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  コンピュータ将棋は強くなれるか

01: 名前:白砂 青松投稿日:2003/06/06(金) 14:32
 白砂は、この点に関してはかなり楽観的です。

 旅人さんのHP http://members.tripod.co.jp/tbbt/ に反論する形で、その点を書いていきます。

1.コンピュータの終盤はかなりすごいし、もっとすごくなる

 詰めに関してはプロを超えてます。
 また、寄せに関しても、「詰みが見える」ということはそれだけで脅威です。現在の最強ソフト(東大5など)は、数秒から数十秒で何十手もの詰みを平気で見つけます。将棋の指し手はチェスなどに比べてかなり多いですが(確か最高で576手でしたっけ?)、王手とその受けだけを考えればその順列組み合わせを全部取ってもたいしたことはなく、だから僅かな時間だけ詰めルーチンを呼び出しても十分な威力になるのだと思います。
 実際の寄せの部分ですが、現在でも「詰めろ」や「玉を下段に落とす」「包むように寄せる」という概念はかなりあるようです。5手必死くらいになると怪しいと思いますが、それでも、アクロバティックな寄せというのは旅人さんの言うようにあまりないので、むしろ堅実な指し手を好むコンピュータは分があると思います。

 将来的には、部分的な寄せデータベースが構築されれば、寄せに関しての棋力は格段にアップすると思います。簡単な話、詰将棋やら必死やらの「形」をいっぱい入れておくわけですね。ディープパープルはスパコンでかなりHDDも潤沢に積んでいたと思います(チェスの方がデータベース構築は盛んですし)。名人に挑むのにもそれくらいのスペックは許されるでしょうから、例えば100万通りの寄せデータベースがあれば、それだけで読みの分量がかなり減ると思います。
 また、終盤はホントに力読みが支配する部分でもあるので、読みのスピードが速くなればなるほどコンピュータにとっては勝ちやすくなります。

2.序盤のヘタレ加減を突かれると弱い

 もっともだと思います。
 ただ、定跡データベースは修正が可能であるし、逆に最新の対局結果や感想戦の指摘などを逐一入れていけば(可能だとして、ですが)、逆に情報戦で有利に立つことすらありえます。
 また、現在の定跡データベースはスカスカですし、まだコンピュータも弱いので、自分の苦手な定跡を平気で選択したりもします(笑)。ですので、逆にきちんと定跡データベースが補完され、かつ、コンピュータがきちんと定跡選択をすれば、そんなに極端に不利になることはないと思います。

3.でも、中盤がヘタレ

 ここが最大の問題でしょうね。
 コンピュータに「創造性」や「長期的なビジョン」などを持たせるのは難しいので、どうしても手を作りあう中盤が苦手です。
 だからこそ、逆に序盤と終盤を強化して、中盤での戦いの時間を少なくするような努力が行われているわけです。

4.でも、駒落ちで簡単に負けんじゃん

 これはよく誤解されていることですが、現在のコンピュータ将棋にはほとんど駒落ち用のルーチンは積まれていません。ですので、駒落ちで平手感覚で指すので、いろいろと無茶したりもするのではないでしょうか。
 例えば、開始局面でいきなり駒得ですよね。上手玉の形も、駒組みが進んでいってもあんまり固くなりません。そうなると、「今は有利だから強気に行けやぁ!」となっちゃったりするんではないでしょうか。
 もう一つの誤解は、本来は駒落ちってそんなに差がない、ということです。
 よく「プロに2枚落ちで勝って初段」と言われますが、まぁ初段は甘すぎにしても、これは駒落ち定跡で上手の戦力を半減させて戦ってのことなんですよね。例えば最初っから四間飛車に組んで勝負、となった場合、果たして3段くらいでも勝てるかどうか……。そして、コンピュータは、まさにそうやって「駒落ち定跡で得られる得を放棄して、平手感覚で」指しているわけです。これではよほどの棋力がないとプロには勝てない……と白砂は思います。

「将棋タウン」の管理人さんの話も、マリオ武者野の話も、そういうことなんだと思います。

5.癖を覚えれば勝てる

 それはそうです。確かに。
 でも、それを言っちゃうと、例えば将棋ソフトを作っている人は自分のソフトより弱い、なんて人がゴロゴロいます。でも、ある程度強い人開発者なら、クセを見抜いて勝てるといいます。数年前の記事ですが、小谷善行さんだったか誰かは、「現在の将棋プログラムは初段前後だが、私は6枚落ちでも勝てる」と言ってました。白砂でも、10回戦のスパーリングのあとなら、2枚落ちで東大5に勝てる自信はあります。
 しかし、<だから>そのソフトの棋力は、その「対コンピュータに強い人」以下の棋力と言えるでしょうか? それは少し話が違うのではないかと思います。

 これはもう、棋力をどう評価するかという話になっちゃうと思います。
 序盤中盤終盤を総合的に勘案して決める……というのが一般的なのではないかなと白砂は考えています。現在のコンピュータの棋力は、序盤は2級から4段くらい、中盤は3級から2段くらい、終盤は2段から5、6段くらい……と、それくらいの棋力なんじゃないでしょうか。
 人間にもコンピュータにも、得手不得手はあります。その不得手の部分だけを捉えて棋力を論じるというのはあまりしないと思います。

 ちなみに。
 コンピュータは序盤は無難にこなします。なので、こちらが楽しもうと思って変なことをしなければ、その部分は有段者のように指します。
 コンピュータは中盤が苦手です。ですので、うまくいけばこちらが有利になれます。もっとも、最近の定跡ファイルは、最新形であれば終盤まで補完してあるので、そんなに簡単に優勢にはされてくれません。
 コンピュータは終盤、特に詰めに関しては鬼です(笑)。ですので、多少有利のまま終盤に突入しても、いつトン死やトン必死、素抜きモロモロ何があるか判りません。よっぽど形勢が離れていないか、自分に終盤力がない限り、スリルある終盤が楽しめます。

「将棋タウン」の管理人さんが「45段クラスでも楽しめる」というのは、多分そういうことを言いたいんだと思います。

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