入門

マンガで覚える図解将棋の基本

マンガで覚える図解将棋の基本―楽しみながら勝てる将棋を初歩から学べる
著者 :矢内理絵子
出版社:土屋書店
出版日:2009-10-01
価格 :¥9(2024/02/05 22:49時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

NHK杯戦聞き手の矢内女流監修の本。

ここで誤植の一覧が出ている通り、とんでもないことになっている。まさに誤植の嵐。白砂が読んだのは実は新訂版の方なのでこんな眩暈がするほどの惨状ではなかったのだが、確かに「知らない人が作ったのかなぁ」と思わされるような表現はそこかしこにあった。先後の駒を赤青で表示したりとか。かえって見づらいよねぇこれ。

オールカラーで1200円というのは頑張った方だとは思うのだが、本としての体をなしていないのではごみと言われても仕方がない。市役所リサイクル担当職員としては「出せばごみ、分ければ資源」ということで、せめてごみに出さずに資源化してくださいとしか言えない。

作成日:2011.08.31 
入門

お父さん、お母さんが子供に教える将棋入門

お父さん、お母さんが子供に教える将棋入門
著者 :沼 春雄
出版社:創元社
出版日:2010-05-01
価格 :¥1,320(2024/02/08 02:55時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

珍しい「親が読んで子供に教えるための」入門書。
他の棋書紹介でも何度か苦言を呈しているが、すべての漢字にルビを振っておきながら平気で難しい言葉を使う入門書が多すぎる。結果的にではあるが、「大人向け」であるということで、本書はその回避に成功している。もちろんそうなると子供は読まないわけだが(笑)。

内容はルール説明から入って、詰みや手筋の説明、詰将棋と必死問題が8問ずつ、実戦解説が8枚落ち(棒銀)と相掛かり棒銀と中飛車。
だいたい一通り入門者向けの内容はそろっている。が、本当にちょっとずつしかそろってないので、本書だけ読んでも多分お父さんお母さんは子供に将棋を教えるのは難しいと思う。いっそのこと、本当に「教えること」だけに特化した本作りでもすればよかったのかもしれない。

将棋人口を増やす上で、ご両親にも将棋に対する理解を深めてもらいつつ子供に将棋を教えるという試み自体は間違っていないと思う。だからこそ、もう少し気合を入れて作ってほしかった。大人だったらもう少し分厚くても最後まで読める。100ページ増やしてでもそういう本にしてほしかった。

作成日:2011.08.31 
入門

いちばん勝てる将棋の本

いちばん勝てる将棋の本
著者 :里見 香奈
出版社:日東書院本社
出版日:2010-08-07
価格 :¥1,430(2024/02/05 22:49時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

当時女流名人・倉敷籐花2冠だった里見が監修した入門書(まぁ実際は名前貸しなんだろうけどね……)。

内容は、序盤中盤終盤それぞれの局面での指し方の指針の解説。基本的には見開き単位である。
駒の動かし方などの知らない人向けの説明は15ページほどしかない。また、「指針」と書いた通り、本当に手筋や形の解説しかしていないので、本書を読んで「さぁ、将棋を指そう!」と言っても絶対に指せない。その点、『60分でわかる!はじめてでも勝てる将棋入門』などとは対極である。本書はあくまでも「入門者が強くなるための本」である。

逆に言うと、強くなるためのエッセンスはかなりうまく詰め込んである。
例えば、中盤での指し方の指針として「成駒を作る」と解説している入門書は多い。本書ももちろんそうなのだが、その解説は飛角桂歩の4種に絞っている。桂馬を中央に跳ねていって成る(捌く)とか、角を馬にするメリットについて解説するというのは、入門よりもワンランク上の解説だ。

ただし、子供向けにルビを振ってあるにしては「表裏一体」「玉を避難」などと書くのはどうかと思った。素直に「どちらもだいじ」「玉を安全なところに持っていく」でいいと思う。将棋を知っている人が解説するとどうしても文字数の関係からこういう言葉を使ってしまいがちなのだが、本当に読者のことを考えているのであれば知恵を絞ってなんとかしてほしい。難しいのは重々承知の上での要求ではあるのだが。

本書を最初の一冊にするというのはちょっと無理がある選択だが、入門書を読み終わった子供が次に手に取るにはピッタリの本だと思う。本書をちゃんとマスターすれば、2級くらいまではすぐだろう。

作成日:2011.08.31 
入門

60分でわかる!はじめてでも勝てる将棋入門

はじめてでも勝てる将棋入門―60分でわかる!
著者 :神吉 宏充
出版社:PHP研究所
出版日:2011-02-01
価格 :¥142(2024/02/07 05:49時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

棋界のエンターテイナーカンキが贈る将棋入門書。60分でわかる! というのはさすがに誇張なのだが、実際読んでみるとかなりわかりやすい。

まず、「どの駒が取れるか」「どこにどう動けば(打てば)たくさんの駒当たりになるか」についての解説を非常に丁寧にやっていること。これは、駒の利きをしっかり教えると同時に、実戦に必要な「相手の駒を取る」「駒を取られないように逃げる」ための技術を養うのに役立つ。将棋はの目標は相手を詰ますことなのだが、それ以前に将棋が楽しく指せるためには駒をボロボロ取られてしまうようではダメで、そこをまず押さえるというのは理に適っている。
また、その教え方も極端で、例えば、次の一手に下図のような問題を出す。これでわからない子供はまずいないだろう。笑いながらきちんと技術を覚えていくことができる。

 ついでに言うと、これは二歩の反則の説明の図である(笑)。


また、実戦の説明の前に、自分の駒だけを動かして矢倉・美濃・穴熊を作らせてみる、という試みもいい。
定跡手順などという以前に、とにかくこういう形を作りたいんだよ、その形はこういう手順だと作れるね、だから定跡はこういう手順で進んでいくんだよ、というのが体感できる。

さらに驚いたのが、最後の実戦編。なんと▲7六歩△3四歩▲7七桂の鬼殺しを使って解説しているのだ。
ただ、読んでみて納得したのだが、入門書で実戦の手順を解説をするというのは、その手順を覚えてもらうというよりは、符号になじんでもらったり、攻めが決まる快感を味わってもらったりという要素が強い。そう考えると、奇襲戦法を使って解説するというのは逆に適切だとも言える。もっとも、その味を覚えて白砂みたいな棋風になってしまわないかという危惧はあるのだが……(笑)。

ちなみに、この鬼殺し、一般的な奇襲成功例だけではなく、△6四歩対策と△6二金対策も載っている。
△6四歩には▲6八飛~▲6六歩として▲6五歩△同歩▲同桂と捌いていく、△6二金には▲2六歩▲2五歩▲2六飛▲7六飛として石田流に組む(!)、と解説している。なかなか面白い対策で、特に△6二金対策などは「奇襲が失敗しても玉を囲ってじっくり指す」という本格的なもので、将棋の本筋でもある(いや、鬼殺しが本格的だと言うわけじゃなくてね(笑))。最後の最後にチョロっと触れられているだけなのだが、単純な奇襲だけではないというエクスキューズが入っているのは評価したい。

どうなんだろう……という点について少し書いておくと、まず、正直「進級制」というシステムはどうでもいいと思った。これで少しずつ階級が上がっていくから「わーい楽しい」とはならないと思う。おそらく実際の将棋教室でやれば子供を飽きさせずに惹きつけることは可能だろう。「よーしここまでできたら25級ね」というのが説明の一区切りにもなって気分的に一段落できるし。ただ、棋書の場合は自分のペースで本を読み進んでいくので、ページをめくるという作業がすでに一区切りにもなっているから、その効果はなくても十分子供は付いてくると思う。
それと、本当に細かいことなのだが、棋譜の書き方で、先手の場合は▲7六歩と黒なのだが、後手の場合は3四歩と灰色になっていて、特にピンクがバックのページではわかりづらかった。これは普通に△3四歩と白にしてよかったんじゃないだろうか。

と、細かいことを言ったが、入門書としてはかなりの良書だと思う。
本書だけで「将棋が強くなる」ということは絶対にないと断言してしまうが、本書を読めば(60分以上は絶対にかかると思うが(笑))絶対に「将棋が一局指せるようになる」とは断言できるだろう。

作成日:2011.08.28 
入門 その他

よくわかる将棋入門

よくわかる将棋入門 (ビッグ・コロタン 112)
著者 :古作 登
出版社:小学館
出版日:2008-08-01
価格 :¥5(2024/02/06 05:28時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

駒の動かし方から定跡、詰めまでの一通りを押さえた入門書。
すべての漢字にルビが振ってあり(符号は別)、また、「とちゅう」「特ちょう」など難しい漢字はひらがなで書くなど、子供が読むことを前提に作られている。しかし、「特ちょう」は「とくちょう」でよかったんじやないかな……(笑)。

本当に「最初から順番に読んでいって、読み終われば強くなる」という作りになっていて、ルール説明で詰みの概念を説明したあと、「もういくつか、詰みの例を見ていきましょう」と言って一手詰の問題を7問出したり、詰めろや必死の概念を実戦例の前に解説したり、いろいろ工夫している。
実戦例も、小田切式8枚落ち(今なら「ハム将棋の8枚落ち」と言った方がいいのかな)で終局まで解説したあと、相掛かり棒銀、四間飛車の序盤を見せ、そのあと玉の囲いの説明に入り、駒別の手筋を解説し、そこからもう一度矢倉棒銀と四間飛車の将棋を中終盤まで解説している。駒落ちの「駒が少ない状態」で符号を追うのに慣れさせてから、平手の形を見せ、強くなるためのエキスを解説したあと本格的な説明に入る、という作りだ。
そのため、目次を見ただけだととっ散らかっているように見えるのだが、実際は関係が深いものをちゃんと並べているので、本当に将棋教室で講師が解説しているかのような順序で進んでいくように感じる。うまい方法だと思う。

後半で格言により「将棋の方向性」を示唆していることや、渡辺へのインタビューという体裁を使って勉強方法などを伝える(プロが薦める方法なんだからボクもやろう、と自発的にそういう勉強法を取らせるようにうまく誘導しているわけだ)など、「本を読んだそのあと」について細かい配慮をしている点もいい。また、マナーについていろいろ言及しているというのも大事なところだ。

ページ数をもう少し増やすとかしてもうちょっとボリュームが出せれば、この一冊で3級くらいまで、という本になったのに、とも思うが、まぁ200ページもあるし850円だしと考えると仕方がないのかもしれない。これ以上本が厚くなると子供が手に持ちづらくなる、ということもあるし。

なかなかの良書だと思う。
……そういえば、本書のイラストの先生。これは渡辺なんだろうか古作なんだろうが……?(笑)

作成日:2011.08.28 
入門
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