将棋コラム


  だから矢倉は恐ろしい Date: 2002-07-11 (Thu) 
 白砂はどちらかと言えば振り飛車党である。どちらか、というのは実は変態戦法しか指さないからなのだが(笑)、考えてみれば昔から振り飛車ばかり指していた気がする。居飛車党だったのは、5級とかそれくらいの弱い頃だけだ。
 なんでか、というと、やはり怖いというのがある。
 ネットなんかでは「振り飛車は卑怯」「穴熊はズルい」なんてアホなことを言う人がいるが、斬り合いを怖がって固めてよし、という思想がよろしくないということなのだろう。避けることは別にズルでも卑怯でもなく単なる戦術のように白砂は思えるのだが、こういうアホなことをいう輩には何を言ってもムダなのだろう(笑)。

 さて。
 それに関連してこんな話を。

 1図は矢倉戦の最終盤。後手が△9四桂と打ったところである。矢倉戦では△8六桂(先手の場合は▲2四桂)が急所になることがよくある。とすれば△9四桂も急所なのだろう。
 この応対が悩ましい。
 ▲7七銀だと△8六歩から攻められそうな気がするし、▲9五銀と重ねて受けても、△8六桂▲同歩△3八飛から△6七銀くらいでやられそうだ。こういうのが厭なので、白砂は矢倉を指さないのだ。

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 で、先手はどう指したか。

▲3三銀△同桂▲同歩成△同金直▲3四歩(第2図)△8六桂▲3三歩成△同金▲8六歩△8七歩▲同玉△8五歩▲3四歩(第3図)

 なんと、▲3三銀と打って後手玉は寄っている
 振り飛車戦でこういう感じになることはほとんどない。大体もっちゃもっちゃと(笑)受けたり攻めたりで、それで相手のミスを誘ってうっちゃるのである(<をい)。
 第2図の▲3四歩の叩きが急所で、先手の攻めは絶対に切れない。

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 こうなるともうどうしようもない。
 後手は仕方なく△8六桂と攻め合いだが、ボロっと▲3三歩成なんて話がうますぎる。やっぱり矢倉戦は特殊だ。
 で、結局第3図までとなって、二度目の▲3四歩が詰めろで先手勝ち。なんだかアタマ使わない勝ち方だよなぁ(<暴言(笑))

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 矢倉囲いは驚くほどモロい。
 いや、美濃囲いだってモロいっちゃモロいのだが、こういうモロさではない。美濃囲いの場合はボロボロボロと削り取られていくような(それでいてそれを防ぐ術がない)モロさなのだが、矢倉囲いの場合は吹っ飛ばされるモロさだ。だから、振り飛車戦では相手の攻めを遅らせることが肝要であり、矢倉戦では自分が一手先んじるのが重要なのだろう。
 だとすると、やっぱり白砂は矢倉は怖くて指せない。
 白砂の将棋は、スパッと斬って落とすタイプではなく、もちゃっとした感じの将棋だから(笑)。

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