2004

5手詰ハンドブック

5手詰ハンドブック
著者 :浦野 真彦
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2004-02-01
価格 :¥272(2024/02/08 00:51時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

5手詰めだけを200問集めた詰将棋集。
作成者はかつて”将棋界のマッチ”と言われた(笑)浦野真彦。名前だけでマッチとか呼ぶなよなぁ……

看寿賞を取っているくらいだから(短編と、確か長編でもあったはずなんだけど、忘れた)、さぞかし難しい詰将棋かと思いきや、「詰め将棋」だった。観賞用ではなくて、勉強用の詰め将棋である。
問題そのものは筋がいいというか「ちゃんとした5手詰め」なので(白砂には詰パラとかの飛び道具飛びかいまくりの詰将棋は別世界のものに見えます(笑))、慣れている人であればさくさくさくっと解けていくと思う。白砂は立ち読みで全題制覇したが、かかった時間は45分くらいだった。これでも1割くらいは「おっ」と立ち止まっているので、決して早い方ではない。

こちらのインタビュー(関西将棋会館ホームページ 別窓)で書かれているが、装丁にこだわったり、「ページをめくる前に答えが透けないように」ということで見開き4問ずつ出題としたり、かなり気をつかって作られている。装丁については、なんぼ気を使ったところで、中身が見えちゃえば「将棋の本見てるよ、キモっ」と思う人は思うだろうから、あんまり意味はないと思う(笑)。カバーかけちゃえばおんなじだし。意欲は買うけど。

昔からこの手の本っていっぱい出ていたような気がするが、「5手詰」という手数と内容にきちんとこだわって作られた本はあまりなかったと思う。白砂は基本的に詰め将棋の本は購入を薦めないのだが、これは買っても損はないのではないかな。

作成日:2004.03.10 
詰め将棋

最強力戦振り飛車マニュアル

最強力戦振り飛車マニュアル
著者 :鈴木 大介
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2004-02-01
価格 :¥2(2024/02/05 22:35時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

アマチュア振り飛車党の「教祖」となった感がある鈴木大介の力戦振り飛車解説本。力戦、と銘打ってはいるが、例えば中飛車編は『新ゴキゲン中飛車戦法』だったり、向かい飛車は『島ノート』の鈴木大介新手だったりと、どこかで紹介している形も多い。

鈴木大介ということで、まぁいつもの調子だ。読んでいて気持ちがいいし、とにかく振り飛車勝ちの変化が多いので、級位者くらいの人が読むと必勝戦法のように見えるだろう(笑)。騙されてはいけない、と言うのは簡単だが、級位者同士の対戦では相手が最善手を指してくる保証がどこにもないので、それを咎める手がたくさん載っている本書の形式は親切だとも言える。

もう少し詳しく個々の戦法を解説すると、

  • 中飛車……新ゴキゲン中飛車。こちらから▲2二角成と交換しに行く形。
  • 四間飛車……筋違い角穴熊。▲6七角と引いて振り穴に囲いカウンターを狙う。
  • 三間飛車……居飛車穴熊崩し。『居飛穴なんかコワくない』の改良形
  • 向かい飛車……升田流向かい飛車

といったところ。 そこそこページ数も多く、読んでいて楽しめる。向かい飛車の項などは『島ノート』の形を更に掘り下げているので、有段者であっても目を通しておいて損はないだろう。立ち読みで十分読める内容だが、気に入ったらレジに持ってってあげて下さい(笑)。

作成日:2004.02.23 
振り飛車全般

四間飛車道場 15 藤井システム破り

四間飛車道場 第15巻 藤井システム破り (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-02-01
価格 :¥984(2024/02/05 22:35時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

東大将棋四間飛車道場シリーズ第15巻は藤井システムvs急戦。
▲5七銀と上がった居飛車側が、穴熊に囲いに行くのではなく、▲3五歩、あるいは▲4六銀~▲3五歩と仕掛ける形を解説している。竜王戦の羽生-森内戦で出てきた形、と言えば、判る人も多いのだろうか?

こういう急戦は当然考えられてもいいところで、記憶では十年位前の『将棋世界』に武者野(だったと思う)が書いていた記事を読んだ記憶がある。その当時はまだ藤井システムも今ほど市民権がなく、「山田道美だったらこうやって急戦で潰しただろう」みたいな文章があったように思う。まぁ、それは置いておくとしても、藤井システムの異様な陣形を見れば、一目仕掛けたくなるところだろう。
振り飛車側にもいろいろな「寝技」の選択肢はあり簡単ではないが、初段くらいのシステム党相手になら十分に通用する急戦策ではないだろうか。

類書があるかと思っていたが、意外と多くなかった。
『島ノート』には急戦は1つしか載っていないし、『四間飛車の急所』も△6二玉型の急戦は載っていない。調べたところ、『最前線物語』に1章数ページ分と、『振り飛車ワールド』の千葉講座にあっただけだった。
これを考えれば、システム党も手元に置いて損はない本だと思う。

それぞれの急戦策は関連しているようで独立している部分も多いので、要は1冊に3本の急戦策が載っている本と考えればいい。それぞれの変化は多くてもタカが知れているので、本シリーズの「クソ編集」でも十分読みこなせる。
シリーズには珍しく、初段くらいの読者にも薦められる本だ。

作成日:2004.02.23 
四間飛車

新 谷川浩司全集 2

新谷川浩司全集 2
著者 :谷川 浩司
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-01-01
価格 :¥430(2024/02/08 19:23時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

谷川の棋譜を集めた本。自戦記編と実戦譜編があり、自戦記が15局、残りの44局は棋譜+手の解説といった構成になっている。

サブタイトルに「平成13年度版」とあるように、平成13年度に指された将棋が載っている。少し仕事が遅くないか? という気もするが、一応「自戦記」ということらしいので、それだけ時間がかかってしまったということだろう。
内容そのものは面白く読めた(個人的に谷川の文章は嫌いではないので)。が、タイトル戦の将棋などはあっちこっちで語られ尽くされているので、もう飽きたというかお腹いっぱいというか、うーん……やっぱり少し出版を早くした方がよかったと思う。
この本の内容をこの時期に出したとして、これはきっと谷川ファン以外には買わないよねきっと。
もう少し、できればあと半年早ければ、棋界展望といった趣がないわけではない(なんだかんだ言ったって谷川は棋界の中心にいたんだし)ので、別の需要が喚起されたと思う。

完全に「ヲタ向け」と割り切っていると思うので、売り上げの心配なんてのは野暮な話かもしれないのだが(笑)。

作成日:2004.02.10 
実戦譜集

’04 振り飛車ワールド 1

振り飛車ワールド ’04 第1巻
著者 :毎日コミュニケーションズ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-01-01
価格 :¥642(2024/02/05 20:05時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

2004年版、ということで、表紙もサルに変えて一新したこのシリーズ。つーか、この表示は続ける気なのね……。

内容はほとんど変わっていなくて、インタビューとか講座とか、読み応えは相変わらずだ。
唯一変わったのは指定局面対局で、今までは3つの局面を2局ずつだったものを、2つの局面を2局ずつに変更した。その代わり、テーマとは別に、最近のタイトル戦などから興味深い局面をピックアップし、それを2局戦うことにした。要するにテーマ図が2つになったような形で、そのうち一つは流行を追うようにしよう、ということなのだろう。研究と流行の両方が味わえるので、この形式は「お得感」があっていいと思う。

他の部分をざあっと見ていくと、千葉の講座は相変わらずだし、インタビューも面白かった。鈴木大介の講座は石田流vs棒金で、『島ノート』とは若干違う切り口で解説されている。これは石田流党には必見だろう。最後の「定跡信ずべし、信ずべからず」は裏定跡集で、これは久々のヒットという感じ。こういうのをアマチュアは待ってんのよ(笑)。
あと、バンカナたんの文章は、いつもながら顔とマッチしなくて面白い。もう少しいろんな本を読んだりして語彙や表現力が増えたら、もっといろいろなものが書けると思う。あじあじと比べちゃうのは両方にとって失礼かもしんないけど、バンカナたんの方に将来性を感じた。

新シリーズ第1弾ということもあって、いつも以上に気合が入っている感じがする。
細く長くでいいから火を絶やさずにいて欲しいと思っているので、焦らずゆっくり頑張って欲しい。

作成日:2004.02.10 
振り飛車全般
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