伏土竜の麻雀戦術論

展開編その2

第1章 アガられると困る相手、アガられても良い相手

  第2項 見分け方の実例

 いつものように、典型例をいくつか挙げて説明します。
 もちろん「展開」ですから、全く同じケースというのはありません。しかし、ここに挙げる例はいずれも文字通り「典型」で、類似局面は頻繁に出現します。

例1

 南3局。もう親番はない。トップから5000点差の2着目。
 ここでトップ者から、容易に満貫が想定されるリーチが掛かった。

 仮にこの局面でトップ者がツモってしまうと、点差は5000点から21000点に開いてしまいます。こうなるとオーラスでの逆転はほぼ無理です。
 これは展開の3つの指針に抵触します
 よって、このトップ者リーチは「アガられると困る相手」となります。

例2

 南3局。もう親番はない。トップから5000点差の2着。
 ここでオーラスに親番を残している3着目が「アガって親番を持ってくるんだ」とかぬかしていかにもタンヤオのみの仕掛けをしている。

 ここで「いかん、アガリ癖をつけられるとオーラスやっかいなことになる」という議論は脇へ置いておいて、麻雀で大事なことは何度も言っている通りトップを取ることです問題になるのは自分とトップの差であり、自分と自分より下の者との差ではありません
 もちろん、3着目がデカいアガリをして逆転トップ、という場合はあります。が、3着目がツモアガリしようとも、現在のトップ者と自分の点数状況は大差ありません。この例で言えば、オーラス逆転可能範囲内であることに変わりはないのです。
 よって、この局面での三着目は「アガられても良い相手」となります。

例3

 東1局2本場。
 先程からマンガンツモを2連発して連荘している親が更にリーチ。

 この時点で、既にトップと他3人とは32400点もの点差がついています(積み棒がありますので、32000点差ではありません)。これ以上離されると、いかに現在東1局とはいえ、ほぼ逆転トップは無理でしょう。
 これも展開の3つの指針に抵触します
 よって、この親リーチも「アガられると困る相手」となります。

 くれぐれも勘違いしていただきたくないのですが、「この親リーチをアガられると<止まらなくなる>から」などというオカルトな理由で「アガられると困る相手」と考えているわけではありません。判断の基準はあくまでも「展開の3つの指針」です。

例4

 東1局2本場。
 先程からマンガンツモを2連発して連荘している親が更にリーチ。
 その時、南家が連荘阻止をもくろみタンヤオのみでアガろうとしている。

 南家の動き以外は例3と全く同じです。つまり、ここで親にアガられると困るという事情は変わることがありません。
 親にこれ以上アガられたくない以上、自分がそれを阻止するか他人に阻止してもらうかがしないとどんどん点差が開いていくわけですが、まさにその時南家が阻止してくれようと動いています。いいではないですか。
 この南家の仕掛けは「アガられても良い相手」です。

 どうでしょう? 「アガられると困る相手」と「アガられても良い相手」。見分けはつきましたか?
 ポイントは何度も出てきている「展開の3つの指針」です。展開を考えた場合、とにかくこれが麻雀の背骨となります。ぜひとも習得してください。

前のページ 目次 表紙 次のページ