2011

勝つ将棋 詰めろ入門―気持ちいいほど終盤の急所がわかる

勝つ将棋・詰めろ入門―気持ちいいほど終盤の急所がわかる
著者 :中原誠
出版社:池田書店
出版日:1999-07-01
価格 :¥159(2024/02/08 23:48時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

詰めろ入門、とあるが、要するに必死の本。また、30ページほどだが詰め将棋も載っている。

「おとなのための徹底的終盤入門書!」と折り返しに煽り文句が入っているが、入門にしては実は結構難しい。最初は簡単なのだが、後半に進むにしたがってどんどん難易度や読む手数が上がっていく。「詰めろの一手を考えてください→15手」とか言われたらそりゃあ萎えるよね(笑)。まぁ、長く使えるという意味では一冊のコストパフォーマンスは高いと思うので、入門のつもりで買った人はあせらず読んでほしい。

詰めろを探す、というアプローチは斬新だなと思った。プロの将棋でも、2手開いているから詰めろの連続で押し切る、などという展開は珍しくないが、初心者はまずその詰めろを探すのが一苦労だ。その指針の一つにはなるだろう。
問題点として、本書の場合、実は詰めろと必死の境界線が凄くあいまいで、詰めろを扱っているのに必死問題だったりしている。それだったら、詰めろのかけ方は詰めろの章だけで独立させて、必死問題は必死問題の章に移したほうが分かりがいいと思う。詰めろの解説が90ページあるのに必死の解説が50ページしかないので、ちょっとバランスがおかしい。

そういう細かい問題点はあるものの、なかなかの良書である。
表紙のイラストがちょっと持ち歩きを躊躇させるが、2段くらいまでの人であれば十分実用に耐えうる。また、4段くらいまでの人も、タイムトライアルのつもりで挑戦してほしい。白砂もやってみたが、結構詰まった問題もあった。なかなか骨っぽい本だ。

作成日:2011.08.31 
終盤・寄せ

こども詰め将棋入門

《1・3・5手》こども詰将棋入門 詰めの手筋がばっちりわかる!
著者 :中原 誠
出版社:池田書店
出版日:1996-12-11
価格 :¥5,395(2024/02/05 22:49時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

入門用の1・3・5手詰めが24問ずつ、少し難しい5手詰めが6問、7手詰めが1問ある。
子供向けとは銘打っているが、大人の入門者にも薦めたい易しい良問が揃っている。特に「やさしい5手詰め」なんていうのはなかなかないから、詰め将棋が苦手だ、という人も一度チャレンジしてみるといいだろう。
ヒントがまた子供向けで易しいから(笑)、問題が難しいと感じた人は躊躇なくヒントを参考にしてほしい。こういう本の場合、重要なのは解くことではなくて詰め手筋を覚えることだ。極端な話、答えを見たっていいのである。

最後の7問は少し骨のある問題なので、本当の入門者はそこまで解く必要はない。
ちなみに、ヒントではじいさんが「▲3一龍」と言っているが、「▲3二龍」のことである。

作成日:2011.08.31 
詰め将棋

マンガで覚える図解将棋の基本

マンガで覚える図解将棋の基本―楽しみながら勝てる将棋を初歩から学べる
著者 :矢内理絵子
出版社:土屋書店
出版日:2009-10-01
価格 :¥9(2024/02/05 22:49時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

NHK杯戦聞き手の矢内女流監修の本。

ここで誤植の一覧が出ている通り、とんでもないことになっている。まさに誤植の嵐。白砂が読んだのは実は新訂版の方なのでこんな眩暈がするほどの惨状ではなかったのだが、確かに「知らない人が作ったのかなぁ」と思わされるような表現はそこかしこにあった。先後の駒を赤青で表示したりとか。かえって見づらいよねぇこれ。

オールカラーで1200円というのは頑張った方だとは思うのだが、本としての体をなしていないのではごみと言われても仕方がない。市役所リサイクル担当職員としては「出せばごみ、分ければ資源」ということで、せめてごみに出さずに資源化してくださいとしか言えない。

作成日:2011.08.31 
入門

お父さん、お母さんが子供に教える将棋入門

お父さん、お母さんが子供に教える将棋入門
著者 :沼 春雄
出版社:創元社
出版日:2010-05-01
価格 :¥1,320(2024/02/08 02:55時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

珍しい「親が読んで子供に教えるための」入門書。
他の棋書紹介でも何度か苦言を呈しているが、すべての漢字にルビを振っておきながら平気で難しい言葉を使う入門書が多すぎる。結果的にではあるが、「大人向け」であるということで、本書はその回避に成功している。もちろんそうなると子供は読まないわけだが(笑)。

内容はルール説明から入って、詰みや手筋の説明、詰将棋と必死問題が8問ずつ、実戦解説が8枚落ち(棒銀)と相掛かり棒銀と中飛車。
だいたい一通り入門者向けの内容はそろっている。が、本当にちょっとずつしかそろってないので、本書だけ読んでも多分お父さんお母さんは子供に将棋を教えるのは難しいと思う。いっそのこと、本当に「教えること」だけに特化した本作りでもすればよかったのかもしれない。

将棋人口を増やす上で、ご両親にも将棋に対する理解を深めてもらいつつ子供に将棋を教えるという試み自体は間違っていないと思う。だからこそ、もう少し気合を入れて作ってほしかった。大人だったらもう少し分厚くても最後まで読める。100ページ増やしてでもそういう本にしてほしかった。

作成日:2011.08.31 
入門

いちばん勝てる将棋の本

いちばん勝てる将棋の本
著者 :里見 香奈
出版社:日東書院本社
出版日:2010-08-07
価格 :¥1,430(2024/02/05 22:49時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

当時女流名人・倉敷籐花2冠だった里見が監修した入門書(まぁ実際は名前貸しなんだろうけどね……)。

内容は、序盤中盤終盤それぞれの局面での指し方の指針の解説。基本的には見開き単位である。
駒の動かし方などの知らない人向けの説明は15ページほどしかない。また、「指針」と書いた通り、本当に手筋や形の解説しかしていないので、本書を読んで「さぁ、将棋を指そう!」と言っても絶対に指せない。その点、『60分でわかる!はじめてでも勝てる将棋入門』などとは対極である。本書はあくまでも「入門者が強くなるための本」である。

逆に言うと、強くなるためのエッセンスはかなりうまく詰め込んである。
例えば、中盤での指し方の指針として「成駒を作る」と解説している入門書は多い。本書ももちろんそうなのだが、その解説は飛角桂歩の4種に絞っている。桂馬を中央に跳ねていって成る(捌く)とか、角を馬にするメリットについて解説するというのは、入門よりもワンランク上の解説だ。

ただし、子供向けにルビを振ってあるにしては「表裏一体」「玉を避難」などと書くのはどうかと思った。素直に「どちらもだいじ」「玉を安全なところに持っていく」でいいと思う。将棋を知っている人が解説するとどうしても文字数の関係からこういう言葉を使ってしまいがちなのだが、本当に読者のことを考えているのであれば知恵を絞ってなんとかしてほしい。難しいのは重々承知の上での要求ではあるのだが。

本書を最初の一冊にするというのはちょっと無理がある選択だが、入門書を読み終わった子供が次に手に取るにはピッタリの本だと思う。本書をちゃんとマスターすれば、2級くらいまではすぐだろう。

作成日:2011.08.31 
入門
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