伏土竜の麻雀戦術論

展開編その1

第4章 展開をふまえた発想と戦い方
     2.自分がトップの場合

 前章とは逆に、追われる立場の「展開」を考えてみます。
 やはり前章と同じく、点差が少ししかない場合についてはさほど悩むことはありません。自分があがっていくしかないんですから(例外はありますが)。
 ですので、ここでも「そこそこの点差が離れたトップ」と考えて下さい。

戦い方心得その1
  速度を最優先し、無理な手順を追わず、自然な手作りをする

 なまじ高い手が狙えそうだからといって頑張った手順をすると、どうしても速度が遅くなります。すると、逆転ないしは差を詰めようと虎視眈々とアガリを狙っている、2着以下の人のアガる可能性が高まってしまいます。
 なにも2着以下の「手作りが大変な人達」に速度を合わせてあげる必要はありません。局をどんどん進めていき終局に近くなればなるほど、トップのまま終われる可能性が高くなるのですから。

戦い方心得その2
  2着以下と同じ土俵で戦わない

 例えば、こんな局面について考えてみましょう。

 南3局北家。6巡目。
 2着以下に15000点差をつけたトップ。

 ツモ ドラ

 2着目の南家がとチーしてマンズのホンイツ模様、3着の西家がをポンしてトイトイ模様、ラス目の親は普通手の捨て牌をしている。

 このような局面で、自分の手牌が高くなりうるからといって、安易に字牌を打ち出していっていませんか?
 この局面で字牌を打ち出すということは、自分の手が進むとはいえ、(当たらないかもしれないものの)南家&西家にとって必要度の高い牌を捨てる、ということです。何もそんな、敵に塩を送りかねないことをしてあげる必要はありません
 自分は点数的にかなり有利な立場にいるのですから、無理にアガリを狙わずオリるつもりで3種の字牌を握りつぶし、他家のアガリを阻止しちゃいましょう。一見臆病に見えるかもしれませんが、これも「展開」を考慮した戦い方なのです。

戦い方心得その3
  親番トップは、静かに局を進めるのが賢い

 2着をある程度引き離したトップ者の親番は、2着以下にとって脅威です。その親番でマンツモでもされたなら、トップがほぼ確定してしまうからです。
 その反面、ツモアガリ親っかぶりを狙い、一気に点差を詰めるチャンスでもあります
 以上から、2着をある程度引き離したトップ者が親の場合、2着以下は、マンツモ狙い(=親からいっぱい点棒をかっさらう)もしくは速攻の親流し(=親のデカいアガリを阻止)がベターな戦い方となります。

 さて、自分がトップの場合ですが、子にマンツモされるのと親流しされるのと、どちらの攻撃が怖いですか?
 マンツモされる方が怖いですよね。
 そのため、親のトップの戦術としては、

「誰にもアガらせずに場を静かに進ませる」

 がベターな戦い方になります。
 流局親流れしたっていいんです。マンツモの親かぶりをするくらいなら。

 最悪なのは、誰も仕掛けもしていないうちから喰い仕掛けて、1500点を拾いに行くこと。
 2着以下がマンツモを狙っているような局面で、自分は安く・相手は高くでは割が合いません。また、たとえ自分がその安手をアガれたとしても、次局もまた条件が変わらないまま(+1500点しかない)での親番です。それではもう一度2着以下にチャンスを与えるようなものです。
 仕掛けるのは、マンツモされそうな相手がいてそれを阻止する必要ができてからでも十分です。

 以上のような進行をしていたら、自然と手がまとまりマンツモを狙えるようになったとします。
 そんな時は、決定打とすべく積極的にアガリを取りに行くのも、動かずじっくり場を進めるのもどちらも正解です。個人的には前者の方が好きですけど。

ここまでのまとめ

 第4章までが「展開」の基礎です。
 ここまでの解説が難しく感じられる方は、対応編までの知識を十分にしてからもう一度お読み下さい。
 対応までの知識が十分でないうちに「展開」を理解しようとしても、「展開」を考える際の要素が理解できないのですから、益どころか害にしかなりません。
 容器の容量を超えた水を注ぎ込もうとしているようなもので、ハナから無理な相談なのです。もう一度足元を固めてからトライすることをお勧めします。

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