振り飛車・対振り飛車 − 穴熊


 スーパー四間飛車
著者名小林 健二/著

級位者☆☆☆
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆☆
価格1500円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

 居飛車穴熊が大流行していた頃に出た本書は、振り飛車党待望の書だった。綿密な研究に基づいて作られた穴熊破りの定跡は、我々アマチュアのみならずプロにも大きな衝撃を与えた。小林八段自身、これでA級に昇ったといっても過言ではないだろう。
 本書で使用している「上下図面2枚中段のみ文章」という構成は、豊富な図面と詳細な解説を詰め込むにはぴったりの形式だったのだと思う。後に出た、やっぱり指し手詰め込み型の『角換わり腰掛け銀研究』がその構成をそっくり踏襲したことを見てもそれは明らかである。
 藤井システムの先駆けともいえる本書の指し方は、アマ初段前後でも十分指しこなせると思う。一読してみて欲しい。



 振り飛車党宣言! 3.対居飛車穴熊
著者名週刊将棋/編

級位者☆☆☆
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆
価格 4段以上☆☆
感想

 シリーズ第3弾。四間飛車対居飛車穴熊である。
 現在では藤井システムが花盛りだが、それ以前の振り飛車党の対策が書いてある。つまりは「古い」わけで、これは棋書の持つ本質的な欠点ながら残念なことではある。
 とはいえ緻密な藤井システムに比べると指しやすい戦形が載っているので、初段前後の人にはお薦めである。
 また、小倉流▲9七角戦法(角を交換して9七に打つ)は、『B級四間飛車戦法の達人』が出るまでは本書しか扱っていなかったといってもいい。そういう意味では貴重ではある。

 ただし、何度も言うが「古い」ので、本書を読んだ後は別の本でフォローすることも必要である。



 最強 藤井システム
著者名藤井 猛/著

級位者☆☆
出版社名日本将棋連盟 初段〜3段☆☆☆☆☆
価格2000円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

 今や将棋を指す上で藤井システムは避けて通れないシロモノになってきている。居飛車穴熊や左美濃に有効なため振り飛車党には必須だし、振り飛車をされると藤井システムを相手にすることになる。どっちに転んでも藤井システムは顔を覗かせるのだ。

 藤井システムのどこが凄いのか?
 それは喩えて言うなら、変態には変態にといった「態度」である。イビアナも左美濃も、通常の囲い方ではない。ならば、異常に合わせて自らも異常な陣形に組む。それが藤井システムの思想だ。勝手な分析ではあるが,私は藤井システムをそう理解している。
 だからというわけではないが,藤井システムを指すと正常に来られた時にまず困る。それに、異常な指し方は異常な感覚を必要とするから、付け焼刃で指すとまず失敗する。要するに、力が強くないと指せない戦法なのだ。
 それでもなお、やっぱり藤井システムは人気である。そして、そんな人気に応えたのがこれらの藤井システム本である。

 残念ながら図面が少ないため、盤駒がないと読んでいくのはキツいかもしれない。第一、緻密な藤井システムを解説するのに通常の「上半分図面、左下小図面」構成は無理がある。かつての『スーパー四間飛車』の構成くらいにはしてほしかった。それだけの価値はある筈である。
 しかし、ここまで構成を貶しても、やっぱりこの本は「買い」である。特に高段者にとっては必携と言える。
 級位者にとっては、残念ながら百害あって一理なし、である。これを読むくらいなら、次に紹介する『居飛穴なんかコワくない』でも読んでいた方がよっぽどためになる。



 居飛穴なんかコワくない
著者名神谷 広志/著

級位者☆☆☆☆
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆
価格780円 4段以上☆☆☆
感想

 何度も出てくる話だが、居飛車穴熊の出現は振り飛車党にとっては大打撃だった。と同時に、イビアナ退治本も氾濫することとなった。本書はその一冊である。
 三間飛車真部流、メリケン向かい飛車、四間飛車▲4八飛戦法(スーパー四間飛車の原型)、中飛車角交換型、石田流飛車交換型と振り飛車全てについて解説してある。

 個人的には、石田流に興味を持った。普通に組んだ後、▲4六角とノゾく。そのまま▲7四歩とされると△同飛▲同飛△同歩▲9一角成とダイレクトに香を取られるので△9三香と逃げるが、そこで▲5七角と引く。今度は▲7四歩△同飛(△同歩は▲6五歩)▲同飛△同歩に▲8五桂と跳ねた手が香に当たるという仕組みである。
 よく考えられた手順だと思う。『真・石田伝説』で紹介されている「楠本流対潜石田」でも似たような手が出てくる。
 このように、古い(1987年刊)本でありながら現在でも十分に通用する戦法が解説されている。級位者から初段前後の人にとっては「買い」である。



 史上最強の穴熊 1
著者名大内 延介/著

級位者☆☆☆☆
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆
価格1200円 4段以上☆☆☆☆
感想

 突然だが,正直に告白する。

 私はここまで,貶し言葉として何度か「高段者の定跡本」という表現を使ってきた。
 出る筈のない都合のいい手順をただ書いていくだけで、最新手順の発表もなく、様々な形の紹介でもなく、言葉は悪いが「金のためだけに」書いた本。それを「高段者の定跡本」と評したわけだが、本書もそうだと思っていた。だって、大内だよ。

 しかし、間違いだった。

 急戦・持久戦ともに、惜しげもなく最新の指し手が紹介されていた。互角程度の分かれにしかならない変化もあったと思うが、それだって正直さの裏返しである。作った手順を見せられるよりはよっぽどいい。
「しばらくの間、苦戦の続いた穴熊だが、今度はこちらから新作戦を披露する番だ。本書はそういった新しい指し方をすべて披露した」とはまえがきの言葉だが、この言葉に嘘はない。
 古い本ではあるが、できれば一度は読んでみてほしい。



 史上最強の穴熊 2
著者名大内 延介/著

級位者☆☆☆☆
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆
価格1200円 4段以上☆☆☆☆
感想

 1は対急戦だったが、2は対持久戦。振り穴党はむしろこっちを解説してくれた方が嬉しいのではないだろうか?

 元々、振り飛車穴熊は居飛車穴熊に比べて不利だ、という話をよく聞く。主な理由は左銀(居飛車側は右銀)が使いにくいとか飛車先の歩が伸びているとかそんなようなことだと思ったが、それってそんなに不利になんのかよ? と思った記憶がある。
 本書の指し方はかなりオーソドックスな方だが、それでも、いわゆる「相穴熊振り飛車側の不利」を感じさせない指し方である。少し変化の底が浅いので、「鈴木流四間穴熊」や「これが最前線だ!」などと合わせて読むといいと思う。



 快勝! スーパー穴熊
著者名小林 健二/著

級位者☆☆☆
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆
価格1400円 4段以上☆☆☆
感想

 ホントに商売人やのぅ……(笑)

 今度は穴熊である。
 そこそこ詳しく解説はしてあるが、なんだか既にどこかで読んだことがあるぞ、という変化も数多い。定跡書と思って買うと多分損をする。
 この本のウリは、冒頭の「穴熊の歴史」の部分であろう。穴熊党の各プロの将棋を解説して、それぞれの棋風の違いなどを紹介している。穴熊の戦い方も参考になるし、この部分だけは読んでいてためになったと感じた。



 将棋・穴熊戦法
著者名木村 義徳/著

級位者☆☆
出版社名成美堂出版 初段〜3段☆☆
価格500円 4段以上
感想

 昭和55年発行という古い本である。もはや古本屋か図書館でなければお目にかかることはないだろう。
 穴熊、ということなのだが、昭和55年である。一応居飛車穴熊の記述はあるものの、当時の穴熊と言えば振り飛車穴熊である。よって、居飛車穴熊対振り飛車美濃囲いはさらっとしか載っていない(掲載されているだけ凄いのかもしれないが)。

 内容としては、振り飛車穴熊対急戦、振り飛車穴熊対持久戦(位取り)、相穴熊、相振り飛車での穴熊などである。
 お薦めなのは、最後の章。
「穴熊の再認識」と題された本章では、穴熊戦法を論理的に分析している(とはいっても現在では常識の範疇だろうが)。
 いわく、
「穴熊は玉を固く囲うので受けの戦法と思われるかもしれないが、実は豪快に攻めるための準備であり、本質は攻めにある」
「穴熊戦法の魅力はその強力な破壊力にある」
「穴熊は端、上部からの桂香(+下段飛車)による攻撃に弱い」
 そして、弱点を知ってしまうと、「なんだ、弱いんじゃん」ということで穴熊が嫌いになるかもしれないが、そんなことはない。弱点をきちんと知っていれば、それを受けないように気をつけるからそんなに不利にはならないはずである、と結んでいる。
 なかなかに含蓄のある論理だと思う(表現は大幅に修正してます(笑))。特に、きちんと弱点を説明し、それを受けないように気をつけようという態度がいい。なんでもかんでも穴熊よし、ではないのである。
 昭和の時代に、そういう「健全な精神」で棋書が著されているというのは嬉しいことだ。木村先生の哲学の賜物だろうか。



 秘伝 穴熊王 〜堅い・攻めてる・切れない・勝ち!〜
著者名美馬 和夫/著 週刊将棋/編

級位者☆☆☆☆
出版社名毎日コミニュケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆☆
価格1200円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

 アマ強豪で穴熊の大家、美馬さんが書いた本。自分の書いた文章というものが実際に本になるというのはどんな気持ちなんだろうか。同じアマチュアとして(「強豪」の文字が入れられないのが悲しい)、そしてアマチュア文筆家として非常に興味がある。
 内容は居飛車・振り飛車を問わずとにかく穴熊について解説されている。プロ間では藤井システムが登場してやや劣勢の感があるが、アマチュアでは依然として「熊れば勝ち」「攻めればよし」は真理なんだろう。
 特に劣勢からの逆転術については参考になる。穴熊党なら是非読んでおきたい本だ。



 振り飛車新世紀3 久保流四間飛車(下)――居飛穴粉砕!
著者名久保利明/著

級位者☆☆☆☆
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆
価格1200円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

 居飛車穴熊対策として名を馳せている「藤井システム」は、実は久保が指していた戦法でもある。言わば「ホントの本家」の解説なわけで(笑)、非常に勉強になる。

 藤井システムタイプだけでなく、後手番の作戦として浮き飛車型や銀冠に組み合っての将棋についても解説している。こういう戦形の解説書はあまりないので、できれば手元に置いておきたい本である。

 白砂は持ってないんだけど(爆)。



 振り飛車新世紀 4 鈴木流四間穴熊
著者名鈴木 大介/著

級位者☆☆☆☆
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆
価格1200円 4段以上☆☆☆
感想

 大雑把な解説では評判の(笑)鈴木大介の本。本書はまだ若かりし頃の執筆のはずだが(書いてれば、だけど)、その姿勢は変わってない(笑)。

 対急戦(△5三銀左・棒銀)と対持久戦(銀冠・居飛車穴熊)の解説があるが、ほとんど変化なし。対急戦には▲3六歩と▲7八金、対持久戦には▲4六歩〜▲4七金という形で迎撃する。
 本書だけで穴熊を指しこなすのは無理だと断言するので(笑)、別の本でフォローしてほしい。



 振り飛車新世紀6 杉本流四間飛車 封殺! 居飛車穴熊
著者名杉本 昌隆/著

級位者☆☆☆☆
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆
価格1200円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

 封殺! という言葉通り、居飛車穴熊を破るのではなく、居飛車穴熊に組ませない指し方を解説した本。藤井システムの主要である変化も多くなっているので、藤井システムを指す人は必携だ。
 また、後半の相穴熊についても、鈴木本と合わせて読むといいと思う。

 個人的に、杉本の本は読みやすい。変化の解説、今どこを解説しているのかという基本的な情報が、読んでいて頭に入って来やすいのだ。なんで? とか、どこが? とか突っ込まれると非常に困るのだが……。



 最新スーパー四間飛車1 急戦! 居飛穴破り
著者名小林 健二/著

級位者☆☆
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆
価格1400円 4段以上☆☆☆
感想

 商売人やのぅ……(笑)

 いや、いいんだよ別に。
 ただ、どうも最近の小林八段の本は「内容が薄い」気がしてならない。既に人生守りに入っているのだろうか?(笑)

 さて、書評。
 当然「最新」と銘打ってあるのだから最新の指し方が載っている。ただし、当時の。
 現在はむしろ「常識」と言えるのだろう。定跡は日々進歩する。

 もちろん、棋書に対してこういうことを言うのはヤボである。それは判っている。紙ベースに載せることそのものが大事なこともあるわけだし、そもそも棋書という形態が「日々古くなっていく」宿命を持っている。
 だが、古くなっても通用する棋書というものもある筈である。例えば『スーパー四間飛車』は現代でも立派に通用する名著であると私は思っている。
 要は「書く側の心構え」だと思うのだが。



 アマの将棋ここが悪い! 次の一手形式 5 居飛車穴熊戦法
著者名田中 寅彦

級位者
出版社名創元社 初段〜3段
発行年月/価格2002.9/1,000円 4段以上
感想

 

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 実戦居飛車穴熊戦法 必殺!振り飛車破り
著者名田中 寅彦

級位者☆☆☆☆
出版社名創元社 初段〜3段☆☆
発行年月/価格2001.4/1,200円 4段以上
感想

 田中寅彦は一体何冊のイビアナ本を書いたんだろう?
 そして、その中の全部の変化をあわせると、一体何冊分の本になるんだろう?
 ……というくらい、進歩してません、この人の本は(笑)。

 本書でまず凄いなと思ったのは、藤井システムを解説していないこと。
「私は藤井竜王と公式対局を戦っていないので、秘策を披露するわけにはいかない」からだそうだ。

……ふざけんなよコラ(笑)

 なんじゃそりゃあっ! って感じの理由である。で、居飛車穴熊に簡単に組ませて、そのまま暴れて居飛車穴熊よし、解説終了、である。をいをい……。
 初級者中級者向け、ということだろうから(これで有段者向けだったらブン殴る)、ある程度の「作った手順」は仕方ないかなーとも思う。それにしても、もう少しなんとかなんなかったのかなーと思う。
 もともと、白砂は初級者が穴熊を組むことに反対なのだ。
 いや、ずるいとかそういうんじゃなくてね(笑)。
 穴熊の場合、主導権は振り飛車にある。正確に言うと、振り飛車側が穴熊に組ませないようにちょっかいを出していく将棋になる。つまり、居飛車からすると対応型の将棋になってしまう。
 初級者に「対応」はまだ無理でしょう。

 つまり、穴熊っていうのは意外と上級者向けの戦法だと思うのだ。
 なので、穴熊の解説をこの程度しかしない本書の意義がよく判らない。

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 中飛車戦法 居飛車穴熊を撃退する!
著者名杉本 昌隆/著

級位者☆☆☆☆
出版社名 創元社 初段〜3段☆☆☆☆
価格 1,200円 4段以上☆☆
感想

 ものすごく身も蓋もない感想を言ってしまうと、どこかで見たような中飛車の本。2章立てで、前半が昔の変態中飛車、後半が今の変態中飛車=ゴキゲン中飛車、という内容だ。

 創元社の本の作りがこうなっているといか言いようがないのだが、非常に変化の底がない。その代わり、図面を大きく取って初心者でも判りやすいようにしている。徹底して上級者を切り捨てるという姿勢(笑)はこれはこれでいいのかもしれない。原田節みたいなもんである。
 それでも、パラパラと読んでいると「お、この変化いいじゃん」という手がいくつかはあった。白砂が知らなかっただけなのかもしれないが。立ち読みで30分もあれば一通り目は通せるので、有段者の人も読んでみてほしい。

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 東大将棋ブックス 四間飛車道場 第七巻 相穴熊
著者名所司 和晴/著

級位者☆☆
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆☆
価格1,200円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

 東大将棋シリーズの中でも、もっとも待ち望まれていたと思われる穴熊の本。しかも相穴熊である。あぁなんて下品な将棋(笑)。

 というギャグはおいといて。
 先手居飛車穴熊、後手四間穴熊という限られた形での解説である点は従来の東大将棋シリーズと全く変わらない。振り飛車側が早めに△5四銀と上がり、△6二飛と攻める形が紹介されている。『これが最前線だ!』にも若干似たような形があったと記憶するが、なにしろ相穴熊の本なんでどれだけ出ていなかったことか。しかも内容は超高度(当たり前、という変化も多いんだけど)。

 とりあえず穴熊党は絶対に買い。下品な将棋は指さないという人は買う必要なし(笑)。

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 振り飛車穴熊戦法 軽快にバランスよく攻める
著者名福崎 文吾/著

級位者 
出版社名創元社 初段〜3段 
価格1200円 4段以上 
感想

 

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 東大将棋ブックス四間飛車道場 第8巻 銀冠vs穴熊
著者名所司 和晴/著

級位者 
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段 
発行年月/価格2002.12/1,200円 4段以上 
感想

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 最強居飛車穴熊マニュアル
著者名佐藤 康光/著

級位者☆☆☆
出版社名日本将棋連盟 初段〜3段☆☆☆☆
発行年月/価格2003.1/1,500円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

 著者が書く居飛車穴熊本としては2冊目になるのだろうか? 最強、とはまた大きく出たものだが、実際にそれだけ勝っているわけだから看板に偽りはない。
 内容は居飛車穴熊対四間飛車で、最初に普通の四間飛車、そしてそのあと、メインとして藤井システム対策を載せている。

 非常に良くまとまっている本で、図面も多い。ただ、個人的にはこのレイアウトはどーよ? と思う。白状すると、非常に読みづらかった。文字も変に大きいし。まぁ、立ち読みで全部読む方が悪いのだが。
 初段前後から有段者まで、かなり広い範囲でカバーしていると思う。「マニュアル」と銘打つだけあって、それなりのものはある。次は「最強ミレニアムマニュアル」でも出さないかな(なんか早口言葉みたいだ)。

 最後に相穴熊も少しだけ載っているが、薦められるほど詳しくもないし分量も割いていない。あって嬉しいおまけのようなものだと考えて欲しい。

(2003.3.16 記)

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 ホントに勝てる穴熊 先崎学式将棋レクチャー&トーク
著者名先崎 学/著

級位者☆☆☆☆☆
出版社名河出書房新社 初段〜3段☆☆☆☆☆
発行年月/価格2003.2/1,300円 4段以上☆☆
感想

 ホントに勝てるシリーズ第3弾。前書きを読む限り、とりあえず振り飛車編はこれで打ち止めのようである。
 名前の通り、今回は穴熊。居飛車穴熊と振り飛車穴熊、それと相穴熊について書いてある。これはもう「穴熊のこと全部」と言ってもよく(例外って言えば矢倉からもぐるくらい?)、穴熊を指すのであればこれ一冊あれば大丈夫だろう。

 例によって判りやすい言葉で判りやすく説明されている。場合によっては終盤の入り口までちゃんと書いてあるので、級位者が「〜にて穴熊よし」からとまどうこともないだろう。また、これはシリーズ共通なのだが、指し手そのものよりも指す上での考え方を書くことに重点を置いているので、変化は少ないが指しこなすのは易しいと思う。

 有段者は、全部読んでもおそらくほとんどのことは判るだろうから、各ページごとについている表題を拾ってみるといい。「金は底歩」とか、「四間飛車は攻め、三間飛車は受け」とか、なんだろうこれは? と思わせるものが多い。そうやって興味を持ったものだけ拾い読みをすると、そこそこ楽しめると思う。もちろん、著者の文章のファンであれば、迷わず最初から読むことをお勧めする(笑)。

 こうなると居飛車編も楽しみになってしまうが、当人曰く「3倍大変」ということなので、実現はしてもかなり先の話かもしれない。それでも、待つ価値はあると思う。

(2003.3.16 記)

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 東大将棋ブックス四間飛車道場 第9巻 持久戦vs穴熊
著者名所司 和晴/著

級位者 
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段 
発行年月/価格2003.2/1,200円 4段以上 
感想

 

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 四間飛車道場 第十巻 急戦VS穴熊
著者名所司 和晴

級位者
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆☆
発行年月/価格2003.4/1,200円 4段以上☆☆☆☆
感想

 穴熊シリーズも佳境に入り、今度は対急戦。5七銀左、5七銀右、棒銀と、てんこもりのお得な一冊である。
 どちらかというと居飛車有利の変化が多い解説になっているが、これは仕方がないことかもしれない。なんとなく少し不利なまま終盤を迎えて逆転、というのが穴熊のパターンだし。ただ、場合によっては寄せまで変化を掘り下げているので、穴熊の寝技が威力を発揮する場面は限られてきそうだ。

 変化の流れとしては、通常の四間飛車vs急戦と比べてどーよ? という感じになりがちなので、目新しさは感じられない。一応、今までにない形や新手も紹介しているのかもしれないが、そういうわけであるのかどうかよく判らない。もっとも、まえがきで「あまり進歩していない云々」と書かれていた(と思う)ので、実際に目新しくはないのだろう。

 有段者は常識の変化が多いと思うが、まぁ持っていて損はない一冊だと思う。級位者は「史上最大の穴熊」とか「秘伝 穴熊王」でも読んでいた方がよっぽど役に立つと思う。

(2003.5.21 記)

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 四間飛車で居飛車穴熊退治
著者名鈴木 大介/著

級位者☆☆☆☆☆
出版社名創元社 初段〜3段☆☆☆☆
発行年月/価格2003.7/1,200円 4段以上☆☆☆☆
感想

 鈴木大介です。
 創元社です。

結果は、見えてますね?

 というコメントになるはずだったのだけど……(<はずだったんかい)。

すまん。

 この本、結構いいよ。

 題材としてはタイトル通り対居飛車穴熊。先手番では浮き飛車を、後手番では△4四銀型を解説している。
 特に浮き飛車については、あの久保が「厭な変化があるのでもう指しません」とか言ったとか言わないとかいうくらいなんか厭な筋があるらしいのだが、もちろんそんな変化は素通り。相変わらず豪快に決めてくれてます(笑)。
 ただ、かなり形が限定されているので、四間飛車道場ほどではないにせよかなり突っ込んで変化が書かれている。本書を理解して四間飛車で穴熊に挑んで、それで負けてしまったら相手が強いと諦める以外にない、というくらいきっちりと解説してあるのだ。

 浮き飛車形にしろ4四銀型にしろ、上級者でなくても指していける簡単な形なので、そういう「決まった形」をうまく料理した本だと思う。こういう戦法は、一手違うともうだめーというのではなく、形や狙い筋を理解するのがむしろ肝要なので、創元社+鈴木大介という「本筋のみ直球勝負」という作り手陣容とは相性がよかったのだろう。

 下は5級くらいから上は3段くらいまで、かなり「使える」本になっている。

(2003.8.25 記)

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 東大将棋ブックス四間飛車道場 第11巻 居飛車穴熊
著者名所司 和晴/著

級位者
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆
発行年月/価格2003.6/1,200円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

 ようやく出てきた居飛車穴熊編。
 いろんなところで書いているのだが、なんでニーズの多い形をすぐ出さないかなぁ。

 今回は藤井システム以前の古い形で、△5四銀型と△4四銀型。端歩を△9五歩と突き越した形に限定している。
 どちらもアマチュアには人気の多い形だ。わけの判んない戦いになる藤井システムよりも狙いや手順が簡明なためだろう。
 両方とも、形が絞られているだけに、かなり詳しく解説されている。お世辞にも簡明とは言い難いが、それも仕方がないだろう。

(2003.11.4 記)

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 東大将棋ブックス四間飛車道場 第12巻 続・居飛穴
著者名所司 和晴/著

級位者☆☆
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆
発行年月/価格2003.8/1,200円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

 第11巻に続く居飛車穴熊編。
 今度は先手が▲9六歩と端を受けた形を解説している。前著と同じく藤井システムではないので、後手は△4四銀型。これを指す人にとっては待望の著だろう。

 大きく▲7八金と▲7九金に分かれ、それぞれに100ページ近く割いている。△4四銀型自体がかなり単調な戦法であるためか、そんなに変化は多くない。この東大将棋の編集でも、だからなんとか読めると思う。自分は1回しか読んでないけど(爆)
 それでも、初段くらいはないと苦しいだろう。

(2003.11.4 記)

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 東大将棋ブックス四間飛車道場 第14巻 藤井システム封じ
著者名所司 和晴/著

級位者
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆
発行年月/価格2003.12/1,200円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

 おなじみの東大将棋シリーズ。今回は「藤井システム封じ」。これだけだと意味が判らないが、要するに早めに▲3六歩と突いて急戦を匂わせて、△6二玉とさせてから穴熊に組みに行く形のことである。
 ▲3六歩と突く形は昔からあったが、現在ではシステム側の形が4三銀型なので、従来の3二銀型とは違う攻防になる。最新の形であり、当然『島ノート』よりも詳しく解説されている。システム党も穴熊党も、目を通しておいて損はない。

 惜しいのは、やはり体裁だろう。
 形を決めて突っ込んで解説する、というのがこのシリーズの方針なので仕方がないのだが、それならそれでどうとでもできると思う。特に、今回は目次だけ見ると1章なのに解説が数ページとか、なんじゃそりゃあという構成になっている。
 せめて、深く研究する部分については目次も深くしてほしい。その方が絶対に読みやすい。変に目次の体裁も統一しようとするからおかしくなるのだ。「1−3−2−4 ▲2四歩に△6五歩」となったっていいじゃん。それくらい深い部分なんだよと判るんだから。

 それと、改めて思った。
 このシリーズの体裁が悪い理由は、やはり「文字を書く行数」が少ないからなのだろう。
 例えば、分岐があったとして、
1.▲5五歩 2.▲9九玉 3.▲9六歩
 と書くのと、

  1. ▲5五歩
  2. ▲9九玉
  3. ▲9六歩
 と書くのとでは「見やすさ」が違う。
 しかし、後者の方が「行数」を喰う。おそらくそのためだろう、このシリーズの書き方は前者に統一され、そして非常に読みづらい。

 解説を増やせというわけではなく、その見せ方をなんとかしてくれと言いたいのだが、行数を詰めることしか考えていないようなので、この部分が改善されることはきっとないだろう。
 そうして、読みにくい本がどんどん出版されていく(笑)

(2004.1.5 記)

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 杉本流端歩位取り穴熊
著者名杉本 昌隆/著

級位者☆☆
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆
発行年月/価格2004.4/1,365円 4段以上☆☆☆☆
感想

 なんだかよく判らないタイトルかもしれないが、相穴熊戦限定の振り飛車の戦法である。
 藤井システムっぽい感じで最初のうちに端を突き越し、相手の居飛車穴熊を見てこちらも穴熊に囲う。そうすると、端を突き越しているため、振り飛車側にだけ端攻めの権利がある。だから振り飛車よし、という考え方だ。言われてみればそのような気もするし、端歩を突き越して穴熊ってのは違和感があるってのもあるし、そもそもそんな下品な戦法ってどーよ? という気もする(笑)。
 理屈としては判るので、振り穴党は試してみるのもいいかもしれない。

 本の内容の方は、まだまだ未知の分野ということもあってかあまり詳細な解説はされていない。まぁ、形とか狙い筋を覚えて、あとは実戦で感覚を磨いて下さい、ということなのだろう。具体的に有利になる手順があるわけではないので、変化手順が少ないのは仕方がないだろう。

 居飛車穴熊vs振り飛車穴熊は、飛車先の歩を突き越している関係で居飛車穴熊有利、という説がかなり以前からあった。もちろん振り飛車側も△6二飛と回ったりいろいろと工夫してきたのだが、そういう手順としての有利さを求めるのではなく、「飛車先を突き越して攻めがあるから有利、って言うんなら、端歩を突き越している形は振り穴有利ぢゃん」といった感じの「局面の見方としての有利さ」を求めた戦法はなかったように思う。
 一手損角換わりや二手損四間飛車にも通ずる、面白い戦法だと思う。  そういう意味でも、今後の発展が楽しみだ。

(2004.5.26 記)

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