居飛車 − 矢倉


 未来の定跡 現代矢倉の思想
著者名森下 卓/著

級位者☆☆☆
出版社名河出書房新社 初段〜3段☆☆☆☆☆
発行年月/価格1999.5/1,300円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

 自分から買いに行った本。振り飛車党なんだがなぁ……。

 わざわざ本を買った理由は別の本紹介のところで書くとして、この本は名著である。森下八段が自分の知識を余すところなく披露したような深い研究と、矢倉に対する確かな思想が感じられる。

 本書では、矢倉基本形までの手順と加藤流(3七銀型で▲2六歩▲1六歩と突いてある形)・森内流(△9五歩△8四歩の形)・郷田流(3七に銀も桂も上がらずに▲3八飛とし、相手の出方を見る)・佐藤流(早めに▲3五歩と突いて角で歩交換をする)を詳解している。
 いずれも詳しい解説がついていて、しかも「どうしてこの形がすたれ、代わってこの形が出てきたか」が非常に判りやすく書かれているので、私のような「矢倉素人」にもよく判る。俺も矢倉指しちゃおっかな、とまで思わせる内容だ。

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 未来の定跡 現代矢倉の闘い
著者名森下 卓/著

級位者☆☆☆
出版社名河出書房新社 初段〜3段☆☆☆☆☆
発行年月/価格1999.8/1,300円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

『現代矢倉の思想』の続編。
 ▲4六銀▲3七桂戦法と森内流を詳解している。
 特に森内流は現代矢倉の流れを変えたとまで言われる形で、これは矢倉党なら是非とも知っておかないといけない。
 巻末のインタビューも面白く読めた。森下の人柄が出た良書と思う。

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 康光流現代矢倉 1
著者名佐藤 康光/著

級位者 
出版社名日本将棋連盟 初段〜3段 
発行年月/価格1997.4/1,200円 4段以上 
感想

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 康光流現代矢倉 2
著者名佐藤 康光/著

級位者 
出版社名日本将棋連盟 初段〜3段 
発行年月/価格1997.6/1,200円 4段以上 
感想

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 康光流現代矢倉 3
著者名佐藤 康光/著

級位者 
出版社名日本将棋連盟 初段〜3段 
発行年月/価格1997.11/1,200円 4段以上 
感想

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 現代矢倉の基礎知識 上
著者名中村 修/著 週刊将棋/編

級位者 
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段 
発行年月/価格1994.3/1,165円 4段以上 
感想

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 現代矢倉の基礎知識 下
著者名中村 修/著 週刊将棋/編

級位者 
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段 
発行年月/価格1994.3/1,165円 4段以上 
感想

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 東大将棋ブックス矢倉道場 第1巻 4六銀
著者名所司 和晴/著

級位者
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆
発行年月/価格2001.9/1,200円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

 先手4六銀戦法(4六銀−3七形の形)vs森内流△9五歩、先手が1八香型で、そこから一手▲5七角と待つ形だけを解説している。ここまで特化した形を一冊の本で解説するというのは冒険だと思う。
 更に言うと、図面がいっぱい、変化手順がいっぱい、しかし解説が少し、という構成になっている。要するに、棋譜を示されて理解できる人にとっては盤駒なしでも読める便利な本になるが、そうでない人にとっては手順の解説の中途半端な難しすぎる本になるということである。これをどう捉えるかは難しいところだが、アマ有段者にとって知りたい情報満載の本が出た、という事実を素直に喜びたい。

 将棋ソフト『東大将棋』シリーズと提携するという異色の試みだが、個人的にはその設定はあってもなくても一緒だと思う(笑)。もう少し構成を工夫すれば名著になったと思うのだが、構成に時間をかけるより、情報を詰め込んでいろんな形の定跡をいっぱい紹介しようというハラづもりなのだろう。それはそれで一つの方向性だと思う。
 初段前後くらいまでの人なら触らない方がいい。矢倉が嫌いになるだけだと思う。

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 東大将棋ブックス矢倉道場 第2巻 続・4六銀
著者名所司 和晴/著

級位者
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆
発行年月/価格2001.11/1,200円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

 第1巻は▲5七角と一手待つ形だったが、今度は待たずに▲2五形と開戦する形を解説している。現在のプロの主流ではないがこれも難しい展開になり、結論はほぼ優劣不明かやや後手のり。これくらいの差なら、アマチュアなら知ってたモン勝ちである。矢倉党の有段者には必携の書といえよう。

 とはいえ、相変わらずツメ込み構成は変わっていないので、読むのがひどく疲れる。有段者必携と入ったが、現実的には有段者「のみ」必携、初段以下は読むだけムダな本とも言える。
 定跡の難しさ(奥深さ、ではない(笑))を知りたい人なら、怖いもの見たさで読んでみるのもいいかもしれない。しかし、1,200円は棋書にしてはそんなに高くない値段だが、多分後悔すると思う(笑)。

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 東大将棋ブックス矢倉道場 第3巻 3七銀
著者名所司 和晴/著

級位者
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆
発行年月/価格2002.1/1,200円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

 今回は4六銀型ではなく、3七銀型。加藤流と呼ばれる指し方である。
 4六銀型がある程度の結論をみた(といっても難解なことに変わりはない)ため、比較的研究されていないこの形が脚光を浴びたのだそうだ。加藤9段はずーっとこればっか指してたけどね(笑)。
 基本的には森下が書いた現代矢倉シリーズとあまり変わらない。ならば森下本の方がよさそうなものだが、「あまり」というだけで「ぜんぜん」ではないところが実は問題(?)である。プロや有段者の将棋は、その「定跡の先端の一手」の違いが形勢を分けるのだ。というわけで、相変わらず有段者には必携書だ。

 これまた相変わらずだが、読みにくい。もう直す気はなさそうなのでこれ以上言うのもなんだが、一応書いておく(笑)。

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 東大将棋ブックス矢倉道場 第4巻 新3七銀
著者名所司 和晴/著

級位者
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆
発行年月/価格2002.3/1,200円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

 同じ3七銀型でも少し変態チックな変化を解説している。変態戦法系といっても、脇システムや6五歩突きというプロの対局に出ている立派な指し方である。まぁ、森下は『現代矢倉の思想』脇システムを「今後主流になることはないと思っている」とバッサリ切り捨てていたが(笑)。
 一方、アマチュアにとっては知りたい変化でもあるだろう。特に脇システムはハマると一発だし一気に終盤までなだれ込んでいく。知っておいて損はないし、知っているからこそ引きずり込んでいくこともできる。今までこれらの戦法についてはあまり光が当てられていなかったので、『定跡外伝』感覚で読むこともできるだろう。

 とはいっても『定跡外伝』よりもはるかに読みにくいことは約束できる(<してどーする)。本書も、やはり自信がない人は手を出さない方がいい。もっと判りやすく書かれた本はいっぱいある。本書ほど詳しく書き込まれた本がないのは寂しい限りだが……。

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 東大将棋ブックス矢倉急戦道場 棒銀&右四間
著者名所司 和晴/著

級位者
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆
発行年月/価格2002.5/1,200円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

 いわゆる「本筋の矢倉」ではなくて、後手から変化していく矢倉の形について解説している。前半の後手棒銀は△4二金の新手を、後半の右四間飛車は△3二銀から囲う形を紹介している。
 このシリーズ共通の特徴である「どっちかを<ひいき>しない」という点は本書でも貫かれており、そのため、最善を尽くせばやや互角かほんのちょっと後手有利、という程度の分れにしかならない。しかし、後手番で矢倉をどうしようと悩んでいる向きには有力な選択肢になるかもしれない。

 個人的な話をすると、右四間は3二金戦法からの変化に使えないかと思って読んだ。▲7六歩△3二金に▲2六歩と突かれた場合、現在のところ中飛車を主に指している。しかし、右四間に組めるのであれば後手番でありながら主導権が握れるかもしれない。ちょうど「△3二金型」という項目もあったので、その可能性は高いなと期待もした。
 結論から言うと「△3二銀型よりやや損。やや先手有利の分かれ」ということだったのだが(泣)、それでも、なかなか参考になった。3二金戦法から右四間にする場合は飛車先を突かない可能性が高いので、本書で解説されている形より得な意味があるからだ(=本書の結論よりもやや有利な分れが得られる可能性がある)。

 構成については相変わらずで、有段者以外は手を出さないほうが無難だと思う。

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 分かる・役立つ 速効!矢倉の手筋
著者名飯塚 祐紀/著

級位者☆☆☆☆
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆
発行年月/価格2002.4/1,200円 4段以上
感想

 矢倉戦で生じる代表的な手筋、攻め筋について解説している本。
 よくある▲2四桂のぶち込みや▲4一銀の引っかけといった基本手筋、理想形に組んだあとの攻略といった、身も蓋もない言い方をしてしまえば「矢倉素人のための初級解説本」。それ故、矢倉党の級位者には参考になると思う。

 なんで▲4一銀と金に当てる手が常に急所となるのか。どうして序盤の組み合いで漫然と指してはいけないのか、本書を読めば、喰らった時の破壊力からそれは察せられるはずだ。かなり後手にはサンドバッグになってもらっているので(笑)都合のいい指しても少なくないが、本書のような「手筋」を喰うと陣形というのはあっけないほどもろい。また逆に攻略も可能だ。プロやアマ高段者が固そうに見える玉をあっという間に丸裸にしてしまうのは、こういった手筋を常識のように使っているからなのだ。
 本書を指して有段者になれるとは思ってはいけない。強くなればなるほど、お互いに手筋を知っているから、それをやられないようにやられないように指していくからだ。しかし、初段にはなれる。級位者と段位者の最大の違いは、これら手筋を活用できるか否か、といっても過言ではないからだ。

 先にも言った通り都合のいい指し手があるので、本書だけで上達は望めない。しかし、基本手筋を知るという上で本書は格好の教材になるだろう。

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 よくわかる矢倉戦法
著者名関根 茂/著

級位者 
出版社名東京書店 初段〜3段 
価格1500円 4段以上 
感想

 

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 初段に勝つ矢倉戦法
著者名森下 卓/著

級位者☆☆☆☆☆
出版社名創元社 初段〜3段☆☆☆☆☆
発行年月/価格2003.2/1,200円 4段以上☆☆
感想

 矢倉24手組みから始まって、3七銀戦法など基本的な矢倉戦についての解説をした本。題名の通り、定跡を深く解説するのではなく、定跡の本筋だけを紹介するような形になっている。

 森下といえば『現代矢倉の○○』があるが、内容そのものはそちらで十分である。こっちの本は、創元社という出版元からも判る通り、入門編。
 そのため、既に河出書房新社の本を持って読んだ、という人には必要ないと思う。あの本は難しくて……という人のための本だ。

 ベースが河出書房新社のものなので、内容は本筋である。
 ただし、コンセプトは先崎の「ホントに勝てる」シリーズと同じなのだが、非常に高度でもある。
 題材が矢倉のためなのか、著者の森下が「正しいことを伝えるのが正しいことだ」と考えているからか、その辺は判らない。ただ、先崎本が「なんとなく指しこなしていけるようにする」というコンセプトなのに対し、本書は真っ向から矢倉の本筋を語っているような気がする。要は高段者の考え方をそのまんま書いているので、そのために高度な思想が見え隠れする内容になっている。
 もちろん、指し口そのものは「入門編」なので、心配しながら読むほどではないだろうが、白砂は少し気になった。もっとも、これは振り飛車と矢倉の違いという本質的なものかもしれないので、なんとも言えないのだが。

 とりあえず、初段くらいの人までなら読んで参考になると思う。有段者は必要ない。もっと他の本を読みましょう(笑)。

(2003.3.16 記)

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 東大将棋ブックス矢倉道場 第5巻 森下システム
著者名所司 和晴/著

級位者
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆
発行年月/価格2003.9/1,200円 4段以上☆☆☆☆
感想

 いったん終了したとばかり思っていたのだが、矢倉道場が再始動した。
 戦形は森下システム。どうも2巻にわたって解説するらしい。

 本書は森下システムの復活、ということで、例の▲5三歩から▲5四香という攻めが中心に解説されている。
 結論としては形勢不明ということで落ち着いてはいるのだが(笑)、その他の変化は森下システム有利のものが数多い。元々、スズメ刺しが出てくるまでは森下システムは矢倉の決定版ではないかとすら思われていたのだから、その対抗策が見つかれば再び脚光を浴びるのは間違いない。

 本手順は『最前線物語』などでも簡潔に解説されているので、その点で本書の価値はやや下がると思う。しかし、その周辺の形をフォローしているのは本書くらいだと思うので、矢倉党は必読だろう。

(2003.10.1 記)

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 東大将棋ブックス矢倉道場 第6巻 森下システム 続
著者名所司 和晴/著

級位者
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆
発行年月/価格2003.11/1,200円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

 前書が最新のスズメ刺し対策を述べたものであるのに対し、こちらはスズメ刺し以外の対抗策を解説している。

 必然的に「昔の指し方」の解説が中心となっている。少し損をした気分だ(笑)。出版社側(敢えて著者は、とは書かないことにしよう)としては「古き皮に新しい酒を注ぐ」つもりだったのだろうが、それにしては新しい酒があんまり見当たらなかったように思う。この辺、白砂は振り飛車党なので事情がよく判らない。3年くらい前なら、『現代矢倉の○○』を読んでにわか矢倉定跡党になっていたんだけど……。
 今までの森下システムを知らない人には参考になるかもしれない。また、少しではあっても全く新手がないわけではない(と思う)ので、最新を追いかけたい人はやはり持っていて損はない一冊だろう。

 こういう乱暴な言い方をしていいものかどうか判らないが、こちらが森下システムを指して、相手が前書のような指し方をしてきたらそれは有段者だ。初段前後くらいの人同士の対局だと、むしろ本書の範囲で戦うことが多いと思う。
 そう考えれば、一応パラパラとめくって変化をさらっておくのは悪くないことかもしれない。
 もっとも、そういう用途であればもっといい本はあるわけなんだけど(笑)。

(2003.12.24 記)

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