四間飛車破り 【居飛車穴熊編】 (最強将棋21)
著者:渡辺 明 / 出版社:浅川書房
出版日:
¥ 1,470 (定価)/14pt (Amazonポイント)
★★★★(評価:級位者)
★★★★★(評価:初段~三段)
★★★★★(評価:四段以上)
通常24時間以内に発送(価格・在庫状況は1月7日 12:17現在)


 渡辺竜王の四間飛車破りシリーズ第2弾。今度はイビアナ編である。
 著者自身、居飛車穴熊のスペシャリスト(現在のプロはほとんどそれしか指さないという話もあるが……)でもあり、期待の一冊だ。

 内容は、4枚穴熊(!)から始まって、振り飛車側の工夫により4枚穴熊が組めなくなったこと、そのため居飛車穴熊側は▲6六歩と止め、別の形を目指すことなど、まずは歴史の部分から入っている。
 続けて、優秀な松尾流穴熊を解説。この形に組むことが居飛車穴熊側の狙いだ。
 そして、松尾流に組もうとする居飛車穴熊側と、組ませまいとする振り飛車側の攻防が、最新形をまじえて紹介される。

 具体的な振り飛車側の対策として、本書では△4四銀型、△3二銀型、△5四銀型の3つを挙げ、それぞれの居飛車穴熊側の対抗策を解説している。
 著者自身がイビアナ使いということもあってか、結論としては若干居飛車穴熊有利となっている。もちろんこれは作ったウソ手順ではなく、実際のプロ将棋の現状がそうなのだろう。少し古い話だが、『振り飛車ワールド』の千葉解説などでも、松尾流に対する決定打はなかった。

 藤井がちょうど『四間飛車の急所』を書いていることもあり、実は重複するのではないかと心配していた(笑)。しかし、本書では藤井システムはほとんど語られなかった。うまく住み分けを考えたようだ(笑)。
 編集も丁寧で、非常に読みやすかった。章末の練習問題はいらないんじゃないか……とも思ったが、これは図面つきの目次と考えれば非常に便利に使える。

 浅川書房らしい名著だと思う。

(2005.7.17 記)

作成日 2005-07-17 | [総合]
鷺宮定跡―歴史と最先端
著者:青野 照市 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,449 (定価)/14pt (Amazonポイント)
★★★★(評価:級位者)
★★★★★(評価:初段~三段)
★★★(評価:四段以上)
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 鷺宮定跡の創始者であり、急戦の大家である2ch名人青野の著した急戦本。
 鷺宮定跡、新鷺宮定跡を主に解説しているが、その性質上、4六銀戦法なども入り混じっている。

 もともと青野の定跡本は「(外れがないという意味の)カタい」本なので今回も安心して読んだのだが、歴史というか移り変わりというか最新定跡を追うのではなく、そこに行き着くまでの攻防に焦点を置いている感じの本だ。
 事実、最新の攻防と言えるのは最終章くらいで、それ以外の内容は別の本で十分すぎるほどカバーできる。例えば藤井本や渡辺本などでも「この攻め方は振り飛車側のうまい受けがあってすたれ、代わって○○という指し手が……」というような解説が散見されるので、歴史に焦点を当てるのは正直「今さら感」がなくはない。
 ただ、青野が書いた、という点に注目をするなら、これはまさに自分が戦ってきた歴史を証言しているようなものなので、そういう読み方をすればまた面白く読める。

 最終章は最新の定跡が載っていて、また、同時に居飛車側の課題という部分もある。
 悪い表現をすると居飛車有利にはならないということなのだが、この形が現在のプロのテーマになっているということを正直に紹介してくれたことには素直に驚いた。自分には判らない、ということは、なかなか言えないことだ。

 また、これはどの本にも言えることなのだが、急戦は特に「その局面をどう見るか」という大局観の問題が関係する。
 詰みまで研究すれば大局観もクソもないのだが、その前で終わっている場合は、その局面を持って「やれる」かどうかを自分で判断しないといけない。居飛車振り飛車双方が自分よし、と思っている局面もあるし、逆に双方自信なし、として避けるケースもあるだろう。
 この部分が、居飛車党と振り飛車党では違うし、同じ振り飛車党でも微妙に違う。
 最近は急戦本が数多く出版されているので、それらの主張を比べてみることも面白いだろう。

(2005.5.8 記)

作成日 2005-05-08 | [総合]
パワーアップシリーズ
著者:加藤 一二三 / 出版社:日本将棋連盟
出版日:
¥ 1,365 (定価)/13pt (Amazonポイント)
★★★(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★(評価:四段以上)
間もなく入荷します。ご注文はお早めに。商品はご注文いただいた順番にお届けします。(価格・在庫状況は1月7日 12:17現在)


 ここのところやけに精力的に出版を続けている加藤一二三の本。一体なにがあったんだろうか?
 あまりいろいろ考えすぎるとちょっとシャレにならないことまで言ってしまいそうなので深くは追求しない(笑)。

 まず驚かされたのが、「これを出すんか今!」というレトロ感漂うラインナップ。

第1章 5筋位取り戦法

第2章 矢倉戦法


 昭和か? 昭和なのか!?
 矢倉戦法については昔緑の表紙の加藤本を読んだことがあって、こないだ古本サイトを覗いていたら売ってたんで衝動買いしてしまいました(笑)。
 その内容とそんなに変わってません、これ。

 その他の戦形はさすがに「今の」将棋の解説だが、あまり他の本と変わるところがない。
 最後の章の「とっておきの作戦」というのはなかなか面白かったが、これも解説と呼べるほど分量が多いわけではなく、どちらかと言うとカタログに近い感じがする。

 正直言ってやや不完全燃焼ぎみなのだが、加藤先生が出す、ということに意義があるのだろう。
 いつだったかの『将棋世界』で、「楽しそうに原稿を書いている加藤先生がいた」みたいな文章を読んだ。それが本当だとするとやっぱりこれはゴーストなんかではなく自分で書いているもので、そのバイタリティーは凄いと思う。

(2005.5.8 記)

作成日 2005-05-08 | [総合]
四間飛車破り【急戦編】 (最強将棋21)
著者:渡辺 明 / 出版社:浅川書房
出版日:
¥ 1,470 (定価)/14pt (Amazonポイント)
★★★(評価:級位者)
★★★★★(評価:初段~三段)
★★★★★(評価:四段以上)
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 竜王になって今一番注目を浴びている若手、渡辺の処女作。
 急戦編、ということで、今回は4五歩早仕掛け、5七銀左(鷺宮)、棒銀について解説している。

 体裁としては藤井本と似ていて、各テーマ図があって解説していく形。ただ、個人的な印象としては、藤井本ほど一本の流れがあるわけではなく、むしろ放射状にいろいろな形を解説している感じがした。
 基本/上級/プロ級と項分けしてあるのも面白いところだ。
 基本では「その形で勝つ側」から見た理想手順、上級では枝分かれや変化技など、プロ級では踏み込んで具体的に勝ちになる手順、といった感じで解説していく。ただ、じゃあ級位者は基本のところだけ拾い読みするかというとそういうことはなさそうなので(笑)、要は順番に難しい話をしていくよというマーキング程度に考えればよい。

 この「プロ級」がまた曲者で、とにかく変化が多い。
 図面もかなり贅沢に使っているのだが、それでも追いつかないほどの符号の嵐。これはさすがに盤駒がないと厳しいかもしれない。初段程度ではまずムリ。3段くらいの人でやっとどうか……といったところか。

 最新形や独自の大局観にも触れているし、他の棋書や棋士名が頻繁に出てくるのも面白い。プロ棋士がここまで類書と自説を比較する本というのもなかなかないのではないだろうか。師匠に気を使わんでいいのか? と少し気になったほどだ(笑)。
 その中で、加藤一二三に触れている部分もあった。当然棒銀のところね(爆)
 加藤本では、棒銀は△4二金とされると困る、というのが結論として書かれているが、渡辺に言わせると、そもそもその形にするのが悪いんだそうだ。「他の棋士は指さないのに、一人だけここで▲2六銀と上がる」みたいなことが書かれていて笑った(←ごめんなさい)。
 加藤本を読んで棒銀の未来を悲観した人は、迷わず買い。

(2005.5.8 記)

作成日 2005-05-08 | [総合]
四間飛車の急所 (4) 最強の4一金型 (最強将棋21)
著者:藤井 猛 / 出版社:浅川書房
出版日:
¥ 1,470 (定価)/14pt (Amazonポイント)
(評価:級位者)
★★★(評価:初段~三段)
★★★★★(評価:四段以上)
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『四間飛車の急所』シリーズ第4弾。
 今回は後手四間飛車側が△5二金左を保留した形を解説する。

 形自体はそれこそ大山時代からあった指し方で、部分的な裏技としてはいくつかの棋書でも散見できる。有名なところでは、対右四間飛車で▲1一角成△3一金として後手有利、というものがある……といって判る人が意外と少なかったりして……。
 白砂の個人的なことを言うと、学生時代に高井さんがこの形を得意にしていて、急戦を袖飛車で破って勝星を荒稼ぎしていた。居飛車穴熊が出てしばらくの頃で、その頃は「鷺宮定跡」誕生などもあり、まだ急戦も多く指されていたものだった(<遠い目)。

 まぁ、とにかく4一金型。
 基本的なコンセプトは、△5二金左としないことにより、盤面右側に金を応援に出しやすくし、急戦を正面から受け止めようというものだ。また、△5四歩△6四歩といった歩を突かないことにより、△6四角とか△5四銀といった通常の定跡では生じない筋が発生することもある。もちろんこれはメリットばかりではなくデメリットもあってなんとも言えないところだが。
 矢倉において飛車先不突きが誕生したように、金上がりを保留することによって、居飛車の態度に合わせてこちらの体勢を変化させることができる。これが本書の4一金型の狙いである。

 そういう事情であるので、できれば、というか必ず2/3巻は読んでおかなければならない。「従来の形と比べて」という比較が多々発生するからだ。形は全然違うが、高田流新戦略3手目7八金と同じように、少しでも得をしようという志向レベルの高い形である。

 内容は、そういう事情もあってか意外と薄い。
 いや、こういう言い方は語弊があるか。比較対照という作業が多いため、新しく変化を覚えるという感じにはならないので、そんなに苦にならずに読めるのだ。少なくとも、既刊の2冊を読みこなせるレベルであれば本書はラクに読めるだろう。
 もっともここが評価の難しいところで、ということは前2冊をきちんと理解せず本書を読んだ場合、どの程度それが「役に立つ」かというと疑問なのだ。もちろん本書だけ読んで4一金型の優秀性を理解し、4一金型だけを指す、ということは十分に可能だ。ただ、それができるのであれば前2冊はラクに読めるはずだし、ということはやっぱり本書は難しいのか……。
 評価が難しいので、とりあえず「そこそこ大変」とだけ覚悟して下さい(<をい)。

 本書の特徴は、今までになかった「実戦編(という名称ではないが)」がついたところだろうか。

 今までのシリーズでは、仮にそれが実質的に実戦解説であっても、形としては定跡解説の体だった。
 しかし、4一金型は「少しの違い」がたくさん生じる実戦的な戦法のためか、全ての形を網羅的に解説という形にはしづらい。そこで、戦い方考え方だけでも判ってほしい、ということで、実戦編を設けたのだろう。
 厳しいことを言ってしまうと、煩雑であってもきっちりと「定跡」を作ってほしかったな……と思うのだが。

 以上のように、本書はかなり高度な内容になっている。
 初段くらいでは厳しい。きちんと読みこなせれば3段クラスにはなっていると思う。

(2005.3.30 記)

作成日 2005-03-30 | [総合]
木村一基の急戦・四間飛車破り (NHK将棋シリーズ)
著者:木村 一基 / 出版社:日本放送出版協会
出版日:
¥ 1,050 (定価)
★★★★★(評価:級位者)
★★★★★(評価:初段~三段)
★★★★(評価:四段以上)
(価格・在庫状況は1月7日 12:17現在)


 NHK将棋講座のテキストに加筆修正したもので、棒銀戦法、ナナメ棒銀戦法、▲4五歩戦法、鷺宮定跡の4つの急戦を解説している。

 内容はかなり高度なものだが、急戦一本と絞っているので読んでいてもそんなに苦にならない。以前白砂のコラムでもちょこっと述べた通り木村さんは「四間飛車は急戦で潰せる」と言っていた(奨励会3段時代)人なので、実戦に生じやすい形に多く解説を割いている。

 ライターの小暮さんが関わっているようで、それも本書の解説が判りやすい一因になっているのだろう。
 また、NHK鈴木本と同じく、限られた時間の中で区切る解説になっているので、改めて読むと「もう少し変化の解説があればなぁ……」と思う部分はある。しかしまぁ、そんなに多くはないのでこれは気にしすぎかもしれない。

 それより気になったのは、変化図等でところどころに出ている、色の変わったマス目。

 本書では、というかNHKの解説当時から、「▲○○×」といった眼目の指し手をキャッチーに紹介、という体裁を取っている。例えば「強く前進▲3五銀」といった感じに。
 そのため、その章の図面はほとんど全て、上の例で言うと3五の地点がグレーで塗られているのだ。
 これがどういう効果をもたらすか。
 いい意味では常にその地点を注意して読むことができる。だから、「ここが急所だからこういう手を指してるのか……」といったことが直観的に理解しやすい。
 しかし悪い意味で言うと、ひとつの図面の中に「直前の指し手が太字で」「急所のマス目がグレーで」という二つの強調が混在することになって、少しうっとうしい。
 あくまでも個人的な感想なのだが、これはちょっと失敗かなぁ……。
 もちろん、意欲は買うし、この形式が解説の理解の助けになっていることは間違いない。
 グレー部分を少し薄くするとか、もっと違う強調方法にするとか、もう少し改良すれば、初級者中級者向けの新しい解説方法として使えると思う。

(2005.3.30 記)

作成日 2005-03-30 | [総合]
森信雄の勝ちにいく!詰将棋ドリル―反復練習で身につく一手・三手・五手詰め
著者:森 信雄 / 出版社:山海堂
出版日:
¥ 1,260 (定価)
★★★★★(評価:級位者)
★★(評価:初段~三段)
(評価:四段以上)
(価格・在庫状況は1月7日 12:17現在)


 1手3手5手の詰め将棋本。
 ドリルってなによ? と思って、開いてみて意味がすぐに判った。確かにドリルだ。
 基本的な詰め手筋を抽出して紹介する形式で、問題形式と捉えない方がいいかもしれない。何度も「見て」覚えるタイプの本だ。

 詰将棋は難しいという話をよく聞くが、「詰パラ」みたいなのは置いといて、将棋世界や週刊将棋の詰将棋クラスであれば、既存の詰め知識があればほとんどが数分から十数分で解くことができる。まぁそこまで行くための本ではないが、その第一歩として、「10分で解ければ初段」くらいの詰め将棋であればさっくり解けるような知識を得るための本である。
 実際、一手詰という形を紹介する詰め将棋本はあまりないので、本当の初級者の方でも十分に「モト」が取れると思う。別に本書のガイド通りに□にレ点を埋めていく必要はないが、そのつもりで何度も読み返すことだ。そうすればきっと詰め将棋の知識は身についていく。
 段クラスの人なら、本書を手にとるのは時間のムダ。いくら手筋を知るためとは言ってもさすがに易しすぎる。「5手詰めハンドブック」辺りからにするのがいいだろう。

(2005.3.2 記)

作成日 2005-03-02 | [総合]
振り飛車破りユニーク戦法
著者:田丸 昇 / 出版社:創元社
出版日:
¥ 1,260 (定価)/12pt (Amazonポイント)
★★★(評価:級位者)
★★★★★(評価:初段~三段)
★★(評価:四段以上)
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 対振り飛車のマイナー戦法を集めた本。
 奇襲色や変態色はあまり強くはなく、あくまでもマイナー戦法の色合いが強い。

 内容は、飛車先不突き右四間、富沢キック、5筋位取り急戦・持久戦、相振り左玉、地下鉄飛車、対三間飛車桂跳ねず▲4五歩急戦。ラインナップを見ただけでどこかで解説された感が漂うが、こうやって集めてみると面白そうに見えるから不思議だ(笑)。

 変態将棋党なら(←いるんかそんな奴がゴロゴロと)知っている形がほとんどなので新鮮味がない。ただ、棋書であまり見ない形が多いので、一冊にまとめたという価値はあるかもしれない。
 変化もそこそこ多いので、一定の形に組めるようになれは、その戦法をモノにするまでにさほど時間はかからないだろう。
 一度は手にとって、形を知っておくのは悪くないと思う。

(2005.3.2 記)

作成日 2005-03-02 | [総合]
手筋の達人―矢倉の手筋が満載 (MYCOM将棋文庫SP)
著者:武者野 勝巳 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,050 (定価)
★★★★(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★★(評価:四段以上)
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 矢倉の手筋を次の一手形式で紹介する本。毎コミおなじみの復刻文庫で、2冊の「手筋の達人」が1冊にまとまって出版されている。
 文庫のくせに非常に分厚い。京極夏彦じゃねーんだから、とも思うが(笑)、次の一手形式だとサクサク読めるので、このくらい厚くてもいいのかもしれない。一度通しで読むだけでかなり「おなかいっぱい」になる。

 内容は、定跡となっている基礎的な変化から中盤の芒洋とした局面までさまざまで、特に応用編は「ここでは手を渡すのがいい」とかかなり高度な駆け引きまで紹介されている。もっとも、現在では定跡化されているものも、逆に定跡化されて廃れて最近見ないなぁ……といった形もあるので、この辺は復刻ということで多少多めに見てほしい。

 初級者にとってはこういう基本的なトコからやった方がいいと思うので、立ち読みでいいからパラパラと読んでみてほしい。最初から読んでみて、一つでも知らない変化、形が出てきたら本書は買いだ。そのあとどんどん高度な形が出現するのだから。
 逆に高段者の矢倉党は、これを知らないようではまずい。タイムトライアルだと思って挑戦してみてほしい。

(2005.3.2 記)

作成日 2005-03-02 | [総合]
鈴木大介の振り飛車自由自在 (NHK将棋シリーズ)
著者:鈴木 大介 / 出版社:日本放送出版協会
出版日:
¥ 1,050 (定価)
★★★★(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
(評価:四段以上)
(価格・在庫状況は1月7日 12:17現在)


 NHKの将棋講座の内容をまとめた本。

 よく言うと振り飛車vs居飛車の様々な戦い方が載っている本。悪く言うと雑多すぎて変化が薄くよく判らない本。あくまでもカタログ、俯瞰として眺めるために使う本だと考えればいいだろう。
 それぞれの章末に簡単な「その戦形における振り飛車の戦い方」が載っているので、振り飛車を指したことがない! という初級者の人でも、だいたいの指し方は判ると思う。もっとも変化は「ほぼない」ので、本の通りに進むという甘い考えは捨ててかかった方がいい。本書は、「こういう<感じ>」という指し方指し回しに重点を置いた本である。

 講座をそのまままとめた……というより、ひょっとすると更に圧縮しているかもしれない、と思えてしまうくらい本筋以外の内容がないので、これ一冊ではあまりに辛い。本書を読んだあと、別の本のフォローか必要だろう。
 また、これはあくまでも個人的な意見なのだが、非常に読み辛かった。印字の濃さか書体か太さか行間か文字間か図と文字の間隔か、その辺はよく判らないのだが、とにかく読みにくい。もう少し他社製の棋書を参考して、「読みやすい」本作りにも留意してほしい。

(2005.3.2 記)

作成日 2005-03-02 | [総合]
図式百番
著者:内藤 国雄 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 3,990 (定価)/39pt (Amazonポイント)
(評価:級位者)
(評価:初段~三段)
(評価:四段以上)
通常24時間以内に発送(価格・在庫状況は1月7日 12:17現在)


 詰将棋の名手内藤國雄の詰将棋集。
「図式」という言葉には、江戸時代の名人が将軍様に奉げた「献上図式」で知られるように、「自分の持てるもの全てを駆使して作り上げた作品」という意味合いが辞書的な言葉の意味以上に強く感じられる。著者が「図式」という言葉を敢えて使ったのもそのためで、この辺は前書きに詳しい。
 箱入り豪華装丁で税込み3,990円というのは大層なものだが、それなりのものに仕上がっている。

 内容的には、自身が前書きで触れている通り実戦形が多く、個人的にはちょっとなぁ……という気がした。
 それこそ『図巧』『無双』のような構想作や難解作てんこもりの「図式集」であってもよかったはずだ。もともと詰将棋のような解答のさせ方を考えて作っている本ではなく、あくまでも鑑賞主体の「詰将棋」なのだから。
 この点は某詰将棋作家氏の意見に同意なのだが、だからといって本書が「くだらない作品ばかり収録されたそこらのえらく高価な作品集」とまではさすがに言えないと思う(←違うものを指していたらごめんなさい)。白砂の勘違いであればいいのだが、あまりの言い方なので少し気になった。まぁ個人の感じ方だから別にいいっちゃあいいんだけどね(笑)。

 以下は正に個人的な話を。長いよ(笑)。

 白砂がはじめて「詰将棋」というものに触れたのは、内藤9段(この言葉がしっくりくるのはやっぱこのあと無意識に「将棋秘伝」と続いちゃうからかなぁ(笑))の著書だった。
 本書でも触れられている筑摩書房の現代将棋全集。この「図式集(中)」の著書が内藤9段だったのね。
 何度かこの欄で触れているように、白砂が子供の頃、市立図書館ができたのが小学5年生のとき。将棋の本も片っ端から読み漁って、大体読み尽くしたぞ……という時、書架の最上段の豪華装丁本が目についた。全集だったんで、場所を喰うから大体こういうのってのは最上段か最下段に置くんだよね図書館ってのは(笑)。
 そこで書かれていたのが、内藤9段が子供の頃に出会ったという図巧1番の話。
 見るからに難しそうな詰将棋に出会い、図面を覚える少年。詰まそうとしても判らなかったんで今度は解答を覚えるために立ち読みに通い詰め(笑)、飛打ち飛合での打歩詰打開に驚愕する。そして(本書には書かれていないが)、その作品を自作だといって兄達に見せ、「うぅむ、國雄は天才や」と言われるところまで、解説を含めてその本は何度も何度も読んだ。

 白砂もちょうど小学6年生の12歳。これは運命的でしたよホントに。

 そこからやっぱり白砂も子供ながらに詰将棋作成を始め、とはいっても棋力が5級くらいだったからたいした作品も作れなかったんだけど(笑)、その頃の創作ノートは今も大切に持ってます。
「詰将棋」という、将棋ではあるけども全く違う世界への興味を広げてくれたのは、間違いなく内藤9段だった。

(2005.2.14 記)

作成日 2005-02-14 | [総合]
日本将棋用語事典
著者:原田 泰夫、荒木 一郎 / 出版社:東京堂出版
出版日:
¥ 2,520 (定価)/25pt (Amazonポイント)
★★★★(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★(評価:四段以上)
通常4~6日以内に発送(価格・在庫状況は1月7日 12:17現在)


 将棋でよく使う用語を集めて解説した本。
 将棋用語だけでなく、将棋界用語、詰将棋用語、盤駒作成用語まで網羅している。
「辞典」という感じではなく、やっぱり「事典」。説明が非常に細かく丁寧だ。

「名棋士の談話室」と名づけたコラムページが非常に充実していて(下1/3が全部そう)、一つ一つの言葉について島、森内、佐藤、羽生、中原、米長の各氏が解説している。
 ここを読むだけでも十分に面白かった。
 もう一度読みたいかというと微妙なので買う価値があるかと言われると困るが、言葉の定義を知ることも重要な上達法の一つだと考えているので、初段くらいまでの人なら手元に置いておいて損はないと思う。有段者なら、知っている言葉ばかりだろうから値段=コラム代ということになるだろう。

 ちなみに白砂は、「肩銀」「兜矢倉」という言葉と、盤駒作成関連の用語が判らなかった。なんだよ肩銀って……。

 少し気になったのが、あとがきの言葉。
 どうやらこの本、最初は伊藤果と編集とで出版する予定だったらしい。ところが、言葉の解釈について揉めたようで、伊藤果はいわば「舞台から降りた」形となっている。
 伊藤果ということを考えるとおそらく詰将棋用語関連での行き違いだと思うのだが、なんでそんなことになってしまったのかを考えると少し寂しい。

(2005.2.10 記)

作成日 2005-02-10 | [総合]
谷川流寄せの法則 応用編
著者:谷川 浩司 / 出版社:日本将棋連盟
出版日:
¥ 1,365 (定価)/13pt (Amazonポイント)
(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★★★(評価:四段以上)
通常24時間以内に発送(価格・在庫状況は1月7日 12:17現在)


 前著の「基礎編」に続く応用編。なのだが……

そんなに難しくなってない気が……

 あくまでも白砂の感想、なのだが、基礎編にあった「きちんと解説する」感があまりなく、問題形式でどんどん進んでいく。最初の格言を用いての解説もなんか上っ滑りの感があって、あまり実用的(基礎編と比べて)ではない。
 難易度の方も、一つ一つの問題の難易度は基礎編とさほど変わらないと思う。
 これが仮に、読む深さなり読む広さなり、あるいは攻防の速度計算だったり、もう少し難しい要素が入って入れば別なのだが、そんな感じもあまりしなかった。

 谷川の本はそれこそ昭和の頃から良書が多く、期待する部分はあったのだが、その期待が過剰になってしまったのかもしれない。また、『寄せが見える本』の応用編との比較でそう思えてしまったのかもしれない。と、まぁ、いろいろ外部要因があって偏見が入ってしまっているのかもしれないが、要するに、白砂としてはあまり期待したものではなかった。

 もう少し「解説」がきちんとあって、寄せの系統立てでもしてくれたら、評価はまた違ったものになったかもしれない。

(2005.2.10 記)

作成日 2005-02-10 | [総合]
決定版 石田流新定跡―ライバルにひとアワ吹かす必勝戦法! (スーパー将棋講座)
著者:鈴木 大介 / 出版社:創元社
出版日:
¥ 1,260 (定価)/12pt (Amazonポイント)
★★★★★(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★★(評価:四段以上)
通常24時間以内に発送(価格・在庫状況は1月7日 12:17現在)


「あの」鈴木大介の創元社本。それだけでなんとなく察しがつくが、その通りの豪快な内容になっている(爆)。

 内容は「▲7四歩早仕掛け」「棒金」「居飛車穴熊」の3つ。
 最初の▲7四歩は、▲7六歩△3四歩▲7五歩△8四歩▲7八飛△8五歩▲7四歩という仕掛けのもの。『将棋世界』の「盤上のトリビア」でも紹介されたし、そのちょっと前に『近代将棋』で、それを読んだ白砂がコラムでも紹介している。
『東大将棋ブックス石田流道場』では、この仕掛けは△4四歩という軽い受けがあってムリ、という結論だったのだが、本書では石田流成功となっている。よくよく読み比べてみると、『石田流道場』では▲6五角としていたところを本書では▲5六角と深く引くようになっており、『石田流道場』での受けはうまくいかないということになっている。
 どっちが正しいのかは自分の目で見て確かめてほしい

 棒金と居飛車穴熊は、いずれも『島ノート』で紹介したような形。
 確かヅラノートは棒金優勢だったと思うのだがその辺は素通り(笑)。居飛車穴熊はダイヤモンド美濃が優秀、という結論だったので、これは同じ結論だ。

『石田流道場』の紹介で書いたことなのだが、石田流はやはり独特の形とか間合いがあって、少し苦しそうに見えるけどこの形になれば勝負形、というパターンが結構ある。
 もちろんプロの目で見れば実際は苦しいのだろうが、アマチュア同士の叩き合いならそうとも言えない。「攻められている」「受けさせられている」「美濃囲いが固くて寄せが見えない」など、居飛車側にプレッシャーとなる要素が多いからだ。そういう意味では、本書くらいざっくり解説してくれた方が、石田流魂(笑)が判りやすく理解できるのでいいのかもしれない。

 初段、2段くらいまでの石田党は絶対に買い。▲7四歩の変化が気になる有段者も買い。その他の人は、パラパラと見るだけで十分だろう。

(2005.2.10 記)

作成日 2005-02-10 | [総合]
上達するヒント (最強将棋レクチャーブックス(3))
著者:羽生 善治 / 出版社:浅川書房
出版日:
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★★★★★(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★(評価:四段以上)
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 将棋を指す時の大局観とか考え方について、羽生が解説した本。
 いつだったか会社の厚生部のイベントに無理矢理狩り出されてねずみランドまで行かされて、「俺はこんなとこ嫌いじゃあ!!」とか言って速攻で新森ビルに遊びに行って、そのついでに寄った八重洲ブックセンターで『羽生の奥義』とかいう本を見つけて中を見てみたら外人向けの解説かなにかが書いてあって、どうもその本を一冊にまとめたものらしい(長ぇよ)。

 内容としては、先崎の『ホントに勝てる~』シリーズを将棋全般に拡充したような感じだ。位とか捌きといった概念をなるべく言葉で説明しようという意図が感じられた。随所に「~か判れば有段者」といった記述があるように非常に難しい作業だったと思うのだが、なかなかうまくいっていると思う。
 大人のための入門書、という体ではあるが、読み進むとともに対象棋力も上がっていくので、実際には初段くらいないと全部を理解するのは難しいかもしれない。初心者向けではなく、初級者、中級者向けの本だろう。

 将棋の概念は口で説明するのが本当に難しいのだが、それに果敢に挑戦した本だと評価したい。
 もっとこういう本が出れば、アマチュア棋力の底上げにもなると思う。

(2005.2.10 記)

作成日 2005-02-10 | [総合]
石田流道場 (東大将棋ブックス)
著者:所司 和晴 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,365 (定価)
(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★(評価:四段以上)
(価格・在庫状況は1月7日 12:17現在)


 東大将棋ブックス最終巻は石田流。もう少し早く出してほしかった気もするが、なかなかネタもないし難しいところだったのだろう。

 ▲7六歩△3四歩▲7五歩という形から入る早石田系の石田流が主で、△6二銀と普通に受ける形、△4二玉と△8八角成▲同銀△4五角を狙う形(通常▲7六角で受かるのだが、△4二玉としているので▲4三角成の先手にならない)などが解説されている。
『将棋世界』の「盤上のトリビア」で紹介された鈴木大介の新手も入っていて、おそらくこれがあったから刊行を敢行したのではないか……と白砂は見ている(笑)。

 基本的に最善を尽くすと居飛車よしになる変化が多く、元升田式石田流党としては少し不満が残る。
 実際には最善の手順なのかもしれないが、どうも石田流側が「実戦的」でなく、なんとなく妙な形になってしまっているのだ。升田式も7七桂戦法と同じように「玉を固めてドカン」という戦法なので、なにか解説手順が作り物くさく感じてしまう。おそらくプロの実戦から採ったものなので白砂のざれごとなんかよりは説得力があるに決まっているのだが、むしろアマチュア有段者、例えば24の高段者辺りの棋譜を下敷きに解説してくれた方が、アマチュアには判りやすく実戦的だったと思う。
 ちなみに鈴木新手は△4四歩という手があって失敗に終わっていた。興味のある人は実際に本を当たって下さい。

 いろんな戦形(パターン)を解説しているので、初段くらいの人が盤駒を出して並べると意外とためになると思う。白砂程度の棋力でも少し物足りなかったので、高段者の方々には拍子抜けの内容かもしれない。級位者は手を出さない方がいい。

(2005.1.14 記)

作成日 2005-01-14 | [総合]
羽生の法則〈4〉飛角の手筋
著者:羽生 善治 / 出版社:日本将棋連盟
出版日:
¥ 1,365 (定価)/13pt (Amazonポイント)
★★★★(評価:級位者)
★★★★(評価:初段~三段)
★★(評価:四段以上)
通常24時間以内に発送(価格・在庫状況は1月7日 12:18現在)


 法則シリーズ第4段。最後は大駒の飛角。
 これで一応駒のシリーズは全て終えたはずなので、おそらく一段落ついたと思われる。

 内容はといえばいつものように問題形式で手筋を紹介しているが、やはりいつものように初段前後、もしくは級位者を対象にしている感じだ。定跡手順の解説もいくつかあったりして、あくまでも基本手筋を紹介するだけにとどめている。
 それをありがたいと感じる棋力の人は買い。
 できれば、購入前にパラパラとめくって対象棋力に合っているかどうかを確認してほしい。

 せっかく羽生をかつぎ出して本を出しているのだから、今度はもう少し高度な話にしてほしい。もちろん棋力の底上げも大事だし普及も大事なんだけど、羽生だからこそできることというのがあると思うのだ。

(2005.1.14 記)

作成日 2005-01-14 | [総合]
我が道を行く定跡の裏街道
著者: / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,365 (定価)/13pt (Amazonポイント)
★★★(評価:級位者)
★★★★★(評価:初段~三段)
★★★★★(評価:四段以上)
間もなく入荷します。ご注文はお早めに。商品はご注文いただいた順番にお届けします。(価格・在庫状況は1月7日 12:18現在)


『定跡外伝』系の本だと思っていたら、B級戦法の達人系の本だった。奇襲・変態戦法を20、紹介する本。

「紹介」と書いたが、変化がほとんど書かれていない戦法も数多くあるので、解説とまで言えない。もう少し数を絞って解説を増やして欲しかったという気もするし、いやそんなことよりよくぞいろいろ紹介してくれたという気もするのでなんとも言えない。これはもう、本書をどう見るかによるだろう。
 振り飛車系の将棋が多いが、アマチュア向けということだから仕方がない。

 パックマンや後手角頭歩などはさすがにウソ(対策が知られているのに触れていない)だし、パーフェクトディフェンスなどはそもそもこうなるのかどうかがウソ臭い。
 それでも、よくもまぁ変態戦法をこれだけ集めたものだ。
 いくつかは自分で指してみたいと思うものもあった。20あるうちの一つでも気に入ったものがあれば、それで本書は成功なのだろう。

 ちなみに、本書に出てくる「対振り棒金」。これ、まんま3二金戦法である。
 掲示板に指摘があって読んでみたのだが、白砂の実戦にほとんど同じ攻め筋(斬られ役側の攻め筋も)が出てくる。
 ここに白砂の実戦譜があるので、44手目以降と本書を比べてみて欲しい。

3二金戦法、ついにメジャーデビ……

違う

(2004.12.25 記)

作成日 2004-12-25 | [総合]
三間飛車道場〈第3巻〉急戦
著者:所司 和晴 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 1,365 (定価)
(評価:級位者)
(評価:初段~三段)
(評価:四段以上)
(価格・在庫状況は1月7日 12:18現在)


 今度の東大将棋道場は急戦。昔からある▲3七桂と跳ねて▲4五歩と突く急戦と、桂を跳ねずにいきなり▲4五歩と仕掛ける急戦が載っている。あと、5筋を突かない形に対しての急戦もあるが、これはもともと三間飛車が悪いとされている形で、旧来の定跡に近い。

 正直、時代が変わったなと思った(笑)。白砂が学生の頃には、対三間飛車の急戦は▲3七桂跳ねしかなかった。しかも▲8八角には△4二金が最善で、△4三金は二枚替えの変化があって後手損と言われていた時代である。現在では△4三金が最有力とされているし、いきなり▲4五歩と仕掛ける急戦なんて聞いたことがなかった(知らなかっただけかもしれないが(笑))。
 二枚替えの変化はウソで、実は△4三金が有力ではないかという話が始めて出たのが白砂の記憶では『定跡外伝』。それからしばらくは三間飛車の本など見かけることすらなかったのだが、ここ1年ほどで、コーヤン流や深浦本、加藤本など、様々な急戦の解説書が出版された。本書もなんか流行に乗った感はあるが(笑)、貴重な一冊だろう。

 内容は始めに述べた通りだが、実際によく読むと、既存の定跡書とは微妙に採り上げている変化が違ったり、書き込みの量も違ったりする。別の定跡書をお持ちの方は、実際に読み比べてみて欲しい。ある本で掘り下げられている変化を「これはダメ」とあっさり流していたりもしている。
 また、冒頭で5筋不突き急戦の話をしたが、実際にこの定跡を詳細に解説した本を白砂は初めて見たので、そういう意味では参考になるかもしれない。おそらくほとんどの三間飛車党は普通に▲5六歩△5四歩と指してくるだろうから役には立たないと思うのだが(笑)、知っておくことは必要だ。

(2004.12.11 記)

作成日 2004-12-11 | [総合]
最強の駒落ち (講談社現代新書)
著者:先崎 学 / 出版社:講談社
出版日:
¥ 840 (定価)
★★★★★(評価:級位者)
★★★★★(評価:初段~三段)
★★★★(評価:四段以上)
(価格・在庫状況は1月7日 12:18現在)


 8枚落ちから2枚落ちまでの駒落ち定跡を解説した本。『将棋世界』の連載「駒落ちのはなし」を加筆修正し、いくつか変化をプラスしたものである。

 本書の特徴はなんと言っても「上手の指し方」が書かれていることだろう。
『将棋大観』はそもそも上手はうまく斬られるのが前提となっているし、『定跡なんかフッとばせ』は上手のゴマかし方は載っているが、あくまでも下手側から見た「紛れ筋」として採り上げられているだけだ。本書は、おそらく初めて「上手の目線」からも駒落ちを語っている本だ。

 内容も十分に面白い。
 8枚落ち棒銀対策、6枚落ち矢倉・四間飛車、4枚落ち向かい飛車(おそらく加筆分)など、始めて見る戦法も数多い。また、2枚落ちに代表されるような完成した駒落ち定跡もきちんと解説されている。本書を読めば、駒落ちを指したくなることは間違いない。

 一貫して主張されるのは「駒落ちは力を養うのに最適」ということ。
 最近は指されていないが、確かに駒落ちは将棋の体力がつく。平手だと勢力が均衡しているためになかなか攻めや受けの手筋を使うことはできない。しかし、8枚落ちではこちらが攻め潰すかどうかが問われるし、2枚落ちではたった金一枚ではあるが「攻めてくる恐怖」と戦うことになる。上手の戦力を減らすことによって、強くなるためのテーマが明確になるわけだ。
 実際、白砂の同級生の女の子(昔、田中寅彦のNHK将棋講座でパソコンをいじってた子)は、東京渋谷「高柳道場」に通い、6枚落ちから2枚落ちを指して1年弱で初段程度になった。プロの指導のおかげもあるだろうが、自分の棋力に合わせて考えることができるのは駒落ちの最大の長所である。

 白砂は自称定跡ヲタなのだが、振り返ってみるとその発端は『定跡なんかフッとばせ』だったような気がする。完成された二枚落ち定跡があり、実はそこには様々な裏街道がありと、ヲタ垂涎の内容だった。
 本書は、そんな定跡ヲタを満足させる内容でもある。一回は読んで損はない。

(2004.12.11 記)

作成日 2004-12-11 | [総合]




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