真・石田伝説―石田流の秘法を伝授 (MYCOM将棋文庫)
著者: / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 735 (定価)
★★★★(評価:級位者)
★★★★★(評価:初段~三段)
★★★★(評価:四段以上)
(価格・在庫状況は12月2日 3:37現在)


 アマチュアの花形戦法と言えば棒銀・中飛車・石田流だが、時の名人挑戦者升田幸三実力制第4代名人は独自の改良を加え、なんと石田流を名人戦で指した。大山-升田時代のことなど知るはずのない私は当時の熱狂ぶりを直に感じているわけではないが、それでもその熱気だけは想像できる。
 現在でも愛好家の多い升田式石田流だが、しかしその定跡書となると数えるほどしかなかった。だからこそ愛好家達が跳梁跋扈(<妖怪かい)することにもなったのだが(笑)、その石田流に焦点を当てたのが本書である。

 本書はこの他にも、立石流や楠本流(対居飛車穴熊石田流)の解説もしてある。
 いずれもその戦法の基本コンセプトにかなりの紙数を費やすなど工夫の跡が見えるが、石田流や立石流を指す人間から言わせてもらうと少し変化の底が浅い気がした。
 1つの戦法について解説した1~4章よりも、いろいろな石田流の「形」を解説した5章の方が読んでいてためになったのもそのせいかもしれない。
 取っ掛かりとしてはいい本だと思うが、自分で磨きをかけないと指しこなすのは大変だろう。もっとも、どの戦形でもそれは言えることなのだが。
作成日 2003-02-14 | [定跡 ( 三間飛車 )]
島ノート 振り飛車編
著者:島 朗 / 出版社:講談社
出版日:
¥ 1,890 (定価)
★★★★(評価:級位者)
★★★★★(評価:初段~三段)
★★★★★(評価:四段以上)
(価格・在庫状況は12月2日 2:41現在)


 振り飛車vs居飛車についての研究書
 定跡書、というと特定の形を指す感じがするので、ここではあえて研究書という表現を使いたい。それくらい、王道としての定跡だけでなく、ちょっと変わった戦法など膨大な考察が書かれている。

 まず素直に驚いた。
 これだけの研究を、アマチュアのために惜しげもなく公開してくれたヅラ……じゃなかった著者には敬意を表したい。ホントにすごい。
 いくつか既出の手もないわけではないが(たとえば石田流封じに対抗する343戦法。学生のころ、すでに白砂が会報に発表しているくらいメジャーだった)、それを上回るだけの新戦法、新研究がたくさんある。

「基本」と「発展」のふたつにページを分けているのも好感が持てる。
 だいたいこういう奇襲の本では、本書の「基本」に書かれている「うまくいった部分」だけを取り上げておしまい、という感じになる。本書はさらに「発展」の項を設けて、細かい枝分かれの変化、その先の実戦解説など、有段者でも満足できるようにきちんとフォローをしている。ここまで懇切丁寧に解説してもらえれば、その手順にも説得力が出ようというものだ。

 手紙で質問をできる、などという新機能(昔、別の本であったらしいが)も話題だが、そんなことよりなによりこの研究量である。本書の魅力はそれに尽きる。
 初心者から有段者県代表クラスまで、というヒキ文句は「下限」に関してはちょっと怪しいが、上が県代表クラスというのは間違いない。自分が有段者だと思ったら即買いだし、後々の棋力向上のことを考えても、5級くらいまでの人なら持っていて損はないだろう。それより下の人は、申し訳ないがもっと他にやることがあるはずだ。
「渾身の、一冊です」と著者が語るとおり、まさに毛根を削って……あ、いやいや、とにかく渾身の一冊だろう。

 1800円という値段は決して安くないが、内容を考えれば決して高くはない。できることなら皆さんも買ってほしい。売上がよければ、今後のシリーズ化も夢ではないと思うから。
作成日 2002-11-29 | [定跡 ( 振り飛車全般 )]
藤井システム―升田幸三賞受賞戦法 (MYCOM将棋文庫)
著者:藤井 猛 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 735 (定価)
(評価:級位者)
★★★(評価:初段~三段)
★★★★(評価:四段以上)
通常24時間以内に発送(価格・在庫状況は12月2日 3:06現在)


 最近、毎コミが絶版本の復刻に乗り出した。そのうちの一つである。
 かつて振り飛車退治の決定版として猛威を振るった左美濃。その左美濃を完膚なきまでに打ち崩したのが、この藤井システムだった。
 藤井システムといえば今では居飛車穴熊対策として知られているが、かつては左美濃対策として出てきたものである。あまりの破壊力に左美濃が絶滅してしまったため、現在では「左美濃対策」という言葉が冠されることはない。逆に言うと、それくらい凄いシステムなのである。藤井システムというものは。

 本書は、その藤井システムvs左美濃について、詳細に解説したものである。
 現在では左美濃側の対策も進んだために完璧に叩きのめすというわけにはいかないようだが、それでも、ベースとなっているこの藤井システムを知らなければ話にならない。ブームが過ぎてしまった今だからこそ、左美濃はアマチュアにとって盲点の戦法であり、また、振り飛車党はしっかりと押さえていなければならないポイントである。
 東大将棋シリーズなどと違い、豊富な変化を解説していながらも混迷感はない。また、「システム」という名の通り指し手が体系化されているため、「あ、ここはさっきも出た変化だ」という感じで連携して理解することができる。定跡を作った著者本人も凄いが、それをまとめた編集者もうまいと思った。本自体がしっかりと作り込まれている感じがする。

 文庫になって少し読みづらくはなったが、初段もあればラクに本書を読むことができるだろう。3段もあれば盤駒はなくてもいいと思う。
 有段者は常識の変化と思うべきだ。旧式の変化で潰されたのでは情けない。
作成日 2002-11-12 | [定跡 ( 四間飛車 )]
四間飛車道場〈第7巻〉相穴熊 (東大将棋ブックス)
著者:所司 和晴 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,260 (定価)
★★(評価:級位者)
★★★★★(評価:初段~三段)
★★★★★(評価:四段以上)
(価格・在庫状況は12月2日 3:37現在)


 東大将棋シリーズの中でも、もっとも待ち望まれていたと思われる穴熊の本。しかも相穴熊である。あぁなんて下品な将棋(笑)。

 というギャグはおいといて。
 先手居飛車穴熊、後手四間穴熊という「限られた形」の解説である点は従来の東大将棋シリーズとまったく変わらない。振り飛車側が早めに△5四銀と上がり、△6二飛と攻める形が紹介されている。『これが最前線だ! 最新定跡完全ガイド』にも若干似たような形があったと記憶するが、なにしろ相穴熊の本なんでどれだけ出ていなかったことか。しかも内容は超高度(当たり前、という変化も多いんだけど)。

 とりあえず穴熊党は絶対に買い。こんな下品な将棋は指さないという人は買う必要なし(笑)。
作成日 2002-10-12 | [定跡 ( 穴熊 )]
横歩取り道場〈第2巻〉相横歩取り (東大将棋ブックス)
著者:所司 和晴 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,260 (定価)
(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★★★★(評価:四段以上)
(価格・在庫状況は12月2日 3:37現在)


 東大将棋シリーズ、横歩取り本の2冊目。
 相横歩取りである。
 8五飛戦法が流行る前はこの形が多かったと思う。北浜新手の△5四歩も相横歩の定跡だった。

 一番筆が割かれているのが相横歩取り▲4六角の変化。▲4六角に対してのさまざまな応手を解説している。一応、最善手は△8二角で、▲同角成△同銀……と続くわけだが、相横歩を指すのであれば、それ以外の変化も当然知っておかなければいけないだろう。
 白砂が学生の頃は▲4六角がまだ出たてのころだったと思う。確か、青野新手とか言われてたんだよねー。ずいぶん長いこと先手有利と言われていたのだが、△5五角の変化が出てむしろ後手有望になっていった。

 これ以外にも、▲7七銀ではなく▲7七桂と上がる形や▲7七歩と打つ形についても(少しだが)解説している。『定跡外伝』では好意的に書かれているが、こちらではやはり奇襲色が強いということであまりよくは書いていない。

 今までの定跡のおさらいの感は強いが、いまさら『横歩取りは生きている』から読み返すのもなぁ……という人にはおすすめである。あいかわらず上級者向けだし、そもそも横歩取り自体が級位者には不向きな戦法なので、棋力の低い人にはすすめられない。
作成日 2002-09-12 | [定跡 ( 横歩取り )]
中飛車戦法―居飛車穴熊を撃退する! (将棋必勝シリーズ)
著者:杉本 昌隆 / 出版社:創元社
出版日:
¥ 1,260 (定価)/12pt (Amazonポイント)
★★★★(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★(評価:四段以上)
通常24時間以内に発送(価格・在庫状況は12月2日 3:37現在)


 ものすごく身もフタもない感想を言ってしまうと、どこかで見たような中飛車の本。2章立てで、前半が昔の変態中飛車、後半が今の変態中飛車=ゴキゲン中飛車、という内容だ。

 創元社の本の作りがこうなっている、としか言いようがないのだが、非常に変化の底がない。その代わり、図面を大きく取って初心者でもわかりやすいようにしている。徹底して上級者を切り捨てるという姿勢はこれはこれでいいのかもしれない。原田節みたいなもんである。

 それでも、パラパラと読んでいると「お、この変化いいじゃん」という手がいくつかはあった。白砂が知らなかっただけなのかもしれないが(笑)。立ち読みで30分もあればひととおり目は通せるので、有段者の人も読んでみてほしい。
作成日 2002-09-10 | [定跡 ( 穴熊 )]
相振り飛車の定跡―相手の戦法別に勝ち方を指南! (将棋必勝シリーズ)
著者:鈴木 大介 / 出版社:創元社
出版日:
¥ 1,260 (定価)/12pt (Amazonポイント)
★★★★★(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★(評価:四段以上)
通常24時間以内に発送(価格・在庫状況は12月2日 2:50現在)


 先手の立場に立って相振り飛車の指し方を解説する本。
 こう書いてしまうと「後手の立場は?」と、なんだか身もフタもない感じになってしまうが仕方がない。事実である(笑)。

 後手が中飛車の時は三間飛車で、それ以外は向かい飛車にするのがいい、というのが著者の主張で、それに沿って解説が進んでいく。
 相も変わらず鈴木流の解説方法は健在で、変化の底はほとんどない(爆)。一応、オリジナルという部分もないとは言わないが、読んだすぐ後でも「あれ、どこだっけ?」と思ってしまうくらいで、ようするに従来の定跡書と変わりない。

 ……と、鈴木大介に冷たすぎないか? という言葉が続くが、逆に考えると従来の定跡書では難しすぎるという級位者にはもってこいの入門書になりうる
 本書を読んだだけで勝ち続けられる、などととは口が裂けても言えないが、本書が理解できれば毎局が楽しくしかもそこそこ勝てるだろうことだけは約束する。

 難しい相振り飛車の「形」だけをうまく抜き出した、意外といい本だ。
作成日 2002-09-10 | [定跡 ( 相振り飛車 )]
高田流新戦略3手目7八金
著者:高田 尚平 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,260 (定価)
(評価:級位者)
★★★(評価:初段~三段)
★★★★(評価:四段以上)
(価格・在庫状況は12月2日 3:04現在)


 題名に「新戦略」とあるが、その名のとおり定跡というよりは戦略について書かれている本である。
 話としては、▲7六歩△8四歩に▲7八金とする形について解説し、次に、ここから△3四歩、△8五歩、△3二金の3種類の指し手について、それぞれの対応策を述べている。ちなみにその3種類以外の指し手では先手が指しやすくなるというのが著者の主張だ。
 この指し方の基本は「角換わり、矢倉などで少しでも得な形を目指す」ものである。「定跡」ではなく「戦略」だというゆえんがここにある。よって、まず角換わりだとか矢倉の定跡を知っていることが前提となる。
 であるから、本書を読むためにはそれらの知識は必須。初段くらいでは本書は価値がわからないと思う。既存の形より少しでも得をしようという、実にプロ好みの「戦略」なのだ。

 白砂の場合、▲7六歩△8四歩スタートには必ず▲7八金とするので、ある程度参考にはなった。もっとも△3四歩の場合には本書とは違って▲2二角成△同銀▲7七桂とするのだが(笑)。
 そういう事情があるので、出版されると同時にすぐ買った。
 一番役に立ったなぁ……と思ったのが中飛車にする変化で、こういう力戦形はただてさえ定跡書が少ないので参考になる。特に本書では穴熊の変化を含めいろんな指し方を紹介しているので、自分なりに消化するのに都合がいい。

 戦略であるがゆえに、「こっから先は○○の形になります。ただし少し得です」というのが多いので、人によっては中途半端と思うかもしれない。個人的には、本書は道案内であって地図ではないと思っているので、どこになにがありますよと教えてくれるだけでも十分参考になった。
 居飛車党なら手にとってもいいと思う。
 ただし、既存の定跡書は必須。高段者向けの本だろう。
作成日 2002-08-27 | [総合 , 定跡 ( その他の居飛車 )]
ごきげん中飛車を指しこなす本 (最強将棋塾)
著者:近藤 正和 / 出版社:河出書房新社
出版日:
¥ 1,365 (定価)/13pt (Amazonポイント)
★★★★★(評価:級位者)
★★★★★(評価:初段~三段)
★★★★(評価:四段以上)
通常24時間以内に発送(価格・在庫状況は12月2日 3:37現在)


 河出書房新社の『指しこなす本』シリーズ。今度はゴキゲン中飛車である。

 例によって次の一手形式で解説が進んでいく。ゴキゲン中飛車の場合は詰みまで一直線に進んでしまうケースもあるので、図面が多いというのはありがたいと思った。実際はまだ結論が出ていないところを「先手よし」としてしまったりとちょっと粗い部分も見受けられたが、多少は仕方のないところだろう。
 というか、本書が出てからかなりゴキゲン中飛車の変化は掘り下げられている。有名なところでは第43期王位戦第1局、谷川が1000勝を達成した将棋がある。▲5八金右から▲2四歩という典型的な戦いだが、これが指されたのは7月12日。当然、本書には間に合わない(笑)。
 まぁ、こういうことを言っていては本は出せないので、これはもう笑ってしまうしかないだろう。あと2ヶ月出版が遅かったらどういう構成になったか、興味深いところではあるが。

 急戦の場合、持久戦の場合、ともによく書かれている。すべてを理解するのは大変だが、だいたいの流れはつかめるだろう。『ゴキゲン中飛車戦法』よりは格段に役に立つと思う。
 ゴキゲン中飛車を指す人も指されて困る人も必須。ただし、別の情報でしっかりとフォローすることは忘れずに、というところだろうか。
作成日 2002-07-30 | [定跡 ( 中飛車 )]
振り飛車奇襲戦法〈2〉阪田流向かい飛車・奇襲袖飛車・相振り奇襲 (将棋必勝シリーズ)
著者:小林 健二 / 出版社:創元社
出版日:
¥ 1,260 (定価)/12pt (Amazonポイント)
★★★(評価:級位者)
★★★(評価:初段~三段)
★★(評価:四段以上)
通常24時間以内に発送(価格・在庫状況は12月2日 3:37現在)


 内容としては、坂田流、袖飛車穴熊、相振り飛車での代表的なうっかり手筋を扱っている。ただし、創元社であり、かつ著者が小林健二である。多くを期待しない方がいい(<をい)。実際、『消えた戦法の謎』『奇襲大全』の域を出ていない。
 ただ、考えてみると、『消えた戦法の謎』も『奇襲大全』も絶版である(『奇襲大全』は平成版が出たけど、はたして手に入るものかどうか……)。それを考えると、本書の存在意義も出てくるかもしれない。

 この欄では正直がモットーなので言ってしまうと、白砂は本書を図書館で借りたのだが、それで十分だと思った。それくらい底が浅い。もちろん、白砂が上記2冊の本を読んでいたから……というのが前提としてあるのだが、それにしてもちょっと。もう少しオリジナリティーを出してもいいと思う。
 高段者にとっては常識的な話だろうから、一度目を通せばいいと思われる。逆に、阪田流? なに? という人だったら買い。袖飛車穴熊も指してみるとそこそこ面白いし、見てみても損はない。
作成日 2002-07-20 | [定跡 ( 奇襲・変態戦法 )]
居飛車奇襲戦法 (将棋必勝シリーズ)
著者:井上 慶太 / 出版社:創元社
出版日:
¥ 1,260 (定価)/12pt (Amazonポイント)
★★★(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★★(評価:四段以上)
通常24時間以内に発送(価格・在庫状況は12月2日 2:51現在)


 奇襲、というよりはなんだか『定跡外伝』に近い内容で、有段者からすると有名な指し方が多い。それでも、初めて見る人にとってはなかなか面白い手順だと思う。

 個人的な話になるが、本書で紹介されている偽装棒銀(2六飛の形から銀が出て行く戦法)については、少し形は違うが後輩の塚本と少し研究したことがある。なかなかに優秀な戦法だと思われるが、実際に指すのは「勇気」がいるのではないだろうか。
 また、先手▲6五角戦法は有名なハメ手で、端歩を突いていることにより横歩取り△4五角戦法をより強力にできるというものである。ただ、これは大元の横歩取りの変化を知らないと飛び込めないので、初段くらいではおそらく指しこなせないだろう。

 創元社らしい「変化をなるべく書かない」装丁の中、うまく工夫していると思う。同社の本の中では、どちらかというと上のレベル向けに書かれた本である。
作成日 2002-07-20 | [定跡 ( 奇襲・変態戦法 )]
定跡外伝〈2〉―将棋の裏ワザ伝授します
著者: / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,260 (定価)/12pt (Amazonポイント)
★★(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★★★★(評価:四段以上)
通常24時間以内に発送(価格・在庫状況は12月2日 2:55現在)


 出版当時は大変な反響を巻き起こした『定跡外伝』の続編。と同時に、今まで毎コミが出版した棋書のフォローにもなっているというのがおもしろい。ようするに、定跡とちょっと違う局面、意外と触れられていない裏定跡を紹介する本である。

 私自身は定跡ヲタなところもあるのでこういう本は読んでいて楽しいのだが、でははたしてどれだけの需要があるかと客観的な視点で見ると疑問ではある。
 見開き単位で一つの局面、というかなり制約されたレイアウトの中で解説をしているので、棋譜がかなり長々と載る。それを追っていける、もしくは盤駒を出して並べて鑑賞できるレベルの人向けの本である。これは需要はそう多くないよね。

 前作は居飛車対振り飛車のみだったが、今回は矢倉や横歩取りなども取り上げられている。その分、よりお得感が強まった気がする。脇システムや8五飛戦法外しなどは、まさに定跡「外伝」という感じで非常にいい。

 その定跡を知っている、ということが前提になるので100%有段者向けなのだが、たとえわからなくても級位者にも一度は読んでみてほしい。将棋のおもしろさ、奥深さがよくわかる良書である。
作成日 2002-07-19 | [定跡 ( 全般 )]
横歩取り道場〈第1巻〉8五飛阻止 (東大将棋ブックス)
著者:所司 和晴 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,260 (定価)/12pt (Amazonポイント)
(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★★★★(評価:四段以上)
通常24時間以内に発送(価格・在庫状況は12月2日 3:37現在)


 東大将棋シリーズがついに横歩取りに手を出した。
 矢倉に変わって激増している8五飛戦法の解説である。いきなり「阻止」から解説するのもどうかと思うが(笑)、それだけ8五飛対策が進んでいるので仕方がないだろう。「有史以前」の話は別の本で補えという東大将棋シリーズらしい割り切りかたである。

 主に解説しているのは山﨑流と呼ばれる変化で、角交換をすることにより△8五飛という形そのものを拒否している。で、△8四飛とするわけだが、そこからさらに先の変化を詳しく解説している。▲2三歩と叩く例の変化が主流だ。
 ……こう言って「あぁ、あれ」と言えない人は読むな、というくらい非常に高度な(というか煩雑な)内容なので、知っている人向けのまとめの本と思うべきだろう。間違っても級位者は手を出してはいけない。『8五飛を指してみる本』あたりからはじめるといいだろう。
作成日 2002-07-12 | [定跡 ( 横歩取り )]
四間飛車道場〈第5巻〉棒銀 (東大将棋ブックス)
著者:所司 和晴 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,260 (定価)/12pt (Amazonポイント)
(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★★★★(評価:四段以上)
通常3~5週間以内に発送(価格・在庫状況は12月2日 3:38現在)


 説明の必要もない、棒銀対四間飛車の本である。

 基本図は△4三金と上がって受ける形で、そこからの居飛車の攻め、振り飛車の反撃について詳しく述べている。特に△4四歩の反撃は『新スーパー四間飛車Ⅰ』など数冊しか書かれていないので振り飛車党、棒銀党ともに必読である。

 捌いたり押さえ込んだりといろいろ忙しい棒銀戦法だが、指しこなすにはこれくらいの知識は必要だということだろう。加藤先生は偉大だ(爆)。
 棒銀は有段者以外も指す戦法だが、最低でも3段くらいないと本書は読めないと思う。
作成日 2002-06-12 | [定跡 ( 四間飛車 )]
三浦流右四間の極意―四間飛車をやっつけろ
著者:三浦 弘行 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,260 (定価)
★★★★★(評価:級位者)
★★★★★(評価:初段~三段)
★★★★(評価:四段以上)
(価格・在庫状況は12月2日 3:14現在)


 タイトルそのままの、右四間飛車の本。

 通常の舟囲いでの攻防に始まり、美濃囲いではどうか、米長玉はどうか、居飛車穴熊はどうかとどんどんいろんな形が出てくる。そして、それらはいずれも決定的に右四間有利にはならないとして、今度は飛車先不突きの右四間が出てくる。しかしこれもうまくいかず、最終兵器として「飛車先不突き+居飛車穴熊右四間」という本書のメイン戦法が出てくる。
 ……というわけで、主要な攻防(というか新研究)は飛車先不突き+居飛車穴熊右四間なのだが、級位者や初段前後の人はむしろその前段を読んで欲しい。

 まえがきに「初心者に判りやすく、上級者にも耐えうる変化を紹介」といったようなことが書いてあるが、まさにその通りでうまく書けていると思う。今までの定跡書がコンパクトにまとまった感じで、これ1冊だけで右四間の基礎は理解できると断言する。

 惜しむらくは先手側が右四間を持っているということで、急戦なので仕方がないとは言えるが、できれば先後両方解説して欲しかった。
 また、うしろの方に出てくる△5三銀型での振り飛車からの揺さぶりについて、本書では▲4四角で居飛車が有利と断言している。しかし、2ヵ月後に同じ毎コミから出版された『定跡外伝2』には「▲4四角は後手に返し技があって後手有利」となっている。さらにそのあと、『島ノート』で進化した形が解説されて……と、本書だけではカバーできないほどに進化している。

 それはさておき、そういったちょっとした部分は置いておいても、とりあえず本書を全部マスターすれば右四間を指すことはできるだろう。もともとが常に主導権を握れる戦法であるので、攻めが好き(というか受けが苦手)なアマチュアにはもってこいの戦法と言える。
 居飛車・振り飛車双方にとって必携の書と思う。
作成日 2002-05-28 | [定跡 ( 四間飛車 )]
矢倉急戦道場 棒銀&右四間 (東大将棋ブックス)
著者:所司 和晴 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,260 (定価)
(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★★★★(評価:四段以上)
(価格・在庫状況は12月2日 3:20現在)


 いわゆる「本筋の矢倉」ではなくて、後手から変化していく矢倉の形について解説している。前半の後手棒銀は△4二金の新手を、後半の右四間飛車は△3二銀から囲う形を紹介している。
 このシリーズ共通の特徴である「どっちかをひいきしない」という点は本書でも貫かれており、そのため、最善をつくせばやや互角かほんのちょっと後手有利、というていどの分れにしかならない。しかし、後手番で矢倉をどうしようと悩んでいる向きには有力な選択肢になるかもしれない。

 個人的な話をすると、右四間は3二金戦法からの変化に使えないかと思って読んだ。▲7六歩△3二金に▲2六歩と突かれた場合、現在のところ中飛車を主に指している。しかし、右四間に組めるのであれば後手番でありながら主導権が握れるかもしれない。ちょうど「△3二金型」という項目もあったので、その可能性は高いなと期待もした。
 結論から言うと「△3二銀型よりやや損。やや先手有利の分かれ」ということだったのだが(泣)、それでも、なかなか参考になった。3二金戦法から右四間にする場合は飛車先を突かない可能性が高いので、本書で解説されている形より得な意味があるからだ(=本書の結論よりもやや有利な分れが得られる可能性がある)。

 構成についてはあいかわらずである。有段者以外は手を出さないほうが無難だろう。
作成日 2002-05-13 | [定跡 ( 矢倉 )]
四間飛車道場〈第4巻〉4五歩
著者:所司 和晴 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,260 (定価)/12pt (Amazonポイント)
★★(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★★★★(評価:四段以上)
通常24時間以内に発送(価格・在庫状況は12月2日 3:05現在)


 すでにシリーズとして認知された感のある東大将棋シリーズ。今回は▲4五歩と仕掛けていく形について解説している。
 振り飛車側は▲2四歩に△同歩といくか△同角といくかに分かれるが、本書では△2四同角の変化がかなり詳しく掘り下げられている。出版時にかなり新手が出て、それに刺激されたためだろう。分量としては△2四同歩の方が多いが、変化の底の深さは△2四同角に軍配が上がる。
 うしろの方には、もはや懐かしい感のある二枚銀などの急戦も載っている。米長流4六銀なんて久しぶりに聞いたなぁ(笑)。
作成日 2002-04-12 | [定跡 ( 四間飛車 )]
谷川の21世紀定跡〈2〉横歩取り・後手8五飛戦法編
著者:谷川 浩司 / 出版社:日本将棋連盟
出版日:
¥ 1,365 (定価)/13pt (Amazonポイント)
★★(評価:級位者)
★★★(評価:初段~三段)
★★★★(評価:四段以上)
通常24時間以内に発送(価格・在庫状況は12月2日 3:38現在)


 ついにというかやっとというか、谷川が8五飛戦法を解説した。
 とはいっても最新変化がずーらずら……というわけではない。むしろ今までの定跡をまとめたものに近い。そういう意味では、類書であり良書であるものがいくつか出ているので、そちらを参考にした方がいいだろう。

 わざわざ谷川をかつぎ出したのは、プロローグにあると思う。
 約30ページを割いて、今までの8五飛の歴史について簡単に触れている。その中で、谷川自身の考えたことや指し手の意味などを結構詳しく書いてくれている。

 これが面白い、と思った人は買い。
 そうでない人は別の本で十分だと思う。
作成日 2002-03-25 | [定跡 ( 横歩取り )]
矢倉道場〈第4巻〉新3七銀 (東大将棋ブックス)
著者:所司 和晴 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,260 (定価)/12pt (Amazonポイント)
(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★★★★(評価:四段以上)
通常24時間以内に発送(価格・在庫状況は12月2日 3:32現在)


 第3巻と同じ3七銀型ではあるが、こちらは少し変態チックな変化を解説している。変態戦法系といっても、脇システムや6五歩突きというプロの対局に出ている立派な指し方である。まぁ、森下は『現代矢倉の思想』で脇システムを「今後主流になることはないと思っている」とバッサリ切り捨てていたが(笑)。
 一方、アマチュアにとっては知りたい変化でもあるだろう。特に脇システムはハマると一発だし一気に終盤までなだれ込んでいく。知っておいて損はないし、知っているからこそ引きずり込んでいくこともできる。今までこれらの戦法についてはあまり光が当てられていなかったので、『定跡外伝』感覚で読むこともできるだろう。

 とはいっても『定跡外伝』よりもはるかに読みにくいことは約束できる(<してどーする)。本書も、やはり自信がない人は手を出さない方がいい。もっとわかりやすく書かれた本はいっぱいある。本書ほど詳しく書き込まれた本がないのは寂しい限りだが……。
作成日 2002-03-15 | [定跡 ( 矢倉 )]
青野照市のノックアウト四間飛車―「これにて良し」から先も書いちゃった
著者:青野 照市 / 出版社:フローラル出版
出版日:
¥ 1,365 (定価)
★★★★★(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★★(評価:四段以上)
(価格・在庫状況は12月2日 3:38現在)


 急戦の大家である著者が、どちらかというと級位者向けに書いた本。とはいえ、新鷺宮定跡の新変化(当時ね)も載っていたりするから油断できない。
 形は鷺宮定跡を基本として、それの変化としての▲4六銀左戦法をフォローしている。

 面白いと思ったのは、一応定跡の解説を終えたあと「ここからはこんな感じに指していけばいいよ」という指針を書いていること。初段までくらいの人には嬉しい配慮だろう。
 本書の内容が理解できれば、対四間飛車に関しては初段くらいまでは簡単にいくと思う。変化も多いので、とりあえずこれ一冊あれば問題ない。カバーをかけないと電車の中では読むのが恥ずかしいかもしれないが。

 ただ、この本、作りがヒドい。
 誤字も多いし、図面の位置も中途半端で読みにくい。白砂は立ち読みで済ませたのだが、非常に読みづらかった。この図面の成桂を見てブン投げたくなった人も多いだろう。
 聞いたこともない出版社なのだが(すんません)、もう少し真剣に棋書というものを考えてほしいものだ。
作成日 2002-02-28 | [定跡 ( 四間飛車 )]




広告主サイトもご覧ください。