将棋コラム


  ツミな話 Date: 2004-08-17 (Tue) 
 週刊将棋の「詰将棋ロータリー」は、白砂の数少ない将棋鍛練の場である。
 最近は実戦(ネット将棋含む)からも遠ざかっているので、こういうことで将棋に触れる場を持つしかない。週刊将棋と将棋世界が唯一の接点だ。このさい、また詰パラでも買おうかなぁ……とも思うのだが、アレをやり始めると生活が乱れそうなのでやめている(笑)。
 その点、「詰将棋ロータリー」は、手数もちょうどいいしさほど考えなくても解けるので重宝している。伊藤果がメインというのが厄介ではあるのだが、たまに骨がある詰将棋を解くのも悪くはないだろう。

 というわけで8月4日号。作者は中田章道六段。
 1問目2問目はそれぞれ3分くらいで解けた。2問目の移動合はなかなか味があってよかったと思う。ちょっと初手がアレだけど、まぁ好作だろう。
 問題は3問目。
 問題は下図。
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 ヒントは「銀の進軍」。単純に考えれば、4五銀が大活躍する、ということだろう。実は「合駒で出てきた銀を奪ってその銀が大活躍!」とかいう話なのであれば、こんなところに載せないでほしい。詰パラに出せ(笑)。

 ▲2六飛と離して打って詰むなら話は早いのだが、この場合は合駒されて全然詰まない。▲4六角も全然ダメそうだし、となると▲3三角△同玉▲3五飛、という攻めしかない。
 これに対して合駒、例えば△3四歩合とかなら、▲同飛△2三玉に▲2四歩と打って詰む(金打って▲3一歩成)。桂合でも今度は▲3五桂と打てるから問題ない。角合でも…………あれ? 一瞬迷うが、▲2四歩ではなく▲2四金△1二玉▲2三角と押していけば詰む。

 というわけで△2三玉の一手。▲3四銀と進出して、これはヒント通りだ。
 ▲3四銀に△1二玉や△2二玉と逃げるのは、▲2三金△2一玉▲3一歩成△同玉▲4三銀成という筋で詰む。ということは△3二玉の一手。
 で、下図となる。

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 ここが問題だ。
 普通に▲3三銀成だと、△4一玉から逃げられてしまう。

 ここで▲3一金が眼目の一手。この手が見えない見えない(泣)。

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 言い訳をすると(笑)、この局面になれば見えないわけではない。ただ、初手からの流れで、ここまで上から追い落としておいて、逆からストンと更に落とす手が見えにくいのだ。

 ▲3一金が判ればあとは簡単。
 △同玉はやっぱり▲4三銀成だから、△2二玉とかわす一手。普通に▲3三銀成とすれば、△1二玉▲2二成銀△同玉▲3二飛成まで、ピッタリ詰み上がる。3一に打った尻金が、ここでも働いている。

 通しの手順は、▲3三角△同玉▲3五飛△2三玉▲3四銀△3二玉▲3一金△2二玉▲3三銀成△1二玉▲2二成銀△同玉▲3二飛成まで13手。タップリ15分ほど考えさせていただきましたよ。ええ(泣)。
 しかしなかなか難しい詰将棋で、前2問とは全然質が違う。こんなのを混ぜられるとこっちは大変である(笑)。改めて手順を追ってみると、初手の▲3三角もなかなか鋭い一打だし、銀は綺麗に捌けて消えている。そして異能の尻金▲3一金。かなりの好作だと思う(いや、自分が苦労したからぢゃなくてね……)。

○       ○       ○

 …………と、まぁ、こんな感じで毎週「詰将棋ロータリー」を解いているわけです。「詰将棋ロータリー」がたまに「詰将棋ロリータ」に見えようとも(爆)、白砂は頑張って解いてます。週刊将棋さん、いつも良質の詰将棋をありがとうね。

 というわけで今週も詰将棋♪ と、一通り週刊将棋を読み終わった後、「詰将棋ロータリー」に目をやりました。

【訂正】8月4日号「詰将棋ロータリー」の出題は伊藤果七段でした。ご迷惑をかけ申し訳ありませんでした。


前言撤回

 伊藤果かよ。
 言われてみれば、確かにこの問題はハテナ流臭いと言えなくもないし……。
 いや、それよりなにより、伊藤果って判ってれば▲3一金はもっと早く見えた(爆)

 なんとも罪な話、ということで(笑)。

○       ○       ○

 このままだとつまんない落語みたいな終わり方になってしまうので一つだけ真面目な話を。

 問題図の△6三歩。これは一体、何のためにあるんだろう? ということである。

 詰手順を見ても、そもそも6筋方面に玉を寄せていないし、△4一玉に▲6三角という手を防いだ……とも考えられるが、本手順で玉を追っていくなら角は真っ先に捨てているので持っていない。はて……?
 と、これは解説を読んで納得した。いや、納得というわけではないが、とりあえずこうなのかなぁ……とは思うことができた。

 週刊将棋の解説では、▲3五飛のとき、△3四角という捨て合を採り上げている。
 上に書いてある通り、この捨て合は▲同飛と取り、△2三玉▲2四金以下詰む。
 しかし解説では、△3四角合は▲同銀と取り、△4四玉▲6二角で詰み、としているのだ。以下△5四玉▲5五金で6三に逃げられずに詰みというわけである。ここで△6三歩が必要となる。
 しかし、何度も言うが△3四角合は▲同飛で詰むので、▲6二角などという変化に入る必要はない。すなわち、△6三歩はなくても成立する。

 というわけで、本問はちょっとだけ推敲不足、ということになると思う。
 白砂の勘違いという可能性も多分にあるが、▲同飛で詰むと思うんだよなぁ……。

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