羽生の法則 Volume5 玉の囲い方

作成日:2006.07.08
羽生の法則 volume 5 玉の囲い方
著者 :羽生 善治
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2006-06-01
価格 :¥1,430(2024/02/07 23:51時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

今までの4冊は「駒の手筋」を解説した本だったが、今度はもっと大きな視点で見た、今までのシリーズとは違う中級者向けの本ができた。
タイトル通り、玉の囲い方についてカタログ的に解説している。

「振り飛車」「矢倉」「相居飛車」といった具合に大まかに戦法を分けて、そこで出てくる囲いについて紹介している。
解説されているのは「囲いができるまで」で、囲った後の攻め筋や囲いの攻略法などは載っていない。思いっきり身も蓋もない言い方をすると、序盤だけが延々と続く本だ。そういう意味では「退屈な本」と思われてしまうかもしれない。

しかし。
『将棋世界2006.8』の勝又講座のように、プロでは序盤の数手にも気を使っている。
本書は、形をカタログ的に駆け足で紹介することによって、「こういう形になると、このあとはこういう囲いになるんだよ」という未来図をいくつも示してくれる。これは、前述の講座ほど細やかで専門的ではないが、序盤の駒運びというものに目を向ける効果がある。雑になりがち、自分のことばかり考えがちな初級者中級者にとって、「相手がこうやってくるならこっちはこうしよう」という将棋の面白さに気づかせてくれるという点で、本書は立派に役に立つだろう。