最近の棋書紹介
↑amazomで見る↑著者:中田 宏樹 / 出版社:マイナビ
出版日:
¥ 1,470
(定価)
(評価:級位者)
(評価:初段~三段)
(評価:四段以上)在庫あり。(価格・在庫状況は2月6日 5:51現在)
相矢倉の後手番の作戦として、先手が飛車先不突き矢倉で来るのだから△3三銀と受ける必要はなく、だったら△3三銀と上がらずに△3二銀のまんまにしておけばいんじゃない? という考えから、左美濃の形にする、というのがある。何年か前、佐藤康光が「ボクは優秀だと思うんですが誰もマネしてくれなくて」とグチっていた作戦である(笑)。
リクツから言えば間違っていないし、実際、矢倉であれば△4二銀△3三銀△5二金△4三金△3二金と5手必要なところを△3二銀△5二金△4三金の3手で済ませて(玉移動は同じ2二までということでカウントせず)、場合によっては後手にもかかわらず先攻しよう、という意欲的な作戦だとは思う。
大まかに言うと、早めに△6四角と出た手に対して▲3七銀と受けるか▲3七桂と受けるかで、それによって先手側の陣形が▲4六銀▲3七桂になったりスズメ刺し(っぽい形)になったり森下システム風になったりする。これらに対してそれぞれの対策が解説されている。また、左美濃を咎める意味で逆に先手から早めに▲2五歩と突いてくる形も解説してある。
しかし、それぞれの内容は相当にボリュームがある。本当に戦法として成立させるためにはこれくらいの対策は立てておかなければいけないのだろうが、それにしても変化が多い。
また、そもそも章立てがあまり多くないので、それも読みづらい元になっていると思う。なにしろ「左美濃編」と「▲2五歩早突き編」だけなのだ。もっと細かく章立てをして、それぞれの基本図から始めた方が、より体系的に理解できるはずだ。編集も止めろよ……。
内容はとても高度だし、定跡形の矢倉に疲れた後手番の秘策として勉強しておくのは悪くない。なので、有段者は一度見ておくといいだろう。上記の通り盤駒がほぼ必須なので、2段くらいではとても読みこなせないと思う。
せっかくの内容なのにもったいないなぁ……と思った一冊。
作成日 2012-02-04
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定跡 (
矢倉 )]
↑amazomで見る↑著者:高崎 一生 / 出版社:マイナビ
出版日:
¥ 1,470
(定価)
(評価:級位者)
(評価:初段~三段)
(評価:四段以上)在庫あり。(価格・在庫状況は2月6日 5:51現在)
「よくわかる」シリーズ。今回は石田流。久保2冠や戸辺、菅井といった「使い手」も多く、タイトル戦などでもたびたび登場しているホットな戦形なだけに、なかなかにタイムリーだと言えるだろう。
内容は、
- vs棒金・二枚銀
- 棒金の基本的な形から、▲7八飛▲6七金とする対策、それに対する△5四歩からの森内流を解説し、▲7七桂と跳ねない石田流の形まで解説。金の動きを保留し、▲7八金とすることも。
- vs持久戦
- △5四歩△5三銀から左美濃にする手と、△6四歩△6三銀から居飛車穴熊や銀冠などにする展開の解説。最新の▲7七角型にして▲4五銀から▲6五歩、という手順の解説もある。
- vs右四間飛車
- 超、といってもいい急戦から、居飛車穴熊にする右四間まで。特に超急戦は手順解説が多い。
- 升田式石田流
- 基本的な升田式の狙いから、▲7四歩の鈴木新手、▲7五飛の久保新手、▲7四歩△同歩▲5八玉や▲7四歩△同歩▲4八玉など。
- vs4手目角交換
- ▲7六歩△3四歩▲7五歩△8八角成のあとの解説。▲同飛と▲同銀と両方の解説がある。△2八角▲1八飛の形、というとわかる人が多いのかな?(少ないだろ(笑))
- 補足
- 落穂拾い、といった感じで、今までの仮説の中の変化手順や、取り上げなかったけどこんな感じで指せばいいよ、といった解説。
敢えて詳しく説明させていただいたが、いろんな形についてかなり突っ込んだ解説をしているので、いい意味でも悪い意味でもいままでの「よくわかる」シリーズっぽくない。想定棋力が上なのか、最近流行の戦形だから盛りだくさんにしたのか、ちょっとビックリするくらいのボリュームだった。
また、細かい話だが、補足で細かい(?)展開の解説をしてくれていたのもよかった。多分本編に組み込んでたら煩雑だっただろうし、巻末に持ってきたことでちょっとした「お得感」も出ている(笑)。
なんだかビビらせるかのような煽り方だが、逆に言うとこの1冊で石田流がだいたい指せると見ていいと思う(できれば鈴木本あたりで「うまくいった形」も勉強してほしいが)。その点ではお勧めの一冊。
有段者であっても、最近のタイトル戦のまとめだと思って手にとってみるのをお勧めする。かなり詰め込まれている感じはするが、知っている変化が多いだろうからそんなに苦にならずに読めるだろう。知識がすっとまとまる感じがしていいと思う。
作成日 2012-02-04
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定跡 (
三間飛車 )]
↑amazomで見る↑著者:河口 俊彦 / 出版社:河出書房新社
出版日:
¥ 1,680
(定価)
(評価:級位者)
(評価:初段~三段)
(評価:四段以上)在庫切れ(価格・在庫状況は2月6日 5:51現在)
「将棋マガジン」に連載されていた「対局日誌」を書籍化したもの。第2集は昭和62年度。中川・先崎が奨励会から上がってきた年である。もう少し古い人には、芹沢逝去の年、と言えばいいかな。古い。
対局日誌の常で、筆者である河口老師の「おじさん説教」がとてもウザい。それがなくて実戦から取った手筋集、と考えれば非常にいい本である。なので、生暖かい目で見ながら読むべき本だろう。
どうでもいい昔話をひとつ。
P.57から、米長-泉(十段←竜王戦の前身棋戦)戦を取り上げている。終盤、米長が絵に描いたような手筋を喰らって逆転負けするのだが、そのとき、米長はこんなことを言ったという。
「いや、(その手筋を喰らった局面で)私の玉は寄らないと思っていたんだ」
ここから、河口老師は、米長は人と考えることが違う、なんなとんでもないことを考えていて、今回はたまたまそれが裏目に出ただけだなどといろいろと書いているわけだが、実は、これについて、「盤側にへばりついている(開始から投了までずーっと盤側で観戦している人、という意味。普通はちょこちょこ見に行く程度なものらしい)」観戦記者の三宅正蔵が、近代将棋の付録で真相を語っていた。
……で、それは実は……とご紹介できればいいのだが、残念ながらすっかり忘れてしまった。ごめん。
興味のある人は、昭和62年頃の近代将棋の付録冊子を調べてみると載っているはずだ。当時、読んで「なるほど」と思った記憶がある。
もうひとつどうでもいい話をすると、P.68の▲1五角は△1五角の誤植だと思う。
ホントにどうでもいい話で申し訳ない。
作成日 2011-09-20
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その他 (
読みもの )]
↑amazomで見る↑著者:河口 俊彦 / 出版社:河出書房新社
出版日:
¥ 1,680
(定価)
(評価:級位者)
(評価:初段~三段)
(評価:四段以上)在庫切れ(価格・在庫状況は2月6日 5:51現在)
河口老師による、
1986年(!)の将棋界を書いている。もう四半世紀も前である。大山が63歳で名人挑戦をした年。羽生が4段になり晴れてプロデビューした年である。もう歴史以外の何物でもない(笑)。
また、河口老師の将棋観というか、「今の若手は個性がなくてツマラン」的な文章がそこかしこに出てくるので、それが気に障る人は最初っから読まない方がいい。年寄りの繰り言をさらっと聞き流せる人でないと、まともに受け止めてしまって読み進めるのが辛いと思う。大体、個性がないとか言いながら、使っている将棋は「石田がポカやって愚痴ってる」とかそんなのばっかりで(笑)、おいそれ個性かよ、と。いや、まぁ、個性なんだけども。
ただし、それとおんなじくらいの割合で、実戦的な指し方やちょっといい手筋の紹介などもあるから侮れない。そういうところはさすがプロが書いているだけのことはある。白砂もそれが面白く、「白砂ノート」ではたびたび題材を拝借した。
初段くらいまでの人は、
ちょっと我慢して読んでみると、もうワンランク強くなるかもしれない。
作成日 2011-09-12
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その他 (
読みもの )]
↑amazomで見る↑著者:所司 和晴 / 出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:
¥ 2,940
(定価)
(評価:級位者)
(評価:初段~三段)
(評価:四段以上)在庫あり。(価格・在庫状況は2月6日 5:51現在)
8枚落ちから香落ちまで、駒落ち定跡を網羅したような本。
定跡手順をちゃんと解説していること、前書きに「3枚落ちと5枚落ちを外し、8枚落ちを加えた」とあることなどから、おそらく『将棋大観』を意識して書かれたものと想像する。
なので、いい点は『将棋大観』と同じで、基礎的な駒落ち定跡が覚えられること。本書を読めば、「なんで駒落ちを指すか」がよく判ると思う。定跡手順だけではなく、「ここではこう考えて攻めましょう」「こういう方針で玉を寄せましょう」といった言葉がそこかしこに出てきて、「なるほど、こういうことを勉強するために駒落ちを指すのか」というのがよく判る。
ただし、逆に言うと、そういう
「駒落ち定跡」の解説
しかしていないので、白砂のように
『定跡なんかフッとばせ』から駒落ち定跡を勉強したような人間だと、本書は「定跡のウソ」だらけの本に見える。いや、そこまで言うのは言い過ぎではあるのだが、『定跡なんかフッとばせ』や、本書よりあとの出版だが
『最強の駒落ち』のような本と比べると、かなり作り物くさく感じる。
なので、勉強をするのに本書を手に取るのは悪くないと思うのだが、本書をうのみにするのはよくないと思う。
できれば、前述の2冊を同時に読み、「実戦力」を身に着けてほしい。
作成日 2011-09-12
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定跡 (
駒落ち )]