ホンイツの損得勘定

 混一色が損な役、という説には確かに疑問を感じます。
 手を見破られやすいのは事実ですが、それは逆に言えばブラフとして使える、ってことですよね。経験則ですが、チャンタ手や三色手に比べて、一色手は相手が勝手に恐れてオリてくれる確率が高いと思います。まぁ上級者には通用しませんが、仲間内で打ってると混一色のみの手でも他がオリてくれて、あとはツモるだけ、という状況に結構よくなります。

 さて、とりあえずホンイツは初心者だけの手役ではないとして(笑)、今度はホンイツの損得勘定です。デミさんの話の中に、「混一色は無駄ヅモが多く、手を見破られやすい」というデメリットについて書かれていましたし、逆にBluehiroさんは「高得点に結びつきやすい要素を持っている」というアドバンテージを挙げていました。実際に、ホンイツは得な役なんでしょうかそれとも損な役なんでしょうか?

 上の意見はLlanower_elfさんのものです。彼(ですか?)はブラフとして使えるというメリットを挙げています。
 ホンイツの場合、他の手役に比べて極端に河に特徴が出ますから、その点ではデミさんの「手を見破られやすい」という説は正しいと思います。しかし、逆に考えればこれほど相手に手を読んでもらえる手役も他にはないわけで、それを具体的な戦法として提示したのがこのブラフです。
 実際に皆さんも体験しているでしょうが、ホンイツのブラフは実に読みにくく、かつやりやすい(笑)。そのために「誰にでもできる戦法」ということで、そこそこ重宝するんじゃないでしょうか?
 しかしまぁ、そこそこ、というのが実際の所で、えるふさんが言うように上級者には通用しません(読んで思わず笑ってしまったので、敢えて強調文字)。

「見破られやすいこと(=ホンイツ)をやるからトーシロだ」という従来の説については、ラッキーさんが、「ホンイツって、持っている字牌の数によっては清一色に比べると見破られにくいものです」と一蹴しています(笑)。ちなみにラッキーさんは、「バカホン(白砂注:「ホンイツのみ」のこと)ってその名の通り馬鹿にされてますが、2000点でもアガリたい時には有効です」とそのスピード(というよりアガりやすさですかね)についても言及しています。

 こんなメリットを挙げてくれた人もいます。goldwindさんです。

 混一は私も好きです。配牌が愚形のときにはよく狙います。
 他家へのけん制にもなるし、上がれなくても安牌が多く残っていることが多いので捨牌に苦労することもあまりないですし。

 そういえばホンイツをやる時って、最初に違う色の真ん中を切って、次に違う色の端っこを切って、そのあと字牌を切って、余った染め色の牌を切って……という順序ですよね。そうすると、リーチがかかった時には結構字牌を持ってたりして、それでそこそこ凌げる、なんてことはよくあります。

 私は国士が好きでよく(3局に1局くらい。いやマジで)狙うのですが、その時はアガることよりもむしろ凌ぐことを考えつつ打ってます。ホンイツというと攻撃的なイメージが先行しがちですが、こういうメリットもあるんですね。


 ルールに左右されるという意味合いが強いですが……という条件つきで回答してくれたのはshoutamaiさんです。

 普段仲間うちでやっているルールが「ナシナシ」なので、「鳴き」に関しては役の確定を余儀なくされます。もちろん場合によりけりではありますが、待ちの広さよりも役の確定を重視する向きが強いようです。その場合ホンイツは、形を問わず鳴きを入れられるというメリットを感じますね。

 早めに役を作っておきたい=役牌の初牌鳴きが多い=後で役を増やしやすいホンイツ・チャンタ系に人気が集まる……という図式もありそうですね。

 念のために解説しますと、「ナシナシ」とは「食いタンなし、後ヅケなし」のことです。

 もひとつ念のために解説しますと、「後ヅケ」とは「アガった時に役が確定している状態」のことです(ちょっと違うかな?)。例えば、 ロン なんて手の時に最後にでアガる。途中までは役が確定していませんが、最後に中という役が確定したので、これで1翻しばりの1翻は確保できるのでアガれる、というわけです。後ヅケなしとはつまり、こういう途中で役を確定させる行為を認めない麻雀のルールです。
 現在でこそ食いタンも後ヅケも認める「アリアリ」が主流ですが、昔はむしろこの「ナシナシ」の方が主流でした。もっと昔はアル・シー・アル(アルシャル、アルシャール)という麻雀が主流だったんですが、それはもう別の話になってしまいますので割愛します。

 とにかく、「ナシナシ」は途中で役を確定させてはいけない=最初の1鳴きで役を確定させなければならないという厳しいルールですので、鳴く時にはその牌は役に絡んでいないといけないわけです(手の内で役ができている場合を除く)。例えば字牌を鳴いたとすると、もうそれだけでホンイツ・チャンタ・翻牌……といった感じで「アガることのできる役」が制限されてしまいます。これではホンイツに人気が集まるのは当然……というのがshoutamaiさんの意見です。


 続いてtakkersさん

 赤ありに融通利きづらい所はあって、そういう意味で損な役っていう意見はよく耳にしますね。今の麻雀は役作りよりも早さ、それに如何に破壊力(ドラ)を絡められるかといった向きがあるから。
 だからドラ色じゃない染めはつっこまれやすく牽制にも使えないっていうのもあるかも。

 なるほど。
 確かに、現在のフリーはほとんどの所で赤5を採用していますからね。同じマンガンでも、ただの8000点と8000点+チップ3枚では収支としての違いが明白です。こりゃあ呑気にチャンタなんか作ってらんない(さりげなく伏線(笑))
 もっとも、これはホンイツ云々というよりは麻雀ルールの問題と言う気がしますけどね。でも、ルールが変わったらそれに合わせて打つのが筋というものですから、やっぱりこの点でホンイツはちょっと分が悪いのかもしれません。

 まとめるとこんな感じになるのではないかな……というぴったりの意見がありましたので紹介します。miya1210さんです。

 私は字牌あるいはヤオチュウ牌を叩いて、ホンイツなのかチャンタなのかトイトイなのか相手に考えさせるのがかなり好きですね。競技麻雀ではこれは使える手段であり、字牌がドラのときは特に効果的でしょう。
 このように、重要なことは、単にホンイツという手役がどうこうではなく、それを絡めて如何に卓の状況を支配していくか、ですね。

 例えば、

  • 点棒が必要ならホンイツで高く仕上げる
  • 単に和了が欲しければホンイツに見せかけて、違う色で拾う
  • 相手を牽制して手を止めさせる
  • (ブラフとして)ホンイツかチャンタかトイトイか考えさせる

 など、単に和了る以外にも活用の幅は広いわけです。
 この点では混一は有効だとも言えますが、他の手役が存在しなければ意味のないことですし、他の手役にも同様の活用の幅はあるわけで、私は混一は数ある手役のひとつだとしか思いません。

 ホンイツのメリット、というか使い方はまさにミヤさんが示してくれた通りで、表芸としてはホンイツの点数の高さがあり、裏芸として(広い意味での)ダミーとしての使い方があるわけですね。

 で、肝心の損得勘定なんですが……。
 ミヤさん、それを言っちゃあおしまいよ、てな感じですね(笑)。損得うんぬんというより、ちょうど将棋の駒のようにそれぞれ向き不向きがあるのだから、損得というレベルで考えるのは筋違い、ということでしょうか?
 ここで改めてミヤさんに質問したいんですが、例えば、三色と三暗刻とでは明らかに「狙いやすさの割に得られる点数」が違いますよね? ホンイツという手役は、他の手役に比べてどの程度の位置と考えていますか? きっと、今ここで話しているのはそういうことだと思うんですよ。

 とりあえず今のところ、ホンイツの狙い筋とアキレス腱は明確にできたと思います。あとはそれを、皆さんが得か損かどちらに感じるかということなんでしょう。
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