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 四間飛車・序盤の指し方 完全ガイド

四間飛車 序盤の指し方完全ガイド (マイナビ将棋BOOKS)
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著者:井出 隼平 / 出版社:マイナビ出版
出版日:2018-03-13
 (定価)/50pt (Amazonポイント)
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在庫あり。(価格・在庫状況は7月17日 22:43現在)

 四間飛車vs居飛車について、急戦も持久戦も、ほとんどの戦形を解説している。
 しかも、四間飛車側は美濃囲いがメインで、居飛車穴熊などにも銀冠で戦う。なかなか「古い」形である。
 取り上げた戦形を列挙すると、急戦がナナメ棒銀・4五歩早仕掛け・棒銀・鷺宮定跡。居飛車穴熊が通常の穴熊と松尾流、角交換型。その他の戦形として左美濃・5筋位取り・玉頭位取り。右四間がないくらいで、確かにほとんどの戦形は網羅してある。

 解説の内容はいささか初級者向けで、例えばナナメ棒銀では△8六歩の突き捨ての形すら紹介されていない。なので▲6五歩のカウンターがまともに入って綺麗に勝つ。5筋位取りなんかも飛車を見捨てて▲7七角と出る、という懐かしい定跡がそのまま紹介されている。ノーマル四間を扱っているということから、あまり定跡が磨かれていない部分があるのは仕方がないが、白砂が学生の頃の定跡を平成最後の夏に目にするというのはなんというか……。

 最新形を追うのはある意味「疲れる」ことなので、居飛車穴熊あたりに対抗できるのであれば、ノーマル四間は非常に「楽な」戦法であると言えるだろう。こちらの陣形の理想形は決まっているので、組むのが格段に楽なのだ。なので、級位者がとりあえず四間飛車一本で初段を目指す、といった使い方は有用だと思う。そういった意味であれば本書は級位者には有用だろう。
 とはいっても、本書をきっかけの一冊とするのはアリだと思うが、あまりに解説が薄すぎるので、これ一冊で、というわけではいかない。他の棋書で補完する必要がある。
 とはいえ、著者の井出はプロの世界でこのノーマル四間で戦っているわけで、ということは棋力さえあれば十分に戦えるはずだ。加藤一二三が「棒銀が悪いわけではない」と語っていたが、それと同じなのかもしれない。フォロワーが少ないのでノーマル四間の復権はまだまだ遠いだろうが、同じ振り飛車党としては応援したい。
作成日 2018-07-17 | [定跡 ( 四間飛車 )]
 右四間飛車戦法 四間飛車破りの決定版!

右四間飛車戦法―四間飛車破りの決定版! (スーパー将棋講座)
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著者:先崎 学 / 出版社:創元社
出版日:
¥ 1,404 (定価)/14pt (Amazonポイント)
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在庫あり。(価格・在庫状況は7月17日 21:37現在)

 アマチュアに人気の右四間飛車を解説した本。先手右四間vs後手四間飛車の、居飛車vs振り飛車に特化した解説となっている。振り飛車が先手だとか、矢倉vs右四間の相居飛車というのももちろんあるが、それらはスッパリ切り捨てている。単純な戦法ではあるが変化の解説が多いに越したことはないので、この見切りは正解だと思う。
 内容は、居飛車の玉型を3種類に分けている。 急戦は振り飛車のうまい受けがあって不発、という解説を最初に持ってきたのがうまい構成で、解説の「公平感」をうまく出せていると思う。いやいやそんなあざとい読み方をしなくてもという気もするが、まぁこれはテクニックの一つということで(笑)。実際、右四間側が攻略できる変化も数多く紹介しているから、その点は評価できる。

 実はどれも△5四銀型なのでそもそも振り飛車側の受けが限られるとか、穴熊の△6五銀はいろんなタイミングがあるんじゃないのかとか、ツッコミを入れればキリがないだろうが、創元社の初級者向け解説本であることを考えるなら本書くらいの構成でいいと思う。難しい話は上に行ってからで十分で、初級者はまずは攻めの「形」を覚える方が先である。
 ただ、香が5枚あったのはいただけなかったかな……(笑)←ただの誤植。振り飛車が△9五香と走ったのに9一の香を消し忘れていた。

 内容はとても判りやすく、変化の解説も十分にされている。攻め筋の紹介もたくさんあったし、初級者が初めに取る一冊としては良書だと思う。
作成日 2014-12-30 | [定跡 ( 四間飛車 )]
 久保利明の振り飛車の手筋1 さばきの四間飛車・急戦編

久保利明の振り飛車の手筋〈1〉さばきの四間飛車・急戦編
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著者:久保 利明 / 出版社:山海堂
出版日:
¥ 1,404 (定価)
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在庫切れ(価格・在庫状況は7月15日 21:37現在)

 振り飛車党の代表選手である久保が書いた手筋本。今回は四間飛車vs急戦に絞って解説している。

 四間飛車が先手の場合も後手の場合も解説されているが、▲6五歩急戦がなかったり、▲4六銀戦法で2筋を突き捨てなかったりと欠けている部分も多い。また、内容のほとんどは後手四間の解説ではあるのだが、定跡近辺の解説ではなく実戦譜の解説のようになっており(確認したわけではないのだが、問題を見ていただければそう感じた理由も判っていただけると思います)、いやそりゃあ手筋だけどさぁ……とちょっと残念な気分になった。

 あと、難易度がバラバラすぎる。
 △8五歩に▲7七角、という問題が2問もあった(3問だったかな?)かと思えば、とても難しい手筋がふんだんに出てきたりしている。
 それと、次の一手本の宿命のようなもので仕方がないことなのかもしれないが、解説が少なすぎる。
 例えば第30問で、△8八歩と桂取りに打った手に対して、▲7二歩という手筋が正解である、としている。それは正しいと思うのだが、その解説が「△7二同飛と取らせると利かしになる」だけではあまりに不親切すぎる。後手は桂取りに歩を打ったのだから、まず説明するのは△8九歩成とされたらどう切り返すか、だろう。しかしその解説は一切されていない。
 実際のところ、△8九歩成は▲同飛と取っておけば、今度は△7二飛と取れない(8五に銀がいて、△8九歩成▲同飛△7二飛は▲8五飛とボロッと銀を取られる)から△6二銀と▲7一歩成を受けるくらいしかなくて、そこで▲7六銀とすれば△同銀と取れない(8五の銀が動くと▲8二飛成と飛車が素抜かれる)から後手が困っている、ということだと思われるので、問題に間違いがあるわけではない。しかし、この説明を一切省いて「利かしが一発入った」で終わらすのは不親切に過ぎる。

 攻められた手に対して▲6五歩や▲7八飛という振り飛車の手筋を再三登場させることで印象を強めたりとか、大駒をぶった切って攻めたりとか、面白い問題も数多く入っており、それなりに勉強になるとは思う。実際、白砂は第53問から第54問の手筋が見えなくて解答を見て感心したし。

 題材や方向性、やりたいことは間違っていないと思うのだが、料理の仕方が間違っていたのではないか、と思ってしまう。ちょっと残念だった。
作成日 2014-08-04 | [総合 ( 手筋 ) , 定跡 ( 四間飛車 )]
 佐藤康光の居飛車の手筋1 四間飛車粉砕編

佐藤康光の居飛車の手筋〈1〉四間飛車粉砕編―急戦から居飛車穴熊まで、緩急自在の佐藤流
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著者:佐藤 康光 / 出版社:山海堂
出版日:
¥ 1,404 (定価)
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在庫切れ(価格・在庫状況は7月17日 23:44現在)

 次の一手形式で解説する四間飛車破りの本。
 急戦からは▲4六歩急戦とナナメ棒銀、持久戦は居飛車穴熊。あと、四間飛車穴熊に対する銀冠と、立石流対策、飯島流引き角戦法が掲載されている。基本的な四間飛車対策は網羅されている感じだ。

 次の一手形式なので、通常の定跡書を読むように体系的に学ぶということはしづらい。その代わり、戦法を指す上での大体の雰囲気はつかみやすくなっていると思う。
 ただ、その分内容は薄くなっており、立石流▲7七角対策などは、本当に狙いを示すだけに留まっている。まぁ、個人的な思い入れも強いので「こんな手は指さないだろー」と評価が厳しくなっている部分はあるのだが(笑)。

 細かいことを言うと、本書の場合、珍しく「失敗例」がほとんど入っていない。よく「▲○○と指すと失敗する。振り飛車の立場に立って考えていただきたい」みたいな感じの問題があるが、そこはバッサリ切って、各問題の中で失敗例を解説するにとどめている。居飛車党にしてみれば「そんな立場なんて知らねーよ」と(笑)、まぁそこまで極端ではないにしろ、本書のように「どうやったら成功するか」を考えるだけでいいのになぁ……と思うことはよくある。なので、ホントにこういうことするんだ……と少し驚いた。

 できれば体系だった棋書を読んでもらうことを前提として、こういう本をサブテキストとして活用すれば、棋力向上も早いのではないかと思う。棋書の性格上、買って手元に置いておくとよい、とまでは勧められないが、読んでみる価値は十分にある。
作成日 2014-06-29 | [定跡 ( 四間飛車 , 穴熊 )]
 杉本昌隆の振り飛車破り

杉本昌隆の振り飛車破り (MYCOM将棋ブックス)
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著者:杉本 昌隆 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,512 (定価)
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<%myrate2()%> (評価:初段~三段)
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在庫切れ(価格・在庫状況は7月16日 4:54現在)

 振り飛車党(現在は居飛車党に鞍替えしているが)の杉本が書いた振り飛車破り本。振り飛車党であれば振り飛車がやられてイヤなこともよく知っているだろう、という考えで依頼があったらしい。

 内容は以下の通り。
▲3五歩急戦vs後手藤井システム
室岡新手で有名な形。かなり詳しく解説している。初段くらいまでの人は、むしろ室岡新手以前の指し方(△3五同歩・△3二金)の際の速攻手順を読んでほしい。
先手藤井システムvs居飛車穴熊
居飛車側から△4五歩と仕掛ける形や、△5五角急戦など。これも詳細に解説されている。ここまでで本の半分くらい。発刊当時(2007年)はまだ藤井システムが指されていた時代なんだなぁと思わされる。
5筋位取り急戦
もはやB級戦法に近い作戦だが、5筋位取りでなおかつ急戦というのが面白い(もちろん昔から指されていた戦法ではある)。最終的には振り飛車有利という結論になっているような気もするが(笑)、一発狙いには知っておいてもいいかもしれない。
ポンポン桂
従来からある「富沢キック」の話も出てくるが、どちらかというと藤井システム対策という感じ。これもあまり類書がないので、とりあえずは押さえておきたい変化だ。
三間飛車vs居飛車穴熊
居飛車穴熊側が△8四飛をギリギリまで受けない(その手を囲いに回す)というちょっと贅沢な指し方。先手が何もしなければしれっと1手得できるわけで当然先手は▲7四歩から動いてくるが、むしろそれを誘ってカウンターで切り返す、というのが基本的な骨格。実戦的な考え方で言えば、▲7四歩から歩を交換されるデメリットよりとにかく居飛車穴熊に囲えるメリットを追求した、とも言える。
石田流vs銀冠
最近はあまり見ない気がする(そもそも石田流を目指さない)が、▲7四歩急戦がらみで石田流がバンバン指されていた頃、居飛車側が急戦を避けて銀冠に囲うという将棋がよくあった。その形のこと。△9二飛と千日手を目指す形、と言えば判りやすいか。
山本流石田封じ
昔からの石田流対策に、▲7六歩△3四歩▲7五歩△4二玉という指し方がある。▲7八飛なら△8八角成▲同銀△4五角で、定跡の▲7六角を防いでいる(△4二玉としたため▲4三角成が先手にならない)から後手有利、という仕組みだ。そのため、△4二玉には▲6六歩と穏やかに指すのが無難、とされている。それをもっと突き詰めて、▲6六歩と穏やかに指してきたらその▲6六歩を目標に△6四歩~△6二飛と右四間にしたらどうだろう、というのがこの山本流の骨子である。なかなか面白い発想で、特に石田流という「形」を指したいという石田党にはイヤな対策だろう。
 藤井システム破りに大半を割いているが、むしろ読んでほしいのはそれ以外のB級戦法の部分だ。なかなか類書がないので、こういうまとまった解説は貴重である。

 本のツクリで少し言わせていただくなら、ちょっと密度の違いがありすぎてとまどってしまう。ポンポン桂などはかなり散文的に書かれているので、大体の狙いは判るのだが、じゃあ本書を読めばバッチリ指しこなせるかというと難しいと思う。
 もっと言ってしまうと、密度の濃い内容とガイド的な内容を同じレイアウトで見せようというのがそもそも無理だと思うので、いっそのことどちらかに絞ってしまった方が(贅沢を言えば2冊出してしまえば)よかったんじゃないか、とさえ思う。

 内容は悪くない、というかとてもいいので、初段くらいまでの人は、藤井システム関連は飛ばして(笑)、その他のページを、少し面倒でも盤駒を用意して読み込めばいいと思う。有段者は本書の内容くらいは知っていないといけないことなので、サラっと読むくらいでいいだろう。

 あと、いおたんヲタの人は、わすが2ページだけどチラっと登場しているので、そうだよなぁあの連載のときはかわいかったなぁ……と思いつつ、囲碁界に呪いをかけておいてください(笑)。
作成日 2014-06-22 | [定跡 ( 四間飛車 , 三間飛車 , 穴熊 )]
 世紀末四間飛車 急戦之巻

世紀末四間飛車〈急戦之巻〉
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著者:櫛田 陽一 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,223 (定価)
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<%myrate3()%> (評価:四段以上)
在庫切れ(価格・在庫状況は7月19日 20:17現在)


 スーパー四間飛車の小林八段とほぼ時を同じくして出てきた振り飛車党に櫛田五段がいる。その彼の書いたのがこの世紀末四間飛車シリーズである。本書はその1巻目。急戦について扱っている。

 内容はナナメ棒銀、▲4五歩早仕掛け、棒銀、5筋位取り、▲4六銀、右四間飛車と一通り。いずれも居飛車先手四間飛車後手で解説されている。

 △3二銀で待機せず、さっさと△4三銀と上がっておいて十分、というのが世紀末流で、現在の視点から見るとやや荒い感じはする。たとえば『東大将棋ブックス四間飛車道場 第6巻 最強1二香』『四間飛車の急所 4 最強の4一金型』などは「通常の形では振り飛車がやられるから形を変えよう」という思想に基づいてシステム化されている。
 しかし、とにかく美濃囲いに組んで△4三銀と上がって、この形を組んでしまえばあとはどうとでもなる、というある種の開き直り(笑)はアマチュアにとってありがたいことでもある。細かいことをこちゃこちゃやりたい人は8五飛戦法でも指していればいいのだ。振り飛車は暴れてナンボである(←暴言)。

 というわけなので、厳密には少し振り飛車が苦しいのかもしれないが、そんなことを気にせずまず形を覚えよう、という初段前後くらいまでにはお勧めの本。
 もっとも、そもそも新刊では手に入らないだろうが……
作成日 2007-09-21 | [定跡 ( 四間飛車 )]
 世紀末四間飛車 持久戦之巻

世紀末四間飛車〈持久戦之巻〉
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著者:櫛田 陽一 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,223 (定価)
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在庫切れ(価格・在庫状況は7月14日 20:24現在)


『世紀末四間飛車 急戦之巻』に続く世紀末四間飛車シリーズ第2弾。本書は。持久戦を扱っている。

 内容は玉頭位取り、5筋位取り、左美濃、居飛車穴熊。左美濃に▲8八玉型があるあたり、時代を感じさせる。
 あいかわらず不親切な(笑)解説で、場合によってはおいこれで本当に振り飛車有利なのか? という局面もある。鈴木大介よりすごいかもしれない(笑)。
作成日 2007-09-21 | [定跡 ( 四間飛車 )]
 東大将棋ブックス四間飛車道場 第1巻 ミレニアム

四間飛車道場〈第1巻〉ミレニアム (東大将棋ブックス)
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著者:所司 和晴 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,260 (定価)
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<%myrate3()%> (評価:四段以上)
在庫切れ(価格・在庫状況は7月14日 20:24現在)


 東大将棋ブックスのシリーズの栄えある1冊目。当時流行していたミレニアムを扱っている。この当時はまさかあと16冊も出るとは思わなかったが、しかし、衝撃的なほどに内容が濃かったことは間違いない。

 内容は、
▲6七金型
早めに▲6七金と上がって桂頭を守る。
▲6六角型
▲6六角▲7七桂から▲8九玉と引き、▲8八銀▲7九金▲7八金とガチガチに囲う
▲5五角型
やや特殊な形。振り飛車を牽制する狙い
 となっている。
 『四間飛車の急所1』などの新しい本を読むと、本書の振り飛車はやや無策で、ミレニアム側に都合がいい手順が多い。しかし、当時はそれだけミレニアムに対する距離感がわからなかったということの証左でもある。
 東大将棋シリーズらしい丁寧でない編集(<ごめんなさい)のために非常に読みづらいのだが、内容はギッチリ詰まった良書である。
作成日 2007-09-21 | [定跡 ( 四間飛車 )]
 角交換振り飛車

角交換振り飛車 (スーパー将棋講座)
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著者:畠山 成幸 / 出版社:創元社
出版日:
¥ 1,260 (定価)/12pt (Amazonポイント)
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在庫あり。(価格・在庫状況は7月14日 14:27現在)

 後手から角を交換して△4二飛とし、機を見て向かい飛車に振り直す、いわゆる「2手損四間飛車」を解説した本。
 サブタイトルのネットで流行の真偽は判らないが、白砂の記憶では『奇襲大全』に少し載っていた程度で類書はほとんどなく、初めての解説書といっても過言でないと思う。

『奇襲大全』では四間飛車穴熊穴熊型のみが解説されていたが、本書では高美濃型も紹介されている。また、角交換拒否のタイプも紹介されているので、とりあえず指してみるには十分な情報が揃っていると言える。

 個人的な事情を言うと、7七桂戦法の変化で似たような形になる(△6四歩型)ので、出版後すぐに買った。そして、すぐに「そうだこれは創元社だ……」と(笑)。
 指し初めには有効だが、指しこなすには本書だけではちょっとキツい。実戦で揉まれる必要があるだろう。
作成日 2006-01-08 | [定跡 ( 四間飛車 )]
 鷺宮定跡 歴史と最先端

鷺宮定跡―歴史と最先端
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著者:青野 照市 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,449 (定価)
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<%myrate3()%> (評価:四段以上)
在庫切れ(価格・在庫状況は7月14日 14:27現在)

 鷺宮定跡の創始者であり、急戦の大家である2ch名人青野の著した急戦本。
 鷺宮定跡、新鷺宮定跡を主に解説しているが、その性質上、4六銀戦法なども入り混じっている。

 もともと青野の定跡本は「(外れがないという意味の)カタい」本なので今回も安心して読んだのだが、歴史というか移り変わりというか最新定跡を追うのではなく、そこに行き着くまでの攻防に焦点を置いている感じの本だ。
 事実、最新の攻防と言えるのは最終章くらいで、それ以外の内容は別の本で十分すぎるほどカバーできる。例えば藤井本や渡辺本などでも「この攻め方は振り飛車側のうまい受けがあってすたれ、代わって○○という指し手が……」というような解説が散見されるので、歴史に焦点を当てるのは正直「今さら感」がなくはない。
 ただ、青野が書いた、という点に注目をするなら、これはまさに自分が戦ってきた歴史を証言しているようなものなので、そういう読み方をすればまた面白く読める。

 最終章は最新の定跡が載っていて、また、同時に居飛車側の課題という部分もある。
 悪い表現をすると居飛車有利にはならないということなのだが、この形が現在のプロのテーマになっているということを正直に紹介してくれたことには素直に驚いた。自分には判らない、ということは、なかなか言えないことだ。

 また、これはどの本にも言えることなのだが、急戦は特に「その局面をどう見るか」という大局観の問題が関係する。
 詰みまで研究すれば大局観もクソもないのだが、その前で終わっている場合は、その局面を持って「やれる」かどうかを自分で判断しないといけない。居飛車振り飛車双方が自分よし、と思っている局面もあるし、逆に双方自信なし、として避けるケースもあるだろう。
 この部分が、居飛車党と振り飛車党では違うし、同じ振り飛車党でも微妙に違う。
 最近は急戦本が数多く出版されているので、それらの主張を比べてみることも面白いだろう。
作成日 2005-05-08 | [定跡 ( 四間飛車 )]
 四間飛車破り 急戦編

四間飛車破り【急戦編】 (最強将棋21)
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著者:渡辺 明 / 出版社:浅川書房
出版日:
¥ 1,470 (定価)/46pt (Amazonポイント)
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在庫あり。(価格・在庫状況は7月13日 20:14現在)

 竜王になって今一番注目を浴びている若手、渡辺の処女作。
 急戦編、ということで、今回は4五歩早仕掛け、5七銀左(鷺宮)、棒銀について解説している。

 体裁としては藤井本と似ていて、各テーマ図があって解説していく形。ただ、個人的な印象としては、藤井本ほど一本の流れがあるわけではなく、むしろ放射状にいろいろな形を解説している感じがした。
 基本/上級/プロ級と項分けしてあるのも面白いところだ。
 基本では「その形で勝つ側」から見た理想手順、上級では枝分かれや変化技など、プロ級では踏み込んで具体的に勝ちになる手順、といった感じで解説していく。ただ、じゃあ級位者は基本のところだけ拾い読みするかというとそういうことはなさそうなので(笑)、要は順番に難しい話をしていくよというマーキング程度に考えればよい。

 この「プロ級」がまた曲者で、とにかく変化が多い。
 図面もかなり贅沢に使っているのだが、それでも追いつかないほどの符号の嵐。これはさすがに盤駒がないと厳しいかもしれない。初段程度ではまずムリ。3段くらいの人でやっとどうか……といったところか。

 最新形や独自の大局観にも触れているし、他の棋書や棋士名が頻繁に出てくるのも面白い。プロ棋士がここまで類書と自説を比較する本というのもなかなかないのではないだろうか。師匠に気を使わんでいいのか? と少し気になったほどだ(笑)。
 その中で、加藤一二三に触れている部分もあった。当然棒銀のところね(爆)
 加藤本では、棒銀は△4二金とされると困る、というのが結論として書かれているが、渡辺に言わせると、そもそもその形にするのが悪いんだそうだ。「他の棋士は指さないのに、一人だけここで▲2六銀と上がる」みたいなことが書かれていて笑った(←ごめんなさい)。
 加藤本を読んで棒銀の未来を悲観した人は、迷わず買い。
作成日 2005-05-08 | [定跡 ( 四間飛車 )]
 四間飛車の急所 4 最強の4一金型

四間飛車の急所 (4) 最強の4一金型 (最強将棋21)
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著者:藤井 猛 / 出版社:浅川書房
出版日:
¥ 1,470 (定価)/15pt (Amazonポイント)
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<%myrate3()%> (評価:四段以上)
在庫あり。(価格・在庫状況は7月18日 19:23現在)

『四間飛車の急所』シリーズ第4弾。
 今回は後手四間飛車側が△5二金左を保留した形を解説する。

 形自体はそれこそ大山時代からあった指し方で、部分的な裏技としてはいくつかの棋書でも散見できる。有名なところでは、対右四間飛車で▲1一角成△3一金として後手有利、というものがある……といって判る人が意外と少なかったりして……。
 白砂の個人的なことを言うと、学生時代に高井さんがこの形を得意にしていて、急戦を袖飛車で破って勝星を荒稼ぎしていた。居飛車穴熊が出てしばらくの頃で、その頃は「鷺宮定跡」誕生などもあり、まだ急戦も多く指されていたものだった(<遠い目)。

 まぁ、とにかく4一金型。
 基本的なコンセプトは、△5二金左としないことにより、盤面右側に金を応援に出しやすくし、急戦を正面から受け止めようというものだ。また、△5四歩△6四歩といった歩を突かないことにより、△6四角とか△5四銀といった通常の定跡では生じない筋が発生することもある。もちろんこれはメリットばかりではなくデメリットもあってなんとも言えないところだが。
 矢倉において飛車先不突きが誕生したように、金上がりを保留することによって、居飛車の態度に合わせてこちらの体勢を変化させることができる。これが本書の4一金型の狙いである。

 そういう事情であるので、できれば、というか必ず2/3巻は読んでおかなければならない。「従来の形と比べて」という比較が多々発生するからだ。形は全然違うが、『高田流新戦略3手目7八金』と同じように、少しでも得をしようという志向レベルの高い形である。

 内容は、そういう事情もあってか意外と薄い。
 いや、こういう言い方は語弊があるか。比較対照という作業が多いため、新しく変化を覚えるという感じにはならないので、そんなに苦にならずに読めるのだ。少なくとも、既刊の2冊を読みこなせるレベルであれば本書はラクに読めるだろう。
 もっともここが評価の難しいところで、ということは前2冊をきちんと理解せず本書を読んだ場合、どの程度それが「役に立つ」かというと疑問なのだ。もちろん本書だけ読んで4一金型の優秀性を理解し、4一金型だけを指す、ということは十分に可能だ。ただ、それができるのであれば前2冊はラクに読めるはずだし、ということはやっぱり本書は難しいのか……。
 評価が難しいので、とりあえず「そこそこ大変」とだけ覚悟して下さい(<をい)。

 本書の特徴は、今までになかった「実戦編(という名称ではないが)」がついたところだろうか。

 今までのシリーズでは、仮にそれが実質的に実戦解説であっても、形としては定跡解説の体だった。
 しかし、4一金型は「少しの違い」がたくさん生じる実戦的な戦法のためか、全ての形を網羅的に解説という形にはしづらい。そこで、戦い方考え方だけでも判ってほしい、ということで、実戦編を設けたのだろう。
 厳しいことを言ってしまうと、煩雑であってもきっちりと「定跡」を作ってほしかったな……と思うのだが。

 以上のように、本書はかなり高度な内容になっている。
 初段くらいでは厳しい。きちんと読みこなせれば3段クラスにはなっていると思う。
作成日 2005-03-30 | [定跡 ( 四間飛車 )]
 木村一基の急戦・四間飛車破り

木村一基の急戦・四間飛車破り (NHK将棋シリーズ)
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著者:木村 一基 / 出版社:日本放送出版協会
出版日:
¥ 1,050 (定価)
<%myrate1()%> (評価:級位者)
<%myrate2()%> (評価:初段~三段)
<%myrate3()%> (評価:四段以上)
在庫切れ(価格・在庫状況は7月18日 14:43現在)

 NHK将棋講座のテキストに加筆修正したもので、棒銀戦法、ナナメ棒銀戦法、▲4五歩戦法、鷺宮定跡の4つの急戦を解説している。

 内容はかなり高度なものだが、急戦一本と絞っているので読んでいてもそんなに苦にならない。以前白砂のコラムでもちょこっと述べた通り木村さんは「四間飛車は急戦で潰せる」と言っていた(奨励会3段時代)人なので、実戦に生じやすい形に多く解説を割いている。

 ライターの小暮さんが関わっているようで、それも本書の解説が判りやすい一因になっているのだろう。
 また、NHK鈴木本と同じく、限られた時間の中で区切る解説になっているので、改めて読むと「もう少し変化の解説があればなぁ……」と思う部分はある。しかしまぁ、そんなに多くはないのでこれは気にしすぎかもしれない。

 それより気になったのは、変化図等でところどころに出ている、色の変わったマス目。

 本書では、というかNHKの解説当時から、「▲○○×」といった眼目の指し手をキャッチーに紹介、という体裁を取っている。例えば「強く前進▲3五銀」といった感じに。
 そのため、その章の図面はほとんど全て、上の例で言うと3五の地点がグレーで塗られているのだ。
 これがどういう効果をもたらすか。
 いい意味では常にその地点を注意して読むことができる。だから、「ここが急所だからこういう手を指してるのか……」といったことが直観的に理解しやすい。
 しかし悪い意味で言うと、ひとつの図面の中に「直前の指し手が太字で」「急所のマス目がグレーで」という二つの強調が混在することになって、少しうっとうしい。
 あくまでも個人的な感想なのだが、これはちょっと失敗かなぁ……。
 もちろん、意欲は買うし、この形式が解説の理解の助けになっていることは間違いない。
 グレー部分を少し薄くするとか、もっと違う強調方法にするとか、もう少し改良すれば、初級者中級者向けの新しい解説方法として使えると思う。
作成日 2005-03-30 | [定跡 ( 四間飛車 )]
 四間飛車の急所 3 急戦大全 下

四間飛車の急所〈3〉 急戦大全(下) (最強将棋21)
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著者:藤井 猛 / 出版社:浅川書房
出版日:
¥ 1,470 (定価)/14pt (Amazonポイント)
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在庫あり。(価格・在庫状況は7月13日 11:32現在)

「藤井の頭脳」とも言える四間飛車の急所シリーズ第3弾。今回はナナメ棒銀、4五歩早仕掛け、棒銀を解説する。

 それぞれの形についてどんなことが書かれているかと言うと、
 といったところ。
 ナナメ棒銀のところは前著との兼ね合いがあるので、できれば前著をもう一度読んで、それから本書を読み始めるといいと思う。

 誤解を恐れずに個人的な感想を述べると、前著に比べると新手的な驚きは少なかった。その代わり、システマチックな感じがかなり強くなっている。
 2巻の戦法ではいろいろ実戦的な指し方があったのだが、本書の形はかなり研究されているので、「実戦的」とか「裏技的」なものが少ない……という風に見える。玉頭銀も昔は実戦派が指すものだったが、いまやここまで整備されている。本書の驚き方はそんな感じだ。

 本の編集の部分については完成された感がある。
 いくつか誤植があったが、これは本というものの宿命と割り切るしかないのかな。しかし、▲4七歩を△4七歩という間違い方は少し罪が重い(笑)。4五歩早仕掛けで後手から△4七歩と叩くのは定番の筋だ。▲4七歩というのはそれを防いだ柔らかい好手なのだが、その説明の時に△4七歩と書いてあったので、読んでいて一瞬混乱するのだ(笑)。

 次巻は△4一金待機型ということで、これは全く新しい攻防になるだろう。「急戦版藤井システム」とでも呼ぶべき形なので、早く読んでみたい。
作成日 2004-10-19 | [定跡 ( 四間飛車 )]
 四間飛車の急所2 急戦大全 上

四間飛車の急所〈2〉急戦大全(上) (最強将棋21)
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著者:藤井 猛 / 出版社:浅川書房
出版日:
¥ 1,575 (定価)
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在庫切れ(価格・在庫状況は7月14日 11:16現在)

『四間飛車の急所1』に続く、藤井猛の四間飛車解説本。
 今回は5七銀左戦法に絞って解説している。もっと具体的に言うと、5七銀左の形から派生する急戦──山田定跡や鷺宮定跡、端角、ナナメ棒銀──についての解説である。
 ▲5七銀左の局面を基本図として、そこから振り飛車が△5四歩△6四歩△1二香△4三銀と指した場合のそれぞれについて、非常に深く解説している。
 これ以外の急戦、棒銀や4五歩早仕掛けについては3巻で、振り飛車が4一金のまま待機する形については4巻でそれぞれ解説する。急戦だけで全3巻という、かなりボリュームのある内容となっている。

 読んでみて驚いたのは、本当に手順が「システム化」されていること。本書を読むと、居飛車の仕掛けのパターンのようなものがよく判ってくる。
 ▲5七銀左の急戦の場合、端角のような特殊な形を除いて、大体が「▲3五歩△同歩▲4六銀」「▲3五歩△同歩▲同飛」の仕掛けとなる。あとは、これにバリエージョンが加わるだけだ。▲6八金直と入れてみたり、先に▲3八飛と回ってみたり、▲6六歩と突いておいて角を捌かせないようにしたり。同様に、振り飛車側の形も限られてくる。
 本書は、この「パターンの組み合わせ」が実に判りやすく書かれている。居飛車はABCというパターンがあり、振り飛車はXYZというパターンがある。Aの仕掛けをすると最終地点はこの形で、Xだと振り飛車が得だがYだと居飛車が得になる。よって居飛車はXではこの仕掛けはせず、Bの仕掛けを選択し……といった具合である。もちろんこういった書き方ではないのだが、読み進めて行くと、このパターンの組み合わせが嫌でも頭に入ってくるようになる。

 システム化されている、というだけでなく、一つ一つの手順が実に「正直に」書かれている。よくありがちな定跡書のような、どちらかにひいきするということは一切ない。妥協をすることなく、居飛車が有利な手順ははっきり居飛車有利だと言い切り、しっかりと対抗策を考えてある。そのため「形勢不明」「互角」という結果も多いが、それは正直さの裏返しということで納得しよう(笑)。
 また、実戦的な手順も数多い。
 例えば下図。

    【▲4六銀まで】
後手の持駒:歩
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二
| ・v歩v歩 ・v歩 ・v角v歩v歩|三
|v歩 ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし

 ▲3五歩△同歩▲4六銀と仕掛けたところで、大体こういう局面で後手は△3六歩とするものだ。しかし、この形に限ってはという条件付き(厳密には違う。正確な表現は本書で確認して欲しい)で、△4五歩と突く手を紹介している。
 △4五歩には▲3三角成△同銀▲3五銀と出る。居飛車がやけに調子がいいようだが、△3四歩と更に屈服の歩を打ち、▲2四歩△同歩▲同銀△同銀▲同飛に△3三角▲2一飛成△2二飛▲同龍△同角とおなじみの捌きをしてみると、意外や意外難しい、というのだ。
 詳しい手順、形勢判断の根拠などは実際に本書を手にとって確かめて欲しい。ちなみに、この筋を応用した指し手も別のページで紹介されている。本書がシステム化を目指していること、また、実戦的な指し手が豊富に載っていることの証拠でもある一事だ。

 本の体裁の部分にも、様々な工夫が凝らされている。
 一番目を引くのは「藤井ファイル」と題された、各章のアタマに設けられたページで、このページで大体の流れは全てつかむことができる。極論を言ってしまえば、有段者の場合、立ち読みでそこだけさらえば本書の9割は読んだことになる。その気になれば20分もあれば十分に理解できるだろう。
 というように立ち読みの人も配慮したレイアウトになっており……じゃなくって(笑)、まずこの「藤井ファイル」を読めば済むようになっている。詳解ページもきちんと振ってあるので、ここで形を調べて、具体的に解説にすぐ飛べる、というような、辞書的な使用がしやすくなっているのだ。これはなかなか画期的なことだと思う。
 また、各章の冒頭には樹形図もあるので、振り飛車がどう待ち、居飛車がどう仕掛けるつもりかという大体の流れもつかみやすくなっている。

 著者渾身の一冊であり、シリーズだと思う。
 そしてまた、その意をしっかりと汲み取った素晴らしい編集だと思う。
 居飛車党も振り飛車党も、ぜひ一度読んでみて欲しい。
 単なる定跡書、というだけでなく、真理を追究する学問的な面白さまでもが味わえる一冊だ。
作成日 2004-08-13 | [定跡 ( 四間飛車 )]
 東大将棋ブックス四間飛車道場 第16巻 右四間飛車

四間飛車道場〈第16巻〉右四間飛車
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著者:所司 和晴 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,260 (定価)
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在庫切れ(価格・在庫状況は7月14日 20:24現在)

 アマチュア待望の右四間飛車編。もっと早く出してくれてもよさそうなものなのだが……。ちなみに、これで四間飛車道場は完結だそうだ。

 内容は、穴熊型、米長玉型、左美濃型、舟囲い型と、▲5九金右と固めたタイプ、6筋の歩を交換するタイプの計6種類。これに、3筋から桂が跳ねる形と、1筋から桂が跳ねる形のそれぞれ2パターンがからむ。
 対する振り飛車側の対策も、通常の△5四銀型に加え、△4三銀型や、早く△3五歩と突いて石田流に組み替える形などがある。

 一応の基本は押さえられていると思うし、最初の章でそれぞれの形に行くまでの手順がさらってあるので、これから右四間を指してみようか、という初段くらいの人には参考になるだろう。級位者には、東大将棋より三浦本の方を薦めたい。
 また、6筋を伸ばす指し方を解説した本はおそらく初めてだと思う。白砂がコラムで書いたこの形のことで、この攻防は(やられたことがあるだけに)参考になった。とりあえず、「△4四歩にさすがに▲4六歩はないだろうから、この進行はだいたい妥当なところ」と書いた白砂はどうすればいいんだろう(笑)。
 その他にも、『四間飛車の急所 1』に書かれた変化の上を行く変化(▲9九玉で▲5八金とし、後の▲4七金を見せる)もあり、有段者は是非とも買いの一冊となっている。

 しかし、不満もいくつかある。
 一番大きな不満は、振り飛車側の対抗手段がヘタレなこと。
 例えば、上に書いた▲4七金。これは振り飛車側が早くに△3五歩~△3二飛と石田流を見せた手に対しての対抗策である。これを書いたことは素直に誉めたい。しかし、▲9六歩型の居飛車穴熊にはこの手段が載っていて、▲9七歩型の居飛車穴熊では一言も解説されていないのはどういうことか? ▲9七歩型では、振り飛車側は無難な手しか指していない。一手の違いが大きいのは分かるが、ならばなおさら、何故石田流はダメなのかをしっかりと解説して欲しかった。
 同じように、△4三銀という形で止めるという有力な振り飛車の対策についても、触れている項と触れていない項がある。順列組み合わせではないけれど、全ての居飛車の囲いに対して、振り飛車側の対策は(少なくとも何もしないよりは)有効なはずである。ところが、それを省いて単純に居飛車優勢としている。
 全く触れていないのであれば諦めもつくのだが(笑)、ヘタに書いてあるところと書いていないところがあるために、「これ、都合のいい手順にしたかったんじゃないのぉ?」みたいな邪推をしてしまう。

 更に言うと、細かいところだが、振り飛車側から端歩を突くのも気になった。
 右四間において、振り飛車から端歩を突いて得になるケースはさほどないと思う。むしろ、基本定跡に見られるような、駒を全部交換して▲9五歩が早くて勝ち、というパターンの方が多い。左美濃や米長玉においても、▲9六歩の価値は非常に高い。
 その、居飛車にとってはおいしい端歩を、なんの解説もなく(本当にない。「手待ち」と書いてあるところすらあったように思う。待ってないで動けよ(笑))振り飛車側から突いているのである。

 以上のように、東大将棋シリーズにしては珍しく、かなり居飛車側に立った解説だと思えた。
 有段者から見れば、それらの手順が必要だったりその変化に持ち込まないのは必須だったりするのだろうが、白砂くらいの棋力の人ではそれは判らない。というか、そういう部分を詳しく辞書のように解説してくれるのが東大将棋の最大のウリだったと思うのだが。
「穴熊編」「その他編」と、2冊分冊にして、もっと詳しく書いてくれたらよかったのになぁ……と思う。最初に書いた通り、右四間飛車の解説はアマチュア待望のものなのだから。
作成日 2004-05-13 | [定跡 ( 四間飛車 )]
 四間飛車の急所 1

四間飛車の急所〈1〉 (最強将棋21)
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著者:藤井 猛 / 出版社:浅川書房
出版日:
¥ 1,470 (定価)/46pt (Amazonポイント)
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在庫あり。(価格・在庫状況は7月14日 20:24現在)

 もはや現代振り飛車の教祖となった(笑)著者が、過去の膨大な棋譜・経験を通して四間飛車の全てに迫る本。第1巻の本書は、いわばそのイントロダクションとも言える「歴史編」だ。

 ほとんど全ての戦法について、どんな形が登場しどんな対抗策が出て現在の最新形は何か、といった変遷が書かれている。
 いわゆる「定跡書」としての位置付けではないので、指し手一つ一つに解説が入ってるわけではない。局面によっては符号が十数手続いて「……という変化で先手が悪い。よって……」といったような書き方もされている。それでも読んでいて判りづらくないのは、図面が多いことと、冷たすぎるほどに客観的に○×で局面を判断しているからだろう。「この手順だと先手不利になる(図面)。そこで修正手順でこう指すと先手有利になる(図面)。この展開はまずいので後手は新手を出し……(図面)」といった具合で、きちんと学術書のように分類整理されている。
 5筋位取りや右四間飛車といった(特にプロ間では)マイナーな戦法についても解説がある。特に右四間飛車の項はアマチュアには参考になるだろう。ページとしては少ないが、そこらの定跡書よりはよっぽと役に立つ。ミレニアムついては最後に少し載っているだけだったが、これで十分なのかもしれない。個人的には、新しい指し方だからまだ分析ができていない、というより、藤井個人としてはミレニアムを恐れていない、という風に感じた。居飛車穴熊の項に比べると、客観的で冷静というよりは淡白で冷めている文章、と思えたのだ(ホントに個人的な感想ね)。

『最前線物語』『島ノート』は、同じようにプロの棋譜を漁っていても、研究というよりは最新の動向を紹介する本という感じがする。たとえて言うなら社会学の世界だろうか(もっとも、社会学とはなんぞやという問いは非常に難しい話なのだが……)。『角換わり腰掛け銀研究』の全てを探求せんという姿勢は完全に数学者の世界である。
 そして本書は、『消えた戦法の謎』のような歴史学的手法で書かれた本だ。
 ただ、『消えた戦法の謎』が完全に歴史の話をしている(なにしろその戦法は「消えて」いるわけだから)のに対し、本書は歴史を探りつつ現代の最新形を紹介するという二重構造になっている。
 その辺りが、非常に「お得感」が強く、また、名著だと感じさせる要因なのだろう。

 こういった試みは、ある意味採算を度外視しないと成り立たないものでもある。手を抜くことが許されないからだ。
 我々アマチュアができることは、こういった良書をしっかりと評価し、「購入」という賛成票で応援することくらいだろう。
 しかしそれくらいしかできないからこそ、それくらいのことはしっかりとやっていきたい。
作成日 2004-01-09 | [定跡 ( 四間飛車 )]
 杉本流四間飛車の定跡 居飛車の右四間飛車・4五歩早仕掛けを粉砕

杉本流四間飛車の定跡―居飛車の右四間飛車・先手4五歩早仕掛けを粉砕 (将棋必勝シリーズ)
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著者:杉本 昌隆 / 出版社:創元社
出版日:
¥ 1,260 (定価)
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在庫切れ(価格・在庫状況は7月14日 20:24現在)


 タイトル通り、対右四間飛車と対4五歩早仕掛けを扱った本。

 かなり『四間飛車の急所1』とかぶる部分はあるのだが(特に右四間飛車)、そこは創元社のシリーズということで、うまいこと判りやすく書いてある。特に右四間飛車は狙いが単純なため変化が少なく、かなり突っ込んだ変化手順を解説されてもそんなに苦にならない。
 実際はかなり高度な内容が書かれていると思う。3段クラスでも「おぉ!」と思うような変化が転がっているかもしれない。右四間飛車での飛車先不突き対策であったり、玉頭銀の攻防であったり、面白い形であるにもかかわらず、プロであまり指されないが故に紹介されない形を拾ってくれている。

 創元社にしては珍しく(<をい)、きちんと居飛車側の対抗策が書かれているところも見逃せない。4五歩戦法vs玉頭銀、最善を尽くした変化はむしろ居飛車指しやすいんじゃないかなぁ……とも思えるのだが(笑)、それもきちんと書いてある。振り飛車党も居飛車党も、2段3段くらいまでの人は一度目を通しておいて損はない。

 一つ気になったのは、実際に4五歩戦法ってそんなに指されてるのかなぁ……ということ。白砂は「まっとうな将棋」を指さないし、公式戦から遠ざかっていることもあって、現在のアマチュアの流行をほとんど知らない。右四間飛車はいかにもアマチュアで指されそうな気がするのだが、あんな渋い(<失礼)戦法を指す人がそんなにいるのだろうか?
作成日 2003-12-10 | [定跡 ( 四間飛車 )]
 振り飛車党宣言! 1.四間飛車対急戦

振り飛車党宣言〈1〉新感覚の四間飛車 (MYCOM将棋文庫)
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著者:小倉 久史、藤井 猛、杉本 昌隆 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 735 (定価)
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<%myrate2()%> (評価:初段~三段)
<%myrate3()%> (評価:四段以上)
在庫切れ(価格・在庫状況は7月13日 23:06現在)


 振り飛車党宣言シリーズ第1作。四間飛車急戦を取り上げている。

 しかし、いかんせん底が浅い。
 棒銀にしろ▲4六銀にしろ、そう簡単に結論が出るわけはないというのは、(居飛車振り飛車にかかわらず)実際に指している人であれば判る話だ。しかし、本書では半分ほどしかスペースを割いていない。あとは実戦譜がズラリと並んでいるだけである。

 私はこういう実戦譜をかき集めて「内容が濃いでしょ」という類の棋書は意味がないとすら思っているので、あまり賛成できない。プロやアマ高段者ならいざ知らず、4段程度までの人達が求めているのは「エキスのいっぱい詰まっている実戦譜」ではなく、それを噛み砕いて説明してくれる解説だと思うのだ。
「4段程度まで」というのは、ほとんどのアマチュアに当てはまるものだと思う。高段向けの棋書も結構。しかし、大多数の読者が何を求めているかというのも考えて欲しいと思う。
作成日 2003-07-15 | [定跡 ( 四間飛車 )]
 藤井システム

藤井システム―升田幸三賞受賞戦法 (MYCOM将棋文庫)
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著者:藤井 猛 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 735 (定価)
<%myrate1()%> (評価:級位者)
<%myrate2()%> (評価:初段~三段)
<%myrate3()%> (評価:四段以上)
在庫切れ(価格・在庫状況は7月14日 11:21現在)


 最近、毎コミが絶版本の復刻に乗り出した。そのうちの一つである。
 かつて振り飛車退治の決定版として猛威を振るった左美濃。その左美濃を完膚なきまでに打ち崩したのが、この藤井システムだった。
 藤井システムといえば今では居飛車穴熊対策として知られているが、かつては左美濃対策として出てきたものである。あまりの破壊力に左美濃が絶滅してしまったため、現在では「左美濃対策」という言葉が冠されることはない。逆に言うと、それくらい凄いシステムなのである。藤井システムというものは。

 本書は、その藤井システムvs左美濃について、詳細に解説したものである。
 現在では左美濃側の対策も進んだために完璧に叩きのめすというわけにはいかないようだが、それでも、ベースとなっているこの藤井システムを知らなければ話にならない。ブームが過ぎてしまった今だからこそ、左美濃はアマチュアにとって盲点の戦法であり、また、振り飛車党はしっかりと押さえていなければならないポイントである。
 東大将棋シリーズなどと違い、豊富な変化を解説していながらも混迷感はない。また、「システム」という名の通り指し手が体系化されているため、「あ、ここはさっきも出た変化だ」という感じで連携して理解することができる。定跡を作った著者本人も凄いが、それをまとめた編集者もうまいと思った。本自体がしっかりと作り込まれている感じがする。

 文庫になって少し読みづらくはなったが、初段もあればラクに本書を読むことができるだろう。3段もあれば盤駒はなくてもいいと思う。
 有段者は常識の変化と思うべきだ。旧式の変化で潰されたのでは情けない。
作成日 2002-11-12 | [定跡 ( 四間飛車 )]
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