将棋コラム


  石田流復活なるか? Date: 2004-07-23 (Fri) 
『近代将棋』8月号を読んだ。
 なんだか今月は石田流の新手特集、といった感するある。実は立ち読みでなんとなくしか覚えていないのだが(爆)、新手の周辺を採り上げてみたい。

 登場したのは、鈴木(大)−桐山の銀河戦。
 第1図はよくある石田流の出だしだが、ここからいきなり仕掛ける。

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▲7四歩△同歩▲同飛(第2図)

 なんとも大胆な仕掛けだ。
 従来の定跡は、ここから△8八角成▲同銀△6五角(第3図)で飛車取りと△4七角成をみて先手失敗、というものだった。しかし、鈴木大介は▲5六角△7四角▲同角と進め、これは先手がいいのではないかと主張する。例えば△6二銀と角成を受けると、▲5五角△7三歩に▲5六角(第4図)と冷静に引いておけば▲1一角成が受けにくい。

 いったん後手を引いても指せる、という大局観が素晴らしいではないか。こんな手で勝てたら最高だと思う。

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 さすがに不穏な空気を感じたのか、桐山はこの変化には飛び込まず、穏やかに△7三歩と受けた。
 しかしこれで収まってしまうようでは面白くない。
 △7三歩に▲7五飛と一つだけ引き、△8六歩▲同歩△同飛に▲7八金(第5図)とする。

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 なんとなく△8六角の王手飛車が見える雰囲気だが、
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 いずれもしっかり受け切っている。

 結局、△8二飛と引いたのだが、▲4八玉△4二玉▲3八玉△7二銀▲2八玉△6四歩▲3八銀△6三銀▲1六歩△8八角成▲同銀△3二玉▲7七桂(第8図)と、とうとう8筋に歩を打たないまま駒組みを進めてしまった。

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 石田流側にとっては実に気持ちのいい手順で、ここまで指せれば負けても悔いはないだろう(よかないか……(笑))。

 このあと、後手の桐山に緩手が出て先手の快勝となった。
 ただ、仮に緩手がなかったとしても、この形になれば先手が十分だと思う。
 こんな単純な駒組みでいいんかい、という気もするが(笑)、いかにも石田流らしい軽快な手順だ。

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