相振り飛車のすすめ

■これってなに?

 この原稿は、駒澤大学将棋愛好会の会報に載せたものです。
 こっちのHPに発表しようかどうかは随分悩んだんですが、いろいろ考えた末、「載せちゃえ」ということで掲載することにしました。

 白砂自身、昔は升田式一本だったこともあって相振りを指す機会は多く、また、高井先輩という相振りマスターがいたこともあって、相振り飛車という戦形には結構愛着があります。
 最近では棋書も多くなりましたが、昔はああいったネタは実戦で出会うか誰かに教授してもらわなければ知られなかったものでしょう。白砂はたまたま両方の素地がありましたので、知識という面については普通以上にはあったと自負しています。実力、と書けないのが辛いところではありますが(笑)。

 本稿は、そういった「白砂が昔から持っていた知識」を、後輩達のために全部吐き出したものです。
 これ以上の相振りネタは、もう逆さに振っても出ません。
 こちらが丸裸になったようなもので、これを読んだ後輩達と相振りで対局したら、きっとやられると思います。なんで、もう合宿には行きません(笑)。

 冗談はさておき、この原稿は、そういう「白砂が持ってるものを全部出してやったぜこんちくしょう!」という、実はものすごい気合の入ったものです。
 楽しんで読んでいただければと思います。



■はじめに

 今年の夏合宿で相振り飛車を指す機会があった。
 相手の棋力は幅広かったのだが、一様に感じたのは「あんま相振り勉強してないだろぉー」ということだった。

 相振り飛車は知識が全て、といっても過言ではない。
 もちろん、対抗形などに比べるとはるかに構想力を必要とするのだが、その構想力も知識の裏付けがあってこそのものだ。例えば、浮き飛車でギリギリまで歩交換を邪魔する。例えば、6六角型から端を攻める。もしもなんの知識もなしにこういう構想を描ける人がいたら、白砂は迷うことなくプロの道を勧める(笑)。
 現在では、相振り飛車についての棋書も多い。昔は3、4冊くらいしかなかったと思う。今の人達はそれだけ恵まれているということで「本読んで勉強しな」で終わりにしてしまってもいいのかもしれない。しかしまぁそれではあまりにも不親切なので、自分の知っている知識の全てを書いておこうと思ったのである。

 白砂が1年生の時、高井さんが振り飛車の講座を書いていたことがあった。当時はまだワープロ打ちなんてものはなかったから当然手書きで、必然的に文字は大きくなりページは増え……という事情はあったものの、ものすごいボリュームだったと記憶している。おそらく、卒業にあたって、自分の知っているものを少しでも後輩達に残しておきたかったんだと思う。
 まさに同じような心境で、白砂も「遺言 〜相振り飛車バージョン〜」を残すことにした(←殺すな。少なくとも高井さんは殺すな(笑))。
 エラく長くなることは間違いないが、最後のわがままということで許してほしい。

 願わくば、駒澤大学が相振り飛車で勝ちまくることを。