたりに打ちこんで終わりという形に常になるわけだ。
そうなると、がぜん端攻めが脚光を浴びてくる。桂香を手に入れるには飛車を打ち下ろすか端攻めで交換するしかないからだ。
という思考の流れからこの本にたどりついた、のだが……。

改めて思ったことなのだが、端攻めの主役は桂香ではなく、歩である。タタキ、垂らし、突き捨て、連打……。とにかく「歩」が活躍する。

『将棋は歩から』に全部書いてあるぞ……。
 というわけなので、ことさらにこの本を買う必要はないと思う。私の持っているのは変形A5版くらいの本だが、今はちょっと大きめの本がリバイバルということで出ているらしい。
だまされないように(ちなみに、写真はその復刻された方)。

作成日:2001.07.20 
手筋

将棋は歩から(上)(中)(下)

将棋は歩から 上巻
著者 :加藤 治郎
出版社:河出興産
出版日:1992-10-01
価格 :¥1,540(2024/02/08 19:24時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

はっきり言って、この本を読んでいない人は「損」である。
将棋において最も使用される駒である歩、その効果的な使用法を解説しているわけだから、こんなにおいしい本はない。二、三段レベルの人達でさえ知らないような手筋が、惜しげもなくそこらじゅうにゴロゴロ転がっている。
「ざっと一読すれば初段、通読すれば二、三段」とはあとがきの言葉だが、この言葉に嘘はない。騙されたと思ってぜひとも手に取ってほしい。

私はこれを綾瀬市立図書館で読んだ。現在はB6版の本が出ているが、そこにあったのは青い表紙の愛蔵版だった。家にはB6版の本があるが、これは結婚前、妻と二人で行った帯広の本屋で見つけたものである。3冊4,900円は安くはなかったが、見つけたその場でレジに走った。懐かしい思い出である。

誇張でなく、将棋400年の歴史に残る名著であると、私は信じて疑わない。

作成日:2001.07.20 
手筋

実戦!!森内の次の一手 勝利の三段論法、優駿流ここでどう指す

実戦!!森内の次の一手―勝利の三段論法、優駿流ここでどう指す (森内優駿流棋本ブックス)
著者 :小暮 克洋
出版社:主婦と生活社
出版日:2000-08-01
価格 :¥791(2024/02/05 22:12時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

森内優駿流(どうもこのネーミング好きになれないんだけどなぁ……)シリーズの一冊。現状を正しく認識し、それを踏まえてどうすべきか方針を立て、指し手を決定するという考え方の本である。
一度読んでみるのはいいかもしれないが、そんなに凄い本でもないなぁ……というのが正直な感想。ただ、初段直前くらいの人で、「茫洋とした局面でどう指せばいいか判らない」と感じている人は一度手にとって見るといいかもしれない。なにか発見があるかもしれない。

……かも、だけど。

作成日:2001.07.20 
大局観
広告