以前「居飛車編」を出版していたが、今度は「振り飛車編」。
「最先端」、という言葉通り、最先端の変化が盛り込まれている。
四間飛車、中飛車、三間飛車、向かい飛車、相振り飛車のそれぞれについて、形を絞って深く解説している。
網羅的にというわけにはいかないが、そのかわり掲載されている形については十分なページが割かれているわけだ。これはこれでなかなか潔い選択だろう。
四間飛車▲4六銀戦法やXP、ゴキゲン中飛車▲3六銀型など、「知りたいがあまり解説されていない戦形」を取り上げているのがいい。後手向かい飛車△3三角は『島ノート』で「鬼殺し向かい飛車」として紹介されていた形だが、これを深く掘り下げた本というのも珍しいだろう。
反面、相振り飛車などはよくある形をさらりと紹介するだけにとどまっているなど、多少ボリュームにばらつきがある感じもした。『東大将棋』シリーズで相振り飛車は紹介されていなかったという事情もあるし仕方がないのだが、その辺もう少しなんとかならなかったものか。なんだったら相振り編はなし、でもよかった気がする。
個人的には結構ツボだった。これは素直に評価したい。
(2006.3.31 記)
奨励会幹事をしていたこともあり、普及に熱心な著者が書いた詰将棋本。
3手詰を60問、5手詰を60問、7手詰を40問、計160問の詰将棋が掲載されている。
非常に易しかった。
詰将棋が苦手な人向けと言えるかもしれない。一応7手詰まで入っているので、詰将棋慣れしてからもそこそこ楽しめると思う。そういう意味ではコストパフォーマンスはかなり高いのではないだろうか。
詰将棋ではなく詰め将棋、を地で行く感じで、それをどう感じるかによって評価が分かれる本だろう。個人的にはその姿勢は評価する。
ただ、ちょっと装丁が「ダサい」感じがした。ページ周りのグレーの使い方とか、駒のフォントとか、ちょっとしたこと少しずつがなんとなくしっくりこない。長くは眺めていられない気がする。もちろん、これは個人差がある話なので実際に手にとって確かめてほしい。
本書がスラスラ解けるようなら、『5手詰ハンドブック2』に手を出し、最後に『詰将棋実戦形パラダイス2』に手を伸ばす。読んでいくなら、こんな順序だろうか。
(2006.3.31 記)
好評だった『5手詰ハンドブック』の第2弾。『3手詰ハンドブック』も加えると第3弾になる詰将棋本。
今回は装丁が緑。前回が赤、3手詰は黄色だった。次はどーする?(笑)
内容は書名の通り5手詰だけを扱ったもので、今回も200問ある。
問題も相変わらずうまい具合の難易度で、慣れていない人には難しく慣れた人はスラスラ解ける感じだ。当たり前のように感じるかもしれないが、このさじ加減って意外と難しいと思う。
5手詰をいっぱい、ともなると、どうしても3手詰+2手、みたいな詰将棋が出てくる。その逆算の仕方がうまいのだろう。自然な感じで大駒捨てを入れたり、形をまとめたりしている。
『3手詰ハンドブック』はもう卒業、という人には薦めたい一冊。前作が手ごわいようなら、こちらよりは『3・5・7手実戦型詰将棋』の方を推したい
(2006.3.31 記)
3、5、7手の詰将棋を集めた本。
非常に簡単な問題を選んだ感があり、詰将棋アレルギーの人にはお勧め。
例によってタイムトライアルで解いていったのだが(本屋さんホントにごめんなさい)、ほとんど渋滞することがなかったので30分くらいしかからなかったと思う。
だいたいこういう類の本は、3手詰5手詰あたりだと線駒を使った「ややこしい詰め方」が多いものだ。短手数の手筋は限られているから仕方がないといえばそうなのだが、それでも類書ほどは多くない。また、後半の5手7手、特に7手詰は端正な作品が多かったので、その点でも早く解けた。
以前5手詰ハンドブックのところでもタイムを記したが、その時間について「早すぎる」とか「俺は時間がかかった。才能がないのか」といった反応があったようだ。
別のところでも書いたことなのだが、白砂は創作したりもする詰将棋ヲタなので、将棋の棋力以上に詰将棋は得意です。なので、ヲタ連中から見れば白砂のタイムは遅すぎるくらいなので恥ずかしい限りだし、白砂より時間がかかったからといって嘆くことはありません。安心してください(笑)。
(2006.1.11 記)
基本とも言える定跡について、次の一手形式で覚える本。
「フィードバック」とはなんぞや? と思ったが、要は問題が2段階になっているもののようだ。
本問題が判らなかった場合はその下にある類似問題(これらの呼び方は白砂のオリジナルです)を解く。類似問題の方は狙いが明確というかあからさまになっているので、それがヒントになるでしょう、というわけだ。
なかなか面白い試みだが、クオリティを維持するのは難しいようで、いくつか「答えの符号が一緒なだけじゃないのかこれ」という問題もあったように思う。まぁ「目がそこに行けばいい」からいいのかな(笑)
内容は定跡というより常識に近いものも含まれている。類似問題は特に簡単に作っているので、初級者から中級者になろうか、というくらいの人はかなり役立つだろう。
上限は初段くらいまで。そこから先はもう「常識」なので、本書を読む時間があったら別の本を読む方に時間を割こう。
(2006.1.11 記)
後手から角を交換して△4二飛とし、機を見て向かい飛車に振り直す、いわゆる「2手損四間飛車」を解説した本。
サブタイトルのネットで流行の真偽は判らないが、白砂の記憶では『奇襲大全』に少し載っていた程度で類書はほとんどなく、初めての解説書といっても過言でないと思う。
『奇襲大全』では四間飛車穴熊穴熊型のみが解説されていたが、本書では高美濃型も紹介されている。また、角交換拒否のタイプも紹介されているので、とりあえず指してみるには十分な情報が揃っていると言える。
個人的な事情を言うと、7七桂戦法の変化で似たような形になる(△6四歩型)ので、出版後すぐに買った。そして、すぐに「そうだこれは創元社だ……」と(笑)。
指し初めには有効だが、指しこなすには本書だけではちょっとキツい。実戦で揉まれる必要があるだろう。
(2006.1.8 記)
NHK将棋講座の内容をまとめた本。
なぜか知らないが、毎コミからの出版となっている。ひょっとすると若干内容が増えたりしているのかもしれないが、目次にも「NHK将棋講座を元に……」とあったし、何回か見た講座の内容とは合致している。よく判らないのでこの辺は考えないことにしよう。
内容は書名通り「大局観を養う本」になっている。
3択形式で出題し、その手がなぜいいか、なぜ悪いかを解説する。また、ところどころに「ポイント」という項が設けられていて、重要なポイントを解説してくれる。
著者が居飛車党のため、対抗形はすべて居飛車の立場で書かれているし、相居飛車はあるが相振り飛車はない。矢倉も3七銀戦法と脇システム(!)、横歩取りは8五飛戦法と、講師の立場に立って書かれたものであることが判る。大局観を養うという点ではすべての層の人に読んで欲しいが、振り飛車党が読んでも鬱になるだけかもしれない(笑)。
この辺りはこの手の本で問題となるところで、例えば居飛車党の大局観と振り飛車党の大局観は、微妙に、しかし根っこのところで完全にズレている。まぁだからこそ各種の戦法が存在しそれを得意にしている人がいるわけなのだが、では、居飛車党の立場に立って書かれた大局観の本が、振り飛車党の立場にどれだけ役に立つかというとこれまた微妙だ。
もっとも、本書についてはそういう懸念はない。
対象棋力がやや下に設定されているため、戦法の問題ではなくまずは正しい大局観の捉え方考え方を見につけましょう、という内容になっているからだ。
対象棋力は高く見積もっても3段まで、一般には、初段くらいが対象だと思われる。
それ以上の棋力の人は、本書はあまり必要がない。題材も最新形ではないし、本書で書かれていることは有段者ならすでに身につけていなければならないことだろう。 逆に、定跡書を何冊も読んでるのに勝てない、という級位者の人は、まずは立ち読みで最初だけでも読んでみて欲しい。おそらく何か得るものがあるはずだ。
中級者向けの非常にいい本だと思うのだが、一つだけ苦言を呈したい。
「ポイント」を出してくれるのはいいのだが、その「ポイント」という表示が非常に目立たない。せっかくのポイントなのだから、もう少し太字で書くとか(一応太字にはなっている)、背景をグレーにするとか、もう少し工夫をして欲しかった。
これもとりあえず店頭で確認してみて欲しい。せっかくのポイント表示が、かえってキツキツのレイアウトを際立たせてしまっている。じゃあどうすりゃいいんだよというと(文字数の問題もあって)難しい問題なのだが、本書の対象棋力くらいの人に対しては「読みやすく読ませる」工夫も必要だろう。
(2006.1.8 記)
浅川書房がついに動いた。羽生を担ぎ出しての大局観解説本である。
シリーズ第一巻は「攻めをつなぐ本」。主に中盤戦たけなわの局面から最終盤までの局面について、考え方や指し手の方向性について解説している。
ただ、実際の体裁は「解説」ではなく、次の一手の出題という形になっている。『読みの技法』系の体裁を期待していた白砂はちょっと拍子抜けだった。実際、一通り読んでみた感想としても、「これちょっと……」だった。
ちょっと、の原因は単純なことで、解説の量と解説の質が一致していない。一言で言うと「解説が少なくてわかりづらい」。非常に高度な解説をしているので、次の一手の回答としての解説量だと少なすぎるのだ。
また、一局を数問に分けて出題している。そのため、その局の最後の方の問題では「読む手数」が少なくてすむが、最初の方では成算が持てる局面に持っていくまでの読む手数はかなり長くなる(ややこしい表現で申し訳ない)。まえがきには「7手詰めが読める程度の棋力があれば……」とあるが、上記の理由により、それはちょっと疑問だと思う。
まぁごちゃごちゃと書いたが、要は「せっかく高度なことを書いているのだから、それに見合う編集形式である講義形式にしてほしかった。次の一手形式ではその効果が半減する」ということである。
……ところが。
騙されたと思って、もう一度読み返してみて欲しい。
できれば一読した後すぐがいい。「答えを知っている」状態でもう一度読むのだ。
するとあら不思議(笑)。次の一手形式だった体裁が、図面を豊富に使った解説本へと一変しているではないか。
要するに、「次の一手として問題を考える」→「答えを見る」→「解説を読む」というステップが、非常に「疲れる」ものだったのだ。答えを考えるという思考と、解説を読んで理解し吸収するという思考とは違うということなのだろう。再読した場合は、純粋に解説だけに集中して読めるために、思考の流れというかパターンが一つで済むために疲れず、非常に判りやすく読める。
実際のところ、これは単純に白砂の棋力では理解しづらいほど高度なことをやっているだけかもしれないのだが(笑)、とりあえず白砂の場合はそうだった。そういう読み方をすると、図面一つ一つに解説が入り、手の流れを説明して最後に理論を総括するという実に丁寧な解説本として読める。
この読み方が正しい、と言うつもりはないが、「一読してもよく判らん」と思った方はぜひとも試してみて欲しい。きっと効果はある。本書で説いているものを吸収できないのはもったいない。
もちろん、それでも難しいと感じることもあると思う。しかしそれは仕方がない。それだけかなり難しいことを説明しようとしている本なのだ。本書は。
(2006.1.8 記)
新シリーズの第2作目。イキのいい若手が振り飛車の解説をするという体裁は今回も同じである。
講座の内容は、
(2006.1.8 記)
定跡伝道師の居飛車定跡解説本。
ということで当然のように『東大将棋シリーズ 居飛車編』の続編かと期待してしまうが、矢倉、横歩取り、角換わり、相掛かりを一冊でまとめてある。
もう少し詳しく説明すると、
(2006.1.8 記)
3手詰と5手詰だけを集めた本。『週刊将棋』の下の段にある「詰将棋入門」から持ってきている。
結論から言うと、この本は初級者が読んでも「実戦に役立つ」ことはない。
一度でも『週刊将棋』の「詰将棋入門」を解いた人なら判ると思うが、この詰将棋、3手詰はかなり特殊な線駒の使い方をする。難易度で言ったら「詰パラ」などの方が数段上なのだが、一般の詰め将棋本に比べたらよっぽと「そっち寄り」の問題ばかりだ。そんなものを解いていったところで実戦には役に立たない。もちろん「解いたことによる棋力上昇」とは問題が別である。ここで言っているのはあくまでも「こんな詰み筋実戦じゃ出ねぇよ」という話だ。
一方、3手詰の「凶悪さ」に比べると、5手詰の方はまだ素直に作ってある。
なので、もし間違って(笑)買ってしまったり立ち読みした級位者の方がいたら、5手詰から解くことをお勧めする。
5手詰で基本詰手筋と自信(笑)を養ってから、マニア向けの3手詰に挑戦すればいい。
あと、巻頭の詰め手筋の解説は役に立つ。短いながらうまくまとめられており、仮に別の詰め将棋
(2005.10.26 記)
次の一手形式で寄せの勉強をする本。
最初にちょっとした解説ページがあり、そのあとはひたすら問題を解いて鍛えていく方式である。
ちょっと面白いのが、問題のページにヒント図面があり、「▲○○○という手ではこうなったダメ」みたいなものが図入りで載っていること。こういう、最初に失敗図を示すという形式の問題集は初めて見た。
要するに、問題形式にはなっていても、その実これは講義形式であり、だから問題を解くというよりはどんどん読み進んでしまっても構わないようになっている。一通り読む(図面を見る)ことによって、寄せの形や手順を叩き込むという本だ。
問題自体はなかなか骨っぽいものも入っているが、上級になると逆に「スーパートリック(作者にちなんで言ってみました(笑))」っぽくなっていて寄せの教材という感じではなくなる。もう少しターゲットを絞って、実戦的な問題集(寄せ講義)としてまとめた方が本としては生きたのではないか……と思った。
試みとしては悪くないので、『寄せが見える本』一歩手前の読者を対象とするくらいで続編を作ってほしい。
(2005.10.26 記)
最近刊行を連発しているNHK将棋講座のひとつ。著者自身の実戦から、振り飛車の「さばき」を学ぼうという講座である。
元々が15分の講座ということで、できることも限られてくる。そのため、詳しく変化をいろいろ解説する──というわけにはいかないが、その代わりさばきの「心得」がなんとなく身につくような構成になっている。創元社の鈴木大介本のようだ……というと両方から怒られそうだが(笑)、イメージとしてはそんな感じである。
このシリーズ自体の装丁がどうも肌に合わないようで、白砂は少し読みづらさを感じた。この辺は以前にも書いた通りだ。白砂個人の問題であればいいのだが、ひょっとすると読みづらくなるなにかがあるのかもしれないので、できれば立ち読みで少し読んでみてほしい。杞憂に終われば全く問題ないので、その辺は各自の判断にお任せする。
内容自体は講座でやったことでもあり、自戦記が載っているようなものなので、気軽に読めると思う。こういう説明が正しいのか判らないが、基礎体力をつけるというよりは精神力を鍛える本のように感じた。そういう「雰囲気」をうまいこと表現できているところは評価したい。
(2005.10.26 記)
「定跡伝道師(ってぇキャッチフレーズもどうかと思うが……)」所司が出した2枚落ちの解説本。2歩突っ切りと銀多伝を紹介した後、5五歩止めや△6三銀の多伝殺し、△3二金△2二銀型といった上手の裏定跡を紹介している。
個人的には最後の▲3六銀型が目新しい程度で、その他の裏定跡は『定跡なんかフッ飛ばせ』などで目にしたことがある。そんなに裏……という感じがしなかったのだが、白砂が定跡ヲタであることを考えると正しい感想かどうか自信がない(笑)。
もっと言ってしまうと、それ以前に駒落ちを指す機会そのものがあまりないので、定跡ヲタ以外のどの層に購買層があるのかがよく判らない。
(2005.10.26 記)
上巻が少し前に出ていて、その下巻。駒ごとの手筋をまとめた本だ。
執筆をしなければならない状態ならさておき、ただまとめるだけなのになんでわざわざ上下巻をこんな間隔開けて出したんだろう? と少し不思議に思った。いろいろあるんだろうねきっと。
内容は前回と同じ。というわけで評価も上巻とまったく同じにした。
上巻が読める人であればちょうどいいだろうし、上巻がダメなら下巻もダメである。
(2005.10.26 記)
20世紀の頃(と書くとすごい昔に感じる(笑))、『振り飛車等宣言!』という本があった。若手が振り飛車の最新研究を披露するという試みで、個人的には実戦譜が多く研究が薄いのであんまりだったのだが、それでもなかなか好評だったと思う。
今回は「21世紀の若手」とも言うべき面々が、最新研究を披露してくれている。
内容は昔のままで、一人ずつ2本の講座、自戦記、次の一手、実戦譜という構成。
今回の講座は、
(2005.10.26 記)
「面倒な定跡を覚えるより、平手感覚で指していった方が駒落ちは簡単!」というコンセプトで、平手定跡で駒落ちを指してしまおう、という本。
矢倉、四間飛車、三間飛車穴熊の3つの戦法が解説されている。
6枚落ちで三間飛車穴熊というのはどーなのよ? と言う気もするが(笑)、内容がどうこうというより、そもそも駒落ちがあまり指されていない現状で、どれだけ本書の価値があるか? という疑問がまず先に立ってしまう。
『定跡なんかフッとばせ』でも『最強の駒落ち』でも、ベースは駒落ち定跡だった。あくまでも、「既存の定跡内での勝ちやすさ」を追求するものだったわけだ。本書の場合は、平手の陣形に組んでから攻めるため、必要以上に玉が固い。
駒落ちのよさ、というか意義は、あくまでも「判りやすい形での寄せ方攻め方受け方を習得する」ことにあるはずだ。平手では上手方はかなり手を抜かないと勝負形にはならないし、そもそも寄せ形を作るまでの手数がかかってしょうがない。駒落ちは、そのプロセスをすっ飛ばして、いきなり「その部分」に行ける。だからこそ勉強になるのだ。
本書の指し方は優秀だ。それは間違いない。おそらく下手はかなり楽に勝つことができるだろう。なにしろ、攻撃力のない上手相手に自玉は矢倉や美濃や穴熊なんだから(笑)。
しかし、それでは駒落ちを指す意味がない。間違えたら反撃され潰され、「こう指しちゃいかん」と悟ることが駒落ち将棋の意義なのだ。
駒落ちを定跡通りに指す必要はないと思う。定跡を覚えることが最終的な目標ではないのだから。
ただ、2枚落ちくらいまで戦力に差がある場合、本書の指し方はなんの勉強にもならない(極論だが)と思う。
で、そういう観点で改めて本書を見た場合、戦法そのものに面白みがないし、自玉に対する憂いがほとんどないため手順にコクがない。となると、本書を「読む」層はどこなんだという根本的な問題が沸いてくる。
と、ここまで落としといてからフォローを入れるのもなんだが(笑)、戦法そのものは優秀だし、勝ちたいのであればこういう戦法を選択するのも悪くない。
その昔、大学の将棋部の合宿で駒落ちが指されていた頃、4枚落ちに対して四間飛車穴熊にして勝っている人がいた。リーグ戦の1勝をほしい、という状況でなら、そういうのもアリだと思う。
……上手の先輩はかなり怒りながら指してたけど(笑)。
(2005.7.17 記)
前2冊が非常に好評だった著者の相振り解説本第3弾。
最近、相振り飛車が流行しているので、そういう意味でもタイムリーな本だ。
内容は△3三角戦法の周辺がほとんど。矢倉に組む、組ませないというかけひきである。完全に相振りの主流は矢倉と美濃になった感がある。もう金無双はほとんどない(実際にそういうわけではないことは本書を読めば判る)。
端歩をどうすべきかとか囲いの強弱といった「知りたい話題」や、相振り阻止の▲8六角、糸谷流などの奨励会員の得意戦法まで、かなりいろいろ網羅されている。
その代わり、基本的な相振りの知識についてはほとんど語られていない。まず前2冊で基礎を固めて、有段者が応用編として本書を読む、といった体裁になっている。
非常に濃密な内容で、理解するのに多少時間がかかるかもしれない。白砂の場合は理解というよりは古い感覚を取っ払うのに苦労させられた(笑)。
しかし、本書を読めば最新の相振り感覚が身につくことは間違いない。有段者の相振り党は絶対に買い。特に毎コミは足が速い(すぐ品切れ絶版になる)から、読まなくてもいいから手に入れておくほうがいいと思う。
逆に初段クラスまでであれば、本書に書いてあることを真似するより、金無双三間飛車からガンガン攻めていった方がいいだろう。そうやって攻め勝ったり切らされて負けたりして、体で「相振りの距離感」を覚える方が先だ。
(2005.7.17 記)
昔に出版された『感動! 手筋術(振り飛車編)』『感動! 手筋術(居飛車編)』を合体したもの。前回の矢倉編に続いて、今度は居飛車振り飛車対抗形の手筋を紹介している。
ほんの半年前に『感動! 手筋術(振り飛車編)』を600円で買った白砂の立場は一体……(泣)。
内容は入門的なものからかなり高度なものまでいろいろ。前著と同じく、題材が古いので多少の違和感はあるかもしれない。ただ、基本的な手筋の「構造」というのはどんな形でも通用するものなので、手筋を解説するという目的でならこれでも十分だろう。
有段であれば常識という手筋も多い(というかほとんど)だろうから、そういう人は立ち読みでも十分。初段までの人なら、一度目を通して「目を養う」価値はあると思う。
(2005.7.17 記)
駒別に手筋を紹介する本。週刊将棋に連載されていた記事を編集しなおしたものだ。
連載時には(図略)が多かったので、図面が入っただけでもありがたい(笑)。
内容は意外と高度で、基礎的な部分は『羽生の法則』などに任せて応用に徹したということなのだろう。「よく見る手筋」というよりは、「意外な手筋」を集めた感じがする。そのため、白砂くらいの棋力でも十分に面白く読める。もちろん、話のマクラとして簡単な(すぐに気づきそうな)手順のものも紹介しているので、級位者でも安心して読めるだろう。
とりあえず上巻ということで、歩香桂銀の手筋を解説。下巻は金角飛玉ということか。
今までの毎コミ手筋本というと「1項目見開き2ページ」というのが通例だったのだが、本書では「1項目4ページ(見開き2つ分)」となっている。正直言ってはじめはとまどったのだが(<なぜ?)、読み進めていくうち、個々の解説にはこれくらいのボリュームがあっても問題はない。むしろこれくらいの方がいいなぁ……と180度印象が変わってしまった(笑)。
実戦的な手筋を満載する毎コミらしい本だ。
(2005.7.17 記)